2012年3月21日 2月定例県議会・最終本会議
議案および請願の不採択に対する高田一郎県議の反対討論


 日本共産党を代表し、議案第25号、54号、請願17号、30号、35号、52号の不採択に反対討論を行います。
 
 議案第25号、一般職の給与に関する条例の一部を改正する条例は、一般職の管理職手当ての削減を行うものであり、議案54号、市町村教職員の給与に関する一部改正は、教職員の管理職手当てを削減するものです。
 今回の管理職手当の見直しで、総括課長級で年間13万円から部長級で39万円の減額となり、1070人・総額1億3千万円の減額になるものです。すでに県職員の給与削減は13年連続となり、その削減額は総括課長級で平均165万6000円にもなっています。大震災からの復興に献身的に取り組まれている中で、2年連続の削減は地域経済へのマイナス波及効果となるとともに勤労意欲を後退させるものであり賛成することができません。

 次に請願52号、こども・子育て新システムに反対し現行制度の拡充を求める請願の不採択は保育の充実を求める父母の願いに逆行するものです。
 東日本大震災では、保育士は子どもを誘導しゼロ歳児を抱きかかえ必死で非難しました。「現行制度の配置基準では子どもたちの大切な命が守れない」、被災地での共通した声です。公的な保育の拡充こそ必要であって、市場原理で保育政策を後退することがあってはなりません。
 子育て新システムの最大の問題は、児童福祉法24条に基づく、市町村の保育実施義務がなくなることであります。
 現行制度では、市町村が保育実施の義務を負い、待機児童を把握して年度途中でも入所を決めていますが、新システムでは保育費用の一部を給付するだけで保護者が自己責任で保育所を探し契約するなど公的責任が大幅に後退するものです。
 不安定雇用の広がりなど格差と貧困が広がり子どもの貧困率が広がるもとで、セーフティーネットとしての保育所の役割がますます大事になっています。
 今大事なことは、待機児童を解消し保育の最低基準を改善するなど子育て支援予算を拡大し、子育てに関わる経済的な軽減を図るなど公的保育の拡充こそ必要であります。
 働く親の生活を支え、乳幼児の生活と成長の場である保育・幼児教育に市場原理を導入し施設経営の不安定化、保育条件の低下、保育環境の格差をもたらす仕組みを導入するべきではありません。
 
 最後に、請願30号、消費税率の引き上げに反対する請願、請願35号、消費税に反対する請願の不採択についてであります。
 民主党野田政権が進める「税と社会保障の一体改革」と称して消費税を大増税することに県内の世論調査でも6割を超える県民が反対しています。
 消費税大増税は第一に、無駄使いを続けたままの大増税であります。中止を約束した八ツ場ダムの建設再開、重大な欠陥が指摘されているF35次期戦闘機購入に1.6兆円、320億円にのぼる政党助成金を受け取り続け、その一方で富裕層や大企業には年間1.7兆円ものあらたな減税です。こういう無駄遣いを続けながらの大増税など許せるものではありません。
 第二に、社会保障切り捨てと一体の増税計画となっていることです。年金支給額の削減と支給開始年齢の先延ばし、医療費の窓口負担増と介護保険料の引き上げ、子ども手当ての削減など社会保障の切り捨てを行おうとしています。国会審議でも民主党の前原政調会長は「社会保障は無駄の宝庫だ」と生活保護の医療費扶助の切り捨てなどを公然と政府に求め、政府答弁も「社会保障の切込みが足らないといわれれば非常に反省しなければ」と述べており、「税と社会保障の一体改悪」そのものです。
 第三に、消費税増税は、日本の経済を悪化させ生活と生業の再建に立ち上がろうという被災地にまで容赦なく襲い掛かるものであり、大震災の復興に逆行するものであります。
 消費税が10%になると、岩手県全体の負担増は1273億円となり、県民税・市町村民税の増額766億円の1.7倍、被災地に交付される義援金は約457億円の2.8倍の大増税になります。被災地の中小企業は約6割再建しましたが、消費税が転嫁できない中小事業者はたちまち破綻に追い込まれるのではないでしょうか。被災地にまで容赦なく襲い掛かる大増税を行うなど常軌を逸した冷酷な政治といわなければなりません。
 日本共産党は「消費税大増税ストップ、社会保障充実、財政危機打開の提言」を発表していますが、消費税増税にたよらないで無駄の一掃と大企業・富裕層への応分の負担、国民の所得を増やす経済改革こそ今政治に求められています。
 消費税増税に賛成することは県民の願いに背を向け復興を妨げるものであり、被災県として明確に反対の声を上げることこそ必要であります。