2012年3月1日 商工文教委員会
補正予算(教育委員会関係)に対する質疑(大要)
・被災児童・生徒の就学援助について
【斉藤委員】
どれだけの児童生徒が対象になったのか。
【学校施設課長】
2月補正後で4409人が対象人数ということになっており、事業費で見ると5億9000万円余となっている。
【斉藤委員】
被災児童生徒就学援助事業は、来年は継続と。
・いわて学びの希望基金について
【斉藤委員】
522人に給付と。小・中・高・大・専修学校それぞれ内訳を示していただきたい。
【企画課長】
小学校183人、中学校135人、高校145人、大学・専門学校59人となっている。
・放射線対策費について
【斉藤委員】
測定・除染の対策だと思うが、ここに出ているのは県立分だけか。
県立学校分でどのぐらい測定して、どのぐらい除染の対象となったのか。来年度の事業計画も含めて。
【スポーツ健康課総括課長】
ここに示されているのは県立学校分である。
県立学校については、82校(特別支援学校含む)県立学校すべてを測定しており、除染が必要だったのが10校11校舎である。
来年度も引き続き行うということで、測定は月1回程度行う。
【斉藤委員】
10校11校舎ということだが、何ヶ所除染したのか。
【学校施設課長】
毎時1マイクロシーベルト以上の地点を除染するということで、109カ所を除染している。
・子ども手当について
【斉藤委員】
1億3500万円余減額になっているが、これは対象が減ったということだと思うが、来年度は仕組みが変わる。自治体負担が増えるが、これはどのぐらい負担増になって、もらう手当が減るのか。
【教職員課総括課長】
委員ご指摘の通り、対象数の確定にともない減額としているが、これは昨年10月に制度改正があり、一律13000円の支給から、年齢に応じて単価が変わるという制度になり、その確定にともない減額となった。来年度も、国の動向が不透明だがこの額で予算を立てている。
この子ども手当だが、公務員・行政職員に関しては、それぞれの職域で子ども手当を支給するという制度であり、その他の民間の方々は市町村で措置するということで、そういう関係で教職員に関しての子ども手当対象というのが教育委員会で予算措置している部分である。したがい、負担ということの文句はないものと考えており、現在受給者が3600人余、子どもの数にして6250名余が県教委で支給している数である。
【斉藤委員】
全体の仕組みは、子ども手当の支給は減って自治体の負担が増えるという仕組みである。今までは全額国だったが。これは公務員の場合は違うのか。来年度、公務員・教員の場合の子ども手当の仕組みはどう変わるのか。
【教職員課総括課長】
この仕組みについては、我々の方では変わるとは聞いておらず、今まで通り国から負担をいただいて、県が直接支給するとなっている。
【高橋教育次長】
財源がどこから出ているかは具体的な資料を持ちあわせていないので後ほど示したい。
【斉藤委員】
これは民自公で大変な改悪である。
・就職支援相談員の配置について
【斉藤委員】
就職支援相談員配置事業が若干の減額になっているが、来年度は増員という話も聞いている。現在何名配置されて、来年度はどう増員されるのか。
【産業教育担当課長】
現在27名配置しており、来年度は28名配置する。
【斉藤委員】
厳しい情勢の中で就職内定率は過去最高だが、現段階で400人近くが未定ということでもあるので、内定率が高まったというのは、厳しい中で県外就職を勧めたというのも1つある。単純に率が上がったということが好転でもないと思うので、厳しい状況の中で現場は積極的な対応をしたことは評価したい。ぜひ未定者が年度内に就職できなかったということがないように取り組みを強めていただきたい。
・岩手の復興教育推進支援事業費、県立学校復興担い手育成事業費について
【斉藤委員】
これは新規で補正で出された。ほとんど繰り越しになるが。岩手復興推進事業費と担い手支援事業費の詳しい中身、意義を示していただきたい。
【義務教育課長】
岩手の復興教育推進支援事業費についてだが、今回被災した子どもたちの5年後10年後の人材育成ということを考え、将来の岩手を担う人材の育成ということの教育プログラムを作成するということである。大きな事業は3つあり、1つは、岩手の復興教育小中学校支援事業―これは県内の45校を復興教育の推進する中心校として、実践研究するための支援ということで、1校あたり20万円ということで国の3次補正を活用する。2つには、岩手の復興教育小中学校推進事業として、県内の全小中学校がそれぞれの創意工夫のもと、もっとも効果的で適した教育活動が展開できるということの支援をするということで、指導主事等の講習派遣、充実した岩手の復興教育が全県で行われるように支援する。3つ目は、岩手の復興教育プログラム冊子の制作に関わる事業である。このプログラムを作成し、県内どの学校でも同じような取り組みを一体となって取り組むということで周知を図っていくと。今年度は3月の配布になるが、岩手の復興教育プログラムの編成をする。24年度はそれを改定して、専門家等の助言をいただき、第二版の作成をするということが事業の内容である。
【高校教育課長】
高校分についてだが、各事業については、豊かな心育成部門とたしかな学力育成部門に分けられている。それで、復興交流推進事業は、各校の特色を生かしながら支援ということで、被災地と県内の各高校が手を取り合いながら一緒に復興に向けて頑張ろうということである。それから、高校だけではなく、小学校や中学校、学校地を超えた取り組みも考えている。それから、複数校が一緒に予算を組んで、沿岸の地域と交流するというようなさまざまな方法が考えられると思っている。
被災地県立学校進路実現支援事業だが、特に専門高校や特別支援高校を支援する事業である。高校や特別支援高校を卒業して、郷土のために地元で就職を希望している生徒がいる。また、震災で郷土芸能を継承する人材が不足しており、自分が役に立ちたいと考えている生徒もいる。そしてこの生徒たちに、将来郷土のリーダーになってくれるに違いない生徒に、その生徒の思いを汲んで地域のさまざまな企業や団体などの力を借りて実現に取り組むと考えている。
たしかな学力育成部門だが、今年度は高校が入学式等が遅れた。その遅れを回復しているところだが、家庭で勉強ができる環境にない生徒が多いと思われ、そこでさまざまな工夫や効果を上げている専門高校を取り入れながら、進路の支援をしていきたいと考えている。そこで、県内でいろいろな協議会や学力向上の指導技術提言をつくりたいと思っている。
被災地県立学校進学支援事業だが、これは高校や特別支援高校の進学をしようとしている県立学校の生徒に対する支援事業である。今回の被災により、高校生は全国からさまざまな支援の状況を見てきた。特にこういうことで、いろいろな支援活動を見ながら、自分も郷土のために、医師やカウンセラーになりたいとか、土木や建設の勉強をして郷土のために役立ちたいという生徒が多くいるので、それらの生徒についての支援だが、特にも被災地から毎日県立大学や岩手大学に見学に行っているのだが、そのバス代が大変で、320万円をバス代に充てて、保護者や生徒の負担を軽減したいと考えている。
【斉藤委員】
復興教育プログラムは読ませていただいた。一般質問でも紹介したが、釜石の奇跡、岩手の奇跡と言ってもいい防災教育の効果は今回発揮されたのではないかと率直に評価している。その割には、復興教育プログラムを読んでも感動しない。これは小学校校長会が出したものだが、あの時どういう形で学校が対応したのか、校長先生方が手記風にまとめている。例えば大槌高校は、私が被災数ヵ月後に行ったときには、まだ避難者がたくさんいて、小学校も幼稚園も職員室を構えている、医療チームもあると。そういう中で、教職員はもとより、子どもたちがボランティアをやっていると。想定外と言われるような大災害だったが、それに対応して素晴らしい教育力、子どもたちの行動力は発揮されたと思う。そういう意味では、そこをきちんと記録していくと。この大災害のときに、学校や教員はどう対応したのかと。その記録はとても大事だと思う。それ自身が復興教育ではないかと。そういう意味で、そうした記録をきちんとまとめて残し継承すると。これが防災教育であり防災文化の中心ではないかと。今までないものをやるのではないので、今まで教育をやって一定の画期的な効果を発揮した中で、それを受け継いで防災文化にしようというので、そういう観点でやるべきである。復興教育プログラムを読んでみて、どうも根本的なところをストレートに受け継ぐということが弱いのではないかというのが率直な感想だった。いろんな事業もいいが、今度の大震災に学校や教師や子どもたちがどう対応したか、ここのしっかりした記憶・記録をしっかり受け継ぎ文化にしていくということが必要だと思うがいかがか。
【教育長】
委員おっしゃる通り、先般教育センターで行われた教育研究発表大会でも、被災した大槌高校の校長や気仙中学校の校長、綾里小学校の校長それぞれ体験を発表していただいた。
我々としても、今回の震災に対して、学校がどう対応して、その後どう避難所運営を行ったかという記録をしっかり残したいと思う。なかなか直ちにというわけにはいかず、まずは復興局だったが、我々のところはそういう記録を風化しないうちに収集しつつ後世に残る取り組みをしたいと思っている。また、復興教育においても、全地域で取り組むということに意義があるだろうと思っている。そういったことで、今回の体験というものを次の岩手の教育に活かしていくという視点で取り組んでいきたい。
【斉藤委員】
ぜひそういう形で、中身のある防災教育・文化として受け継げるものに、そういう中身があるだけにしていただきたい。
例えば、水沢高校の生徒会が大船渡高校の生徒会を呼んで交流集会をやっている。それが冊子にまとまっている。そういう被災地との交流を通じて内陸の生徒たちも認識を新たにして共感を広げるとなっている。
高田一中に震災の5日後に行った時、あの避難所の責任者は当時は校長だった。校長が自治会を組織して、被災者で避難所を運営するんだと。教員ならではの役割を発揮したのではないかと思う。教員のOBもいて、本当に今回の対応というのはいろんな経験、素晴らしい取り組みをしっかり記録して残していただきたい。
・高等学校通学支援バス運行費について
【斉藤委員】
これは高田高校の支援バスだと思うが、この点については国の補助がきちんと確保されているのか。旧大船渡農業まで運ぶわけだが、途中に大船渡高校があり東高校がある。この子どもたちは基本的には対象にならない。同じ方向に行くのに、JRもまだ通ってないという中で、何か工夫ができないものか。
【高校改革課長】
通学バスの支援の財源だが、補助ではないが国の特別交付税の対象となると。これは来年度も継続されると聞いている。
大船渡高校・東高校へ通う生徒に対してだが、たしかに今路線バスが通り、かつて路線バスで盛駅まではJRの代替ということで従前のようにJRの定期券でという条件があるが、大船渡高校・東高校については、高田方面から見た場合盛駅よりも遠くにあり、そこまでは今現在JRのみなしバスの扱いにならないことから、盛駅より以遠に行こうとする場合には、新たに県交通のバスでということで新たに料金が発生する。いまJRと三鉄と県交通で政策地域部の交通担当と連携しながら話をさせていただいているが、大船渡高校・東高校の最寄りのバス停をJRのみなしバス停として、JRの定期で無料乗降ができないかということで話をしている。かなり前向きに調整が図られていると聞いていおり、現時点では回答はまだいただいていないが、より良い見解がいただけるものと期待している。
・埋蔵文化財緊急発掘調査事業費補助について
【斉藤委員】
今回の災害に関わり埋蔵文化財の調査は大変切実な課題になっており、野田村の件については急を要するということでお願いした。
今年度どのぐらいの埋蔵文化財の調査員が増員されて来年度はどうなるか。高台移転にしても全部遺跡にぶつかるぐらい三陸沿岸は貴重な場所なので、今年度はどこまで調査が進んで来年度はどういう体制でどうなるのか。
【文化財世界遺産課長】
今年度の人的体制については、現有勢力の中において、県教委のみならず県立博物館や埋蔵文化財センター、内陸市町村の応援という形で幅広く人を集め対応してきた。
来年度以降は、さらに本格化するので、教育委員会の担当職員を5名増員するほか、都道府県から10名の職員の支援をいただき、県としては15名の体制を組んで市町村の支援という形であたっていきたい。おそらくさらに本格化するのは25年度以降と考えているので、その折にはまた増員ということを検討している。
【斉藤委員】
地元市町村は大変心配しているので頑張ってやっていただきたい。
・国体の競技力向上対策について
【斉藤委員】
今年も大幅な減額になったが、来年も予算が大幅に減っている。国体開催するのに、こんなに減らしていいのか。来年はたった7500万円、今年1億8400万円の当初予算でほとんど減額された。
岩手型国体と言うが、岩手型国体とは何なのか。きちんとした定義があるのか。たしかに過大ではなく効率的にやることは必要だと思うが、やはり国体は競技なので、参加すればいいというだけではないと思う。岩手の子どもたち・選手がそれなりの力を発揮して県民を励ますと。そういう意味では、減らしすぎではないか。国体をやると決めてこんなに減らしたら選手は元気が出てこないのではないか。
【スポーツ健康課総括課長】
国体の選手強化事業については、今年度は凍結の関係でほとんど事業が実施されなかったということで、今年執行したのは、高校生・中学生の全国大会等の派遣にかかる経費だった。
来年度においては、新しい岩手型の選手強化ということで、民間の力を借りながら、あるいは県の組織を整理・統合しながらということで事業を実施していきたいと考えている。具体的には、県の体育協会の方に国体選手強化事業というものの補助事業があり、毎年の選手強化をしている。71回国体の方については、71回を見据えた長期的なというところで実施していたが、それを合体して効果的な強化をしていきたいと考えている。この計画については、71回の選手強化本部が設置されており、その会議が3月にあるが、そこで検討していただきながら強い岩手県を目指して頑張っていきたい。
【斉藤委員】
これだけ選手強化の予算を削るのはいかがなものか。国体をやるのだったら、せめて全国レベルの選手を育てるというのは当然の仕事である。過大でなく効率的な国体というのはその通りだが、岩手で国体を開催するのであれば全国レベルの選手をそこに向けて育成していくということでしっかりやっていただきたい。
・学校給食の放射能検査について
【斉藤委員】
全国的に調査がされ、県内の市町村も調査されているが、事前検査、事後検査、両方やると3つの手法があるが、岩手県はどういう手法でやるのか。やはり学校給食そのものを検査するということも必要なのではないかと思うが、岩手県11校の検査の手法はどうなっているか。そして、すでに奥州や一関などではやられているが、市町村ではどういう手法でやられようとしているか。
学校給食の検査で124台の検査機器の予算を12月補正で組んだ。ところが三十数台しか希望がなかったと。盛岡はたった1台である。これでどんな検査をするのか。やはり安全安心で、この時期は徹底して調べて安全ということを子どもたちにも父兄にも知らせていくのが今の局面だと思う。岩手県が124台の予算化をしたのは前向きだったが、それに十分市町村によっては応えない。特に盛岡で1台と。玉山も都南もあり給食センターだけで2つもあるところで、玉山は特に汚染が深刻なところである。そういう意味でいくと、もう少し市町村に対して丁寧な指導をやって、必要な検査機器はそろえることが必要なのではないか。
【スポーツ健康課総括課長】
給食食材の放射線検査については、県としては事前の検査ということで進めている。
他市町村の関係だが、一関・奥州・平泉・金ヶ崎が食材を検査した上に、給食1食分の丸ごとの検査ということを計画しており、花巻市を提供した給食の丸ごと1食の検査をする予定である。
124台の予算措置に対してということだが、基本的には市町村が考えることであり、県立学校に配置してそのエリアで余裕があれば検査をするという体制をとっている。ただ、やはり市町村によりさまざまな台数の考え方があるようなので、補助制度の丁寧な説明をしながら対応していきたい。
【斉藤委員】
結局124台の予算に対して何台設置されることになったか。
県が11校全てに配置するのは良いが、ただ事前検査だけではなく、この機会に給食丸ごとの検査もやるべきである。
【スポーツ健康課総括課長】
市町村の補助については、すでに購入したものも対象としているところだが、一関市など7市町において13台がすでに設置済み、今後機器を整備して検査を計画しているところが17市町、4月以降の検査実施を目途として計30台を発注済みあるいは3月までに発注を行うという状況である。
事後検査については、こちらとしては、原食材が特定できないということがあり、提供する前に止めたいという気持ちがあるので、とりあえずは事前の食材検査で安全安心を高めていきたい。