2012年3月19日 
復興特別委員会での質疑(大要)


・県立病院の再建―交付金の中身について

【斉藤委員】
 被災3県立病院に交付金75億円を充てると環境福祉委員会で出されたようだが、国の医療再生臨時交付金がすでに交付決定されていると。そういうことであれば、県立病院再建に来年度に予算だとか、実施計画にきちんと盛り込むなどということをすべきだと思うが、具体的に再生交付金の中身、県立病院再建の中身は現時点でどうなっているか。

【保健福祉企画室企画課長】
 国の平成23年度第3次補正予算で追加交付されることとなった地域医療再生臨時特例交付金の使い道だが、この交付金を活用し、本県医療の復興計画を策定し、1つ目として、被災した医療提供施設の再建、医療連携の推進等を図ることとし、被災した3県立病院をはじめ市町村の国民健康保険診療所・保健センター等の公的医療機関等の再建と、民間診療所等の再建を支援し、本格的な医療提供体制の再建を図るということで、基金約131億円を充てると。その他、診療連携だとか被災地における医療人材の確保・育成、その他、圏域を越えた災害時支援体制の強化等の取り組みを進めていくよう考えている。
 一部、民間診療所の再建だとか、災害拠点病院における非常用設備の充実等については、すでに当初予算にも計上しているところだが、今後事業の具体化を進めるものにあたっては、圏域における検討も踏まえながら、必要に応じて見直しなども進めながら、最終的には県の予算編成を経て議会でご審議いただくことになるものと考えている。

【斉藤委員】
 県立病院再建は復興計画の中でも、緊急重要で中心課題の1つだと思う。そこで、国の臨時再生交付金の交付決定がされたということは、きわめて重要な前進だと思う。しかし、今日出された実施計画の暫定版の中には入っていないのではないか。こういう大事なものは、細目が決まってからということではなく、ここまで病院再建の中身が示されているなら、当然実施計画の中にも盛り込んで示していく必要があるのではないか。

【保健福祉企画室企画課長】
 交付金の交付決定になったが、現時点では、先にお認めいただいた2月補正において、基金の方へ積み立てるという措置をとったところである。今後具体化していくこととなるわけだが、実施計画への計上等については、復興局とも調整し適切に進めていきたい。

【斉藤委員】
 いずれ国の財源は基本的には確保されたと。
 県立病院は、今から設計に着手して最低3年かかる。そういう意味でいけば、財源が明確に示された段階で、早く土地の確保を含めた取り組みを進めていただきたい。


・災害廃棄物の広域処理について

【斉藤委員】
 実施計画暫定版の1ページに出ているが、広域処理を進めることはきわめて重要だと思う。今回のような大災害の時に、全国的な支援・共同というのは必要になってくる。
 広域処理を進める上で大事なことは、一番懸念されていることは放射能汚染の問題である。しかし現実には汚染したものは出していない。出さない。そのことの徹底が弱いのではないか。県のホームページを見たが、岩手県久慈地区および宮古市内の災害廃棄物の放射能濃度測定結果について、11月のものしか出ていない。例えば洋野町だったら、災害廃棄物全体では36.2ベクレル、久慈市だったら36ベクレル、宮古市の場合は27.4ベクレルと。8000ベクレルといわれる基準から見たら、ほとんど問題ない。せめて、毎月こういう情報を提供していれば、かなりの程度理解が進むのではないか。やはり県とすれば、せめて月1回ぐらい公表して、どんどんこのベクレルの値は下がってくると思う。そういう情報公開をして広域処理をしっかり進めていくということが必要だと思うがいかがか。

【環境生活企画室企画課長】
 受け入れ先の都道府県ないし市町村ごとに、「何ベクレル以下のものにしてください」といったようなオーダーがあり、それに従い、搬出する際は計測の上出すという体制を組むこととしているが、広く公表することについては、本県の広域処理をお願いしている災害廃棄物の放射能の度合いが低いということを広く知らしめる効果はあると思うので、それについては担当課と検討をさせていただきたい。

【斉藤委員】
 積極的な情報公開がはやり重要である。伝わっていないということが一番の問題である。せめて月1回程度きちんと公表して、ぜひそういう手立てをとっていただきたい。


・住宅支援事業について

【斉藤委員】
 改修に対する補助、今年度は計画値870戸に対して415戸47.7%。宅地の補助は300戸の目標に対して210戸ということだったが、本来喜ばれる事業なのだが、なぜ今年度目標の半分以下にとどまったのか。来年度の見通しも示していただきたい。
 それから、災害復興再建住宅融資利子補給事業、住宅に対するバリアフリー工事、県産材工事の平成23年から25年の3年間の目標値が出ているが、3年間で、バリアフリーで1080戸、県産材で840戸、利子補給の場合だと新築で580戸ということになっているが、この程度しか見込みないということか。実際に希望があればさらに拡充すると受け止めていいのか。

【建築住宅課総括課長】
 被災住宅改修支援事業についてだが、12月議会でお認めいただき、市町村補助ということになるので、その後各市町村に制度の導入の説明会を開催しお願いしている。現在、内陸を中心に順次花巻市等の市町村で制度導入が進められているが、市町村補助ということで市町村が制度をつくる必要があることから、現在の実績値が415件となっている。今後さらに市町村に働きかけて、制度の導入を進めていきたい。23年度当初には、3市町村程度で制度がスタートするという状況になるので、さらに普及が進むように進めていきたい。
 利子補給と新築に対する補助だが、現在の想定ということで25年度までの数字を載せているが、これについては今後の被災地の状況や復興の状況により数字が変わってくると思うので、実情に応じて補助ができるように対応していきたい。


・水産業の復興について

【斉藤委員】
 漁船の確保が計画では3年間で6152隻になっており、交付決定が5222隻で、実績値がここでは3600隻となっているが、今年度予算で6800隻予算化している。6800隻という目標自身も13000隻の流出から見れば少ないのではないか。これは見直していくべきだと思うが、養殖施設は8割復旧するという目標なので、漁船もせめて8割ぐらいまでは3年間で確保するという目標にすべきだと思うが、なぜこのようになっているのか。

【産業再生課総括課長】
 計画数が6152隻としているが、計画時点においては、漁協等も被災しており、どのくらいの要望があるのかというのもなかなか正確に把握できないという状況だった。県としてはだいたい5割を復旧させるという考え方のもとに、このような計画を設定した。その後、漁船について国の予算措置があり、おかげさまである程度高率の補助になったもので、漁業者も再開の意欲が増し、現段階では今年度の交付決定数は6800隻ということで計画数を超えているような状況になっている。
 計画についての見直しだが、この実施計画は定期的に見直していくという考え方をもっており、今後見直す機会があれば担当部局と相談しながら検討していきたい。

【斉藤委員】
 ぜひ見直していただきたい。すでに予算化の方が隻数が多いので。5割程度の目標では漁業の再建にならないと思う。最低8割以上の規模で3年以内に確保するという風に検討していただきたい。
 災害廃棄物の場合は、580万トンといっていたのが435万トンになった。災害廃棄物の目標は見直されているので、そういう形で見直すべきものは見直していただきたい。


・二重ローン対策について

【斉藤委員】
 3年間の債権の買い取りが50件である。今年10件で100%達成となっているが、まだ岩手県は2件しかやっていないと思うが、3年間でたった50件の買取、返済猶予が50件ということでは二重ローン解消の仕組みをつくった意味がないのではないか。これも根本的に見直すべきだと思う。これを中小業者が見たらがっくりきて、誰も相談しない。

【商工企画室企画課長】
 今回のとりまとめについては2月末時点ということで、まだ進行中のものである。当初この記載の際に、復興機構の方については、11月に設立しており、その際には再生支援機構の法案が通るか分からない段階だったが、その後再生支援機構ということで、小規模事業者への支援機構も設立された。そういったこともあり、小規模のものについては、そちらの再生支援機構がおおむね使われていく。一方で中核的なところは復興機構を使っていくということから、目標値について暫定的に50件とした。
 これについて、目標を設定するのが良いのか悪いのかという議論もあるが、我々としても、これが広く利用できるものだということをPRすることが肝心だと思っているので、必要に応じて見直していく。

【斉藤委員】
 実際にこの実施計画を作ったあとに復興再生機構がつくられ再生支援機構がつくられているということがあるので、情勢が大きく変わっていると思うので、1年経過した段階で目標自身を見直すべきものは大胆に見直してやっていくべきである。
 10件債権買取見込みとあるが、これは確定的なものか。

【商工企画室企画課長】
 実際に債権の買取が実施されたものは2件だが、復興相談センターの話を聞いたところ、現在30件ほどの案件で進んでいると聞いている。その後、実際に今後買い取りが進んでいくと思うが、その数については答弁できない。


・中小企業被災資産修繕費事業について

【斉藤委員】
 今年度限りの事業で、結果的には439件7億3600万円余の事業になったということで、これは岩手県がいち早く打ち出して、全国的にも大変評価されたものだが、補正予算で積み上げたこともあるが、結果的にはグループ補助にまわって件数が439件にとどまった。これは本当は内陸も対象にしてほしいという要望があったが、結果的にこの数字にとどまったのはきわめて残念で、もっと対象を広げて最大限活用できるようにすべきだったのではないか。
 今年度、全体が流出して新築にも補助を出すということも示されているが、取り組み状況を示していただきたい。

【商工企画室企画課長】
 修繕の補助だが、4月末に国のグループ補助に先駆けて修繕費補助6億8000万円ほどで予算計上させていただいた。その後、少なかったという被災地の要望も聞き、補正で積み増し、結果的にまたグループ補助にまわった最後の結果がこの件数ということになる。当初、どうしても復旧ということは念頭にあったが、いち早く仮設店舗なり修繕で被災地のインフラを整える観点から優先順位として修繕の補助を創設したところである。
 復旧補助については、今年度の2月補正で1800万円ほど計上させていただき、本格的には24年度の予算ということで、市町村とも打ち合わせをしながらやっている。
 範囲の拡大という話だが、いずれ当初被災地からの人口流出等いろんな観点も勘案しながら、市町村と協議を進めてきた部分もあるので、その点についても今後も市町村とも協議しながら、また内陸とも調整しながら、しかるべき制度の見直し、対応をしていきたい。

【斉藤委員】
 復興局はよく進捗状況の資料をまとめていると思う。ただ、今まで取り上げたように、1年が経過して目標が現実的でない、計画が現実的でないところもあるので、1年経過した段階で積極的に見直すところは見直して、前倒しするところはするなりして取り組む必要があるのではないか。

【廣田理事】
 それぞれの項目については、設定した段階から環境・条件が変わってきているので、委員お話のものを含め適宜見直しを検討していきたい。