2012年8月3日 復興特別委員会
住宅再建、雇用対策、漁船確保等に関する質疑(大要)
・住宅再建について
【斉藤議員】
住宅再建の計画はどのように見直されたのか、進んでいるのか。災害公営住宅については、市町村のロードマップで、5601戸ということになった。当初の住宅計画だと4000〜5000戸だった。現段階で5601戸ということになると、自力再建の戸数は何戸見通されるのか。民間アパート・その他に入居する戸数をどのように見通しているか。
【建築住宅課総括課長】
災害公営住宅の戸数については、現在ロードマップは市町村の要望を取りまとめ、5600戸ということで進めている。当初の計画の際には、過去の同様の事例等から被災者の割合等により4000〜5000戸ぐらい災害公営住宅に入られるだろうということで、幅を持たせて決めたものであり、それが現状では5600戸の希望となっている。その増えた分、自力再建の方で調整するかとか、民間賃貸住宅で調整するというところについては、今後の市町村等の要望に関する調査等を見極めながら進めていきたい。
【斉藤議員】
当初の住宅再建の計画は、4000〜5000が公営住宅、9000戸が持ち家再建である。7000戸が民間アパート等に入るだろうと、これが当初の見通しだった。日を追うごとに公営住宅の希望が今後増えてきているのではないかと思う。
1つは、希望者全員が入れる災害公営住宅はぜひ造っていただきたい。同時に、自力再建への支援を強めないと、公営住宅が増えるばかりである。被災者生活再建支援法に基づく全壊・解体は、全壊が19672戸、解体が637戸で21309戸である。こういう方々が住宅を再建しなくてはいけない。その他に、大規模半壊が2554戸ある。かなりの自力再建を見通しているが、100万円の補助を市町村と共同でやるということは一歩前進だが、この程度では持ち家の再建を支援することにはきわめて不十分である。陸前高田市は、水道整備に200万円、浄化槽整備に50万円、大船渡市もそうである。釜石もそれを進めたいと。市町村でも独自にそういう支援策が具体化されようとしているが、私は国の被災者生活再建支援金を300万円からせめて500万円に上げるということと合わせて、県もさらにあと200万円ぐらい上げないと、1000万円ぐらいの自己資金・借金が必要だということになったら、9000戸の自宅再建などできないと思う。
【理事兼副局長】
個別の住宅再建の支援だが、我々も住宅再建の支援はきわめて重要な課題だという認識であり、それで24年度当初予算については、議会の理解もいただき、単独の政策として100万円の支援をさせていただくと。さらにできる限りこういった個別に自力で再建される方を支援していく必要があるだろうということで、先般の国に対する統一要望の中に、住宅再建の支援についてさらに内容の充実をお願いしたいという項目を盛り込んでおり、要望活動を行っている。
今後とも、国に対してさらに住宅再建の支援強化を働きかけていきたい。
【斉藤議員】
災害公営住宅について、一戸あたりどのぐらいの経費がかかるか。造成費用を含めればどのぐらいになるか。
市町村も独自に200万円と紹介したが、そういう支援をしないと持ち家の再建が進まないという実態なのだと思う。県として、そういう市町村独自の支援を先ほど紹介した以外に把握しているところがあるか。
見直し計画を見ると、昨年度は750戸分予算措置したと。今年度は1000戸分措置、ところが災害公営住宅は、今年・来年で250ずつ500戸の整備である。予算措置とかみ合わないのだが、これはどういうことか。
【建築住宅課総括課長】
災害公営住宅の建設費だが、まったくの概算だが、だいたい2000万円程度かかるものと考えている。土地については、造成を考えると、整地程度から山を崩すものまであるので幅が広い。90万とか数百万までになる。
戸数について、基本的に完成戸数で予算要求ではなく、何戸分着手するというようなことで予算要求しているので、完成戸数でみると要望の戸数よりは低い数字になっている。
【復興担当技監】
各市町村の住宅再建に関する補助だが、全市町村を対象にどんな制度があるかは現時点では把握していない。
【斉藤議員】
災害公営住宅は1750戸分予算措置したと。しかし見直し計画では、今年250戸、来年250戸の500戸である。1750戸予算措置しながら、来年度分で500戸程度しか完成しないと。
被災者の実態から見ると、資金その他の計画を見て、自力再建を時が経てば経つほど諦めざるをえない事態になりつつある。そういう意味では、早く支援策を打ち出さないと、持ち家の再建ができなくなってしまうのではないか。奥尻島の場合は、1戸当たり700万円出た。被害戸数が少なくて義援金が集まったということはあるが、県・市町村がさらに一段と持ち家の再建に対する支援をすることが重要で、公営住宅1戸あたり2000万円だと。200万円支援して持ち家を再建させた方が経済的にも維持管理的にも、被災地の復興のためにも3重の意味で効果があると思う。ぜひ真剣に検討していただきたい。
【県土整備企画室企画課長】
試算上は1750戸を確保しているが実際は500戸ではないかということだが、災害公営住宅等整備事業の指標の項目だが、一番上が災害公営住宅整備の供給割合でパーセンテージでとっており、250戸というのは優良賃貸住宅の補助の確保する戸数ということで、基本的には、1750戸については25年までに整備することを目標にしているので誤解を与えてしまっていた。
・雇用確保について
【斉藤議員】
労働市場の発表が最近あった。失業保険が切れた人、そのうち再就職できた人、できない人がどうなっているか。
【商工企画室企画課長】
被災地の雇用保険切れだが、被災地に適用されている広域延長給付を受けていた方で切れている未就職の状態の方について、岩手労働局が発表した数字は、広域延長給付の手続きを行った方が3263名、うち支給が終了した方が2005名、2005名のうち未就職者は1319名でそのうち14名が訓練受給中である。
【斉藤議員】
残念ながらそのデータは1ヶ月古い。新しいデータが出ている。2600名ぐらいがもう切れている。失業保険が切れて67%が未就職である。本当に深刻な事態である。それで希望する仕事が確保できないと。被災地は今そういう深刻な実態にあることを踏まえて雇用対策をとらなくてはいけない。
事業復興型雇用創出支援事業だが、15000人、3年間で1人あたり225万円補助するという、制度としては大変素晴らしいが、使い勝手が悪く、昨年度は114人しか利用されていない。今年に入り一定改善されていると思うが、最新の活用状況と、なぜ進まないのか、改善するためにどういう手立てをとるのか。
【商工企画室企画課長】
実績についてだが、24年度の申請については、108事業所からあり、7月26日現在で479名ということで、23年度分とあわせると623名となっている。
使われない理由だが、昨年度はグループ補助のみを対象としていたというところがあるが、ハードの復旧が十分進んでいないということとか、復旧したとしても販売先の方が一旦中断するなど背景としてあったと思うが、今年度は国・県・市町村の補助金、融資・事業70事業に拡大ということと、専門家等に相談したことということで、産業政策と一体となった事業である場合も個別に認定できるという拡大もなされているので、そういった制度の周知を十分やっていきたい。また、ハローワークが行うような事業と勘違いされている例もあるので、制度の周知を丁寧にやっていきたい。
そして、国への働きかけだが、対象者を再雇用された全てを対象とすること、また雇用期間を23年11月22日以前のものを認めることということも含めて要望している。沿岸での制度の説明会とか、商工団体等の会合等による周知には他にも、商工関係団体での窓口での相談というような形での細かな対応をしていきたい。
【斉藤議員】
資料の中に、中小企業の復興の状況というのがあるが、事業所の再開率が46.2%と。今までは70%再開したと出ていたが、この数字の実態は何を根拠にしたものか。
事業復興型は、今年約1万人やろうという計画である。それに対し479人と。このテンポだと全然届かない。復興の遅れが背景にあるとは思うが、やはり11月22日以前が対象にならないとか、新規雇用が条件になり真っ先に一度首切った人を再雇用したいという要望にかみ合わない。新規雇用×4という、それしか認められない、実質的にはそういう状況なので、せっかく制度をつくって使われなかったら意味がないので、国の制度ということがあるので、国に本当に改善してほしいのだが、その点をぜひやっていただきたい。
【産業再生課総括課長】
事業所の再開の数字だが、これまで昨年の2月に復興局で事業所の被災調査を行っている。その結果で73.2%再開という数字を出しているが、実はベースは同じであり、一部再開を含めたものである。そして、再開という、本当に再開した割合が46.2%ということである。
【斉藤議員】
まぎらわしい数だが、いずれ73.2%というのも、アンケートに答えた数で、すべての被災事業者に対する比率ではないので、データを出すときには正確なものを出すようにやっていただきたい。被災の実態を間違ってしまうので。そしてこのデータもあくまでもアンケートに答えた数、3000を対象に回答は2000ぐらいである。もっと正確なものにぜひ見直していただきたい。
【理事兼復興局副局長】
事業所の再開率について誤解があるようだが、7割の数字は一部再開も含めた事業所の再開で、事業所の再開については、一部再開ではなく、全面的な再開、復旧復興を目指して取り組んでいるわけなので、今後事業所の再開率については、全面再開を主要として掲げていこうという考え方なのでご理解いただきたい。
【斉藤議員】
46.2%の再開率はそういう説明だったが、仮設店舗の位置づけはどういう位置づけになるのか。
【商工企画室企画課長】
46.2%については、今年の2月に実施した被災事業所復興状況調査というものについて、アンケートに答えていただくという形で集計したものだが、これについて現在の状況を5つ選択肢を設けて答えていただいた。どういう形態で再開したかというものについては設問に入っておらず、定かではない。
・県立病院の再建について
【斉藤議員】
県立病院の再建というのは、今度の見直しでどう位置付けられたか。実施計画第1期案の16ページに、被災した県立病院を含む移転・整備を支援するとなっており、今年14医療機関、来年15医療機関新築移転すると。この中に県立3病院は入っているのか。きちんと位置づけてやるべきだと思う。
【保健福祉企画室企画課長】
見直し後の復興実施計画においては、被災地医療施設復興支援事業の中に県立病院も含むものとしてと記載している。
沿岸3病院の具体的な再建については、6月議会でも医療局から「今年度中を目途に、立地場所や規模機能等について検討を進める」としているので、具体なものとして事業化されていないので、個所数については確認させていただきたいが、復興実施計画のスケジュールに沿って進めるということで、地域医療再生基金を活用した復興計画においても、いずれ27年度までに再開を盛り込んでいるので、そういった方向で具体化を進めていくものと認識している。
【斉藤議員】
県立病院が今年14医療機関、来年15医療機関に入っているのかいないのか。
・医療保険・介護保険の保険料利用料の減免について
【斉藤議員】
医療保険・介護保険の保険料利用料の減免が9月末で中止になる。従来の枠の制度で減免をやった場合には8割国が財政支援するという通知が最近きた。宮城県は、国保の一部負担分については、市町村に補助すると。今日の赤旗新聞で紹介されている。この医療・介護保険の減免が9月末で中止になったら、これは請願も採択したが、通院している方々の3割は病院にかかれないと言っている。国の責任で継続するということを強く求めると同時に、宮城県がやっているように、市町村それぞれやってくださいという話で、そんなことをやったら財政的にもちこたえられるところはないのではないか。県も、国がやらない場合には宮城県並に支援して、医療費・介護保険等の減免が継続できるようにすべきだと思うがいかがか。
【保健福祉企画室企画課長】
4月24日に、国から10月以降の減免措置に対する財政支援の方策について示されたが、これまで被災地の復興状況等を踏まえて保健医療等の減免措置の継続等について要望してきたところであり、それに対して一定の回答が得られたものと認識している。ただ一部、諸条件と期限等について詳しく示されていないところがあるので確認中である。そういった内容等について確認し、検討の状況等についてまた改めて公表したい。
【斉藤議員】
減免については、宮城が国保についてそういう英断をして県独自に市町村に補助すると。今まで宮城以上の対策を岩手県はしてきたと思う。ぜひ宮城に負けないような施策を考えていただきたい。
・共同利用漁船の確保について
【斉藤議員】
確保の計画も一応見直されたが、6800隻、これを平成25年度までに確保すると。しかしこの6800隻というのは去年の予算で組んだ数なのである。だから実質上増えない。そして被災漁船の半分にしかならない。これでは漁業の再建にならない。
漁民の方々は、ほとんど船を失くしたので、一家で3隻4隻持っていた。だからとりあえずは1隻という要望をしていると思う。しかし実際に漁業を再建しようと思ったら、13000隻、被災した7割8割ぐらいまでは戻さないと、漁業の再建にならないのではないか。
漁協関係者にも聞いたが、船の製造が遅れているのも事実。25年度までということではなく、26年度ぐらいにまで延ばしてほしいと。船の製造が追いつかない。計画は25年度までになっているが、やはり26年度までにそういう期間を延ばして、7割8割と漁業が大方復旧するという方向にすべきではないか。ちなみに養殖施設は19000台で五分方復旧する計画になっている。
【産業再生課総括課長】
今回計画を変更させていただき、増加した根拠は、漁業者のニーズ、漁業の再開を勘案し、6800とさせていただいた。昨年度の漁船の交付決定については、6100隻を交付決定しており、そのうちの昨年度整備したものが3793隻、残り分を今年度で整備してという考え方である。
漁業者の要望等を聞くと、初年度に早く漁業に着手するために、漁船の整備の要望に手を挙げており、今年度、25年度の整備については大幅に要望が減ってくるという状況にあるので、24年度については3月当初に整備した約200隻、25年度については400〜500隻の整備ということで、全体で6800とした。
漁船の整備だが、どのぐらい漁業の再開として必要かというところはあると思う。実はこれは、整備する数であり、被害にあっていない漁船もある。被災前の漁船登録が約14000、被災隻数が約13000なので、1000隻は現存しているとみられ、被害が軽微なものについては自力で復旧した漁船もあるということで、だいたいこの見通しを推計すると1200隻は現存にあたるのではないかと思っており、8000隻はこの3年間で現場に配備されるような隻数ではないかと考えている。
漁船の整備については、26年度以降も整備すべきではないかということだが、たしかにメーカーに発注が大量にいき、なかなか追いつかないという状況もある。それを勘案すると、26年度以降にも整備がされる漁船も出てくる可能性はあると思うが、それについては現段階ではそのような状況を的確に把握できないので、まずは早くこの3年間で漁船を整備し、漁業を復興させていくという考え方のもとに3年間という期間を設定している。
【斉藤議員】
漁民・漁協から聞いたが、すべて船がなくなった中で、2隻3隻を以前持っていた通りの要望はできていないと。まず1隻確保して再開すると。それが6800隻である。製造が間に合わないのも事実なので、これは計画だと25年度で終わる計画になっているので、国の事業に関わると思うが、26年度も継続して必要な漁船数をよく把握して対応していただきたい。
【産業再生課総括課長】
たしかに6800隻というのは、まずは漁業に着業するということで、1隻確保して漁業をするということになろうかと思う。漁業をしていく中で、経営が安定した暁には、2隻目を要望しようとか、そういう流れの要望も出てくるとは思っている。
13000隻が被災したわけだが、使われている実態としては、全てが漁業に使用されていたということではなく、実際の漁業には2隻を使えば十分だったのに、予備として1隻を持っているとか、古い船を登録を抹消していないとか、それらを含んでの13000であるので、実際に漁業に使われる隻数は少し下がるということではないか。
宮城県では13000隻ぐらいの被災があり、9000隻ぐらい整備すれば足りるのではないかというデータも出ているし、本県としてもそれに近いような形の隻数になってくるのではないかと思う。
25年度までの整備として、それは目標だが、その中でどうしても遅れるということであれば、26年度に整備する分も出てくるのではないかと思うので、今後の状況を見定めながら、必要であれば計画を変更していくことにもなるのではないかと思う。