2012年6月18日 東日本大震災津波復興特別委員会
がれき広域処理、災害公営住宅の建設に関する質疑大要


・がれき広域処理について

【斉藤議員】
 がれきの処理が復興の大前提だということで、県議会も広域処理の要請に行ってきた。
 それで1つは、県内処理で最大限頑張っているという姿をしっかり見せないといけない。今回の推計表で見ると90万トンも増えた。ただその構成からいくと、柱材・角材・金属くずは減って、大変な不燃物・津波堆積物が大きく増えた。ある意味でいけばますます困難になったという感じがする。その点で、やはり県内処理でどう努力しているのかということをしっかり県内外にアピールしていただきたい。例えば、柱材・角材の場合は、これは見通しも立ったという話もしているが、この間紫波のラフランス温泉館に視察に行った際、チップ材で活用すると、半年分の燃料だと。チップ材を買うと。普通のところは、がれきをお金をかけて持っていく。そういう柱材・角材というのは、最大限そういう形でもっと県内で有効活用できるのではないか。実は広域処理は、チップや木材など可燃物である。寄りによったらこの可燃物は減らしてもいいのではないか。そこをもっときちんとアピールする必要があるのではないか。
 もう1つは、膨大な不燃物である。これは88.9万トンを広域処理でお願いすると。この点については、岩手県内で最終処分の容量がどれだけあるのか、だからやはり広域処理をお願いするということを打ち出さないと。不燃物というのは、基本的には広域処理すればそのまま処理される。そういう意味で、不燃物の処理というのは、しっかりこれだけ県内で頑張って処理して、しかし後はお願いしたいと。これはまだ十分お願いされていないことである。これが新しい今後の課題だと思うので、その点をきちんと努力するし、広域処理をアピールする必要があると思う。そこをどう考えているか。

【災害廃棄物対策課長】
 広域処理は、できるだけ岩手県内で処理し、それでもなおかつ足りない部分ということで、お願いしていこうと考えている。したがい、先ほど岩手県内でリサイクルできるものについては、どんどんリサイクルしていきたいと考えている。
 アピールについては、昨年五十数万トン処理したわけだが、実際に広域処理した部分は東京都と山形県で処理した1万数千トンということで、ほとんど県内で処理した。また、本日示した資料にもあるが、355万トンを岩手県内で処理するということにしているので、その辺をできるだけアピールして、できない部分を26年3月までに間に合わせるためにお願いしたいということで進めていきたい。

【斉藤議員】
 資料を見ると、内陸部の焼却施設の処理状況があるが、おそらく余力でこれだけやれるというので、概算を計算すると日量で170トンぐらいである。ただ、汚染された牧草・稲わらも焼却処理の方針である。その調整が必要になってくるのではないか。そういうものが換算されていないと思うので、これは本当にこの通りいくのかどうか。そういう相談があるのかどうか。
 そして広域処理の最大の障害は、放射能汚染の問題である。この点について、今受け入れている広域の自治体は全て独自基準を決めている。キロあたり100ベクレル以下など。飛灰の場合でも4000ベクレル・2000ベクレルなど。これは、国の方針が信頼されていない。ここをしっかり受け止めて、やはり毎月県内の廃棄物の放射線量を打ち出していかないと信頼されない。そういう意味で、定期的な放射線量の測定を岩手県が責任を持ってまずやって、受け入れる自治体はきちんとやっている。お願いする側の岩手県が測定して情報発信しなければいけない。
 今度の廃棄物処理の方針が改定される。案の段階で文書ももらったが、これは最終的に改定案はまとまったのか。そこに放射線量の測定の一覧表も古いのが前回は出ていたが、新しいのはいつ出るのか。半月に一度ではいけないと思う。そういう意味では、徹底して岩手の側から測定と情報公開をする必要がある。この姿勢がなかったら理解されない。

【災害廃棄物対策課長】
 汚染稲わら等との調整だが、今回示した資料にある数字は、災害廃棄物として引き受けていただける量ということで、各施設からいただいている数字である。逆にこの数字も、さらに増やしていただけないかという相談をしようというところであり、稲わらなどとの調整もその中でなされていくものと理解している。
 放射能の検査だが、昨年一度検査している。放射能については、濃度はだんだん減ってくるという理解でいたので、昨年は一度しか検査していなかったが、今年度は、いろんなところから聞かれることがあるので、四半期に一回検査をすることにしており、現在今年度の分について間もなく公表できるような形になっている。まとまり次第公表したい。

【斉藤議員】
 広域処理もかなり広がってきたと。これは良いことだと思う。同時に、放射能汚染問題については、国民の間で大変不安がある。自治体によっても、特に原発施設をもっている自治体というのは自らの問題で、原発というのは法律できちんと規制がある。その枠を超えたら自業自得になるという問題があり、新潟県などは県の姿勢が大変厳しい。ある意味でいけば、自らの問題として受け止めているからである。そういう複雑なことがあるので、幸い今搬出されている物は数十ベクレルとか、空間放射線量も0.04などほとんど関東と変わらない値になっているが、ぜひ岩手県がもっと自ら県内処理の努力も、放射線測定・安全確保についても、努力している姿勢を見せなかったら本当の意味での理解は広がらないのではないか。ぜひ積極的に取り組んでいただきたい。


・災害公営住宅について

【斉藤議員】
 県営の災害公営住宅だが、野田村だけが木造二階で、あとは皆RCである。市町村は、かなり木造でやるという計画になっている。たしかに用地の問題や規模の問題があるので単純には言えないが、今の仮設に住んでいる方々の年齢構成を見たら、10年経ったら空く。そういう時に活用できるようなものを造らないと大変なことになると思う。そういう意味で、最大限5年後10年後も活用しやすいように工夫する必要があるのではないか。

【建築住宅課総括課長】
 災害公営住宅については、十分な用地確保が難しいということもあり、あるいは県の場合、早急かつ多量の供給を目指していることを勘案すると、どうしても狭い場所に高い建物で戸数を納めなければいけないことから、集合住宅として、防火や構造耐力上から木造以外の構造とせざるを得ない場合が多いと考えている。
 なお、十分な敷地が確保できるという地域、あるいは地域内の他の災害公営住宅とのバランス等で個別の状況によっては木造も可能ということで、野田については木造ということで考えている。
 高齢化等への対応については、集合住宅においても、廊下場とかトイレの幅などを広めに造るなどして、高齢化しても使いやすいようなプランにしていきたい。

【斉藤議員】
 この計画だと、野田村以外はRC構造なので、条件が合えば木造もいくらでも増やしていくということを検討していただきたい。
 それから、造成も含めれば1戸あたり3000万円かかると。だとしたら、持ち家にさらに200万300万と支援して、持ち家建設を支援するということの方が効果的だと思う。その点、財政的にも地元の復興のためにも、持ち家を支援することは住宅再建の最大の課題だと思うがいかがか。

【建築住宅課総括課長】
 委員ご指摘の通り、持ち家の推進は重要なことと考えている。今年度は、新築再建について、バリアフリー等の工事をした場合に補助を行う制度を設け、これについて今後十分に活用いただけるよう相談会等を開催していく予定としている。当面それで対応していきたい。