2012年7月5日 商工文教委員会
商工労働観光部関係・補正予算に関する質疑(大要)
・雇用緊急創出事業費について
【斉藤委員】
67億円余、これは今回は市町村への補助だと。当初予算と合わせて市町村への補助はどうなるのか。かなり大幅な増額補正だが、その理由は何か。23年度の雇用実績、市町村分と県の分を示していただきたい。
【雇用対策課長】
市町村補助の補正後の額だが、当初と今回の補正を合わせて147億5400万円余となる。
雇用の実績だが、23年度においては、県と市町村を合わせて11295人で、いくつかメニューがあるが、ふるさと再生事業を除き、緊急雇用創出事業に限定した数である。今年度については、5月31日段階で、4635人の状況である。
【斉藤委員】
県分と市町村分それぞれについて聞いたので。
市町村は今回67億円余の増額補正ということで、おそらく市町村の要望に応じてということで、当初は80億円である。当初に匹敵するような大幅な増額補正ということで、市町村でかなり緊急雇用創出事業をやりたいということで要望があって対応するのだと思う。総額147億円というのはどのぐらいの雇用に当たるのか。このうち沿岸被災地はどのぐらいなのか、どういう事業が計画されているのか。
【雇用対策課長】
23年度においては、市町村分が8279人でうち新規雇用が7624人、県分は3671人である。
それから市町村の要望内容に対して、どういう事業が含まれているかということだが、23年度の例を挙げると、特に震災直後であったことから、避難所での物資の配布だとかがれきの分別、仮設住宅の見守り支援などが市町村で行われていた。24年度についても、仮設住宅での支援というのはいろいろな場で話が出ていたが、内陸からの沿岸支援ということで、北上市が大船渡・陸前高田への支援の事業を組んだりしている事例もある。そういったことで、仮設住宅等への支援活動で今年度も引き続き事業が組まれているものがある。
【斉藤委員】
24年度の140億円でどのぐらいの雇用が見込まれるのかとも聞いたので。
それで、今被災地のこういう状況の中で、大変大事な役割を果たしているし、それなりの予算もつけて事業化されていると思う。おそらくこの数は半年雇用を継続したと、×2になっているのではないかと。だから実人員で見ると半分と見るのが正確ではないか。1年雇用で積算されているのではないと思う。
今年度の予算の議論なので、今年度どんな事業がされているのか、しようとされているのか、特に被災地で。もう少しリアルに示してほしい。
【雇用対策課長】
今年度事業での雇用見込み数だが、県分が1136、市町村分は3451、計4587人分の雇用を予定している。
1年スパンで考えたときの実人員だが、たしかに現在の雇用人数は各事業単位で、そこで6ヶ月であり、あるいは1年のものもあるが、すべて1でカウントしているので、それを1年間で換算した場合の数字は把握していない。
直近の今年度の主な被災地での事業だが、先ほど申し上げた内陸からの支援という形は、私が今記憶している範囲では、北上市、遠野市、盛岡市で沿岸地域への支援という体制がある。盛岡の中では、買い物の支援のような形の事業も一連の事業の中で組まれている。
【斉藤委員】
あとで被災地に対して市町村でどういう事業をやろうとしているか資料提供していただきたい。
今年147億円の事業で4587人だと。5月31日段階で4635人というのだから数が合わない。そして去年は市町村だけで8279人になっている。これは予算の規模が減ったということなのか。
【雇用対策課長】
数字は精査の上改めて回答したい。
予算規模と雇用者数の関係だが、昨年度の数字、雇用期間がさまざまなものもある。特に昨年度は、がれき処理等があったので、そういう意味では短期で人数カウントが出ているものはかなり含まれている可能性がある。それから、昨年人数的に非常に多かった物資の配分とかがれき処理の問題は、市町村が直接雇用して対応しているものが大半である。結果、かかる経費は人件費そのものの経費ということになる。今年度については、そういった直接雇用はむしろ少なく、人材派遣会社等民間企業に委託して、人材育成をしながら、この人材育成というのは、座学と企業に実習を組み合わせた形の人材育成をこの事業でやりながらというものもかなり含まれており、そうなると当然直接の人件費のほかに育成経費がかかるので、2分の1まではこの経費を認めるという制度になっているので、そういったことで事業費のわりには雇用者数は増えないということが出てきている。先ほどの被災地がれき処理等の直接雇用が減った分と、逆に委託事業での雇用が増えているという、その2つが今回事業費が大幅に動いたものと考えている。
【斉藤委員】
それにしても5月31日の実績と今年度の雇用目標が違っているので、もっと正確に示してほしい。
いま人材派遣の事業も平成23年度やった。これは人材育成をしながら正規に結びつけるというのが目的だった。去年どれだけ人材育成して、正規にどう結びついているか。
【雇用対策課長】
いま手元に資料がないので後ほど回答したい。
(476人、うち107人が正規、276人はその他の形態)
・被災商工業者動向調査事業費について
【斉藤委員】
この調査はきわめて重要だと。県はこの間、商工会議所・商工会の簡易調査を2度やって、一定の被災商工業者の実態も明らかにしてきた。そして復興局は、その中での一部の調査をやり、7割が再開とあまり実態を反映していないことをやっているので、すべての事業者を対象にして、どれだけ被災して、どれだけ再開しているのか、その再開の実態、廃業や休業の実態を正確に把握すべきだと思う。
今回の調査は、何をどう調べるのか。どういう体制で調べるのか。いつまでにまとめるのか。
【経営支援課総括課長】
これは商工会連合会、商工会議所連合会にそれぞれ委託して行う事業であり、会議所については、宮古・釜石・大船渡の3ヶ所、商工会については野田・山田・大槌・陸前高田の4ヶ所で、一人ずつ想定としては職員を採用していただいて調査を行うと。
内容としては、被災事業者の追跡調査ということで、事業がまだ再開していないとか、休業だとか、不明だといった方たちもいるので、どういった状況なのかという所在の調査や、あるいは事業再開の意欲を調べる、あるいは再建にあたってどんな課題があるのかといった問題についてうかがうということが1つにある。相談対応としては、パンフレットなども作成し、いろんな施策について情報提供していくということを考えている。
調査については、予算成立後委託先との契約になるが、調査を行ってその成果を県の事業に反映させていくということで、具体的にはまだ何ヶ月ということは考えていないが、できるだけ早めに調査結果をまとめて、フィードバックできるようにしたい。
【斉藤委員】
いままで商工会議所・商工会の会員の調査は、それぞれの団体がやったものが2回ばかり県も把握して公表されてきた。それはそれなりの主な事業所の実態把握としては良かったと思っている。
ただし、この間宮古に行って調査をしてきたときに、例えば、商工会議所の調査だと、宮古の被害事業者は797事業者だが、会員外を含めると1154になる。宮古市がそういう把握をしている。宮古市の場合は1154事業所の調査をしている。そのうち事業再開が589で51%、仮設・移転で再開が209で18%という形で、全体71.7%827事業所が再開したと。市の段階でここまで調査しているのは立派だと思う。陸前高田市にも行って商工会長から話を聞いてきてが、事業者は約1000あるが会員事業者は700だと。ぜひ今回の調査は、商工会議所・商工会に委託なのだが、会員だけに限らず全ての事業者の実態をきちんと把握すべきではないか。そして再開させることが目的なので、再開のための課題・要望をしっかりつかんで直ちに施策に活かすということが必要ではないか。
そしてこの調査のために人を雇う。これも緊急雇用創出事業でやったのだが、おそらく調査は2〜3ヶ月あればできると思う。その程度の雇用で切っては仕方がないので、調査の中身のフォローも含めて、最低1年間ぐらいきちんと雇用して施策の具体化や調査した企業のフォローにもこういう人材は使うべきではないか。
【経営支援課総括課長】
商工団体というのは、商工事業者、会員以外も含めて商工事業者の相談の窓口となっている。現時点では、商工団体では会員の状況だけを把握しているので、ご指摘のように会員以外ということについても、動向調査をするというのは可能と考えている。人的にどの程度対応できるかということはあると思うが、対象としては可能と考えている。
調査のフォローについても、調査期間をどのぐらい設けるかは委託先と調整しなければいけないが、県で行っている制度も含めて制度がどのように使われているかという検証も含めてフォローができるように考えている。
想定としては年度いっぱいの雇用を考えているので、調査をし、成果を反映させるようにしたいと思っており、やはり情報提供ということも、裾野の方までいかないということもあるので、しっかりやっていきたい。
【斉藤委員】
ぜひできるだけ速やかに、全体像が把握され今後の施策に活かされるような調査をやっていただきたい。
・中国人観光客緊急誘致事業費について
【斉藤委員】
これは被災3県向けに中国人個人旅行者に数次ビザを発行する国の特例措置に対応してこういう手立てをとると。中国人観光客の実績を示していただきたい。なかなか大変な課題ではないかと思う。
この間知事は台湾に行った。台湾の場合には一定程度今まで誘致をしてきた実績もあるが、今度の中国といった場合に、どういう見通しをもってやられるのか。
【観光課総括課長】
中国人観光客の実績だが、平成21年度からの数字で申し上げると、岩手県への宿泊者は、21年度:3870、22年度:4429人(ピーク)、23年度:1920人(震災の影響)。たしかにまだ中国市場は台湾と比べるとそれほど成熟しておらず、まだまだ岩手に入ってくる部分は少ないが、将来の成長を見越して今しっかりと種をまいておく必要があると考えており、そういった意味では今回の数次ビザの発行は大きなチャンスであるので、しっかり取り組んでいきたい。
当面は、震災の影響で今は落ち込んでおり、これを何とか回復したいということで、アクションプランの平成26年までに震災前の水準に戻したいということを考えている。我々としては、できるだけ早く戻したいと考えている。
【斉藤委員】
これは是非やれるだけのことはやっていただきたい。世界遺産登録ということもあるので。現実の問題としては、知事が台湾に行った、その他の観光客の誘致の方が観光戦略としては大事な課題になってくるのではないか。
【観光課総括課長】
台湾は本県の外国人観光客の半数を占めるありがたい市場だが、震災後の沈みがあるので、そういった意味で2月には副知事が、5月末には知事が行っている。非常に親密的な国であるし、何とか早く岩手・東北に旅行したいという気持ちもある国なので、まずはそこを開拓するのが大事だと思う。そういった意味でも、トップセールスを行っていきたい。
【斉藤委員】
DCが終わったわけだが、この効果・実績、その後の観光対策を簡潔に。
【観光課総括課長】
6月30日で終了したわけだが、目標数値として観光客の入り込み数で800万人、宿泊統計による宿泊者数で200万人という目標を掲げていたが、データがそろうまでに3ヶ月程度要するので、我々が独自に調査をしている県内主要観光地12カ所からの聞き取り調査では、4月5月の入り込み客数で平成22年比で96.8%というところである。
4月当初は、高速無料化の廃止後に反動があり、寒冷な中でのスタートで、GWの後半は悪天候にたたられたので、そういった中では震災前に近い結果となっているのはそれなりの成果ではないかと思っている。また、東北六魂祭など大きなイベントもあった。こういったイベントの数字は先ほど申し上げたデータの中に含まれていないので、そういったものも含め、6月は関係者からは非常に良かったという声を聞いている。
今後だが、キャンペーンを一過性のものに終わらせることなく、さまざまなイベントが各地で行われたが、そういったものを通じてお客さんに来ていただくために果たしてどうしたらいいのかという辺りを発展させて、切れ目のないように努めていきたい。
【斉藤委員】
東北六魂祭が大きく成功したと。大変中身も良かったと私自身も思う。ぜひ夏のお祭りにこれを継続発展させると。特に被災地では、陸前高田では、けんか七夕も4台山車を出して復興を訴えるということになっているので、ぜひこういう被災地の取り組みを県も大いに支援して進めていただきたい。
・中小企業振興資金について
【斉藤委員】
高度化資金が56億7500万円余大幅に増額補正された。評価したい。特にグループ補助金とセットで高度化資金となっているが、これは295社、第3次までグループ補助。このうちどのぐらい高度化資金が利用されているのか。利用が少ないとしたら何がネックになっているのか。今度の大幅な増額補正でどれぐらい融資が見込まれるのか。
【経営支援課総括課長】
これまでの利用状況だが、借入の申し込みがあったのが64件、申請額は61億円、それに対して貸付決定したのが49件42億円。残り15件は審査中である。
今回の補正によりどのぐらいかということだが、実は制度がある程度緩和され、これまで高度化資金については、工事がすべて完了しているものについては対象にならないとか、事業途中で概算払い的なことはできなかったのだが、その辺は緩和され、利用しやすくなったということで、1次から3次までのグループ補助金を申し込んだ企業が利用したいということで増えてくるだろうということを見込んでいる。
今回の増額の理由だが、それに対応するために貸付の増額、それからこの事業が産業振興センターで行っている事業なので、その借入が増えることによって、中には貸倒というものが出てくるということ、それから事務的経費も当然増えてくるため、そういったものに対応できるような基金の積み増しを想定している。概数で申し上げると、貸付の財源としては31億2500万円、管理費は25億5000万円ということである。
【斉藤委員】
今回56億7000万円余が増額補正なのだが、総額で131億4000万円になる。この高度化資金の予算で融資額はどのぐらいになるのか。
そして64件の申請で49件の決定だが、もっとこれが活用されることが大事だと思う。無利子なので。もっとPRもして、審査中のものも含めて速やかにやっていただきたい。
【経営支援課総括課長】
23年度と24年度の2年度に渡っているのでその総額を申し上げると、合わせて112億円が貸付財源となっている。
PRの関係だが、第4次の審査中だが、決定した企業には、こういうものがあるということはお知らせしたい。
これまでの1次から3次についても、決定した事業者に対して説明会を開催して、その際に、補助金の取り扱い、高度化資金の関係については説明している。
審査を早くということで、定例で月に1回の審査会をやっているが、さらに持ち回りで徹底できるようにやっているので、迅速に審査ができるように進めていきたい。