2012年8月1日 商工文教委員会
県立学校の編制等に関する質疑(大要)
・県立学校の編制について
【斉藤委員】
今回の学級減は、大震災の最中で最小限の学級減にとどめているというのはやむをえない措置ではないか。結論的に。ただ、問われている問題はある。
1つは、今回学級減は4つの高校だが、4つの高校の進学・就職の状況はどうなっているか。
もう1つは、地元町内からの進学率はどうか。
【特命課長】
23年度の状況について。
前沢→進学52.2%、就職46.0%、その他1.8%
岩谷堂→進学64.4%、就職32.4%、その他3.2%
住田→進学58.3%、就職41.7%
軽米→進学61.6%、就職35.4%、その他3.0%
となっている。岩谷堂高校については、統合があり、専門学科がなくなり、総合学科だけという状況で、どうしても進学の割合が高くなっている。
地元町内からの進学率について(過去5年間の平均)。
前沢中→前沢高29.8%
地元中→岩谷堂33.9%
地元中→住田41.9%
地元中→軽米69.1%
となっている。
【斉藤委員】
4つの高校の進学・就職の状況を聞いたが、地域の高校としては、進学も就職も頑張っている。軽米高校にも行ってきたが、そういう役割を果たしている。
ただ心配なのは、地元の中学からの進学率が軽米を除くと低いと。この問題は、根本は高校間格差をつくってきたということにある。地域の高校はそれなりに受け入れた生徒をしっかり面倒を見て、進学も就職も頑張っている。しかし高校間格差があるために、比較的優秀な生徒が町外に出ていくと。この問題は真剣に考えないと地域の高校はもたないと思う。
この間前沢中学校に視察に行ってきた。その時に説明を受けたのは、前沢中学校から前沢高校に進学したのは25人だったと。少ないので聞いてみると、「前沢は一関・水沢に近く、交通の便が良くて、かなりばらつく」という話だったが、地元の小学校もこれから1つに統合すると。中学校はすでに統合している。そういう意味でいけば、理想的に小中高と連携した教育ができるところである。しかしそこで地元の高校の進学率が低いというのは、考えていかなければならない問題だと思う。一番交通の便に負担がないのは地元の高校なので、そういう高校が地元の中学生にとっても、魅力のある高校にどうしていくかというのは、真剣に考えていかなくてはならない課題ではないか。
【教育長】
それぞれの学校がそれぞれの特色を持ちながら、子どもたちの将来の進路選択にあたって、素晴らしい環境を整えていくことが大事だと思っている。たしかに、現実的には、特に沿線部を中心に、どうしても交通の便がいいところもあり、いろいろ子どもたちが多様な選択を行っていると。スポーツでこの高校に行ってやりたいということもある。ただ一方で、それぞれの地域でそれぞれの学校が本当に地域から信頼される学校づくりを行うことは非常に大事だと思う。先ほどの4校についても、それぞれ進学も十分に対応できる、就職にも十分対応すると、両面をあげてそれぞれの学校づくりを行っているところであり、我々としてもそれぞれの学校が特色をもって地域に信頼される学校づくりができるよう努めていきたい。
【斉藤委員】
ぜひそれぞれの学校のPRを強めてほしい。
もう1つは、市町村の教育委員会の姿勢、成績主義なのである。例えば気仙でいけば、大船渡高校に何人入ったかとか、そういう主義が根深くあり、高校は一生懸命だが、中学校の校長先生は感覚が違うと。これは教育委員会のあり方もあり、この辺の意思疎通、関係をもっと改善していく必要があるのではないか。もちろん進学校に、スポーツをやりたい高校に進学、これは当然で、こういう進路選択は保障しなくてはいけないが、やはりこの地元の高校を皆で育てる、もっと良くしていくということは高校だけの努力ではできないので、地元の中学校、教育委員会との協力協同の関係というのをもっと強化していくべきではないか。
【教育長】
それぞれの高校で、委員ご指摘の通り、各中学校に行っていろんな出前授業をやっている。うちの高校はこういう授業をやっていると子どもたちに見てもらい、実際それぞれの高校を体験してもらうと。そういったことをいろいろ努力している。また中学校においても、それぞれ自分たちの子どもたちが進学した高校を訪れて、どのように子どもたちが育っているのだろうという、いわゆる中高連携というものをかなりそれぞれ力を入れ始めている。今後ともそれぞれの地域において、中学校・高校が同じ地域の子どもたちで、相互理解をもって一貫して子どもたちを育てていくという感覚をもって市町村教委、中学校・高校ともども我々としても努力していきたい。
【斉藤委員】
首長は、地元の高校の存続には必死になるが、決して教育委員会は同じという立場ではないので、その辺をよく見て、微妙な問題なので、どちらからも協力協同をやって、実績もよく示して、地域に支えられ、地域と結びついた高校を守っていくと。そのことが大事だし、地元の進学率がせめて5割6割という状況が当たり前のこととしてやっていかなくてはいけないと思う。
・総合学科高校のあり方について
【斉藤委員】
岩谷堂高校は県内で最初の総合学科高校だった。今も、総合学科高校という形で教員の加配があるのか。
岩手の総合学科高校というのは、限りなく普通科に近い。そうせざるをえない。例えば、岩谷堂高校の進学率が64.4%、進学の希望に応えようと思ったら、限りなく普通科と同じような教育をしなければならない。全部の総合学科がそういう状況に置かれていると思うが、岩手の総合学科高校、特に岩谷堂高校は最初の総合学科だが、どういう特徴・性格・課題があったのか。
【県立学校人事課長】
岩谷堂高校の総合学科にかかる教員の加配だが、現在の総合学科に対しては加配がなされている。
【特命課長】
総合学科について、学校によって系列を重視しているところと、そうではないところがある。さらに学校によっては、専門に力を入れているところと、普通科系に力を入れているところとさまざまである。特に久慈東については、専門学科に力を入れているので、そういった面で地域からの信頼も厚く、毎年定員を超える倍率になっているので、そういった成果が出ていると思っている。
岩谷堂高校については、導入段階が早かったということで、全国に先駆けてという形だった。総合学科の理念を追ってきたのもあると思っている。最初から自由な選択という形で進めてきた。ただやはり課題として、生徒が安易に科目選択してしまったために、いざ進路を決める段階で、これが足りなかったとかそういうことが出てきている。岩谷堂高校の場合は、系列重視型に方向を変えるという形で現在検討を進めている。現在岩谷堂高校は7系列あり、人文科学・自然科学・国際理解・生活福祉・生物精査・産業工学・技術情報ということで、多岐にわたった系列となっている。今後系列を重視し、生徒の進路実現のために系列を重視するという方向で検討を進めている。
【斉藤委員】
加配について、何人加配されているのか。
いま課題として、安易な科目選択があったと。これは全く当初の話である。結局そういうことがあって、後から進路指導を聞いたら進学の科目をとってなかったということがあって、まったく最初の話である。それで結局どういうことになったかというと、もう入学時点で進路を聞く。そして進学希望は進学希望のコースを選んでもらうと。当初総合学科制というのは、職業のあり方などいろんなことを勉強しながら進路を決めていくとなっていたが、現実はそうならなかった。全体とすれば6割以上進学希望があって、それに応えるような教育が求められてきたと。これが岩谷堂高校の実態である。率直に言えば、7系列もいらないのではないかと思う。例えば関東自動車がどういう高校生を採用しているかというと、実業高校・普通高校関係なくとっている。それぞれの学校の優秀な生徒をとっている。なぜかというと、専門的な力は会社に入ってからつけると。そういう意欲のある生徒を採用している。高校に求められているというのは、そういう基礎的な知識というか、学ぶ意欲というか、たくさんメニューあれば学ぶ意欲が出てくるということではないと思うし、社会の要請もそこに決してあるものではない。高校多様化政策の中で総合学科がつくられてきたが、きちんと検証して総合学科のあり方というのは絶えず見直し、改善をしていく必要があるのではないか。
【県立学校人事課長】
岩谷堂高校の同一規模の普通科を主とする学校よりも11人多く加配されている。
【教育長】
委員ご指摘の通り、やはり子どもたちの将来の希望に極力応えてあげたい、ただ一方でこれからの高校教育に求められているのは、基礎基本をしっかり学んでもらうこと、それと活用する力、さらには生涯にわたり学ぶ基礎的な意欲をしっかりもってもらうことだと思う。したがい、総合学科についてもそうであり、全高校について、つねに子どもたちの状況に応じてどのような高校づくりをやっていったらいいのかということを、不断に見直していかなければならないと思う。特に多様な選択が相対的にできるように、総合学科高校においては特にそういった問題は大きいと思うので、常々子どもたちの状況に応じて、よりよいカリキュラムになるようにそれぞれの学校とともに努力していきたい。
【斉藤委員】
11人加配されていると聞いて、かなりの規模の加配だと。そういう加配をするのだったら、35人学級なり、少人数学級にした方が教育の効果はあがると率直な感想である。特に岩手県の場合は面積が広いので、どうしても学校の規模が小さくならざるをえない。こういう岩手こそ35人学級に早く踏み出すとか、そういう形の方向こそ、地域の高校を守り行き届きた教育を進める方向ではないのか。
【教育長】
高校における少人数学級の関係だが、どのような環境で子どもたちを育てていくのがいいのか、またそれに伴っての教員配置上の問題もある。国の動向をみなければいけないが、一方で国より先んずるということになると県単でということになるので、県民の方々にどういう負担をいただくのかという面もあるので、あらゆる場面、次期高校再編の場合においても1つの大きな論点になるのだろうと思うし、そういった岩手の子どもたちをどう育てていくのか、そのためにどのような負担があるべきなのかということについても、我々としても常日頃検討していきたい。
・特別支援学校の分教室について
【斉藤委員】
特別支援学校で、二戸の分教室の中学部がつくられるのは大変良いことだと思う。3人の児童が来年は中学校に入る予定のようだが、どういう教員配置になるのか。そして今小学校にそういう分教室があるところがまだまだあると思うが、今後の見通しとして、こういう中学部の設置の動きというのが広がるのか。
【県立学校人事課長】
盛岡みたけ支援学校のクラスの中で、それから生徒の実態に応じて、学校の状況を丁寧に聞きながら配置していきたい。
学級数義務標準法により、小中学校の特別支援学校の教員配置がやられているので、学級数や生徒の実態を見ながら法律に基づいて配置を進めていきたい。
【特別支援教育課長】
分教室の今後の見通しだが、小中学校の空き教室の中に分教室を設けるということについて、専門的な教育を保障した上で、身近な地域で同年代の子どもたちとともに学び、ともに育つということを基本と考えている。
これまで実践をしてきて、千厩地区と遠野地区と二戸地区に分教室を設けさせていただいているが、どの地域においても障害のある子どもたちとない子どもたちの交流、いきいきとした活動、そして地域の保護者からも障害のある子どもたちを自然な形で受け入れてくれているという報告もある。したがい、地域の子どもたちを地域の行政と県のもっている特別支援学校の専門性をかみ合わせながら、今後必要に応じてともに学びともに育つという部分の実践を今後も心がけていきたい。したがい、その地域については今後必要に応じて設置について検討していきたい。
【斉藤委員】
例えば予定されているのは6年生3名が卒業すると。例えば、中学校に分教室ができるので、そこには担任が配置されるのか。または科目ごとの教員の派遣になると思うが、基本的にはそういう担任的な先生が配置されて、あとはみたけ支援学校から科目の講師が配置されるということになるのか。
【県立学校人事課長】
1人は間違いなく配置するが、その他に1人になるか2人になるか、教科の専門性でどのような教員をその学校にそのままはりつけるのか、派遣するのかは今後詰めていきたい。
【特別支援教育課長】
遠野地区に今年度中学の分教室、千厩地区にも中学部の分教室という風になっているが、いずれも主たる障害が知的障害ということであるので、小中学校に準じた教育課程ではなく、特別な教育課程を組んでいる。したがい、各教科でということではなく、1学年小中学校だと1学級6名ということであるので、そういうことからそれを基に配置ということになっている。なお、本校舎から離れたところにあるので、それぞれ分教室主任が置かれている。