2012年10月10日 商工文教委員会
補正予算に関する質疑(大要)


・事業復興型雇用創出助成金支援事業について

【斉藤委員】
 この委託料はどこに委託するのか。
 事業の実績について、先ほど1463人と。事業所数ではどうなっているか。ここにとどまっている要因は何か。目標にたいしやっと10%というところなので、目標にふさわしくこれを活用するためには何を改善してどうすればいいのか。

【雇用対策課長】
 委託先だが、現在年度当初よりすでにこの事務処理を委託している会社がある。申請書の書類チェック等を委託している。そこにこの業務を追加して委託しようと考えている。
 実績の事業所数は、367事業所である。
 要因については、制度のスキームでの問題点は変わらずあると思うが、さらにはまだまだ周知に力を入れていく部分があるかと思う。制度改正については国に要望しているが、国の対応を待たざるを得ないので、我々はできることとして、周知に力を入れていきたい。

【斉藤委員】
 制度の問題点について、昨年の11月20日以前は対象にならないとか、新規採用が前提で、2割までの範囲で再雇用が対象になると。この津波被害を政府は本当に理解していないのではないかと思う。一度従業員を解雇して、まだ6割も再開していないという中で、そういう中で一度解雇した人たちを元に戻したいというのは当然のことで、新規1人増やせ再雇用を4人まで認めると、こういうやり方では問題だと思うが、政府との交渉の中身、国は検討するという答弁があったが、もう少しリアリズムでやっていただきたい。

【雇用対策課長】
 国への要望については、三次補正成立以前の震災発生直後からの雇用に遡及するようにという項目が1つある。再雇用については、委員ご指摘のような従前よりは若干規模を縮小して始める事態も含めて、新規雇用要件、再雇用者の割合の撤廃についての要望を出している。なかなか遡及については、国からは前向きな感触は得られていないのが実態である。
 再雇用率の撤廃については、その実現可能性は不明だが、若干のやりとり、グループ補助を受けた事業者で意外と事業進捗率の高い事業者に電話アンケートをした実績があり、その中でも「再雇用しかいないので」という回答もあったので、そういった割合等のデータも国に示したりして、要望に出している。何らかの検討の中にはあると期待している。

【斉藤委員】
 県や市町村の補助を受けている事業所も対象にしたというのは効果があったと思う。
 367事業所のうち、県や市町村の補助を受けたということで広がった業者は分かるか。

【雇用対策課長】
 対象要件の種類別には整理していない。

【斉藤委員】
 15000人の目標というのは大変な事業で、国としてもこれが進まなかったら何のために予算をつけたか分からないので、ぜひ東北3県連携して強力な改善をしていただきたい。民主党は自らこの改善に取り組んでいただきたい。


・岩手産業復興機構出資金について

【斉藤委員】
 これも議論があった。二重ローン対策で債権の買取が進んでいるということで3億円出資するということだが、出資総額は全体でいくらになるのか。これまでにどのぐらいの債権の買取実績になっているか。再生支援機構を含めて示していただきたい。

【経営支援課総括課長】
 今回の9月補正で3億円を補正しているが、全体で予算としては8億円の出資になる。
 買取の債権額は公表されておらず、おおざっぱな数字しか持ち合わせていないが約63億円と聞いている。これは県の復興機構の分である。事業再生支援機構については、情報を得ていない。

【斉藤委員】
 インターネットで10月1日に再生支援機構は今までの取り組みをまとめて発表している。岩手県はたしか16件ではないか。復興機構は今まで債権買取は27件だったと思う。一番切実な問題なのできちんと回答していただきたい。

【経営支援課総括課長】
 件数については、再生支援機構では16件ということだが、債権の買取額については公表されていない。
 復興機構は9月末時点で25件である。

【斉藤委員】
 昨年11月以来で、復興機構がやっと27件、最近テンポ早く買取が公表されているものの、まだまだ少ない。
 再生支援機構もやっと最近になって、債権買取を出し始めて、いま申請中もかなりの数が出ているようだが、この二重ローン問題というのは事業者の再建の大きな課題になる。これは知事が国の復興委員会に問題提起して実現したと。岩手がこの制度の実現に大きな役割を果たした。この岩手がこれに真剣に取り組む必要がある。
 相談件数を含めて、進まない課題は何か。どういう問題を改善しようとしているか。

【経営支援課総括課長】
 県の復興機構の相談件数は、9月末で336件。進まない課題として、実際に現地での土地利用とか事業者が再建のために建物を建てる段階で資金が必要になってくるが、そういったところがまだ進まないというようなところがある。
 センターでは、仮設店舗の事業者をまわり、これからの資金需要とか、どんな課題を抱えているかとかいうようなことをアンケートしており、やはりこれからの資金、現在は資金需要がなくても今後本設した場合の資金重要発生などの事案が出てくると思う。いずれ現地での補助の関係のことなどそういったことが課題になってくると思う。

【斉藤委員】
 沿岸の商工会議所・商工会の会員だけで四千数百の事業所が被災している。この実態調査を後でお聞きしたいが、そういう中で7割は事業を再開している。これは努力の表れだと思うが、被災した中での再開である。以前の債務を抱えながらやっている。土地利用の問題もあるが、今は抱えているローンや借金を解決しながらやらないと、事業の再建も進まないというのが直面している問題である。
 相談件数も336件では少ない。本当に親身になり被災事業者の相談に乗り再建計画を立てて、そして買取を進める、さまざまな再建計画の作成やその他の具体的な支援をすると。本来の役割をまだ発揮されていないと思うがいかがか。

【経営支援課総括課長】
 センターを設置して1年ほど経ったが、沿岸の商工団体に相談員を配置したり、あるいはセンターそのものが現地に行って相談に乗るということもしている。さらには、県職員を現地に駐在させるということで、そういった意味でもセンターと県と連携し、さらに強力に体制をとり、事業者の再建支援をしていきたい。

【斉藤委員】
 例えば住宅ローン、これもあまり進まずに請願も出されているが、全国的には1万件対応しようという目標をもっている。この事業所の二重ローン解消というのは、出資金の計画からいって、どのぐらいの目標・設定なのか。
 やはり銀行の姿勢がまだまだ積極的ではない。銀行OBが相談員になっているということもあり、そういう点でいけば、岩手日報の論説でも「今こそ地元の金融機関の役割が問われている」と。いろんな形で預金は増えているが、それを使っていない。余滞率が後退している。こういうところをよく見て、県が積極的に役割を果たすべきではないか。

【経営支援課総括課長】
 出資の関係については、県や地元の金融機関・国ということで出資しており、地元の金融機関もそういうことではファンドの創設について協力していただいている。最近は債権の買取件数が徐々に増えているのも、そういった金融機関の協力が進んでいるのではないかと考えている。
 金融機関の役割ということだが、県の職員を駐在させるということで、特にもセンターとの調整、また市町村の復興が進む段階に応じて、土地の問題や事業の関係が出てくる。行政に明るい職員を配置することにより、その辺あたりは体制づくりができると考えており、グループ補助金や高度化スキームによる高度化資金の貸付などもやっているので、そういった情報の共有化、公的な支援機関とのコーディネートということもさらに深まるのではないかと理解している。

【斉藤委員】
 この二重ローンの仕組みで岩手県が果たした役割を自覚して、二重ローン解消の制度で2つの仕組みがつくられたが、本当に岩手県がこれで事業所の再建を成功させたといえるようにしていただきたい。
 宮古の取り組みでは、再生支援機構で80件以上相談している。かなりの程度事業所の再建計画まで支援していただいて、債権の買取の準備が進んでいると。まだ16件だが、これがうまくいけば宮古モデルになるのではないか。そういう地域の取り組みもある。2つの機構が相乗関係になり事業所の再建に取り組むという状況を岩手から何としてもつくっていただきたい。

【商工労働観光部長】
 債権の買取は徐々にではあるが進んできているということは言えるかと思うが、委員ご指摘の通り、まだまだその機能を本当に発揮しているという状況にあるかと問われれば、まだ不十分であると言わざるを得ない。
 そのような状況を踏まえ、県としても、産業復興相談センターに県の総括課長級の職員を駐在させるという人的体制を強化しながら、金融機関との情報共有を徹底していきたい。また、再生支援機構とも連携を図りながら、当面は抱えている案件を早急に買取が進むように努め、相談件数の掘り起こしも含めて取り組みを進めていきたい。


・北三陸観光推進復興推進事業費について

【斉藤委員】
 1593万円計上されている。
 NHKが連続テレビ小説で、北三陸を舞台にして半年間毎日放映すると。毎日大変なPRになる。その場所も大変良かったと思う。北三陸という地理的になかなか大変なところである。これは絶好の機会、DC以上の効果がある。時間帯からいっても視聴率からいっても、NHKの看板番組である。今でもテレビ小説を見ているが、これが岩手が舞台になる。全国に発信される。そういう意味では、今回1593万円の対策で看板等の取り組みもあるが、北三陸の観光資源、これは県北も含めて本当に掘り起こして、地元の運動をつくって、地元が受け入れる、押し出す。そうして取り組む必要があるのではないか。この程度の予算では足らないのではないかと思うぐらい、千載一遇のチャンスにして取り組む必要があるのではないか。

【観光課総括課長】
 大変大きなチャンスだと思っている。この事業で計上している予算は、プロモーションだとか、被災地での語り部によるバスツアーの試験運行といったものを事業としており、それらに要する経費として1493万円である。
 地元の受け入れ態勢の整備の関係では、三陸観光復興支援事業で、県北広域局の事業になるが、そちらの方で「あまちゃん」のロケ支援のための経費である。そして放映による知名度の向上も活用しながら地域の活性化を図りたいということで、そういった活動に要する経費を別途計上している。

【斉藤委員】
 千載一遇のチャンスにして、地元の人たちが本当に北三陸の観光資源・文化・伝統を含め掘り起こして、そして自らがこの取り組みの中心に立つという点で、位置づけを高めてやっていただきたい。
 盛岡が舞台のドラマで、遠野が少し出るだけで遠野への効果が大きかった。遠野はやや知名度があったが。これは大変なチャンスなので、ぜひ北三陸がこれで復興したという状況をつくっていただきたい。


・グループ補助について

【斉藤委員】
 87億円を計上し、これは英断だった。国の補正が決まる前に県がこれだけの予算を組んだのはまさに英断。それは高く評価する。それも第4次の申請漏れに見合う規模なので。
 この財源の内訳で、国が決めることを前提にしてやっているが、一般会計20億円があるが、これは復興交付金を使うのか。

【経営支援課総括課長】
 財源は県債と考えている。
 今回の補正に対応し、87億円だが、当初で措置していた150億円のうち、採択により140億円決定し、残り10億円、それから今回の87億円合わせて97億円になるが、そのうちの国費分が65億円、県費分が32億円である。

【斉藤委員】
 今までも4分の1負担があった。これはずっと県債だったのか。

【企画課長】
 これは一般財源であり、今年度に全額交付税措置されるということで対応させていただいている。

【斉藤委員】
 グループ補助金の問題は国の動向である。臨時国会の見通しもままならない。高田県議が昨日も取り上げたが、被災3県の知事がこの時期に一緒になり首相や大臣に要請するというぐらいのことが必要である。岩手県は補正も組んだと。国が決めればすぐできるわけなので。
 そして国には4000億円の予備費がある。この予備費を活用したら一定の予算化ができるので、年内にグループ補助金が申請始まったという状況を何としてもつくっていただきたい。そういうイニシアチブを部長にとっていただきたい。

【商工労働観光部長】
 今回の87億円の補正に盛り込んだ部分ということについても、さまざま国の動向を踏まえて慎重に検討し、踏み込んだ形で措置した。
 情報収集や要望をしてきた中において、得ている感触としては、4次公募に採択とならなかった案件についても、今後ブラッシュアップ、熟度を高めることにより可能性のある案件については、今後対応があるのではないかという県としての受け止めである。そういう感触のもとに予算計上させていただいた。そういうことを踏まえ、これを是非とも実現するために、あらゆる手段を講じ、国の財源手当てに向けて取り組みを働きかけて実現したい。

【斉藤委員】
 ぜひ3県の知事が直訴するぐらいのことをやらないと、今の政局不安定さからするとなかなか大変である。


・公共職業能力施設災害復旧事業費について

【斉藤委員】
 301万円となっているが、今度の震災で職業教育施設がどれだけ被災し、どれだけ復旧しているのか。今後の見通しについて。
 今こそ雇用対策でこういう職業能力教育が必要である。

【労働課長】
 職業能力開発施設の被害状況だが、県立の施設については、大小の差はあるが、矢巾にある本校や千厩校で隆起や法面の沈下など。大船渡能力開発センターは冠水。
 認定職業訓練校の関係では、陸前高田は全壊、気仙高等職業訓練校は一部冠水、釜石高等職業訓練校は一部校舎の冠水である。
 北上コンピューターアカデミーについては、施設の一部破損である。
 このうち、補正でも計上しているが、千厩校も含め開発の方は、大船渡職業能力開発センターについては解体ということで、現在提起している。産技短はすでに修理が終わっている。
 認定校については、陸前高田が土地利用の関係で今後の見通しが滞っている。気仙や釜石、北上についてはすでに復帰・復旧している。