2012年10月17日 決算特別委員会
復興局に対する質疑大要
・仮設住宅の環境改善について
【斉藤委員】
風呂の追いだき、物置きの設置状況は、希望戸数がどう推移し現段階でどこまで整備されたか。
仮設の空き室、入居待ちの状況はどうか。空き室はどのように現段階で活用されているか。
【生活再建課総括課長】
9月30日現在、風呂の追いだき機能の追加については、設置希望のあった8384戸にたいし7996戸95.3%が完了している。物置については、11030戸にたいして9035戸81.9%が完了している。
仮設住宅の空き住戸については、10月5日現在で1108戸、うち倉庫や談話室、応援職員宿舎等として572戸活用し536戸が空き室となっている。入居待ちについては、10月16日現在、7市町で251世帯となっている。このうち、新規の入居希望世帯は62世帯であり、189世帯はすでに入居している世帯の中で追加の住戸を希望する方々だとか、他の住戸への転居を希望をする方々となっている。
【斉藤委員】
追いだき、物置きの設置は、仮設住宅入居者の切実な声がやっと届いて、今年度になってやっとこれが実施になった。希望戸数の推移を見ると、6月8日 から9月30日までに希望戸数が100戸増えている。物置きもだいたい同じような感じである。復興特別委員会で聞いた時には、10月末まで受け付けるということだったが、入居待ちの人たちが251世帯、新規で62世帯ある。そういう意味でいけば、そういう活用も含めて整備が図られる必要があるのではないか。空き室があるにも関わらず入居待ちの人がいるというのは、希望する団地が違うというのが主な要因と受け止めていいか。
【生活再建課総括課長】
追いだき、物置きの設置については、今後新たに入居される被災者の方々に対応するために、現在空き室となっている住戸についても、入居が見込まれるものについては、市町村からの要望により整備を行っている。
空き室だが、当該市町村内において、希望を上回る空き室を確保、戸数的には入居が可能な状況だが、希望する場所でないという理由により入居待ちになっているものである。
今後は、被災者の生活再建が進むにつれ、空き住戸が増加してくる。これらの有効活用により入居待ちの解消等を図っていきたい。
【斉藤委員】
仮設住宅の方々にお聞きすると、今はホテル・旅館が圧倒的に不足している中で、特にお盆とか祭りのときに、家族や親戚が来ても泊まるところがないと。空き部屋や集会所を活用させていただきたいという声がある。市町村管理になっているので、市町村判断で可能だとは思うが、実際に活用されている例もあると思うが県の考え方をお聞きしたい。
またみなし仮設だが、これは2年間の契約でさらに1年延長ということまでは出された。報道を見ると2年間契約でやっているので、契約延長できないという住宅を持っている方々、30件以上と聞いているが、現段階で契約延長がまだ確約されていないのがどのぐらいいるか。それについてはどういう対応がされるのか。
【生活再建課総括課長】
家族・親戚等の空き部屋・集会所等の活用だが、集会所等への家族・親戚の方々の宿泊については、市町村や自治会の判断により柔軟に対応していただきたいと助言させていただいている。
みなし仮設の延長だが、4月17日付で厚労省から仮設住宅の共用期間を1年間延長することとされたことから、県では関係団体等との調整だとか宮城県等との情報交換を行い、本年8月6日に民間賃貸住宅の貸主の方と入居者に契約期間の延長を希望するかどうかの意向を確認するための文書を遅らせていただいた。その結果、10月9日現在で、みなし仮設として契約している民間賃貸住宅3295件のうち、入居者が延長を希望するということで回答されたのが2948件、このうち貸主から同意が得られていないものが30件、貸主から返信がないものが81件となっている。また入居者から返信がないものが184件あり、このうち貸主から同意が得られていないのが6件、まだ貸主から返信がないものが13件となっている。現在同意が得られていない貸主にたいし、電話等により状況の確認、何とかお借りできないかというお願いをさせていただいている。また、入居者や貸主から回答のないものについては、改めて意向確認の文書を送らせていただいた。何とか引き続きお借りしたいが、貸主の事情もさまざまであり、同意が得られない場合については、被災者の希望に応じて他の民間賃貸住宅だとかプレハブの仮設住宅を提供するなどの支援を行っていきたい。
【斉藤委員】
仮設住宅、みなし仮設住宅での生活が一定程度の期間継続せざるを得ないと思うので、引き続き環境改善に全力で取り組んでいただきたい。
・被災者アンケートの結果について
【斉藤委員】
県が今年の2月3月に行った被災者アンケートで、暮らしの再建に関わって被災者がもっとも重視している課題は何か、ニーズ度はどうなっているか。
【生活再建課総括課長】
復興に関する沿岸部の県民意識調査の結果によると、暮らしの再建の分野においては、重要度の高いものについては、1番目が「医療機関や社会福祉施設などの機能回復」、2番目が「学校施設等の復旧・整備」3つ目が「雇用の確保」となっている。
医療機関や社会福祉施設などの機能回復については、被災した施設の修繕や設備・備品等の再取得等の支援を行っているほか、学校施設等の復旧整備については、被災した県立学校の復旧工事や新校舎建設、市町村立学校の復旧の支援、雇用の確保については、就職面接会の開催や就業相談等の実施などに取り組んでいる。
ニーズ度については、重要度と重なるが、住宅再建などのニーズが高くなっており、また仮設住宅での生活が長期化しているということで、特に心と体のケアが重要な課題だと認識している。このため、住宅再建については、本県独自の住宅再建支援制度の創設だとか、一人一人の復興計画づくりを支援するための相談会の開催を行っており、心と体のケアについては、保健師等の全戸訪問による健康調査だとか生活習慣病などの防止実施などきめ細かな支援に取り組んでいる。
【斉藤委員】
改めてこの調査を受けて、被災者の方々が被災地で生活するために必要な医療・福祉・教育といったセーフティーネットを早く整備することが必要だと痛感した。
・住宅ローン問題について
【斉藤委員】
これから被災者が生活再建をする土台は住宅の確保だが、その最大の障害になるのは住宅ローンの問題である。被災地における住宅ローンの件数は把握しているか。
個人版私的ガイドラインについての相談件数、債務整理開始申し出件数、債務整理成立件数はどうなっているか。
【生活再建課総括課長】
住宅ローンの相談件数については我々では把握していない。
個人債務者の私的整理に関するガイドラインの相談件数と債務免除件数は、10月12日現在で、個人版私的整理ガイドライン運営委員会に寄せられた相談件数は全国で2965件、岩手支部が受理した件数は636件となっている。債務整理の成立件数は、全国では88件、岩手支部分は18件となっている。申し出件数は全国で380件、岩手で98件となっている。
【斉藤委員】
住宅ローンの問題は本当にこの間進まなかった。10月1日付で東北財務局が、金融機関に対して、かなり立ち入った通知を出した。「住宅ローンを抱えている方々に。個人版私的整理ガイドラインのパンフレットを丁寧に説明しなさい」と。この精神で取り組めば、かなりの程度の相談や債務減免の状況をつくれるのではないかと思う。県議会でも請願を採択し、県にも周知徹底を求めているが、どのように取り組まれているか。
【生活再建課総括課長】
県としては、ガイドラインの周知を図るために、いわてグラフやテレビ・ラジオ・ホームページなどの県の広報媒体の活用だとか、県外や内陸へ避難している被災者へのチラシの送付、岩手弁護士会等の関係機関と連携し、沿岸4地区で市町村職員だとかNPOのスタッフ等を対象とした説明会の開催など、ガイドラインの周知に努めてきた。
10月1日付の東北財務局通知においては、ガイドライン利用のメリットや効果等を、金融機関の営業の第一線において丁寧に説明することだとか、条件変更を行っている債務者を除外することなく改めて利用を提案することなどについて、対応の徹底を金融機関に対して要請している。
県としても、被災者に対しての金融機関によるこれらの対応がガイドラインの利用促進を図る上で、きわめて重要と認識している。東北財務局盛岡財務事務所等関係機関と緊密に連携し、さまざまな機会をとらえて、金融機関に対する効果的な働きかけをしていきたい。
【斉藤委員】
住宅ローンの問題について、被災地の弁護士がかなり頑張って掘り起こして、仮設をまわってやっている。実際に申請すると、運営委員会で対応するが、人によって全然対応が違うと。一定の収入があれば対象にならないと。これは弁護士が厳しく指摘している。そういう改善も含めて、周知徹底を県としてもやっていただきたい。
・災害関連死について
【斉藤委員】
今日の報道でも、岩手県の認定率が東北3県で一番低いのではないかという指摘があるが、申請数、認定の状況、審査中の状況はどうなっているか。
認定数の中で、認定された主な要因はどうなっているか。
不服申し立てや再審査請求について、きちんと周知徹底を図るべきだと思うがどう対応しているか。
【生活再建課総括課長】
災害関連死の認定状況は、8月末現在、県内市町村への災害関連死の申し出件数は589件、うち災害関連死として認定されたのは305件、111件が不認定、審査中が173件となっている。
県が受託している災害弔慰金等支給審査会において、災害関連死として認定された事案の分析によると、その原因として、避難所等における肉体的・精神的疲労によるものが約4割、病院の機能停止により十分な医療を受けられなかったもの等によるものが約3割、十分な介護を受けられなかったものや地震・津波のストレスによる肉体的・精神的負担によるものがそれぞれ1割となっている。
市町村の決定にたいし、不服がある場合の取り扱いについてだが、行政不服審査等による異議申し立てだとか、行政事件訴訟法による刑事訴訟などが提起できるところだが、これらの手続きをとることになると被災者の方々に負担になるということもあり、市町村に対しては、再審査について柔軟に対応するとともに、ご遺族等に対して周知するよう通知だとか、説明会等で周知させていただいている。
【斉藤委員】
東北3県の中で申請件数が一番少ないのだが、審査中で残っているのが一番多い。特別の体制をとって、迅速に十分に審理してこの問題の打開を図っていただきたい。
その際、申請者からのきちんとした調査、意見聴取をやることが必要ではないか。今後どのように対応されるのか。
【生活再建課総括課長】
市町村においては、審査に必要な書類を、遺族からの聞き取りのほか、病院・介護施設等から収集している。
県では、本県独自の審査基準の策定だとか、審査の留意点を明示した市町村への審査資料の作成以来等により、市町村が必要な調査を適切に行い、審査が迅速に行われるよう努めている。
災害関連死の審査にあたっては、市町村が必要な調査を積極的に行うということが大変重要であるので、改めて県から10月1日付で各市町村にその旨を通知をした。
【理事】
災害関連死については、審査中の案件が結構な数にのぼっているということもあり、審査基準の策定だとか市町村に対する審査資料の作成についてのさまざまな留意点等を示して、審査の効率化を図っているが、これに加え今回9月補正で承認いただいた、審査回数を月1回から2回に増やすといったものがあり、今後とも公正かつ迅速な審査に努めていきたい。