2012年7月9日 最終本会議
知事の離党、小沢新党への参加表明に対する高田一郎県議の緊急質問大要
【高田議員】
日本共産党の高田一郎です。
知事は、本日の定例記者会見で、民主党籍を離脱して小沢氏が11日に立ち上げる新党に参加する考えを明らかにしました。今議会の一般質問で、知事は「政権交代に託した民意の行き場が失われるとい中、その民意をしっかり受け止めて新しい政権を担おう、失われた政権交代をやり直そうという動き」に「大いに賛同する」と述べられていましたが、新党への参加までは言及されませんでした。
知事に質問します。
第一に、知事は、民主党の離党、新党参加までにいたった理由や真意はどこにあるのでしょうか。
第2に、民主党に対する評価です。3年前の総選挙で民主党は「国民の生活が第一」をスローガンに公約を訴え、自公政権からの政権交代を実現しました。その時の政策は、後期高齢者医療制度の廃止、最低保障年金制度の創設、子ども手当の創設、矢ツ場ダムなどムダな公共事業の見直しなど「無駄を省けば増税は必要ない」といって「消費税増税は4年間しない」という公約を訴えました。あれから3年たちましたが、民主党政権は政権公約で訴えたこれらの公約を次々に踏みにじり公約にない消費税増税やTPPを進めるなど国民の失望と怒りは頂点に達しています。知事がこの3年間の民主党政権に対しどんな評価をしているのでしょうか。
第3に、知事が参加しようとしている新党への評価です。小沢氏は新党結成の理由を「今の民主党では国民の生活が第一という理念は実現できない」としています。しかし、もともと小沢氏は消費税増税論者であります。小沢新党に政治理念や哲学が見えない中、知事は新党にどんな期待をするのでしょうか。
岩手県政の最大課題は東日本大震災からの復旧復興です。新党の結成、知事の参加で復興は前に進むのでしょうか。
第4に、小沢氏が進めてきた「政治改革」についてです。
小沢氏は健全な二大政党による政治、あるいは政権交代可能な小選挙区制こそ国民のためになる」といって政治改革を進めてきた政治家です。しかし、今日の民主党の公約違反による暴走で自民党とまったく変わらない二大政党制は事実上破綻しているのではないでしょうか。
一票の格差の是正、消費税論議に乗じて比例定数の削減など選挙制度改革の議論が行われています。こうした二大政党政治による知事の考えはいかがでしょうか。また、民主、自民、公明3党による密室談合による事実上の大連立は議会制民主主義による自殺行為であると思いますが、知事はどんなお考えでしょうか。
知事の見解をお伺いしこの場での質問を終わります。
【達増知事】
丁寧にお答えすれば、何らかの形で新党に参加するという記者会見での言葉は、シンプル過ぎて足りないわけであり、先ほどからも述べているが、角度を変えて申し上げれば、今回の国民の生活が第一新党というのは、いわば私の子どものようなものだと思っている。私の今までの政治活動の中から生まれてきた、もちろん私だけの子どもではなくて、日本の政治を改革していこうと、そういう改革の政治の流れの中で、国民の力で政権交代が可能な政治をつくっていくと。その中で、フリー・フェア・オープン、自由で公正で開かれた日本にしてくと。ただしその中で国民の生活というのはしっかり守らなければならない、社会保障は特に重要である、そういう活動をしてきた人たちの動きの中から生まれてきたものであり、私はそういう人たちの中にあって、かなりのことをやってきたという自負がある。そういうことを先週までも話していて、今回の新党には大いに賛同するとか、今まで以上に力を尽くさねばならないと思っているとかいうような言い方をし、そしてまた自由に取り組んでいきたいという言い方をしていたのは今述べたような意味である。参加という言葉では足りないくらいの思いを「国民の生活が第一新党」には持っている。
民主党に対する評価は、当然そういうところから言って、非常に残念に思っている。特に、税と社会保障をめぐる三党合意の成立ということで、3年前に国民の支持を受けた民主党は終わったと思っている。したがい、それに代わる新しい政権交代の担い手、民意の受け皿を作っていかなければならないということである。
この3年間の民主党政権に対してということだが、やはり今の通常国会が復興元年国会になっていないということには、本当に腹塩梅が悪くなる思いである。去年震災への対応、復興の制度や予算の取り組みが非常に遅かったということも、これはどんな評価をしているかという点からすると、非常に良くなかったという風に思っている。
新党への評価だが、復興ということの関連がこの質問の中でいただいていた。なぜ大震災への対応が、例えば去年菅内閣で復興構想会議がつくられたが、復興構想会議の最初の方の会議で、自民党さんの意見も聞こうと。つまり、自民党さんと一緒に、消費税増税で財源をという流れを作っていこうという意図が、復興構想会議設立のあたりにも当時の政権にあったわけであり、その段階から復興よりも消費税という姿勢が見えていた。それが、今年3月11日、あれだけマスコミ・国民が3月11日という日に向かい大震災を思い出し、復興に思いを寄せていたにも関わらず、3月後半に消費税のことばかりで党内議論を費やして、復興に背を向けたということもあり、したがいある意味、消費税増税の法案に反対していくということは、復興を第一に進めていこう、復興の政府の体制をより強力にしていこうということのコインの裏表の関係にあると理解している。
二大政党の事実上の破たんというのは、三党合意の成立でもまさにそういうことであり、改めて政権交代というものをやり直していかなければならない国政の局面だと思う。それは、国民の民意に応える政策の競争をしながら、その都度民意に選ばれた政権が国民との約束に基づいて力強い政策を推進していく、そういうあり方でやっていこうということは、3年前の政権交代マニフェスト選挙のときに、日本国民はそう決めたわけであるので、日本国民としては政権交代可能な二大政党制というのは国民としては作った。にもかかわらず、国会の中で民意に反する事故のようなことが起きてしまったというのが今我々が直面している課題であり、やはり国民に寄り添う立場からはそこを何とかしていかなければならないという局面だと思う。
【高田議員】
復興国会に背を向ける、民主党の役割は終わったという答弁をいただいたが、知事の答弁としては非常に分かりやすい答弁だったと思う。
今の県政の最大の課題は、東日本大震災の復興のはずである。知事が新党に参加すると、あるいは今度の新党結成が復興に対してどういう役割を果たすのか、本当に前に進むのかどうかという点についてお聞きしたい。
また今回の小沢氏の離党、新党の結成で、県政の最大の与党である民主党の会派が分裂する事態になっている。こういう事態を知事としてどのように受け止めているのか。
そして知事は、新党に参加をして、どんな役割を果たしていきたいと考えているのか。参加する意味についても答弁いただきたい。
【達増知事】
新党に対する役割だが、父親のような役割を果たさなければならないと思っている。
新党と復興の関係だが、やはり民意を最優先にしていこう、国民の生活を第一にしていこうという姿勢は、それは復興を第一にしていこうということにつながると思っており、そういうことを期待している。またそこはまさに、私の方からも強くそのように働きかけていかなければならないところだと思っている。
議会の会派のあり様についてだが、今日の記者会見でも質問され、これは議会の中の自治の問題、一人一人が全県民の代表である県議会議員の皆さんの間での自治の問題なので、執行部サイドからはコメントしない。また議会の中がどういう状態であったとしても、知事や執行部は地方自治法の趣旨に沿いながら誠実に対応することで変わりはない。そういう認識である。