2012年7月5日 農林水産委員会
放射能汚染対策に関する高田一郎県議の質疑(大要)


・放射性物質の畜産総合対策事業について

○高田県議 
 私は放射性物質の畜産総合対策事業についてお伺いいたします。ひとつは牧草の除染対策ですがこれまで本会議でも15000haの除染が必要だというお話でしたが私は実態はもっともっと増えるのではないかと思います。この辺について県はどのように考えているのか?つまり原乳対策として50ベクレル以上の場所は除染をする必要がありますし実際県から頂いた資料よりも、1500haの中身を見ますと例えば一関市は976haとなっていますが現地に聞くと4000haと言う数字がでてきます。こういったことを考えますと15000haではなくてもっと増えるのではないかと思いますがこの辺をどのようにお考えでしょうか?
 そしてもうひとつは物理的に除染が困難な地域も沢山あると思います。これについては農水省が新しい技術開発にのりだしたという報道もありますがこれについてもいつ結果がでるのか分からない。岩手県全体で除染が困難な地域がどれくらいになるのか示していて頂きたいと思います。

○畜産課総括課長
 二つのご質問だったかと思います。ひとつは15000haの除染面積についてもっと増えるのではないか?と言うことですが、今回の15000haにつきましてはこれまでに農家から実際に上がってきた申し込み書、振興局を通してこれから挙がってくるだろうと思われる数字からはじき出した数字です。いま一関市さんのお話がありましたが実際、一関市の農家からあがってきている数字、あるいは現場からあがってきている数字ではじかせて頂いているのがひとつ、あとこれからどうなって行くのかと言うことに関しましては高田委員のおっしゃる通り50ベクレル100ベクレルの間の問題もございます。しかしこの問題につきましては今年度、いままさにこれは去年もやって来ましたが、特別調査計画ということで調査をやってをやっております。この結果をもって今後の対応については検討してまいりたいと考えております。まずはこの15000haと言うことでスタートを切りたいというように考えております。
 もうひとつは除染が困難な地域がどれくらいになるのかと言うことですがいま現地を調査している最中であります。
 時期にそういった面積が出てくるとだろう思いますと思いますが現時点では不明と言うことでご理解を頂きたいと思います。

○高田県議 
 農家や振興局からあがってきた数字のトータルが15000haだという事ですが、これはやはり動く数字だと思います。実際一関市の担当課に聞きますと一関市全体では4000ha除染をしなければならないということですから私は20000haとかそういった形で推移するのではないかと思っています。いずれ15000haをはるかに超える除染をしなければならないと思います。そこで着実に除染を進めて行きたいという知事の答弁がありましたが自立施工で2年とか公社3年というそういった数字も出ております。
 こういった数字について本当にやれるといった見通しがみえてきません。例えば機械の問題とか作業員とかあるいは資材の問題ですね。種や肥料とか。ですがまだ農家のには物が届いていない、これ本当に2年、3年でやれる展望、見通しがあるのかと言うことについてまず、お伺いいたします。 

○畜産課総括課長
 除染が必要な1500haを2年、3年でできるのか?というお話でありました。今年度は8300haをやるということでお話をさせて頂きましたが以前からお話をさせていただいている通りこの数字をクリアしていくためには、着実に進めていくためにはなんといっても人と機材と資材の確保、この3つが欠かせないというように考えております。
 人的に問題については前からお話させていただいている通りでございまして北海道の農業公社からの人的な応援を含めまして県内の市町村の公社2箇所あるは実際に機械を持っていて「他の農家の応援をしてもいいよ」という農家さん、あるいは組織、作業を請け負うような組織いわゆるグループです。といった方々、そして建設業者、彼らのオペレーターを含めますと現在で117名のオペレーターを確保してございます。機械につきましては8300haのうち機械を持っていないところでざっと4600haぐらいと推定しております。これを逆算いたしますとどれくらいの機械が必要かと申しますと133台、133セット必要になります。そのうち現在160セット確保しています。
 これを地域別に見ますとある地域だけがちょっと突出して不足しているということがありますがここについては建設業者からの協力も頂きながら公社からの機械リースでこれを進めて行きたいと考えております。3点目の資材につきましてはいろんな話が前半ありました。
 種子についても半分ぐらいしか確保できていないのではないか?とかそういった話もございましたが現在は100パーセント確保しています。

○高田県議
 15000haを前提にして作業員、資材、機械を確保できるというような見通しを持っているようですが先ほどお話してように15000haという数字はかなり動く数字だと思います。そうしますと2年、3年と言う期間ですべて除染できるという見通しが出てこないと思います。
 災害廃棄物については、とにかく8年の復興計画の中でやはり3年以内にやらなくてはいけないということで広域処理も含めた色々な対策をとってなんとか3年以内にやろうという見通しをもってやっています。私は3年という期間は妥当な数字かという問題はありますがやはりもっと早く除染をして「期間内に必ずやるんだ」という決意のもと工程表をさくせいして頂きたいとおもいます。長引けば長引くほど農家の意欲は低下しますし繁殖障害などさまざまな問題にも発展しますので是非そういう決意をもって頂きたいと思います。
 代替資料の確保についてですがこういう除染対策が長期化すればかなり代替飼料の確保も大変になってくると思います。その点でどういう見通しになっているのか?と言うことについてお伺いしたいと思います。代替飼料の支給と言うのは面積での支給になっていると聞いておりますが放牧できない状況の中で非常に飼料、わらが必要になってくるということで十分な供給体制になっていないという話も聞きますがその辺のことも含めてきちんとした見通しがあるのかどうかお聞きしたいと思います。

○畜産課総括課長
 代替飼料確保についてですが月単位で農業団体と情報交換をさせていただいているところです。先般の委員会のときにも高田委員さんにはお話させていだだきましたが長期に渡る代替飼料のスキームが出来ているかと言うことで、これにつきましては国に対して国内外からの確実な祖飼料の確保を要請していると言う事と乾燥やサイレージの供給に関する取り決めを行いまして安定的な代替飼料の確保に努めているところです。農業団体と私どもの方では現時点で大きな問題はないと考えております。しかしながら不測の事態に備えまして北海道の方から100トン単位で定期的に乾燥を入れています。今後とも国と連携をしながら必要量確保に向けて取り組んでまいりたいと思います。

○高田県議
 今度の対策の中には24年産放射性物質の検査の予算措置がありますが今後の除染後の牧草の解除向かって検査をしなければならないと思います。いっぴつごとの検査だということですがものすごい膨大な検査になるわけです。検査体制が本当に十分なのかということも問われていると思います。万全の対応をというお話もありましたが今後の対応について課題がおきないようにして頂きたいと思います。現状の検査体制はどのようになっているのでしょうか?

○企画課長
 県といたしましては今年度四月から放射性物質の規制値が変更されたということで取り組んできた所でありまして農業研究センターにも測定器を配備いたしましたし新たに貸与を受けました。このような県で保有している検査機器で足りないものにつきましては国の委託検査機関、それから県内外の民間検査機関の活用などの方法で検査体制の確保につきまして適切かつ円滑な検査を実施してまいりたいと思います。

○高田県議
 私が質問をしたのは今後の事について質問しました。牧草の除染が終わって解除をする中でいっぴつごとの検査をしなければならないわけです。何万ぴつ、それを超えるような検査をしなければならないということだと思います。そうしますと現場では「検査機器の問題、体制の問題、本当に大変だ」という声も出ています。これに対して本当に大丈夫なのか?という事をお聞きしました。

○畜産課総括課長
 除染後の牧草の検査体制についてのご質問だったと思います。除染後の効果測定につきましては除染が適切に行われた牧草地に着きまして当該除染対策の効果を測定することによって確認をするということになっています。うちの県では圃場単位でやることになっています。これまでもそうでしたが民間の検査機関等を活用しながらそのつど検査体制を組んでまいりましたので今後とも検査体制には万全を期してまいりたい

○高田県議
 次に牧草、稲わら、ほだ木などの農林業系副産物などの処理についてお聞きいたします。
市町村の既存の焼却施設で焼却進める場合には放射性物質畜産対策事業で対応していくという説明でした。いま処理をしなければならない農林漁系副産物どのぐらいの量と見込んでいるのか?現在の進捗状況につきましても分かりましたらお願いいたします。

○企画課長
 いまご質問のありました農林業系副産物の現在の状況ですが、農林漁系副産物につきましては牧草、稲わら、堆肥、ほだ木が考えられますが現在処理をしなければならない牧草は約2万t、稲わらが600t、堆肥が7000t、ほだ木については推定ですが109万本としまして推計で5500t弱ということで合計で約3万600tとなっています。これにつきましては稲わらが一部焼却の処分を行っていますがそれ以外につきましてはほとんどが農家の農家の庭先等で保管されたままの状態になっています。先ほどご答弁申し上げましたとおり今後、市町村と連携しながら市町村の既存の焼却で焼却をする関係機関と調整していきたいと考えております。

○高田県議
 3万600tの焼却処理をしなければならないというお話でしたが私は本当に稲わらを一部焼却しているというと言う事でしたが実際は大東の清掃センターで一部焼却処理されている現実だと思います。これは私は本当に焼却処理が進むのかな?という想いをしています。一関では実際、6000tを超える牧草の焼却処理をしなければならないのですが大東の清掃センターだけでも300ベクレル以上の汚染された牧草処理に2年、3年かかるとそういった状況です。しかももう一方の一関市の焼却施設では現在のゴミの一般焼却処理で通常の焼却処理でも2万、とか3万ベクレルの焼却灰。それくらいの数値が出ているのです。汚染された稲わらを焼かなくても。そういう状況の中で焼却処理と言うのはかなり時間がかかるのではないかと思います。この点については本当に焼却処理で充分対応できるのか見通しをお聞きしたいと思います。

○農林水産部長
 汚染された副産物の処理についてでありますがまず生産者の方々に保管をしていただく常態を解消したいというのが第一でありますしその副産物が最終的に処理された状態になって欲しいという得策を探すというそれが考え方の基本です。焼却等の処分については環境生活部、担当部との調整、連携の中で進めていかなければなりません。委員からご指摘のあった状況ということも踏まえつつ乗り越えていく方策をこれからも考えてくそういう考えで進めてまいります。

○高田県議
 なかなか困難の原因はやはり国が最終処分についての方針を示さないからですねなかなか前に進まないと中間施設を作っても最終処分をどうやったらい良いのか示されないから一時保管場所を作ってもいつになってしまうのかと。それが最終保管場所になってしまうのではないかという、そういった想いもあるからなかなか進まないのと思います。
 やはり第一義てきには国に責任があると思いますし県としても一層、国に対して最終処分のあり方について早くしめしてもらうように強く訴えて欲しいとおもいます。同時に国の対応を待っていてないにもしないという事ではやっぱり問題で。そういう対応の仕方か県に対するさまざまな意見が出たきたのではないかと思います。国から方針は示されないけれども県としてはこういう対応をして処理をしたいと。そういう強いメッセージを国に届けて国を動かすような対応をしていただきたいと思います。

○農林水産部長
 これまでの対応を含めてお話がありましたが今回先の見通しを示さなければ農林業系の処理が進まないというのがいままで一関市さんが努力したにも関わらず先の見通しがないため住民の皆さんの理解が得られなかった。そういった事例もあります。したがって、今回なんとしても県として処理を進めるんだという姿勢で議会でも答弁させていただいておりますので当然国に対しては強く訴えてまいりますし牧草、草地除染についてもそうですが技術研究初段階にあった時点から何とか牧草の除染をやらせて欲しいということを国に対して訴えて予算措置についても承認していただき、そういった事でこういう事をしたいというのを申し出てそれを認めてもらうという取り組みも進めてまいりたいと思っております。そういう方法をとらないと前に進まないという状態がいつまでも続きますので取り組みを進めてまいりたいと思います。

○高田県議
 そういった立場でしっかり取り組んで欲しいと思います。
 総合対策事業の最後ですが生態推定検査事業、新規事業として提案されました。これは宮城県が既に始めて効果があるという事で県としても新規事業を提案したというご説明を頂きましたが実際の効果をどのように見ているのか、そして廃用牛対策にどれほど貢献できるのかその辺の見通しを教えていただきたいと思います。

○振興衛生課長
 委員からご質問のありました宮城県の状況ですが、宮城県につきましては既に実施されています。当県におきましても3月の下旬に現地調査をいたしました。宮城県におきましては県畜産試験場でデータを集積しておりまして、それも拝見いたしました。その結果かなりの精度で持って牛肉中に移行している放射性セシウムを推定することが出来るという事を確認しています。それを背景に本県におきましても今回提案させて頂きました。この特徴でありますが既にご案内の通り牛肉中への放射性濃度の移行の推計につきましては廃用牛につきましては1頭ごとに給与いたしましたすべての飼料の放射性濃度を検査いたしまして推定式に基づきまして出しているというやり方ですがやはりこれは例えば農家さんの間違いや記憶違いも排除できないという部分もありましてその部分を科学的な見地から検査できないだろうかということでサーべメータの導入ことになっています。そういった事で原理的には体表面にに検査機器をあてまして体から発せられる放射線量を測り、換算式紀当てはめるという事ですがかなりの確立で推定できるものと思っております。


・しいたけの放射性物質調査事業について

○高田県議
 次に、しいたけの放射性物質調査事業についてお聞きします。
いましいたけ生産農家をまわっていますと共通して出される声が「先が見えない」という事です。本当に来年生産できるのか?。だめならだめでまた考えられるけれども、そういった説明も全然ないということです。7月中に原木ほだ木の検査が終わる訳です。その後原木ほだ木の確保とかほだ場の除染とか様々なことをすべてクリアしてそして再生産という事になる訳ですが、この間の議論を聞いていますと本当に来年の再生産計画に万全を期したいという説明をされますが本当にそうなのか疑問に思います。
 再生産に向けて本当にがんばってみようというそういった結論を早く示してほしいというのです。来年の春先になってから示されても準備も出来ないし、そんなに遅く示されたら来年はもう生産できませんという話をされているんです。
 ですからほだ木の確保にしてもほだ場の除染にしても様々な問題を早くクリアして生産農家に早く方向性を示すと。そして来年もまたがんばってみようというそういった気持ちになるように早く方針を示して欲しいというのが共通して出されています。その辺についていかがでしょうか?

○林業課総括課長
 再生産に向けた取り組みについてなかなか情報発信が弱いのではないかというお尋ねです。そういった声も踏まえましてただいまほだ木のサンプルをとりに各生産者さんをまわっていますが、そういったところにチームを組んで振興局の職員が実際に生産者のところに出向いたさいに要望等を伺いながらまわっています。7月末に全戸検査を終えるというのも方針として示しているところですし、またほだ場の環境はどうか、という事につきましては林業開発センターに実地での検証作業に着手したところであります。それについても早く結果をだしたいと思っています。

○高田県議
 いろいろ質問したいことはあるのですが時間の関係上ひとつだけにいたします。
 しいたけ生産農家、例えば県南地方は原木ほだ木の確保については直接原木ほだ木を購入しないで山を買って、立ち木をそのまま買っていくらでも安いほだ木を確保しようという事で秋から来年の春にかけてほだ木の確保をやっている訳です。これが40円、50円の世界でしょうか。それが一本150円とか200円になるとそこまで投資してやれないという事を言っています。本当に再生産できるという条件を整備するにはいままでやった事のない事をやらないと産地が崩壊すると思っています。どこにいっても、わたしもこの間何十軒と訪問しました。来年やらないという農家が多数です。こういう農家に希望を与えるような対策を示してほしいと思うのですが、例えば原木ほだ木の確保についていま現時点で考えているのかお聞きしたいと思います。

○林業課総括課長
 生産農家からのほだ木の希望に関しましては逐次とりまとめて岩手県連の森林連絡会を通じて確保するという事で進めてまいります。ただ流木買、いわゆる山買についてはどういった山を確保したか分かった時点で山の原木が50ベクレルの指標値を超えているかどうかきちんと調べる必要がありますので生産者の声を明らかにしていく必要があると思いますが東電との賠償の考え方に基づきますといわゆる遺失利益相当に原木の造成費を加えて請求しているという事例が他県でありますのでそういったやり方も参考にしながらどういった対応が出来るか考えていきたいと思います。

○高田県議
 確認ですが、例えば立ち木をかって原木を確保した場合は一本50円ほどだったと。実際原木ほだ木を買えば150円、200円だということですね。この差額については賠償の対象になるのでしょうか?原発事故がなければ40円、50円でほだ木が確保できたわけです。原発の事故があったために高いほだ木を買わざるおえないわけですから賠償の対象に私はなると思うのですがいかがでしょうか?

○林業課総括課長
 実際にほだ木の造成の要した経費というのが賠償されて然るべきだと思います。