2012年4月17日 農林水産委員会
養殖業・漁船確保対策、牧草除染・しいたけ出荷自粛対策に対する高田一郎県議の質疑(大要)
・養殖業の経営安定化対策、漁船の確保対策について
【高田委員】
二つ程お伺いいたします。養殖業の経営安定化対策についてですが、昨年の第三次の補正予算で事業化になった「がんばれ養殖支援事業」。これについて先ほどの説明では県内では10の漁協が事業の検討をしているというお話でしたが、養殖業の再建にとって非常に使い勝手の良い、これまでにない積極的な支援策だと思います。この説明を見ますとなかなか前に進んでいないのではないかと思われる説明になっています。もう少し具体的な実態について説明して頂きたいと思います。それから船の確保の問題ですが先ほどの説明ですと3月末、現在新規の登録数が3793となっていますが当初は予算規模では6800隻となっておりました。年度末で交付決定はどの程度なっているのか具体的な数字があれば示して頂きたいと思います。
【漁業調整課長】
はじめに漁船の確保の状況ですが、23年度末までに国の交付決定をうけた漁船数は6100隻ほどとなっております。
県の予算規模では6800隻ほどを想定しておりますが国の交付決定は6100隻となっております。
【水産担当技監】
「がんばる養殖業支援事業」のほうでありますが、個々にどれぐらい進んでいるかというのはわかりません。現在具体的にこの事業を導入すると言う事で二の漁協が動いております。わかめは漁期の関係で間に合いませんので牡蛎、ホタテについて何とか導入して行きたいと思います。牡蠣、ホタテであれば、先ほど早く収入を得るものをということで動かしていると言いましたが、通常で2年、3年かかります。その間収入がないという事でありますのでぜひこの事業を活用して漁業者、経営の安定をして頂きたいと思います。積極的に動いていますが、これに付いては各県養殖の形態も違っておりますので同じパターンではいかない、本県の場合もどれぐらい賃金としてもらうのが良いのか、施設についてもどういったように原価償却としてみて行くのかとか様々な違いがありますので漁協ごとにそれぞれ練っているところであります。
国に対しても岩手の形、意見をどんどん挙げてそれを実現できるように今調整をしながら進めております。もうじき牡蠣、ホタテの方が中心となりますが中でもわかめでも本漁期はないとしても来漁期から入りたいと言う事で検討していることもありますのでまず我々としてはこれを何とか進めて行きたいと思っている所です。
【高田委員】
船の確保の問題についてですが、6800隻の予算に対して今のお話ですと6100隻が交付決定おりますが今までの6800隻の予算はどういう形になってくるのでしょうか?
この6800隻の予算が生きてくるのかと言うことが一つと交付決定がされた6100隻についてはいつごろまでに登録になるのか?その見通しについてお伺いしたいとおもいます。
【漁業調整課長】
6800隻規模の予算ですけれども予算と隻数がぴったり合うというわけではありません。予算を確保するにあたって6800隻程度ということで予算を確保させていただいたという事です。実績につきましては今、補助金の清算をしているところですが、ある程度6100隻という交付決定になりましたので、いくらかの予算が残るという事になるかと思います。これについては国のほうに付与額という事になるかと思いますので、これから漁業者が要望するに当たっては、24年度、また新年度の予算の予算もございますのでそれを充てて整備していきたいと思います。
それから6100隻の船の整備につきましては、24年度末ということで期限を国のほうは示しておりますので、25年度3月末日までの納期を目指して整備を進めております。
【高田委員】
被災地に行き漁民の皆さんとお話をするとこのような漁船の登録数、テンポではとても漁民は生きていけないと、養殖業を本当にやめざるを得ないというような声も沢山寄せられています。
そこで議会でもたびたび問題になっている船の増産体制について県も国に対して要望している事と思いますが、やはり国がしっかりと責任をもって増産体制を強化していかないと漁民のみなさんは大変な状況ではないかと思います。
国の増産体制に向けた対応について何か変化があるのかどうか?お聞きします。
【漁業調整課長】
船の供給についての国の動向ですが、前回の委員会でも申し上げました通り国でも業界には働きかけて頂いております。
ただ業界の方も整備が進まないところがありますけども、国産メーカーで大手が4社ございます。その最大手の企業が宮城県の名取市の「すごう」という所に東北の船の供給基地を作りまして本体の型船を作ったものをそこでカスタマイズして艤装して各沿岸に運ぶという供給体制です。これが本格的に動き出したのは昨年の12月からです。ただ業者の状況につきましてはその技術者の確保や雇用の確保も一部あるようでして工場の稼動とあわせて、こちらも一方では問題になって企業としては懸念材料になっているというように聞いております。企業もそのようにうって出ておりますので、県といたしましても24年度末までに何とか船の確保を進めて行きたいと考えております。
・牧草の除染の対策について
【高田委員】
私は二点ほどお伺いしたいと思います。シイタケの出荷自粛、牧草の除染の対策についてお伺いしたいとおもいます。
まず牧草の除染対策ですが、今回の除染対策については、牧草の放射性濃度が300ベクレルをこえた所はプラウ耕による農地、土壌の反転、それから100から300についてはロータリー耕による撹拌という説明を頂いております。それぞれどの程度の面積を見ているのか?ということ、もう一つはロータリー耕による撹拌というのは、私も農民ですがどれだけの除染効果があるのかという所で非常に疑問がありますのでそれに対する答弁を頂きたいと思います。
それから面積の大きさから除染をスピード化していくためには、農家の皆さんにもご協力いただかないといけないと思います。自力施工の協力を呼びかけている訳です。本来であれば100ベクレル以上については、すべてプラウで対応したほうが良いに決まっていますが、それが出来ないのはどこに原因があるのか。具体的な理由があれば説明して頂きたいと思います。
それからこの間、県南地方での説明会が相次いで行われていますが、その中の要望の一つに農業公社が農家にお願いして除染対応を行えば1haあたり11万6千円というような数字も出ております。これに対して農家からは非常に少ないのではないかという声が出ています。燃料の高騰とか農業委員会の単価からしても低いのではないかと。これに対しては県も見直しをしたいというような答弁をしたという記事も伺っております。これについてどのような見直し検討がされているのか?ということ。
それと最後にいわゆる公共牧場について2月の定例県議会のなかでも27の公共牧場で使用できないということで、他の公共牧場で受け入れを調整しているというのが議会での答弁でした。その後の調整状況、対応についてどうなっているのかお伺いいたします。
【畜産課総括課長】
除染対策等々に関しての質問を頂きました。プラウ、ロータリーでの除染対象となるのはどれぐらいか?というご質問でしたが前段にもございました通り、現時点におきまして概数で除染対象面積は1万haとご報告いたしました。そのうちプラウ耕、これは300ベクレル以上の分は2600haと認識いたしております。よってロータリーでの除染は7400haと考えております。ロータリーの効果についていかほどか?という事につきましては、これまでも議会等々でお話させて頂いておりましたが、いわゆる300ベクレル以上のものに関してはプラウ耕による転地返しということで牧草特有のルートマットを寸断し深層部にすきこんで寸断するという効果がありますし、ロータリーの部分については、300から100ベクレルの部分については撹拌による希釈効果、土壌への吸着効果で充分に期待が出来ると。放射性物質の低減の効果が期待できるということで一応言い訳をさせて頂いてところです。100ベクレル以上プラウ耕をやった方が良いというのはその通りなのですが、そういったデータもありまして国からの指導もありましてそのような振り分けをさせて頂いているところです。
単価の見直しですが、現場で県としての積算単価としてお示しをしたところですが、その後現場での意見交換、コントラクター組織や畜産農家が保有している重機、作業機を実際に確認させていただきまして単価の見直しをさせていただきました。
県の基準単価につきましても多少見直しをいたしましたが、結論的に言いますと今回の標準単価の見直しをふくめまして、事業主体である農業公社の方ではプラウ耕による農家の受託単価につきましては当初1haあたり14万程度とお話させていただいておりましたが、基本単価として18万円ぐらいにはアップをさせたいと。ロータリーの分につきましても17万4千円ぐらいにアップさせていただきたい。これはあくまでも基本単価ですので、受依託の回数ですとか距離ということになりますと当然これはブレが出てくるのはその通りだと思います。
最後の質問ですが、公共牧場の問題です。ご案内の通り県内では144の公共牧場がございまして使えないところが27牧場あるというのはその通りであります。その後調整をさせていただきましたところ25の牧場で受け入れ可能だと言う事で今マッチングをさせて頂いている最中です。
【高田委員】
ロータリーによる撹拌については期待できるという答弁でしたが、具体的に実際撹拌を行って除染の効果が具体的に現われているという科学的な説明が出来れば安心をするのですが、その辺のところを説明して頂きたいというのが一つです。
それと公共牧場の利用についてですが、これは25の公共牧場が受け入れを出来るという方向だということですが、これは27の公共牧場を利用している方々が問題なく受け入れが出来るという頭数が確保できるのかというところも説明して頂きたいと思います。
除染を行わなければならない牧草地の中には、いわゆるプラウ耕が入れないとかそういった地理的条件の場所もあると聞いています。さらに耕起すると石が出てくるなどの課題もあるようです。必ずしも300ベクレル以上の場所にプラウ耕が入れないという場所もあるわけです。それについての対応をどのように考えているのか?その辺の所についてもお伺いしたいと思います。
【畜産課総括課長】
ロータリーの技術効果についてでありますが、福島県の農業実証センターでの実証事例でありますが、ロータリー単独でやった場合の低減率5割というデータがあります。国のほうでも福島の事例を基に各県のほうに指導をしていると聞いております。
公共牧場の問題につきましては、27の牧場を利用している農家がすべてこのような状態であれば、来年のあわせて放牧したいと思っている農家もいれば、いや今年は良いという農家もいます。いまそれらをひとつひとつチェックをさせて頂いているところです。
【高田委員】
今福島で行った撹拌による除染対応について効果は50%だというお話をされました。
今回、ロータリー耕による対応になるのは100から300ベクレルですが、たとえば300に近い農地、牧草地があった場合に50%となると100を超えるような数字になってくる訳ですが、こういったところについてはどのように考えていったら良いのかと。さらにせっかく除染したあとに濃度の高い牧草になってしまうという問題が出てくる訳ですがその辺についてはどのようお考えでしょうか?
【畜産課総括課長】
先ほど申し上げました福島の話につきましては、国の方にも提示している数字という事でお話をさせていただきました。
いま委員がおっしゃったように50%で大丈夫なのかという話の片方であるわけですが、実を言いますと国の予備費を使いまして放射性物質の吸着、抑制実証を行いました。
これはウチの畜産研究所でもやっておりまして、まもなく春を迎えますがその効果が出てくるものと思っております。
ロータリー耕と一言で申しましても色んな技術対応があると思います。単純に耕起するだけでよいのかとかゼオライトは未だ認められていませんが色んな方法があると思います。
まず、昨年度から引き続きやっている吸着、抑制効果をみてから判断をして行きたいと思います。
【高田委員】
ロータリー耕による除染は課題があると思いますが、対象面積からすればロータリー耕による撹拌も仕方ないと思います。問題は技術指導が非常に大切だと思いますのでこの点に関してはしっかり対応していただきいと思います。
・シイタケの出荷自粛への対応について
【高田委員】
最後にしいたけの出荷自粛対する対応ですが、この問題についてもしいたけ農家が大変意欲を無くして本当に存亡の危機なっているというのが現状だと思います。
この間、県南地域でも説明会が開催されましたけれども、県では一応、汚染されたしいたけは市場に流通しないとの事で全戸検査で対応しているという事であります。今農家の方の要望というのは、全戸検査は大事だけれど原木そのもの検査をしっかりやるべきだと言う声が出ているのですね。
これは私は当然だと思います。すでにしいたけ農家は実際、原木ほだ木を検査しています。そうすると50ベクレルどころではなく高い数字がでているんですよ。それを分かっていながら高い燃料費を使って生産しろというのかと。全戸検査よりもしっかりと原木を調査すべきではないか?そういう声が出ているんですよね。それに対してなかなか難しいというのはどこにあるのか。県としての考えをお伺いしたいと思います。
それから平成24年度の第一次補正でもしいたけ生産農家に対する15億円ほどの追加支援策が行われました。特にこの中で、ほだ木の更新とか、ほだ木の確保状況がどうなっているのかという事と、汚染されたほだ木等の処分方法の方針を国が示していない中で国の対応待ちにならずにしっかり対応するべきだと。これまでの農水委員会で申しあげてきました。これについてはどのような対応をされているのかこの点についてお伺いしたいと思います。
【林業振興課総括課長】
現在は基準値を超えた生産物が流通しないようにと言う事で生産物の全戸検査を優先して行っているところです。
原木ほだ木についても全戸検査をする方向で進めてまいります。地域でかけるというのがなかなか、指標値というものですので生産者個々にこのほだ木は使ってはいけないということで進めなければいけないものですから、そういった意味で原木ほだ木についても全戸をやっていく必要があると思っております。生産物の検査と日を置かずに引きつづき進めてまいりたいと考えております。
原木ほだ木の更新のための確保についてですが、県北地域のいわゆる汚染されていない地域における原木については充分数があるというように聞いております。マッチング等を県信連等を通じてしっかりやっていきたいと考えております。
原木ほだ木の処分につきましてはなかなか国の方針が出ないということで再三、早く示すように求めているところです。
私共のほうで勝手な方法で進めてもそれが違うということになって手戻りという形になってもいけないと言うことがありますので、なかなか独自の処分方法がお示し出来ていないということです。
【高田委員】
最後に東京電力への賠償についてお伺いしたいと思います。これまで東京電力はしいたけ生産農家対して原木ほだ木の収穫が見込まれる数年間の予想損出についても賠償の対象としたいと。そういう説明がされております。しかし生産者によっても一本のほだ木から生産できる年数というのは、生産農家によって4年の人もいれば5年の人もあると。そういった違いもありますしさらに価格も生産者によっては違いますし同時に平均価格で賠償の対象にされてはやはりがんばって品質の良いしいたけを出荷してきた人にとっては非常に不利になるわけです。この辺の整理をしっかり行って実態にあった前面賠償を求めていくというのが非常に大事になってくると思います。その辺についての県の考え方・対応についてお伺いしたいと思います。
それから全面賠償については、これから毎月保障すべきだと議会でも委員から質問がありました。本当に1月請求が4月になるという3カ月サイクルではどんどん農家が意欲を無くして行くのではないかと思いますし、現に私の住んでいる県南地域でも離農していく農家がどんどん増えている訳です。その点について毎月保証して欲しいという農家の切ない要求に対してどういった対応を国や東電にしているのか?そして国や東電の対応はどうなっているのか?お伺いします。
【林業振興課総括課長】
生産者個々によって生産年数や単価について違いがあるということであります。それにつきましては、例えばほだ木の保障につきまして生産者それぞれ単価を使えないかということで交渉してまいりたいという風に考えております。
【担い手対策課長】
東電に対する早期に賠償につきましてでありますが、これまで県とすれば国あるいは東電に対しまして早期に支払うように、具体的に言いますと請求した翌月に支払っていただくようにこれまでも陳情を重ねてきたところであります。今後も引き続き陳情を重ねて早期の支払いを求めてまいりたいと思います。現在のところ先ほど委員がおっしゃったように1月請求のものが4月に支払われる予定になっておりまして、3カ月程度の遅れが出ておりますので、翌月に支払われるようにこれからも要請してまいりたいと思います。
【高田委員】
国や東電の対応についてお聞きしました。
【担い手対策課長】
要請はしていますが、東電から明確に翌月に支払うと言う回答はありません。