2012年10月12日 9月定例県議会本会議
「消費税増税時の低所得者対策に関する意見書」に対する反対討論
日本共産党の斉藤信でございます。発議案第2号「消費税増税時の低所得者対策に関する意見書」に反対の討論を行います。
民主、自民、公明の3党の談合による公約違反の消費税大増税は、その実施を中止すべきものです。消費税大増税の実施までに解散総選挙があり、来年には参議院選挙も行われます。消費税の大増税勢力に国民の審判を下すなら、消費税の実施を食い止めることは可能です。フランスの大統領選挙で勝利したオランド新大統領は、サルコジ前政権が決めていた付加価値税の増税を中止しました。国民の審判によって消費税の大増税を中止に追い込むことこそ求められています。
消費税は最悪の大増税であります。第一に、消費税の10%への大増税は民主党によるあまりにもひどい公約違反の代物です。今や民主党のマニュフェストは公約違反の代名詞になりました。やると言ったことはやらず、やらないと言ったことを進める。こんなことを認めたら民主主義は成り立ちません。政治不信を広げた最大の問題であり、民主党が分裂した原因でもあります。
第二に、公約違反の消費税大増税を進めたのが民主、自民、公明による密室談合による3党合意でした。消費税大増税に加担・協力した自民党、公明党の責任も厳しく問われます。
8月29日、参議院本会議で野田首相問責決議が可決されました。これは、日本共産党など野党7会派が提出したものですが、消費税大増税を強行したことがその理由でした。民主党は参議院でノーの審判を下され、自民党は問責決議に賛成し自己破たんに陥りました。公明党は問責決議の採決を退席し、増税の急先鋒としての姿をさらす結果となりました。
この背景には、消費税大増税に対する国民の強い反対の世論と運動がありました。消費税増税法案が強行された後でも、消費税増税反対は世論調査でも56%(共同通信)を占めるなど国民の多数を占めています。
第三に、民自公三党合意によって、消費税関連法案は社会保障のためでも、財政再建のためでもない、大型公共事業のためであることが明らかになったことです。
三党合意で突然出てきたのが、社会保障制度改革推進法案でした。この法案は憲法25条を事実上否定し、社会保障を「家族相互及び国民相互の助け合いの仕組みを通じてその実現を支援していく」とする、社会保障解体法案というべきものでした。具体化されようとしているのが生活保護の削減です。「負担の適正化」の名のもとに、年金、医療、介護の負担増をめざすものとなっています。また、社会保障の財源に消費税を充てるとして、社会保障の充実のためには、際限のない消費税の引き上げを進めるものとなっています。
消費税関連法案には、付則18条2項で、「税制の抜本的な改革の実施により、・・成長戦略や事前防災及び減災等に資する分野に資金を重点的に配分する」として、大型開発・公共事業の大盤振る舞いが明記されました。自民党は10年間で200兆円の国土強靭化基本法案を提出しており、民主党中心の議員連盟も160兆円の公共事業計画を打ち出しました。消費税増税を口実に、財政を破たんさせたムダづかいをさらに進めようとしていることは重大です。財政再建にも逆行するものです。
第四に、消費税の大増税は、国民のくらしと経済を破たんに追い込むとともに、大震災津波、原発事故の復興に取り組み被災地にとっては、復興に逆行するものだということです。
今、国民の所得は減少し続け、日本の経済は長期のデフレに陥っています。こんなときに消費税を倍の10%、13兆円の増税、社会保障負担増を含めると20兆円の負担増を行うことは、国民のくらしをさらに悪化させ、日本の経済をどん底に落ち込ませることはあまりにも明らかです。経済が悪化すれば税収も減少し、財政もさらに悪化することは、橋本内閣時代の消費税5%増税以後に大不況に陥り、その後長期の経済の低迷から抜け出せていないことでも明らかではないでしょうか。
被災地にとっては、消費税増税は復興に取り組み県民と事業者にとって冷や水をかけるもので、大震災津波、原発事故に続く「第3の政治災害」ともいうべきものです。今やるべきことは消費税の大増税ではなく、復興のあらゆる取り組みを迅速に、徹底して取り組むことです。
最後に、消費税に頼らず、社会保障の充実と財政の再建を実現する道は、第一に、国民の所得を増やす経済改革を進めることです。そのためには、働くなら正社員があたり前の雇用の改革、260兆円に及ぶ大企業の内部留保を労働者と中小企業に還元させる取り組み、農林漁業、中小企業の本格的な再建による地域循環型の経済の確立が必要です。第二に、民主的経済改革と併せて、応能負担に基づく税制の改革が必要です。軍事費や大型開発、原発推進、政党助成金など歳出のムダの削減と、歳入面では大企業や大資産家にゆきすぎた優遇・減税している税制の抜本的な改革が必要です。
こうした国民の立場に立った改革を進めるなら、消費税に頼らずに、社会保障の充実と財政再建ができると日本共産党は具体的な財源を示し提言しています。
以上申し上げ発議案第2号に反対の討論といたします。ご清聴ありがとうございました。