2012年10月11日 復興特別委員会
まちづくり、住宅支援等に関する質疑大要
・まちづくりの支援について
【斉藤委員】
進捗状況を報告され、すでに9月末のデータが出ているものもあるが、まちづくりの事業で、都市再生、防集、津波、漁業集落、これを合わせると114地区。これはもっと増えると思うが、1つの事業でも通常でも10年はかかるという事業を、120ぐらいの地区でこれから取り組む。これを進める上で、最大の障害は何か。1つは技術者などの人的な体制というのがあると思うが、それをどのように受け止め打開しようとしているか。決定的に重要なのは、これから計画が出た段階で住民の合意である。住民がどれだけ納得して合意して、自らまちづくりの計画に参画できるか、これが一番決定的な問題である。
陸前高田市では、35の地区に協議会がつくられ協議が進んでいるという話も聞いたが、そうした協議会の状況をどう把握しているか。そして9月補正では、アドバイザー・専門家も派遣すると。これを積極的に進める必要があると思うが、このまちづくりの問題での現状・対応をお聞きしたい。
【都市計画課総括課長】
資料にあるように、ここに掲げている地区は、復興交付金の申請を行った地区だが、実際にこれ以外にも動いており、全体としてはさらにこれより増える状況にある。
まちづくりを進める上での最大の障害ということだが、さまざまあるが、第一には用地問題、用地を確保することが課題になっている。高台の移転先然り、復興の拠点作りにあっても用地問題を解決していかなければ、まず前に進めないということがある。それに加え、当然のこととして住民の合意形成が同時並行で行われなければならないものと認識しており、陸前高田市に限らず、被災市町村において、地域にまちづくり協議会といったような組織を立ち上げていただき、その住民の皆さんの自主的な取り組みや、そういった住民の皆さんの考えを取り入れて、まちづくりを今まで進めてきている。
県としてもそういったまちづくり活動を支援するために、復興まちづくり活動等支援制度というものを今年度立ち上げ、10月1日以降運用開始しているところであり、地域の自主的なまちづくり活動を支援するために、具体的なまちづくりのアドバイザーを派遣するといったようなものだが、これを今後市町村と協力いただきながら活用いただくように努めていきたい。今のところ、アドバイザー派遣というところでとどまっているが、この取り組みを進める中で、さまざまな我々が気づかないニーズも出てくると考えているので、そういったニーズに対応できるように、制度そのものも柔軟に変えていきたいと考えている。
【斉藤委員】
まちづくりを進める上で、4つの事業があるが、国の支援が違うということである。例えば、防集だったら浸水土地は市町村が買い上げると。あとはない。今までのように、自治体や住民が自主的にやる事業だったらそれでもいいが、今回津波で一斉に被害を受けて、取り組む事業で支援策が違うというのは、これは大問題だと思う。今回のような大災害で、いろんな事業で再建に取り組まなくてはいけない。そうした場合に、浸水地域の土地を買い上げるというのは、どの事業でもやられなくてはいけない。利子補給などもどの事業でもやられなくてはならない。
1つは国に対して、こういう大震災にふさわしい支援策、事業によって支援に違いがあるということは大問題ではないか。そこの特例、特別の対策を強く求めていく必要がある。そうしないと住民の間に格差が生まれる。
もう1つは、復興基金を活用して、そういう格差を埋めるとか、そういうことも必要になっているのではないか。おそらく市町村でも考えていると思うが。この点をどう考えているか。
【復興担当技監】
この4種類の事業は、対象個所や被災者の方への支援措置に若干差がある。そのようなことが住民の合意を得る上で大変苦慮していると市町村から聞いている。
まずは、それぞれの事業が特徴があるので、被災地の状況を踏まえて、なるべく適切な事業を選択していただくというのが重要かと思うが、そのような格差についても、例えば、復興交付金の効果促進事業を使えないかとか、使途の弾力化等を要望しているところであり、合わせて復興基金の増額についても国に対して要望している。これからも機会あるごとにしっかり要望していきたい。
【斉藤委員】
これは本当に切実な課題で、住民で議論する時には必ず出てくる問題で、すでに現場では大変な問題になっているので、県も知恵を出して市町村とも協力してやっていただきたい。
・住宅支援について
【斉藤委員】
資料で、100万円の補助で、8月末で715世帯が申請と。現段階で1000世帯を超えているようだが、12ページで見ると、生活再建支援金の加算支援金の申請は5058件。この5058件、何らかの形で住宅再建や何らかの形で加算支援金を申請していると思うが、この落差はどういうことか。5058件の内訳は分かるか。
【生活再建課総括課長】
5058件のうち、建設購入にかかる加算支援金の分が1336件、補修にかかる部分が2696件、アパートの関係の部分が526件である。
今般の県・市町村共同での100万円補助については、ただ今申し上げた建設購入1836件のうち、県内に住宅を建設購入される方が対象となるものである。しかも、実績値については、8月31日現在の状況で、県内における加算支援金の建設購入の部分については、市町村でも、100万円の補助について、補助申請を促している状況である。したがい、いずれは加算支援金の建設購入の分の中の県内に住宅を建設購入される分の数字と重なってくるということである。
・県立病院の再建、被災学校の環境改善について
【斉藤委員】
今度のロードマップで、医療・教育・港湾の分野が補充されたと。これは大変良いことだと思う。
特に、福祉・医療・教育というのは、被災者が被災地で生活できるセーフティーネットである。これを早く実現することが被災者が戻れる、被災者がそこで安心して生活できる前提条件だと。そういう意味でも、県立病院の再建は今度のロードマップで25年度に計画がずれ込むような感じになっているが、この最優先の課題で進めなければいけないし、学校の再建も仮設校舎などできているが、緊急に手当てしなければならないのは、仮設グラウンドなどのように、教育が災害によって十分なものができないということは、極力避けなくてはならない。そういう緊急的な手立て、本格的な校舎の再建はもちろんだが、今制約されるということがないような手立てを最優先課題でとるべきだと思うがいかがか。
【経営管理課総括課長】
県立病院の再建については、本年度中を目途に、立地場所や規模・機能等について検討を進めることとしている。委員ご指摘の通り、病院の再建は住民にとって非常に強い、一刻も早く再建を希望されていると認識しているので、スピード感をもって検討を進めていきたい。
【教育企画室企画課長】
グラウンドの整備だが、現在県内小学校で25、中学校15校、高校1校で仮設住宅あるいは仮設校舎の建設によりグラウンドの使用に支障が出ている。
子どもたちの教育を受ける環境をできるだけ普通の状態に戻したいということで、県教委としても取り組んでいきたい。
【斉藤委員】
これはぜひ全県的な位置づけでも最優先の課題ということでやっていただきたい。
・被災事業所の把握について
【斉藤委員】
被災事業所復興状況調査第2回というのが出された。再建した事業所がどうなっているかという動向をつかむのにはいいが、なぜ調査対象が2519事業所なのか。そして回答が1651でなぜ少ないのか。
実は昨日の商工文教委員会で、9月1日段階の商工会・商工会議所会員事業所の被害状況の最新のデータをいただいた。7729事業所・会員のうち、4323事業所が被災、55.9%が被災している。商工会・商工会議所に入っていない業者もいる。これで全部ではない。9月1日段階で全体が4323事業所が被災しているというのになぜ2519事業所しか調査しないのか。正確に言うと、再開済みというデータがこれではとれない。限定した調査である。再開した事業者がどういうことで困っているか、どういう再開状況にあるかという点では重要な資料である。しかし、商工労働観光部ともう少し意思疎通してやる必要があるのではないか。
【産業再生課総括課長】
被災事業所の復興状況調査だが、この調査は大震災津波で被災した市町村の商工業の復旧・復興を把握し、復興の施策に反映させるため年2回調査している。商工業の事業者を主体として調査するため、沿岸の商工会議所・商工会の会員の中から、一次産業従事者あるいは医療・福祉事業者等を除いている。またこの調査は、事業所の再開もそうだが、再建した事業所に視点を当てた調査であるので、復旧の程度や雇用の状況、業績の状況、課題について把握するため、できるだけ再開が見込まれる事業者を対象としている。この結果、調査時点で廃業が明確な事業所は対象から除かせていただいている。
約4300の事業所が被災ということだったが、今述べた一次産業従事者等を除くと、だいたい3150であり、これが第1回目の調査のベースとなっている。第2回目の調査の対象は2519だが、第1回目の3150の調査の中の回答を見ると、被害なしという回答があった。それから連絡先がつかないところ、調査を辞退する、すでに廃業、これらが約600ぐらいになるもので、3150から600を引いた2519が第2回目の調査の対象数となる。
【斉藤委員】
だとすれば、この第2回事業所調査で最初に出てくるのが事業再開状況である。これは77.9%となるが、そういう条件設定だったら、全体これだけ再開しているとはならない。議会でも知事はこう答弁している。これは再開率という点では正確ではない。だからそういう条件設定を踏まえて、再開率といった場合には、被災した事業者全体を見ないと正確ではない。
今回も、廃業が10%出ているが、これは前回は廃業ではなかったが今回新たに廃業が増えたということか。
【産業再生課総括課長】
調査表の1ページに調査対象ということで、第1回目から書かせていただいているが、その時点での廃業率については対象外という断りを入れさせていただいての調査ということにさせていただいている。
廃業については、前回153の廃業という回答で、さらに今回約40ぐらい廃業という回答があった。40増えたのは、調査の中で前回「再開予定」あるいは「検討中」の方々が再開した部分もあるが、廃業した部分もあろうかと思い、その部分が増加したと考えている。
【斉藤委員】
対象数は書いているが、議会で答弁するときに、このデータで再開というから、それは正確ではない。議会で被災事業所の再開というときには、もっと正確なデータでやるべきである。これはあくまで再開状況、再開しているなかで直面している課題とか、そういうことは大変分かるデータである。
ただ、この間大船渡商工会議所に行ったが、大船渡商工会議所でも会員以外の事業所も含めて調査しようとしている。全体としてもっと正確に被災状況を把握しようとしているので、私は商工会議所・商工会に入っていない事業所もいるし、市町村はそういうところも含めて対策をとっているので、全事業所を視野に入れて対策をとっていただきたい。
【産業再生課総括課長】
基本的には、沿岸の産業の一番大きな団体といえば商工会議所・商工会である。この会員が約8000ぐらいと記憶しているが、そのうちの56%ぐらい4300が被災していると聞いている。ただ、商工団体のカバー率というのは今覚えている範囲の中では50〜60%だったと思うので、実際には沿岸で1万を超えるぐらいの事業所があると考えられている。ただ残念ながら、それを全て網羅したような形で抑えているデータがないので、調査としては商工団体の会員をベースにして調査していくことが確実な方向ではないかと思っている。それから出たパーセントが、全県の被害の復興なり業績等のデータに反映されるのではないかと思う。