2012年9月26日 議会運営員会
教育委員および公安委員の選任に関する質疑(大要)
・教育委員会委員の人事案件について
【斉藤議員】
教育委員会の意義と役割、選任の基準とプロセスはどうなっているか。教育委員会と教育委員会事務局との関係はどうなっているか。
【千葉副知事】
教育委員会の意義と役割についてだが、教育基本法の趣旨にのっとり、教育の機会均等、教育水準の維持向上、および地域の実情によった教育の振興が図られるよう、国との適切な役割分担および相互の協力のもと、公正かつ適正に行われなければならないものであり、教育に関する事務を処理するために教育委員会が設置されているものと承知している。
教育委員の人選の基準とプロセスだが、教育にかかるさまざまな課題を踏まえ、教育に識見を有することから、広く適任者を選ぶこととし、政治的中立性の確保、継続性・安定性の確保、地域住民の意向の反映の視点を踏まえ、任命候補者の活動歴だとか、年齢構成、教育委員としての活動意欲等により総合的に判断するものである。
教育委員会と教育委員会事務局との関係だが、教育委員会の権限に属する事務を処理をさせるために、教育委員会に事務局を置くこととしており、教育長が教育委員会を指示・監督のもとに事務局の長として事務をつかさどっている。
【斉藤議員】
地方教育行政の組織および運営に関する法律ではどのように規定されているか。
【教育長】
教育委員会の根本法例だが、地教行法によると、いま副知事が申し上げた通り、その一条のみにおいて基本理念が定められており、地方公共団体における教育行政は、教育基本法の趣旨にのっとり、教育の機会均等、教育水準の維持・向上および地域の実情によった教育の振興が図られるよう、国との適切な役割分担および相互の協力のもと、公正かつ適正に行われなければならないと規定されている。
【斉藤議員】
第4条が出てこないが、第4条はどうなっているか。
【教育長】
4条では、「委員は当該地方公共団体の長の被選挙権を有するもので、人格が高潔で教育、学術及び文化に関し識見を有するもののうちから、地方公共団体の長が、議会の同意を得て、任命する」と任命手続きを定めている。
【斉藤議員】
先ほど教育委員会の役割の中で、政治的中立性の確保、継続性・安定性の確保、地域住民の意向の反映というのがあった。この法的根拠はあるのか。
【教育長】
政治的中立については、教育委員は特定の政治団体から全部選んではならないという形で、直接的に中立性を否定した条文はないが、そういった意味で特定の政治的団体に偏ることがないよう制度的に担保されているので、そういった面から規定されているものと承知している。
その他については、先ほど述べた教育委員の選任にあたっての基本的な考え方に基づいて措置されているものと承知している。
【斉藤議員】
選考のプロセスの中で、教育委員会の意向を確認するということがあったと思うがいかがか。
【教育長】
具体的に、事務的な調整をさせていただいていると承っており、ただ地教行法の中では、知事は地方公共団体、いわゆる教育委員会に関する事項を条例と定める場合については教育委員会の意見を聞かなければならないという条文があるが、教育委員の任命にあたっては、それには該当しない旨の文科省の行政通達が出ている。
【斉藤議員】
いずれ教育委員会の意向を勘案してと、繰り返し答弁されているのでそれは確認しておきたい。
・教育委員会の開催状況について
【斉藤議員】
この1年間の教育委員会の会議の開催状況、審議時間はどうなっているか。議事録をこの1年間の分は全部見たが、あまりにも短時間ではないのか。教育委員会の役割にふさわしく、充実した審議を行うべきではないか。
【教育長】
過去1年間の教育委員会議だが、15回開催されており、1回あたりの審議時間は平均で約1時間。また会議における充実した審議にするため、委員会議とは別に、委員による情報交換の場を設けたり、委員による学校等の訪問、教職員等の意見交換の実施などを行っている。
【斉藤議員】
地教行法の第29条で、「歳入歳出予算のうち、教育に関する事務に関わる部門、その他特に教育に関する事務について、定める議会の議決を経る事件の議案を作成する場合においては、教育委員会の意見を聞かなければならない」と。教育委員会議で聞かれた形跡がないのではないか。
【教育長】
当該事項については、教育委員会規則において、教育長に委任されている。したがい我々の方で処理させていただいているところだが、今回各議会に提案する条例案の内容および各年度補正予算も含めて、予算等の状況については、教育委員会の各委員に報告している。
【斉藤議員】
第29条は骨抜きではないか。重要な事案は教育委員会議で決定すると。その決定に基づいて教育長が仕事をするとなっている。教育長に委任したら教育委員会は骨抜きではないか。
【教育長】
たしかに地教行法の改正により、以前は規定の方法が教育委員会の権限に属するもののうち、教育委員会規則で定めるもの以外のものについては、教育長が委任を受ける、教育長に広範な権限が委任されている。ただ議員ご指摘の通り、教育委員会制度があまりに形骸するのではないかという、教育委員会の自主的な議論を担保するため、特に、教育委員会議において教育委員会規則において、特定の事項だけを定めてそれを教育長に委任するという形になっている。したがい、重要な事項等については教育委員会の議を経てそれぞれ決定されている。
【斉藤議員】
歳入歳出に関わる予算や決算、審議された形跡がない。
【教育長】
それぞれ予算を編成する段階、決算の状況について、それぞれ教育委員会の各委員にそういった意見交換の場を通じて報告を申し上げご理解いただいている。
【斉藤議員】
議題にも議事録にもないが。
【教育長】
先ほど申し上げた通り、委員のそれぞれの情報交換、意見交換の場において報告させていただいている。
【斉藤議員】
協議会は教育委員会会議ではない。これは法令違反だと思う。
定例県議会の各議会の概要が項目だけ報告されて、これは議論になっている。しかし触りの議論だけで、議会の議論を報告するのだったら、きちんとした審議の記録、議事録を提供すべきだと思うがいかがか。
【教育長】
議会の一般質問で、教育委員会に対して質問をいただく場合があるが、これについては、答弁を行った当日のうちに答弁要旨を各委員に提供している。また、議会終了後の直近の教育委員会議定例会において、一般質問を含め、特別委員会・常任委員会の概要について説明申し上げている。
【斉藤議員】
資料の提出を求めたら項目しか書いていなかった。
震災復興の課題、これで教育委員会から具体的な提案などがあったのか。いま重要ないじめ問題、全国・県内でも深刻だが、教育委員会で審議された形跡はあるか。
【教育長】
震災からの教育の復興については、昨年度教育委員自ら被災地の学校を中心に11回33校訪問したほか、教育委員会議においても、被災施設の復旧の見通し、今後の学校方針のあり方や、放射線対策などについて議論いただいた。
いじめ問題を含む生徒指導については、去る8月、県内の小中高生に対して教育委員長メッセージをお伝えしたほか、教育委員会議においても、各委員が生徒指導の考え方について意見交換したほか、学校に対する教育委員としての要望等についても発言があった。
【斉藤議員】
議事録にはほとんどないが、今回の具体的な人事案件―藤波委員から吉沢委員に変わって提案されている。その理由は何か。吉沢委員の任命の具体的な理由は何か。
【千葉副知事】
吉沢委員の任命の具体的な理由についてだが、医療・福祉・教育分野における十分なご経験があり、その中で培われた幅広い識見を有しており、本県の教育の推進をするための委員活動が期待できることから、任命しようとするものである。
なお、藤波委員については、平成16年10月に就任以来、2期8年間にわたり、委員として活動いただいたが、ご本人のご意向を踏まえ今回再任しないこととしたところである。
【斉藤議員】
吉沢委員は同じ奥州市である。沿岸・県南地域からという答弁が前あったが、同じ自治体からなぜ出されるのか。もっと広範な検討がされていいのではないか。あとは、県内の有識者を考えたら、もっと適任者があるのではないかと思うが、もっと幅広い検討をすべきではないと思うがいかがか。
【千葉副知事】
ご指摘は十分踏まえているところではあるが、今回一番適任な方ということで吉沢氏をお願いしようとするものである。
【斉藤議員】
村井三郎氏の教育委員としてのこの間の評価はどうなっているか。
【千葉副知事】
村井氏は、平成20年10月に就任以来、1期4年間精力的に委員活動を行っている。特に、教育委員会をめぐる諸課題については、幅広い見地からの検討が必要となるケースが年々増加している中で、適切で分かりやすい意見は教育委員同志の仲での高い評価と信頼を得ていると聞いている。
また現在、高校生の保護者であることや、もっとも若い40代の委員であることから、フットワークよく積極的に県内の学校訪問・視察等を行っており、教育現場の実態を踏まえた知見により、教育委員会議での役割を果たしていただいているものと承知している。
【斉藤議員】
保護者代表は法律でも明記された構成メンバーで、議事録を見たが、それなりの役割を果たしていると感じた。
・公安委員会の任命について
【斉藤議員】
公安委員会の意義・役割・機能はどうなっているか。
公安委員の選任の基準と考え方、公安委員会の会議開催と審議時間はどうなっているか。
議事録が作成されないのはなぜか。
【千葉副知事】
都道府県公安委員会は、都道府県警察の人為的な運営を保障するために、住民を代表する合議制の機関として設置されており、国家公安委員会および他の都道府県公安委員会とも常に緊密な連携を保ちながら、それぞれの都道府県警察の管理を行っている。根拠は、警察法第38条等にある。
公安委員の選任の基準と考え方だが、公安委員の選任に関しては、警察の民主的管理および政治的中立性の確保の観点から、候補者の人格、活動分野、年齢等を総合的に勘案し選任しているところである。
この度任期満了となる元持委員は、岩手県商工会議所連合会会長を務め、経済界の方であることから、後任の方には委員の構成・バランス上、経済分野から候補者を人選する方向でその人選にあたってきた。
【警務部長】
公安委員会の会議開催状況について。平成23年は、定例会を37回開催しているが、定例会1回あたりの所要時間は173分となる。平成24年では8月末現在で25回開催し、1回あたり179分となっている。
議事録についてだが、公安委員会においては、岩手県公安委員会運営規則に基づき、会議の日時・出席者・会議の概要を会議録として作成している。
【斉藤議員】
この1年間の記録を見たが、概要だが、報告事項が9割以上、委員の発言はほんと少しである。報告は分かるが、警察行政にたいして委員がどういう議論をしているのかが全然見えない。きちんとした議事録を作るべきである。全国の状況はどうなっているか。
【警務部長】
議事録については、それぞれの機関が法令または知見に基づいて作成しているところだが、当県においては、岩手県公安委員会運営規則に基づき、会議の日時・出席者・会議の概要を会議録として作成している。
全国においても、会議録として作成しているが、詳細に作成の内容等についてはただ今把握していない。
【斉藤議員】
ぜひ全国の状況を調べていただきたい。
高橋真裕氏を任命する具体的な理由は何か。現在どれだけの役職に就いているか。岩手銀行頭取の仕事と両立するのか。
【千葉副知事】
高橋氏は、岩手経済同友会の代表幹事や、財団法人岩手経済研究所理事長などの常職にあり、現在被災県の経済団体のトップとして、各法人の会報等も拝見しているが、リーダーとして復興の陣頭に立っているほか、岩手県の産学官連携組織の最高組織である、いわて未来づくり機構の共同代表を務めるなど、その見識や人格などから県民の代表者である公安委員として、公正・中立な立場で県警察を管理していただけるものと考えている。
現在高橋氏が就任されている役職だが、株式会社岩手銀行頭取のほか、岩手経済同友会代表幹事や財団法人岩手経済研究所理事長など多くの要職に就いている。
岩手銀行頭取との仕事との両立だが、被災県の経済団体のトップとして復興の陣頭に立っておられ、業務は多忙であることは十分承知している。しかしながら、現在の元持委員も、岩手トヨペット株式会社代表取締役社長のほか、岩手県の商工会議所連合会会長を務めるなど極めて多忙な方だが、高い識見をもって公安委員として公正・中立な立場で県警察を管理していただいているところであり、高橋氏にも同様の職責を果たしていただけるものと期待している。
なお、平成3年10月から平成12年10月までの9年間、当時岩手銀行頭取・会長であった佐藤氏を任命したこともあるが、佐藤氏は任期中に岩手経済同友会副代表幹事や、岩手商工会議所連合会会長など県の経済団体のトップを歴任され、多忙な中にあって、業務を執行していただいたものと承知している。
また、株式会社青森銀行、株式会社七十七銀行など、全国でも銀行のトップの方が公安委員に任命されているところもある。
【斉藤議員】
要職たくさんある方が、わずか3人の公安委員に適切だとは思わない。
岩手銀行に対する県警察からの再就職はどうなっているか。岩手銀行は石橋叩いても渡らないという経営姿勢を変えることこそ一番大事な仕事だと思う。
【警務部長】
株式会社岩手銀行に対する県警察退職者の再就職については、これまで刑事部長・盛岡東警察署長で退職した者4名が顧問として再就職している。
【総務部長】
岩手銀行への県からの再就職状況だが、これまで副知事や教育長、部長を退職した者が6名監査役として再就職されている。