2012年3月12日 予算特別委員会
医療局に対する質疑(大要)


・被災県立病院の早期再建について

【斉藤委員】
 一般質問で知事に対して、被災した県立病院の早期再建のためには、用地についてできるだけ早く関係市町と協議し確保すべきだと提起した。被災した県立病院の患者の状況はどうなっているか。震災前と比較した実態を示していただきたい。

【医事企画課総括課長】
 高田・大槌・山田病院の外来患者数だが、平成23年12月の一日平均患者数を前年同期被災前と比較すると、高田病院は252人で13人増、大槌病院は97人で57人減、山田病院は114人で12増となっている。高田病院の入院患者数は、2月の延べ患者数は656人で、一日平均23人となっている。

【斉藤委員】
 高田・山田は、これだけの震災を受けながら震災前の外来を超えている。本当に病院の再建が切実である。大槌には先日行ってきたが、被害が大変深刻だというのと、仮設住宅が奥にあり十分交通のアクセスが確保されていないということで、病院関係者は頑張っているが回復されていないということもある。
 高田病院は、市との関係ですでに病院の用地の確保の目途もつけたと。これから測量や設計をして、病院建設までどのぐらいかかるか。

【経営管理課総括課長】
 病院整備にかかる期間だが、用地の形状、用地造成に要する期間が異なるということ、施設の規模・機能についていろいろな状況になっているので、建設に要する期間について一概に示すことは困難だと考えている。

【斉藤委員】
 高田病院の場合はどうか。用地がだいたい定まっているので。

【経営管理課総括課長】
 高田病院について具体的に試算しているわけではないが、一般論としては、近年整備した地域病院を例として考えた場合、建設に要する期間というのは基本実施設計等建築工事をあわせておおむね3年程度と考えている。

【斉藤委員】
 仮設診療所は2年ないし3年ということだった。高田病院はこれからやっても順調にいって3年かかる。高田病院は直ちに病院の再建にかかるべきである。
 大槌・山田も早く用地の確保をして着手しないと、4年も5年もかかるということになる。そしたら地域住民は安心して再建に取り組めない。
 いま地域の高齢者は、仮設住宅で外出ができずに、どんどん健康状態を悪化させている。要介護認定が沿岸で1100人34%増えている。そういう状況の中で、早く病院を再建し、被災地でお年寄りも含めて、元気に生活できる、再建に取り組める状況を早くつくる必要があるのではないか。
 知事は、「用地についてもできるだけ早く市町村と協力しながら、早急な地域医療体制の回復に努めていきたい」と答弁した。医療局長にもっと踏み込んだ答弁を求めたい。

【医療局長】
 大槌・山田のことだと思うが、委員には病院をいろいろ訪問していただき、現地の情報をお聞きなっていると思うが、私も町にお邪魔していろいろ聞いている。たしかに、復興計画そのものは両町とも作られて、土地利用計画をどうするかという形で具体的に動かれているという状況だと思っている。ただ、現段階で、仮設住宅で暮らしている方々の場所が最優先で検討されるべき話であり、実際に内陸部と違い、もともと平場のないところなので、それぞれ両町とも、今回仮設の診療所をつくるときにもいろいろ協議させていただいて何とか確保したが、正直なところ両町とも構想としてはあっても具体論までは現段階では協議できるようなところではないのかなという感じで受け止めているが、斉藤委員は斉藤委員で町の方から別な情報もお持ちかと思うが、いずれ現時点ではそのように考えている。

【斉藤委員】
 高田病院は市との関係でも煮詰まってきたので、まちづくりの中でもしっかり位置づいているので、ぜひ早く進めていただきたい。
 大槌の場合は、大槌の置かれている状況は深刻だと思うが、仮庁舎は大槌小学校を改修して使うということだった。8億円かけてかなり本格的な改修である。仮設というよりは10年以上使えるような仮庁舎になるのではないか。統合小学校の用地もだいたい目途がついた。その次はいよいよ病院である。ここが定まって、まちづくりの基本的な施設が定まってくる。岩手看護短大の鈴木教授が、大槌町を何度も全世帯訪問して、被災住民の方々の健康が大変心配だと。7割以上が高血圧で、「県立大槌病院の早期復旧や仮設住宅に暮らす人の健康管理の充実を提言した」と。いわば、大槌の被災者全員を訪問し、鈴木教授の提言は早く病院の再建が必要だというのが被災者の実態調査を踏まえた提言である。そういう点で、大槌についても山田についても、ぜひ医療局が積極的に町と協議して、早く方向を示していくことが復興の力になるし、被災地を励ますことになるのではないか。

【医療局長】
 大槌の方で調査されたということだが、高血圧やいろいろ健康に不安のある方々がおられるということかと思うが、基本的に大槌の例を申し上げると、開業医の方々も仮設で比較的早く立ちあがっており、我々の仮設の診療所についても大槌が一番早く立ち上げた経過がある。山田についても、民間の開業医が頑張っており、我々の仮設の診療所もある。
 医療がないということではく、高血圧といったいわゆる入院を要しないようなものについては何とか現地で頑張っていただいて対応していただいているということだろうと思う。
 委員が言われているのは入院施設ということだと思うが、いずれこれについては、二次医療圏の話し合いの中で、規模・機能等については24年度に保健所が中心になって検討していくということになっているので、その中でいろいろ意見も踏まえながら検討していきたい。

【斉藤委員】
 知事が9月県議会で表明した再建の方針は、「被災した病院の再建を基本としつつ、地元市町の復興計画や地域医療再生に向けた二次保健医療圏での議論、県の次期保健医療計画の考えを踏まえながら、立地場所や規模・機能について検討していく」と。あくまでも「被災した県立病院の再建を基本にする」と。私は決算の総括でも「病院の再建ですね」聞いたら、知事は「そうです」と。ここまで答えている。病院の再建を基本にして、規模・機能については具体的な議論はあるかもしれないが、そういうところまで知事は腹をくくっているので、ぜひそういう方向で町との協議を進めていただきたい。高田病院については、ここまできたら早く着手すべきである。


・花泉診療所の民間移管破たんの問題について

【斉藤委員】
 4月に県立診療センターへの以降と。特養ホームは別の民間社会福祉法人に委譲するという方向だが、医療局との関係で何が解決して、何が解決していないのか。協議している項目は何なのか。

【経営管理課総括課長】
 協議中の事項であるので、突っ込んだ形では申し上げられないが、今現在協議している事項ということになると、3月末での引き渡しである。
 残っている滞納している家賃、医療機器の代金の支払いについて協議している。

【斉藤委員】
 七星会の滞納は解決されたのか。

【経営管理課総括課長】
 医療機器の売却代金は解決している。家賃は継続している。

【斉藤委員】
 仁王会が借金も含めて移譲すると言っているが、その債務は5000万円という答弁があった。これは5000万円丸ごと引き継ぐのか。
 家賃の問題については、1年目は4分の1、2年目は2分の1と、これは2分の1になったかどうか確認していないが、結局は4分の1で仁王会とは契約するということか。

【経営管理課総括課長】
 債務の移譲の関係については、多分まだ両法人の中で詰めの作業の段階だと承知しているので、私から申し上げることは控えたいと思う。
 家賃の関係だが、基本は募集要項や契約書にも書いているが2分の1というのは間違いないが、財務状況などに鑑み、ある程度4分の1のところまでディスカウントできるという形になっているので、これは今後新しい社会福祉法人とも協議していきたい。

【斉藤委員】
 県立診療センターに移行するが、先ほどの答弁で、医師・看護師等の職員については「民間移管前の体制に戻す」と。これはどういう体制だったかはっきり示していただきたい。
 先ほどは、常勤は1人、さらにもう1人調整中だと。うまくいけば2人確保するということで受け止めていいのか。

【経営管理課総括課長】
 民間移管前の状況だが、診療科の体制については、内科・外科の体制である。その他に、脳神経外科が週1回という格好になっていた。我々としても、この体制を基本とし、内科・外科という形での対応をしていきたい。
 常勤換算については、平成21年度の花泉地域診療センターの常勤と非常勤も含めた人数で申し上げると、常勤1非常勤1.6人となっている。
 いま常勤医1名の配置を見込んでおり、プラスもう1名の方については調整中である。

【斉藤委員】
 そうすると医療局とすれば、常勤医師2名確保を目指していると。
 看護師の体制、検査技師の体制、移管前はCTもあったし検査の体制もあったと思う。これを一定程度白光に売り渡したりしている。これはどうするのか。新たに確保するのか。

【経営管理課総括課長】
 職員体制だが、看護師・臨床検査技師・放射線技師・事務作業員についても、他の地域診療センターも参考にした上で、同程度の形での準備を見込んでいる。
 医療機器の関係については、機材の未払いの関係の交渉の中での話もあるので、現在交渉中ということでご了解願いたい。

【斉藤委員】
 民間移管前の花泉診療センターのカルテは、磐井病院がおそらく持っていると思うが、これは活用できるわけですね。

【経営管理課総括課長】
 カルテについては、旧来の花泉地域診療センター当時のカルテ、これも白光との交渉の中であるが2年間のカルテについても交渉している。前のカルテについては保存されている。

【斉藤委員】
 この民間移管は、先に結論ありきで破たんしたと。最初から事業計画は嘘八百だった。地域住民を混乱させた。私たちは有床診療所体制を守るべきだと思うが、県立の診療センターとして再開するに当たり、きちんと地域住民に説明会を開催すべきではないか。

【経営管理課総括課長】
 今議会の中でも、説明会については医療局のほうでやっていきたいという話はさせていただいているが、若干日にちが押し迫っているが我々の方でもしなければいけないと考えており、具体的な日程等について一関市と相談している。

【斉藤委員】
 4月に移行する前に、きちんと説明会もやって、信頼回復が第一歩である。そこからしっかりやるべきである。
 その上で、この間の破たんの経過、検証は医療局は4月以降と言っているが、公募前に、何月何日に医療局の幹部担当者が白光の担当者と会っていたのか。これだけはっきりさせていただきたい。

【経営管理課総括課長】
 公募前の接触だが、前の年度ということで申し上げると、具体的に21年2月16日に両磐の県立病院運営協議会の際に、法人に立ち寄り会長と面談したという話を記録されている。4月以降については、日時的なものは詳細が明らかではないが、花泉地域診療センター懇談会というのを数回開催しているが、この懇談会の状況を聞くために法人の事務局の方がいらして、私の方でもお会いした記憶はある。

【斉藤委員】
 医療法人白光が破たんしたときに、4月以降は分からないというのはとんでもない話である。私の質問に対して、5月に1回会ったと以前答えている。4月以降きちんと調べていただきたい。どれだけ癒着して白光ありきでやってきたのか。そういった記録もないのか。

【経営管理課総括課長】
 白光の事務局の方が用事で盛岡にいらした際に、お寄りになりそういった話をしたという記憶はある。委員に5月という話をしたのかどうか記憶がないが、いずれ内容は、花泉地域診療センター懇談会の状況を教えてほしいというような話での面談と記憶している。

【斉藤委員】
 検証すると言っていて、白光と会った日にちも中身も分からないと。そんな検証があるか。デタラメである。


・県立沼宮内診療センターについて

【斉藤委員】
 医療廃棄物の関係で問題になっているが、それ以上に、いま診療センターになったが、その実態がどうなっているのか。岩手町の検診体制を本当に支えているのか。医師の体制はどうなっているのか。そして今岩手町と医療法人との関係で、民間有床診療所の体制の覚書まで交わされているが、これはどうなっているか。民間診療所はやめたという話もあるがどれだけ把握しているか。

【経営管理課総括課長】
 沼宮内地域診療センターの医療体制だが、現在常勤医1名、非常勤2名、医療技術職員として薬剤師・放射線技師・臨床検査技師が各1名、看護師5名という体制になっている。
 検診の関係だが、本年度の実施は、大腸がんの一次検診が3980名と昨年比54人増えている。大腸がんの精密検査については133人と45人減っている。胃がんの精密検査は17人減っている。今年になり、昨年実施できなかった乳がんの一次検診、いわゆるマンモグラフィーと触診については今年度87人となっている。
 岩手町の民間医療機関との協議の状況だが、協議についての大きな進展についてはうかがっていないところである。ただ、委員ご指摘のような、もうやめたというような話も聞いていない。

【斉藤委員】
 2月28日の町と医療法人との覚書で、この時点でおおむね2年を目途に有床診療所19床、老人保健施設29床を基本として実現すると。こことの関わりで、特養ホームは無償貸与になっている。しかしこちらの方が全然進まない。これはいかがなものか。
 そういう意味では、花泉地域診療センターの民間移管の破たんの経験というのを岩手町でも生かすべきである。民間に丸投げしていいのかと。指定管理者制度という方法もある。本当に地域医療を守る方策というのを多面的に今回の教訓を踏まえて検討する必要がある。


・SPD(物流管理システム)について

【斉藤委員】
 来年度から県立病院全体がSPDを導入するということで業者も決まったようだが、どういう選定の条件で業者を決めたのか。
 心配する2つの問題は、今度の大震災のときにも地元の業者が損得抜きに医療機材・資材を病院に届けている。今度SPDというシステムの中で、民間が中に入り本当にそういう緊急のときに体制がとれるのか。もう1つは、SPDというのは医療材料の経費を削減するという目的なので、経費を買いたたくということになったら地元の業者を育成することにもならない。こういう意味で、危機対応、地元業者との効果的な連携の体制をしっかり県立病院はとるべきではないか。

【業務支援課総括課長】
 SPD業者の選定については、公募型プロポータルにより選定した。業者の選定にあたっては、技術提案審査委員会を設置し、業務改善にかかる提案内容の具体性・信頼性など5つの評価項目に基づいて審査した結果、東京に本社を置くSPD専門会社に決定した。
 地元業者の活用だが、SPD業者が医療局へ納品する物品の調達にあたっては、災害時等の特別な場合を除き、岩手県の物品購入にかかる指名競争入札参加資格者名簿に登載されているものから行うこととしている。
 災害時の対応については、SPDの構築においては、既存の地元業者の備蓄機能に加え、新たに設置するSPDセンターおよび各圏域のサブセンターに一定の備蓄機能を持つこととしている。また、SPD業者は、通常県内の卸売業者から調達することとなるが、不測の事態には、これに加え県外の業者からも調達が可能となるなど、災害においても安定した供給体制を構築できるものと考えている。