2012年10月10日 商工文教委員会
被災事業者の再建に関する質疑(大要)


・二重ローン対策について

【斉藤委員】
 さらに正確な実績が紹介された。支援決定は、たしかに復興相談センターは60件だが、趣旨からいけば債権買取は25件。これと再生支援機構の16件を足して41件とする方が正確な評価になると思う。ごちゃ混ぜであらゆる支援をということではなく、債権買取と他の支援と整理した方が正しいと思う。


・中小企業被災資産復旧事業費補助について

【斉藤委員】
 114件3億2100万円ということで20億円の予算でやられているが、半年経過して、遅れているのではないか。その要因は何か。

【経営支援課総括課長】
 修繕費のときもそうだったが、グループ補助金と両方申請を考えている事業者があり、復旧費補助についても、グループ補助金の決定を見てから、不採択の場合に復旧費補助を申請するといったことがあると思う。
 それから、やはり土地利用がまだ定まらないということで、復旧費補助については本設を想定しているので、本設できる場所がまだ定まらないということで、この事業費を利用できないという状況になっている。

【斉藤委員】
 復興が遅れている、特にまちづくりと関わって、商業者の場合には、新たな町の中で本設を図るということで、実は現場の一番切実な要求は、この事業を単年度にしないで平成27年28年まで続けてほしいと。そうしないと区画整理も高台移転も進まない。そういう方向を示していただければ、これに期待したいと。しかし今年度中ということになると、田老の人が宮古市内で出店するしかない。高田で被害を受けた人は、別なところでやらないと制度が活用できないということになる。
 被災した地域で復興を進めるためには、そういう防災集団移転促進事業だとか都市再生区画整理事業だとか、そういう見通しとセットで、最大限地元で再建したいと思っているわけなので、この事業はそういうまちづくりと一体で、活用できるということを示すべきではないか。

【経営支援課総括課長】
 復旧費補助について、実は9月に、見直しについて各市町村を回ってきた。その際、「事業の継続」ということを要望され、事業に対する期待が大きいと理解している。我々としても、なかなか決められない事業者も出てくると思うので、いずれ市町村や商工団体などから、まちづくりの状況や事業者の復旧状況などを聞きながら、事業継続について検討していきたい。

【斉藤委員】
 来年度も事業継続するということだけではかみ合わない。防集、これから山を削って造成して、それから建てる。都市再生区画整理事業も、5mぐらい盛土してそこに新しい商店街をつくる。これは大変良い制度なので、そこに間に合わない方も出てくるので、そういう意味でいけば、「市町村の復興・まちづくりと一体で活用できる制度にする」と言明していただければ、安心して地元で再建したいという希望に応えられるのではないか。

【商工労働観光部長】
 市町村の継続要望についてはしっかりと受け止めている。そして、まちづくり自体の進捗と合わせた形でこの事業も実施していかなければ効果の発現は期待できない状況にあるので、今後とも各市町村の地域のまちづくりの復興状況、その進捗を注視し、事業の継続についてしっかり検討し対応していきたい。

【斉藤委員】
 大変大事な答弁だった。


・中小企業被災資産修繕事業費補助について

【斉藤委員】
 昨年度これは岩手県がいち早く県単で打ち出した画期的な事業だった。我々もそう評価した。しかし1年で終わってしまった。そしてこれは沿岸市町村だけが対象だった。2つの問題があったと思う。
 宮古市では、昨年8月10日から9月30日に修繕費補助の募集をした。しかしその後、修繕したいという事業者が出てきたので、9月補正で6000万円の市単独の修繕費補助をやると。去年の段階というのは、業者の方々も、修繕していいものなのかどうなのか、定かではなかったのではないか。修繕費の要望というのはまだまだあると思う。
 特に重要なのは、地震で内陸の業者も被害を受けているということである。内陸の業者は、資産復旧よりは修繕費の要望の方が高いと思う。住宅の補修は圧倒的に一関・北上・奥州である。沿岸は多くが流されてしまっている。ところが内陸は、内陸南部地震の6倍の被害だった。昨年度は修繕費補助を打ち出したときには、国の財源がなかった。しかし今は復興基金がある。国の基金の活用の見通しもあるわけなので、第2次修繕費補助事業を内陸の事業者も対象にしてやるべきではないか。

【経営支援課総括課長】
 修繕費補助の考え方だが、被災されて、修繕をすればすぐ事業が再開できるという方々に対して、地域の経済活動の復旧、雇用の場の確保という考え方で昨年度事業を創設した。そういったことからすると、事業は1年だったが、事業の復旧を早くやっていただくという趣旨からすると、修繕費については復旧できる方が早急に復旧するということで、事業を使っていただいたと理解している。
 内陸部にということだが、たしかに内陸でも地震により被災したということはうかがっているが、やはり沿岸部の被災状況が甚大だったということ、地域の経済そのものが崩壊しかねないといった危機的な状況にあったということで、沿岸の市町村に限って実施した経緯がある。そういったことで、内陸の事業者については、県で創設した資金の活用をいただいている。そういった融資制度や産業振興センターで行っている設備貸与など、いろんな使えるメニューを活用いただきながら、復旧に取り組んでいただいているものと理解している。

【斉藤委員】
 昨年の4月補正で修繕費補助は県単でやられた。これは評価している。その時点で沿岸だけを対象にしたということはやむを得ない側面はあったかもしれない。
 しかし修繕費補助の実績は427件15億1900万円。その後復興交付金なり基金なり国の3次補正で使える財源が出た。被災を受けた事業者は沿岸だろうと内陸だろうと同じである。
 例えば住宅再建への100万円の補助、これは県内すべての被災者を対象としている。住宅の補修・宅地の補修・利子補給、これも全県が対象である。実は住宅の補修で一番多いのは一関市の457件、北上371件、奥州209件、大船渡が126件である。「住宅の補修」とした場合に、内陸の方が被害が大きい、対象が多いということである。事業所以外は全て全県を対象としている。事業者の場合だけ沿岸だけを対象とする根拠は現時点ではないのではないか。差別になってしまう。地震被害、津波被害の違いだけである。そして事業者にしてみれば、それぞれの事業者は死活問題である。そういう意味では、現段階で内陸の被災者も対象にして、修繕費補助の第2次を県とすべきではないか。最後まで沿岸だけという立場をとったらおかしくなる。医療費・介護保険利用料の減免も、全県でやっている。これは沿岸だけということではなく考えるべきではないか。

【商工労働観光部長】
 地震被害による内陸部の被害も大変大きなものがあるというのは、いろいろご指摘いただき、お答えもさせていただいている。
 本来、商工業に対する振興・支援策というのは、融資制度というのは基本になって進めてきた。しかしながら、今般の震災津波ということにより、とりわけ沿岸部における被害においては、中心市街地自体が喪失するというかつてない甚大な被害、これに鑑み、補助制度の導入が決定された経緯がある。内陸については、面的にも広がっている被害にたいし、内陸部においての商工業者の被害というのは、例えが正しいかどうかは分からないが、やはり面的な被害というよりは点的に被災を受けているとして、個所は比較的多いと認識しているが、この被害の程度に鑑み、震災向けの低利融資制度を500億円の枠を設けながら対応し支援する体制をつくった。そういった制度を有効に、この制度については利用状況も非常に内陸部の事業者の方を中心として、融資制度を活用しての事業再開に向けた取り組みをされている方が多いという状況もあり、それは一定の支援を策定して機能していると考えているので、内陸部についても対象にするということについては現段階では考えていない。

【斉藤委員】
 グループ補助金は内陸も対象である。国の補助は内陸の事業者も対象である。県単だけ沿岸という、そういう点でも矛盾している。たしかに沿岸が壊滅的な状況になったというのはその通りである。だから被災資産復旧事業もそういう形で進められたことは評価している。ただ「修繕費」といった場合に、どちらかといえば内陸の需要の方が多いということである。
 県土整備部の住宅支援事業の配分金額は、一関市5億7100万円、陸前高田市は2億3000万円となっている。修繕といった場合には、内陸の事業者の方が対象が多いし切実だと。そして国のグループ補助金も画期的な制度だったが、これは沿岸に限定していない。
 今まではそうだったかもしれないが、最後まで沿岸だけにこだわる必要はないのではないか。財源も国の3次補正で出た。昨年度まだ財源が出ない段階で、県単で沿岸だけを限定したということはあったかもしれないが、国の手当もあり、国の事業は県全体を被災地にして、グループ補助もやられているということからいけば、あまり頑なにならずに、被害の実態に合わせて検討すべきではないか。

【経営支援課総括課長】
 グループ補助金の増額、県単の復旧費補助については、商工団体や市町村からも要望があり、現実には、内陸の市町村から県単の補助金の拡大といった要望はいただいていない。商工団体についても、グループ補助金については要望があるが、県単補助の拡大の要望は今のところ聞いていない。

【斉藤委員】
 聞いていないというが、制度がないからである。ある制度を拡充してほしいという要望は当然。制度をやめてしまったのだから、去年の段階では「なぜ内陸を対象にしないのか」という声が出た。そういう居直りではいけない。
 内陸の事業者の被害状況を示していただきたい。

【経営支援課総括課長】
 全ての内陸を調べたものはないが、一関市でホームページに掲載していたのは、商工観光関係の被害状況ということで、金額として71億3000万円、商業施設が307、工業施設が231、観光施設が45カ所と承知している。

【斉藤委員】
 一関市だけでこれだけの被害である。そういう国の事業自身、グループ補助という画期的な事業自身が岩手県全体を被災地にしてやっていると。岩手県自身が住宅再建では全県を対象にしてやっている。医療・介護の減免も全県でやっている。そういうことから見れば、商工労働観光部だけが沿岸だけを限定にしたことにこだわるということはおかしいのではないか。
 第2次で、そういう被害実態に合わせて考えていく必要があるのではないか。修繕費というのはグループ補助に関わらないので、すき間を埋める取り組みなので、検討課題にしていただけないか。検討もしないのか。

【商工労働観光部長】
 内陸被災地の事業所の要望、商工団体等の意見も十分踏まえ、検討をさせていただくが、そういう方向で実態に即した形で、実際のニーズを踏まえて、今後の対策等について検討していきたい。