2012年10月12日 9月定例県議会本会議
請願の不採択に対する高田一郎県議の反対討論
日本共産党を代表し請願第4号、請願39号の一部不採択に、請願44号、46号、47号の不採択に対し反対の討論を行います。
請願第4号は、東京電力福島原発の早急な収束と原子力発電所の撤退・再稼動中止及び自然エネルギーの本格的な導入を求める請願であり、請願39号は、放射能汚染対策を求める請願です。
原発事故の収束や放射能汚染対策を強化すること、再生可能エネルギーを強力に推進することは当然であります。しかし、定期点検中の原子力発電所を再稼動させないことや原発からの脱却を目指す請願項目を不採択したことは請願者の趣旨に反するもので賛成することができません。
福島原発事故は「収束」するどころかその被害は拡大し多くの被害者の方々が先の見えない苦しみの下に置かれています。そもそも原発再稼動の条件はまったく存在しないということです。
第一に、事故の原因究明が緒についたばかりであり、政府がとりあえず必要とした30項目の安全対策もとられていません。
第二に、「日常生活や経済は混乱する」といって政府が再稼動を進めたことは、まったく根拠のない脅かしだったことはこの夏を乗り越えることができたことを見ても明らかであります。関西電力は大飯原発を再稼動しなくても、政府が「最低限必要」とした3%を超える余裕があったという試算を明らかにし事実上再稼動は必要がなかったことを認めました。
原発事故のリスクはあまりにも巨大であり、原発ゼロに伴って起こる問題を原発事故の巨大な危険と天びんにかけることは問題です。
原発からの撤退は福島原発事故の教訓であり、即時原発ゼロは以下の点で可能であります。
@再生可能エネルギーの導入可能量は20億キロワット以上になり、原発54基の40倍(環境省)です。これは原発ゼロを決断してこそ爆発的な取り組みを進めることができることを示しています。当面国民的な節電の努力とともに、火力発電による電力確保が必要です。地球温暖化問題もあり、あくまでも(5〜10年の)過渡的な措置とすべきで、その間に再生可能エネルギーと低エネルギー社会への取り組みを強めることです。
A再生可能エネルギーと低エネルギー社会への取り組みが広がるほど電力コストが下がる効果があり、それはドイツなど先進国の取り組みからも明らかです。
B原発からの撤退こそ日本経済の持続的な成長を実現することができるからです。
C福島原発事故から1年7ヶ月、国民世論が大きく変化し原発ゼロを求める国民の声が圧倒的多数になっており、請願採択は国民世論にも応えるものです。
次に請願44号は、米軍輸送機オスプレイの配備撤回・訓練計画中止を求める請願です。
各地で事故を繰り返しているオスプレイが世界一危険といわれる普天間基地に配備されています。すでに日米両政府が合意した運用ルートが飛来初日から踏み破られ、沖縄では島をあげて反対運動が繰り広げられています。沖縄に駐留する米海兵隊は沖縄で訓練し、中東やイラク、アフガンなどの戦争に出かけて活動する殴りこみ部隊であります。日本の安全保障とは無縁であり、軍事的緊張を高めるものです。しかも、岩手を含め国内各地で低空飛行訓練を計画しており、国民の安全や命に関わる重大な問題です。明確な反対理由もなく不採択となったことは大変問題と言わなければなりません。知事会も反対しており達増知事も「容認できない」と議会で明確に述べているにもかかわらずこれに反対した民主、自民、地域政党いわての責任は重大です。
次に請願46号は、医療従事者の増員と夜勤改善で安全・安心の医療・介護を求める請願です。
看護師の配置基準は7:1と見直しが行われました。しかし、構造的な看護師不足の中、「医療構造改革」による診療報酬、及び入院日数が大幅に短縮させられ、看護の業務量が激増しました。にもかかわらず看護師の抜本的増員策が放置されてきたために超過密労働が増大し、看護師不足が深刻化しているのです。県立病院でも年次休暇も取れず、病気休暇や退職が出ています。
一方、介護現場でも介護報酬の見直しなどにより深刻な人材不足になっています。福祉の志を持って介護の現場で働く人たちが次々と燃え尽きており、これは介護制度の存続に関わる事態です。
厚生労働省は勤務条件の改善を求める通知を出しています。しかし、GDPにしめる医療費はわずか8%とOECD諸国の中で平均以下、医師・看護師などの医療従事者が極端に少なく、国際比較で最低クラスになっている社会保障費の増額こそ行うべきです。
生きがいと誇りをもって働きつづけられる労働条件・職場環境をととのえることは、離職を防ぎ医療と介護従事者を増やす決め手です。医療と介護現場の労働条件の改善、ゆとりを持って働ける実効ある施策を講じることは国責任です。
最後に、請願47号は子どもの医療費助成制度の拡充を求める請願です。
子育て安心の政権公約掲げた民主党政権の下で、子ども手当ての廃止と児童扶養手当の所得制限、年少扶養控除の廃止がおこなわれました。加えて雇用規制緩和による不安定労働の広がりなど、子どもを生み育てる環境はますます悪化し子どもの貧困問題も社会問題となっています。
子育ての経済的負担を軽減することは少子化対策の重要な施策となっており、制度の拡充は公的医療保険制度を補完する制度として多くの自治体に広がっています。小学校3年生まで6県、小学校卒業までが6都道府県、中学校卒業まで6県となっていますが、岩手は就学前となっており東北で唯一償還払いです。
どこに生まれ住んでも、等しく安心して子育てができる環境を作ることは政治の責任です。ましてや国庫負担の減額措置でペナルティーを課すことは自治権の侵害でもあり、請願採択は当然です。
以上が、反対する理由であります。ご清聴ありがとうございました。