2012年10月16日 決算特別委員会
知事に対する総括質疑大要


1、住宅再建への抜本的な支援について

【斉藤委員】
 日本共産党の斉藤信でございます。大震災津波の復興の課題について知事に質問します。
 被災者の最も切実な要望は、住宅の確保です。「仮設住宅で葬式を出したくない」「早く家を再建したい」「公営住宅に早く入居したい」、この声はどこでも強く寄せられた声です。県と市町村で住宅新築・購入に100万円の補助を実施したことは歓迎されています。しかし、国の支援を含めても住宅を再建することは困難です。陸前高田市では、高台に新築する場合、水道整備に200万円、取り付け道路に300万円、宅地造成に50万円、浄化槽設置に115万円、さらに地域産材の活用で50万円の補助、合計上限ですが715万円の補助を決めています。市町村独自の補助は広がっていますがどう把握されているでしょうか。

【達増知事】
 被災者向けのものも含め住宅の新築やリフォームに関する補助事業を把握した上で、県のホームページ等で公開している。それによると、被災者の住宅再建に対する市町村独自の支援としては、陸前高田市のほか、大船渡市で敷地造成や水道工事に対して最大230万円の補助、釜石市と大槌町でも支援を検討中だと聞いている。

【斉藤委員】
 沿岸市町村を具体的に答えていただきたい。

【理事】
 沿岸部12市町村のすべてにおいて、何らかの形での支援が行われている。
 主なものとして、宮古市については、地域木材の利用の住宅推進事業費ということで、上限が30万円、太陽光の関係でも措置されており上限が20万円。
 山田町では、快適リフォーム支援事業ということで20万円、太陽光関係が10万円、浄化槽の関係が73万5000円。
 大槌町では、木造住宅新築増改築助成事業ということで、限度額50万円。以下は、昨日補正予算が可決されたということなので、被災新築住宅支援事業補助金ということで150万円、区画整理事業等にかかる被災住宅債務利子相当額の助成として金利2%相当ということで上限150万円、被災者引っ越し補助金10万円、住宅移転等水道工事費助成金200万円といったようなものなどがある。この他にも大槌町の場合には、浄化槽の関係等が措置されている。
 釜石市についても、リフォーム関係で20万円、耐震補強工事の関係で上限60万円、木材利用関係では利子相当額の上限120万円、宅地の安全促進事業として、崖等の所有者が対象となるが400万円が上限となっている。浄化槽や新エネルギーの導入支援等の措置もある。
 大船渡市については、宅地の敷地の造成費補助が30万円、住宅移転等水道工事補助金が200万円となっている。
 陸前高田市では、地域材の利用促進に50万円、住宅移転等水道工事費の補助に200万円、浄化槽の関係で上限83万8000円、取り付け道路に300万円、住宅再建の敷地造成費補助に50万円。この他に、バイオマスだとか太陽光の導入への補助がある。

【斉藤委員】
 被災地で住宅建設を支援しようというかつてない取り組みが広がっている。宮古市も、これに負けない支援策を12月議会までに打ち出すということだった。
 住宅の新築に平均どれだけの費用がかかっているでしょうか。県の災害公営住宅の場合、1戸当たりの費用は建物だけではいくらでしょうか。造成費用を含めればどれだけになるでしょうか。

【達増知事】
 国交省が公表している住宅着工統計によると、平成23年度の県内の持ち家の平均工事費は2005万円となっている。
 県の災害公営住宅の1戸あたりの建設費だが、規模により異なるが、おおむね1500万円から2000万円程度であり、すでに設計が完了した3団地192戸では、1戸あたり1630万円となっている。
 造成費用については、宅地・田畑・山林等の現況により変わるため一概には言えないが、例えば水田の造成が必要となった野田村野田地区では、1戸あたり54万円となっている。

【斉藤委員】
 公営住宅の場合だと、1戸あたり2000万円以上はかかると。住宅を再建するというのは大変な課題である。特別の支援策がなければ進まないと。そして住宅確保の基本は、持ち家支援だと思うが、県としてもさらに100万円以上の支援をすることが必要ではないか。

【達増知事】
 これまでも、機会あるごとに国に対して、被災者生活再建支援金の増額を要望してきたところである。また、県としても限られた財源の中で、今年度から新たに復興基金を活用して住宅再建に際して最大100万円を市町村と共同で補助する「被災者住宅再建支援事業」などを実施している。
 このようなことから、まずは現行の支援制度を最大限に活用していただくとともに、国に対しては引き続き被災者生活再建支援金や復興基金の拡充を要望し、被災者の住宅再建を支援していく。

【斉藤委員】
 沿岸市町村ではかなり大胆な支援をしている。そういう支援をしなければ持ち家再建が進まないということである。それから見たら、岩手県の100万円の補助というのは市町村と共同のものである。
 もし持ち家ができなかったら災害公営住宅になる。災害公営住宅をつくれば建物だけで1戸あたり1500万円〜2000万円かかる。
 被災者へ支援をした方が、災害公営住宅の希望を減らし、被災者の希望に応えられるのではないか。県独自にさらに上乗せを検討すべきではないか。

【達増知事】
 災害公営住宅に関しては、所有の資産また収入等から、どうしてもそちらでなければならないという方々が多数いらっしゃるだろうということで、災害公営住宅はしっかり整備していかなければならないと考えている。
 住宅再建の支援については、やはり被災者生活再建支援金の増額という形で、国おいては、個人資産に対する法的助成というものは基本的に抑制的という基本方針があるが、今回の大津波にともない大きな被害が出ており、また個々の家の被害ということにとどまらず、町全体・村全体が大きく被害を受けているといった特殊事情にも鑑みて、やはり国の制度の被災者生活再建支援金の増額ということを求めていきたい。
 また、県や市町村が独自に補助しているのは、復興基金の活用なわけだが、そういった私有財産に対する補助というところがどうしても難しいということであれば、復興基金の拡充というところで対応するよう国に要望していく所存である。

【斉藤委員】
 鳥取県が鳥取中部地震のときに300万円の補助をして、集落を維持されたと。こういうことも含めて、被災者生活再建支援金の増額は我々も緊急な課題だと思っている。しかしそれ待ちにならずに、県もさらなる上乗せの支援を検討すべきである。


2、希望者全員が入居できる災害公営住宅について

【斉藤委員】
 釜石市の被災者アンケートの中間報告によれば、5000世帯対象で2625世帯の集約のうち、復興住宅への入居希望は1061世帯、40.1%を占めました。53%の集計ですでに釜石市の災害公営住宅の計画1046戸を上回っています。希望者全員が入居できるように県の計画も見直すべきと考えますがいかがでしょうか。

【達増知事】
 現在県では、3231戸の災害公営住宅を建設する計画だが、各市町村で行っている被災者の意向調査の結果を踏まえながら、市町村とも相談の上、柔軟に計画を見直していく。

【斉藤委員】
 釜石のアンケート結果は、かなり衝撃的なものだと思う。時間が経過すればさらに持ち家再建の希望が縮小してしまう。だから持ち家を最大限支援する方向と、希望者全員が入居できる公営住宅の建設、この2つを明確に打ち出して、被災者に希望を与えることが必要ではないか。

【達増知事】
 県の復興計画でも、生活の再建ということで、住まいの確保を最重点の1つに掲げているところであり、持ち家再建支援、災害公営住宅の建設を組み合わせて、被災者の皆さんに希望が持てるような対応をしっかりしていきたい。

【斉藤委員】
 災害公営住宅は、希望者は基本的に入居できると理解していいか。

【達増知事】
 持ち家再建の支援ということと災害公営住宅の建設を組み合わせながら、暮らしの再建ということで、被災者の皆さんに希望が持てるよう対応していく。

【斉藤委員】
 木造戸建て、木造の公営住宅の計画はどうなっているでしょうか。漁業者の場合、2世帯、3世帯の家族が普通です。漁業集落では、庭で仕事ができる木造戸建てを基本に取り組むべきと考えますが、知事はどう考えているでしょうか。

【達増知事】
 県としては、より早く十分な戸数の災害公営住宅の建設が重要であり、十分な建設用地が見つかっていない現状においては、中高層の集合住宅を中心として整備せざるを得ず、また庭の確保についても難しいと考えているが、今後も市町村と十分に相談しながら、災害公営住宅の計画を進めていきたい。
 なお市町村が中心となって進めている比較的規模の小さな災害公営住宅については、地域の個別のニーズを勘案し、木造戸建ての災害公営住宅を整備する予定である。
【上野副知事】
 現在県が建設を予定している災害公営住宅については、野田村において2戸1棟の長屋形式だが30戸の木造の災害公営住宅の建設を予定している。
 市町村の建設する災害公営住宅について、戸数はちょっと積み上げをまだしていないが、洋野町・久慈市・野田村・田野畑村および岩泉町で木造戸建ての災害公営住宅を建設する計画がある。

【斉藤委員】
 市町村ロードマップでは、木造の公営住宅は合計で533戸である。
 漁業集落の場合、2世帯3世帯が多いと。本当に木造戸建ての住宅を真剣に検討すべきだと思うがいかがか。

【達増知事】
 生業の再生という一大方針の中で、水産業の再生は非常に重要である。また岩手は大企業による遠洋漁業等というよりは、身近な浜での養殖さらにはウニやアワビといった漁業もあり、そうした浜での生産活動というものがしっかりできるような、生業の再生という産業政策、水産業復旧・復興政策とも連携しながら、浜に暮らし生業・水産業を振興していくことができるようにしていきたい。

【斉藤委員】
 ぜひ漁業集落にかみ合った公営住宅を考えていただきたい。
 集落とコミュニティを維持した高台移転、集団移転をはかるべきです。持ち家と公営住宅をセットにしたまちづくりに取り組むべきと考えますが、実態はどうなっているでしょうか。

【理事】
 昨年度策定した県の復興計画においては、まちづくりのモデルとして、コミュニティを維持して、集団で高台に移転することが掲げられており、各市町村においても復興・まちづくりを進める上でも重要な観点として、コミュニティの維持に配慮しながら高台移転等の計画の具体化が進められているところである。
 現在、各市町村とも、移転者の方々の意向も踏まえ、各地区における災害公営住宅の整備を含む具体的な計画が策定されているところであり、現時点では、どの程度持ち家と災害公営住宅の一体的な整備が行われるかは確定していないところだが、例えば先日10月10日起工式が行われた田野畑村の漁業集落防災機能強化事業では、4地区計118戸の高台移転の計画において、4地区とも持ち家と災害公営住宅が組み合わされているところである。
 県としては、今後ともコミュニティの維持に配慮したまちづくりが推進されるよう、市町村の復興・まちづくりを支援していく。

【斉藤委員】
 野田村の高台移転も、持ち家と災害公営住宅、どちらかと言えば公営の木造戸建ての方が多い。そうして公営に入りたいという人も、同じ集落・コミュニティで再建できるように、用地の問題はもちろん関わるが、最大限そういう方向で進めていただきたい。


3、事業者の再建と雇用の確保について

【斉藤委員】
 被災した事業者の再建を急いで進めることは雇用の確保にとっても緊急の課題です。知事の意気込みを示したグループ補助の9月補正を生かすために、東北3県の知事が先頭に立って、政府に対し臨時国会の開催とグループ補助の早期の予算化を求めるべきと考えますが、知事は具体的にどう働き変えようとしているでしょうか。

【達増知事】
 グループ補助金については、5月に実施した4次公募では、43グループの申請にたいし21グループの採択ということで、今回9月補正で採択とならなかったグループに対応する分を措置した。しかしながら、この事業は国庫補助事業として実施するものなので、国における早期の財源措置が必要不可欠である。今後もあらゆる機会をとらえて国にたいして要望を行っていく。

【斉藤委員】
 インパクトのある取り組みが必要だと思う。臨時国会は開かれる様相だが、補正予算が出るかどうか分からない。これは岩手でも宮城も福島も切実な課題である。3県合同で首相に直訴するということが必要ではないか。

【達増知事】
 被災3県でもさまざま今連絡を取り合って対応を調整中であるので、そうした複数県での要望も取り組んでいきたい。

【斉藤委員】
 中小企業資産修繕費補助事業の実績はどうなっているでしょうか。被災資産復旧事業費補助の実績はどうなっているでしょうか。事業者の再建は数年かかるものです。単年度で終わるのではなく、数年規模で取り組むことが必要です。また沿岸だけに限定せず、全県が被災地として取り組むことが必要ではないでしょうか。

【上野副知事】
 昨年度実施した修繕費補助は、427者に交付決定し、県と市町村合わせた補助金額は15億1900万円余となっている。復旧事業費補助は9月末時点で114者に交付決定、3億2100万円余となっている。
 修繕費補助は、津波により甚大な被害を受けた沿岸市町村において、地域経済の再生と雇用の場の確保を図るために、修繕をすることによりいち早く事業の再開が可能となる事業者を支援することを目的としたものであることから、単年度の事業としたものである。復旧費補助については、資産が全壊・流出した事業者の方々の本格復旧というものを支援することを目的としたものであり、対象となる事業者には、土地利用の関係から本格復旧が来年度以降にならざるを得ない事業者の方も少なくないと聞いている。このため、地域におけるまちづくりと進捗状況などを勘案しながら、来年度以降の事業継続を検討していきたい。
 全県を対象とした支援だが、県の単独で行っている補助事業については、活用できる財源に限りがある中ではあるが、今般の震災においては、津波被害が甚大だったことから、修繕費補助および復旧費補助については、沿岸市町村を対象として実質要しているものだが、全県を対象とした支援については、内陸部の市町村や商工団体などからも意見を聞きながら検討していきたい。

【斉藤委員】
 検討していくと、一歩前進と受け止めたい。
 一関市での商工関係の被害をどう受け止めているか。

【上野副知事】
 詳細は把握していないが、内陸部でも地震による被害は大きいと受け止めており、そうした中で、内陸の事業者の方々も含め、被災により支援が必要な方々もいると認識している。

【斉藤委員】
 一関市は、立派な震災の取り組みをまとめている。商工関係は580事業所75億円の被害である。釜石市並みの被害である。すべてのグループ補助でも何でも全県が対象である。沿岸だけが対象ということではない。県全体が大震災・地震津波の被害である。
 修繕費補助でも、宮古市は、今年修繕したいという希望にたいし6000万円の補正を組んだ。状況を鑑みれば、1年で済むような事業ではない。住宅支援も5年である。こういうスパンで修繕費補助も復旧費補助も考えるべきではないか。

【上野副知事】
 ご指摘のあった事業者への支援については、今回の地震・津波による被害というのが、全県や東北全体にわたり広範囲で甚大なものであるということも十分踏まえながら、地域の商工業者の方々のご意見、自治体の方々のご意見もよく聞きながら検討していきたい。

【斉藤委員】
 二重ローン対策は、知事が国の復興構想検討委員会に提案して実現したものです。債権買い取りのこれまでの実績はどうなっているでしょうか。本格的な活用への課題は何でしょうか。

【達増知事】
 県内事業者の債権買取件数は、9月末現在で、産業復興機構によるものが25件、事業者再生支援機構によるものが16件、計41件となっている。
 現時点では、本設再開に向けた事業用地が定まらないために、資金需要が本格化するまでにまだ時間を要しているが、今後相談していく事業者も見込まれるところである。
 このため県では、くににたいし、相談窓口である岩手県産業復興相談センターの事業を当面継続してもらうよう要望する一方、産業復興相談センターでは、仮設店舗や事業所を訪問し、相談案件の掘り起こしや継続的なフォローアップを行っている。さらに県では、今月18日から職員をセンターに派遣することとしており、センターとの連携強化により相談支援体制の一層の充実に努めている。


4、漁業・水産業の再生について

【斉藤委員】
 漁船の確保の実績、各漁家へ最低1隻確保するためにはどれだけ必要でしょうか。来年度までに6800隻という計画は、さらに上乗せ見直すべきではないでしょうか。漁民は段階的に船の確保を考えています。数年規模の事業が必要ですがどう取り組まれているでしょうか。
 養殖施設の整備実績、がんばる養殖・がんばる漁業の取り組むはどうなっているでしょうか。
 水産加工業の復旧状況、売り上げ状況はどうなっているでしょうか。

【達増知事】
 漁協等による共同利用漁船整備への支援だが、これまでに漁船は震災後約6000隻が新規登録され、被災を免れた漁船を合わせると被災前の5割強、約8000隻程度が稼働可能となっている。
 6800隻の整備は、漁協等からの要望をもとに、復興実施計画の補助事業を活用した平成25年度末の整備目標として掲げているものであり、今後とも漁船の整備については、漁協等の要望を確認しながら必要隻数の確保に努めていく。
【上野副知事】
 養殖施設整備の実績、がんばる養殖、がんばる漁業の取り組みだが、県では漁協からの要望に基づき、養殖施設の整備を進めている。9月末までに、被災前の5割となる約13000台が復旧しており、今年度内には約16000台まで復旧を終えている。
 がんばる養殖については、9月末現在、9つの漁協24グループの養殖復興計画が、またがんばる漁業については、サンマ網、沖合底引き網、定置網漁業にかかる3件の漁業復興計画が認定され、取り組みが開始されている。今後とも漁協の要望を踏まえながら、国の補助事業を活用して支援していく。
 水産加工業の復旧状況、売り上げ状況だが、水産加工事業者生産回復支援事業(通称:大和補助)だが、これに採択された事業所にたいし、県が9月に行ったアンケート調査によると、回答者84者のうち、工場の新設や加工設備の導入により、まず生産能力については、生産能力が被災前の6割以上に回復した事業者が50者・59.5%、出荷額については、被災前の6割以上に回復した事業者が37者・44%となっている。

【斉藤委員】
 漁船の確保、養殖施設も来年までである。数年規模、5年ぐらいの規模で漁船を段階的に確保するというのが漁民の要望なので、これをどのように考えるか。

【上野副知事】
 委員ご指摘のように、漁船の復旧復興については、通常の災害復旧に比べ長い年月を要すると考えている。そのため、今までに漁船についてのいろんな形での補助制度を活用して申請したものについての、繰り越しの手続きの弾力化、それから今後やむを得ず申請ができなかった方々がいるとすれば、そうした方々のための事業あるいは予算制度の継続、こうしたことについてすでに国に要望しており、こういったことをきちんと確保していきたい。


5、放射能汚染被害と原発ゼロの政治決断を

【斉藤委員】
 岩手県における東京電力福島第一原発事故による放射能汚染の被害状況は、分野ごとにどうなっているでしょうか。
 福島県の被害、岩手県の被害は原発事故の異質の危険性を示しているのではないでしょうか。放射性廃棄物の処分の見通しもない原発は即時廃止すべきではないでしょうか。

【総務部長】
 原発事故による被害は、県内各地において、生活環境から各種産業の風評被害にいたるまで多岐に及んでおり、いまだに県民生活が脅かされる状況と認識している。県民の不安が払しょくされていない状況と認識している。
 産業関係の被害額は、現在把握しているだけで、農林水産関係の被害額は114億8000万円余、商工関係は19億5000万円余で、自治体関係の損害額も9億2000万円余となっている。これについては、いまだ収束しないということで、今後さらに増加していくものとみている。
 県としては、市町村や他県と連携しながら、原発事故の原因者である東電にたいして、これはすべての損害について、十分な賠償を行うよう強く要請していく。それとともに、県民の暮らしや生業を守るため、さまざまな対策に全力をあげて取り組んでいく。
【達増知事】
 原発事故、原発事故のあり様について、昨年3月の原発事故により原子力の安全性に対する国民の信頼性が大きく揺らぎ、経済効率性の確保に比重を置いて進められてきた原子力政策とエネルギー政策全体の見直しを余儀なくされているものと認識している。
 こういった中で岩手においては、原子力発電所の誘致はしないこと、また県としてのエネルギー政策は、今後一層再生可能エネルギーの積極的な導入に取り組み、エネルギー自給率の向上を図っていくという基本的な考え方を確かなものにしていきたい。

【斉藤委員】
 岩手県としてどうするかというのはいいが、原発というのはまさに日本の政治の問題。
 福島原発事故の異質の危険性、その被害の状況―国民の多数が今原発ゼロを求めている。そこに踏み込むべきではないか。

【達増知事】
 原子力の安全性について、国民の信頼は大きく揺らいだと思う。そして今までの原子力政策とエネルギー政策の全体の見直しを余儀なくされている状況だと思う。
 そうした中で適切に、国としての政策が決定されていくべきと考える。