2012年3月8日 予算特別委員会
警察本部に対する質疑(大要)


・交通信号機の整備について

【斉藤委員】
 来年度予算では、前年度比2億590万円も削減されているが理由は何か。

【交通部長】
 平成24年度事業として見込んでいた事業費のうち、2億7035万円余については、国の交付金を活用し2月補正に計上し、繰越明許費として承認をいただいている。したがい、平成24年度は、当初予算に2月補正を加えた実質的な平成24年度の事業費は、前年度当初予算比で6439万円余7.5%の増額となっている。

【斉藤委員】
 交通信号機について、要望はたくさんあるが、どんどん減っている。この3年間で159件の要望があったと。平成21年は26件、22年は21件、23年は17件と。なぜこれだけ減っているのか。来年度は増えるのか。

【交通部長】
 交通信号機の設置要望については、地域住民から要望され、各警察署で実態調査等が行われ、暑の交通規制対策協議会等で意見を聴取した上、その結果を踏まえ警察本部に上申される。警察本部には、さらに全県下的な観点から総合的に検討した上、公安委員会に設置案を上申して、交通規制の信号機を設置するということになっている。
 厳しい財政情勢の中で、適切に予算獲得に努めていきたい。

【斉藤委員】
 予算が増えていて、だとしたら来年度は交通信号機が増えるのかと聞いている。設置要望はかなり吟味されて地方から出ている。予算の範囲内で信号機の設置を減らすということはやってはならないことである。
 その交差点で何人亡くなれば信号機が設置されるのかと。みんなそう思っている。県警の予算の中でも、信号機の設置というのは最優先課題、県民の命を守る最優先課題である。きちんと答えていただきたい。

【交通部長】
 現段階では、公共施設や沿道の関係等、総合的に検討し、全県下的な見地から必要性について勘案していかなければならない。皆さんの要望に応えられるように一層の努力をしていきたい。

【斉藤委員】
 予算は6439万円も増やしたと答えていて、なぜ信号機を増やすと言えないのか。予算がこの間も減らされてきて信号機の設置が減らされてきたことは大問題である。
 毎年52件、55件などと要望されており、設置率は40%である。信号機は増えるのか。

【交通部長】
 皆さんの要望を的確に把握して、必要な個所についてはしっかり要望し、予算を増やすか増やさないかは言えないが、一層の努力をしていきたい。

【斉藤委員】
 毎年切実な要望が上がっているので、全面的に応えてやっていただきたい。命を落とさなければ信号機を設置しないと思わせないようにしていただきたい。
 それで151ヶ所被災をしたが、実際何ヶ所整備したのか。そして基本的にはLED化されているのか。信号機全体のLED化も含めて示していただきたい。

【交通部長】
 被災した信号機151ヶ所のうち、現段階で復旧しているのは3月7日現在で117ヶ所であり、LED化されているものである。

【斉藤委員】
 信号機全体ではLED化はどこまでいっているか。LED化の計画はどうなっているか。

【交通部長】
 LED化については、23年3月の統計で、斜灯9427灯地中2584、矢印の関係で1264灯あるが1055灯、歩灯の関係で8078灯地中2472灯という状況である。


・警察職員の超過勤務、サービス残業の改善問題について

【斉藤委員】
 今年度の警察職員の超過勤務時間、超過勤務手当の支給状況は2月補正段階でどうなっているか。一人当たりの時間数、総額を示していただきたい。

【警務部長】
 今年度4月から9月までで述べると、職員一人当たり平均超過勤務時間数は238時間で、月平均で約39.7時間である。
 職員一人当たりの平均支給時間数は162時間であることから、月平均で約27時間となる。総額については、一人当たりについては個々の単価が違うことから一概にお答えできないが、今年度の4月から9月までの超過勤務手当の支給総額は9億5796万円余となっている。

【斉藤委員】
 大震災津波の救援や遺体捜索や交通安全の対策を本当に頑張っていると思う。そうした中で、12月に賃下げまでやって、本当にこれは許されないと。せめて超過勤務した分は全額支給するのは当たり前ではないか。
 今年度の9月補正で超過勤務手当が増額された。これは評価するものだが、それでも6ヶ月で月12.7時間サービス残業である。1年間にすると152時間になり、平均の警察職員の賃金で年間47万円のサービス残業になる。これはそういうことで確認できるか。

【警務部長】
 一人当たりについては、個々に単価も違うことから、数字が独り歩きしてしまうこともあるので申し上げられない。

【斉藤委員】
 先ほどの超過勤務時間は半年間だったので、これは年間ベースにすると、152時間のサービス残業だと。それを警察職員の平均賃金で試算すると約47万円と。
 県警本部長、サービス残業というのは社会的犯罪行為である。県警が率先してこの問題を改善すべきである。ましてや大震災津波の救援などの活動で奮闘されている職員に対して、超過勤務手当が十分に支給されていないことはあってはならないと思うがいかがか。

【警察本部長】
 超過勤務については、長時間にわたること自体改善すべき課題だと認識している。特に大震災の発災以来、職員に相当の疲労が蓄積されており、健康管理の面からも勤務時間の縮減に努めるということが大きな課題と認識している。
 今後とも不要不急の業務の削減に努めるとともに、今回の災害がそうだが、突発的な事件や事故に対処する必要がある場合には、所要の措置を講じるなど適切に対応していきたい。

【斉藤委員】
 超過勤務時間の縮減はその通りである。しかし実際に毎年超過勤務に対する不払いが生じている。今回は特に多い。不払いは改善すると受け止めていいか。

【警察本部長】
 今年度の9月補正における増額補正だとか努力はしている。事件・事故に対処する必要がある場合には、所要の措置を講じるなど適切に対応していきたい。

【斉藤委員】
 所要の措置を講じて、警察職員が安心して働けるようにしていただきたい。


・心のケア対策について

【斉藤委員】
 あわせてお聞きするが、かなりシビアな仕事をされている。警察官の心のケア、この間そういう問題の警察官は発生しているか。そして警察で心のケア対策はどう行われているのか。

【警務部長】
 手元にデータがないので数字はお示しできないが、発災直後の4月、秋と2度メンタルヘルスのチェックシートを作成し、これに基づき全職員の精神状態をチェックし、特にリスクが高いものについては、臨床心理士や精神科医による面接などを実施したり適切な対応に努めている。


・二戸警察署における見込み捜査事件について

【斉藤委員】
 昨年12月14日、二戸警察署で20歳の青年が逮捕された。その容疑は、他人の財布から2万5000円を抜き取ったという窃盗容疑だった。1月4日まで22日間拘留拘禁されたが、結局1月5日に不起訴処分となった。まったくの誤認、見込み捜査ではなかったか。

【刑事部長】
 ご指摘の事案は、昨年の11月、二戸市内の体育館において、手さげ袋の財布から現金が抜き取られた窃盗事件と承知している。二戸警察署では、被害者からの届け出を受けて、現場の実況見分や関係者からの聴取等、所要の捜査を実施した結果、被疑者が罪を犯したと疑うに足りる相当な理由があると認め、裁判官の逮捕状を経て、被疑者を通常逮捕したもので、誤認や見込み捜査ではなく、捜査は法と証拠に基づいて適切に行われたものと承知している。

【斉藤委員】
 2万5千円の窃盗事件でなぜ22日間も拘留になったのか。1月4日まで拘留して、5日に二戸の検察庁は不起訴処分とした。なぜこうなったのか。

【刑事部長】
 捜査は法と証拠に基づいて行われたものであり、被疑者として疑うに足りる相当な理由があったことから、裁判官の発する逮捕状により逮捕したもので、人権侵害にあたる行為等もなく、適切に行われたものと承知している。

【斉藤委員】
 だとしたらなぜ不起訴になったのか。

【刑事部長】
 起訴、不起訴は検察官の判断でなされるものである。

【斉藤委員】
 あなた方が22日間も拘留して、起訴にならなかった。
 22日間どういう捜査が行われたか。驚くべき中身である。この捜査の記録はあるか。

【刑事部長】
 取り調べの状況については、映像・テープ等の記録はない。

【斉藤委員】
 そういうことはやっていないのか。不当な冤罪の温床ということで大問題になっている。記録をすることは当たり前のことではないか。

【刑事部長】
 警察における取り調べの録音・録画の実施については、裁判員裁判対象事件となっており、その対象とならない窃盗事件では実施していない。

【斉藤委員】
 22日間も拘留される異常な事件だった。
 本人から私はこういう告発をいただいた。どういう捜査が行われたかというと、「お前の生き方を見ていると滑稽だ。お前がここから出たときに『やっていない』と言っても誰も信じねえ。二戸には住めねえ。今度はどこに引っ越すのかな。今言わなきゃもっと俺たちは調べるから、迷惑かける人がどんどん増えてくるぞ。俺はお前を信じてねえし、俺としては留置所にお前が行けばいいと思っている」と。こういう取り調べを22日間もやった。
 そういう捜査内容を聞いているか。

【刑事部長】
 取り調べの状況については、任意同行後の午前8時ころから取り調べを開始し、午後7時40分に逮捕している。その間、4回の休憩を与えている。なお昼については、1時間の休憩を与えているほか、午後以降は十数分から30分前後の休憩を与えて取り調べを実施している。
 それから、逮捕翌日から8日間取り調べを実施しているが、1日2時間以内の取り調べであり、任意性を欠くような取り調べはなかったと承知している。

【斉藤委員】
 22日間最後まで被疑者は否認した。あなた方の執拗な22日間の拘留の中で最後まで否認を貫くのは普通の人ではできないことである。
 私は紹介したが捜査の内容には触れなかった。「お前は今後みんなに『逮捕された』っていうレッテルを貼られて生きていくことになるんだ。お前がやったと早く言え。今『やりました』と認めれば、その人に謝って許してもらえるとオレは思う。これからは履歴書にも逮捕と書かなければいけないし大変だな」と。こういう捜査が22日間も続いた。しかし起訴にならなかった。
 この青年は二戸にいられなくなった。職場も辞めさせられた。拘留中に職場の人が来て、退職届と書かせた。とんでもない話である。しかし逮捕すれば実名が新聞に出てしまう。法と証拠に基づいて逮捕したと言うが、22日間も拘留して起訴もできないと。そして今私が紹介したように、証拠がないからまさに人権侵害である。法と証拠に基づいたらこんな拘留はいらない。それができないから22日間も拘留した。しかし最後まで否認し続け起訴に至らなかった。それが事実ではないか。捜査の中身を聞いているか。

【刑事部長】
 質問通告があってから、捜査の内容等については承知している。ただ、委員から指摘されたような状況については、正当な手続きで対応したものである。
 起訴の関係については、逮捕して取り調べをして、すべて起訴になるわけではない。その辺りはご理解いただきたい。

【斉藤委員】
 2万5千円程度の窃盗で22日間も拘留されるのは異常なことである。その結果は翌日に不起訴である。人権侵害だと思うので、徹底して内部点検をしていただきたい。
 主席監察官にお聞きするが、かなりリアルに捜査の内容を指摘した。刑事部長は捜査の内容を1つもつかんでいない。きちんと調べるべきではないか。

【主席監察官】
 今の質問に対しては、刑事部で所管しているものであり、刑事部で調査の結果適切に答弁したものと承知している。

【斉藤委員】
 そんなことを言ったら監察官にならない。これは決着済みの事件である。私は中身を問うている。結果として重大な形になったと思う。
 主席監察官はそういうことを調べるのが仕事ではないのか。捜査の中にそういう問題があったことを具体的に指摘した。それでも調べないか。

【主席監察官】
 本件については、刑事部で調査したところである。私の方では、具体的な内容について承知していない。刑事部で適切に調査した結果を答弁したところである。

【斉藤委員】
 刑事部長は全然中身を知らないではないか。何の記録もない。だから調べるべきと言っている。もう処理された事件を調べるのは監察官の仕事ではないか。

【主席監察官】
 刑事部長から答弁した通りであり、取り調べ監督状況についても、適切な内容だったということで調査の結果を申し上げた通りである。刑事部で対応しているということで、私の方で対応するということは考えていない。

【斉藤委員】
 警察の内部をあなたが監察しなければ誰がするのか。こういう内部の問題を身内意識で守ると。それが県警の実態か。このことは厳しく指摘しておきたい。
 県警本部長、こんなことでいいのか。あなた方はそういう青年の結果に責任があるのではないか。

【警察本部長】
 捜査をして、送致して、検察官の方で起訴・不起訴の判断がされるが、証拠が十分固められずに不起訴という結果もあるが、それが全て捜査が不適切だったかというと、そういうことはなく、今回の捜査について取り調べ時間についても確認したが、8日間の取り調べで、1日長くても2時間ぐらいということで、決して20日間の捜査で取り調べて、長時間の取り調べをしたというケースではないと思うが、刑事部の方で調査し、先ほど刑事部長から申し上げたところである。

【斉藤委員】
 いずれ22日間の拘留というのは異常なことである。そして1日2時間であろうと、その中身は徹底して相手の人格を否定する捜査をやっている。証拠がないので。しかし22日間拘留しても否認し続けた。こういう結果を自ら点検しなければ、警察のやることは何でも良いことだとなってしまう。1つ1つ点検すべきだと厳しく指摘しておきたい。


・雫石町の監禁殺人未遂事件について

【斉藤委員】
 これは本来食い止められる事件だったと思う。これまでどれだけ被害届が出ていたのか。秋田県警には、家族から保護願も出ている。これを早く対応していたら、ああいう事件は起きなかったと思うが、どれだけ被害届と保護願が出ていたか。

【警務部長】
 被害届については、監禁事件の前にはなかった。ただし、発生地である町営住宅でのトラブルに関し、住民からの警察安全相談という形では平成18年7月以降に25件寄せられている。20年以降では、20年に1件、21年が5件、22年が5件となっている。
【生活安全部長】
 保護願の関係だが、住民等からの保護願は出ていない。本人の家族の方が、平成22年9月に、青森県警に「本人と連絡がとれない」ということで、行方不明者の届け出をしている。内容については、犯罪被害に遭うおそれがある場合などの緊急を要する内容ではなかった。

【斉藤委員】
 緊急を要するどころか、その後事件が起きている。25件も安全相談がきていた。これは被害届を安全相談にしてまったのではないか。そして家族からの保護願が出ていたのにも関わらず対応しなかった。これは大きなミステイクだと思う。


・盛岡西署の警部補の自殺について

【斉藤委員】
 盛岡西署のF警部補が9月17日に自殺した。この要因と背景をどのように把握しているか。

【主席監察官】
 自殺の要因等については、個人のプライバシーや死者の尊厳に関わることであるので、詳細な答弁は差し控えさせていただきたい。なお、この警部補については、東日本大震災発生当時から、盛岡西署に異動になる6月6日まで大船渡警察署で勤務していたが、昨年4月中に実施したストレスチェックの結果や関係者等からの聴取により、自殺の要因が震災の影響によるものと判断している。

【斉藤委員】
 たしかに6月まで大船渡署に交通指導係で勤務していた。8月17日に大船渡署管内で、免許停止処分を免れさせたとインターネットに情報が掲載された。自殺はこの1ヶ月後である。このインターネット情報は確認しているか。

【主席監察官】
 我々の方では把握していない。

【斉藤委員】
 大船渡署管内で、免許停止を免れさせたと。こういう事例は報告されているか。本当にインターネット情報を把握していないのか。

【警務部長】
 ご指摘の件については、そういう情報があったということだが、その後の調査の結果により、その情報は事実とは異なっていると確認している。