2012年10月17日 決算特別委員会
政策地域部に対する質疑大要
・震災対策―市町村への職員派遣状況について
【斉藤委員】
昨年度、今年度、要請数にたいしてどれだけの職員が派遣をされたのか。不足数はいくらか。
来年度はどういう段取りになっているか。
【市町村課総括課長】
23年度は、要請数171人にたいし全員派遣を決定されている。
24年度当初においては、要請数245人にたいし240人の派遣決定がなされ、おおむね要請数を満たしたところである。その後、復興事業の進展にともない、被災市町村から年度後半に向けての追加派遣の要請があり、10月1日現在で、要請数371人にたいし281人を派遣決定、90人の不足数となっている。
来年に向けての対応だが、現在被災市町村から要請数をとりまとめているところだが、復興事業の本格化にともない、本年度を上回る要請数となることが予想されている。このため県においては、新たに任期付き職員の採用による派遣職員の確保に取り組んでいるほか、引き続き県内市町村への派遣要請や総務省を通じた全国自治体への派遣要請を強力に進めていく。
また都道府県等にたいし、被災市町村とともに、被災地の現状だとかさらなるマンパワーの必要性をこれまで以上に丁寧に説明させていただきながら派遣要請をしていくこととしている。
今後とも、国および市町村と協力しながら、あらゆる手段を講じて必要な人材の確保に取り組んでいきたい。
【斉藤委員】
私も被災自治体をうかがって、いろいろ状況を聞いてきたが、全国で人員削減してギリギリの中で応援しているわけなので本当に頭が下がる思いだが、3ヶ月交代、6ヶ月交代、1年交代と。仕事を覚えるとすぐ交代となってしまう。このサイクルの交代はどのぐらいの比率でなっているか。
【市町村課総括課長】
全281名のうち、6ヶ月が13人で4.6%、6ヶ月未満が37人で13.2%、残りが1年以上で82.2%となっている。
【斉藤委員】
来年度はさらに今年度を上回る派遣要請ということなので、現場は、できれば1年ぐらい通して仕事をしてくれると大変助かると。大槌では、都市整備課という復興を担う部署というのも三十数名、地元の職員はたった4名である。そういう形で用地交渉は全国のいろんな訛り言葉でやられて、最近は住民も慣れてきて「ご苦労さま」と会話が成り立つと、こういう話も聞いてきた。来年度さらに派遣要請が多いということになれば、さらなる手立て・対策が必要になっているのではないかと思う。
・市町村職員の採用について
【斉藤委員】
市町村の復興が8年10年というスパンになるとなれば、おそらくその期間での応援はもらえないと思う。ここ数年というところではないか。そうすると、今の時期に市町村が独自に職員を採用して戦力にしていくということも必要だと思う。思い切った職員の採用、臨時職員の採用、緊急雇用対策の活用などの手立てが必要ではないか。
【市町村課総括課長】
被災市町村における本年4月1日の新規採用者数は135人となっている。22年4月1日の63人と比較し72人の増となっているほか、再任用等さまざまな採用、制度の活用を図っている。
これらの正規職員のほか、緊急雇用対策等を活用した臨時職員について、本年4月1日現在で、1257人採用しており、22年度末の967人と比較し290人の増となっている。
【斉藤委員】
必要派遣要請数は、大槌が101名要請して69人派遣決定と。陸前高田市の場合には、必要数が68人で58人の派遣決定となっているが、陸前高田市の場合は正職員で69人が犠牲になっている。臨時職員を含めると100人が犠牲になっている。陸前高田市は少し遠慮しているのではないかという感じもするが、やはり必要な規模、仕事の規模、市町村に行くと予算が平年の6倍7倍になっている。それが通常年の10%ぐらい増えたぐらいでは対応しきれない仕事の規模になっているのではないか。そういうところもよく見て対応していただきたい。
・盛岡市から派遣された職員の自殺問題について
【斉藤委員】
この教訓をどう生かしているかについてお聞きしたい。
7月の出来事で、4月に派遣された技術職員だった。派遣先の仕事内容が、自分の専門と違った漁協・水産関係だったと。こうした問題や派遣先での労働環境などの問題があったのではないかとの指摘もされているが、この点について、派遣を受け入れた自治体では、どのように検証し改善策を講じているのか。また労災の申請などもされているのか。
【市町村課総括課長】
受け入れ先市町村での対応だが、この事件を受けて当該市では、メンタルヘルスのあり方を再考し、面談表を新たに作り、幹部職員が個々の職員と直接面談する等々、いろんな取り組みをしているところである。
労災については、盛岡市から手続き等の説明等々をしたというところまでは確認したが、何分にもご遺族のプライバシーに関わることなので、それ以降については確認まではしていない。
【斉藤委員】
岩手県はかなりまじめにこの問題については取り組んでいることは承知しているが、しかし本当に残念な事態も発生したわけなので、絶対こういうことは繰り返さないと。
被災自治体というのは、職員が自ら被災しながら骨身を削って仕事している。逆にいけば、被災自治体の職員はみんな同じ思いだからあまり矛盾が起きない。応援に行った人とのそういうズレはあると思う。
技術者であっても、専門が違えば仕事が大変である。丁寧にそうした問題について今後やっていただきたい。こういう不安があれば派遣も進まないので。
・地域のコミュニティ紙について
【斉藤委員】
震災復興ミニコミ紙発行事業費856万円について、これは広域振興局が行った事業ということだが、具体的にどういう事業だったのか。
被災地に行って感じてきたのは、例えば釜石や大槌で、地域新聞、釜石市は独自に支援し釜石新聞とかフライキといったものが発行されてきた。大槌でもやっと地域新聞発行という報道があった。自治体の復興の取り組みが日常的に住民に知らされる、こういう情報提供というのは復興を進める段階で重要である。こういう支援はすごく求められていると思う。
【県北・沿岸定住交流課長】
震災ミニコミ紙情報発信事業だが、沿岸広域振興局の宮古地域振興センターが緊急雇用創出事業を活用して、5名を採用する形で、地元の民間会社に委託する形で月3回ほど心通信という形で発行しているものである。これは仮設住宅に入居している被災者の方、宮古4市町村を出身地として、内陸に避難されている方に定期的に発行していると聞いている。
・被災地の交通確保について
【斉藤委員】
三百数十の仮設団地、特に平場から遠い山間その他に建設され、特に高齢者が多いわけで、かなりきめ細かい交通対策が求められているのではないか。私が訪問した仮設住宅でも必ず足の確保は出てくる。
お年寄りの場合、500m先にバス停があるといってもなかなか大変である。釜石では、オンデマンドタクシーが試行に入ったということで、必要なときに必要なところまで迎えに行って帰ってくると、350円程度で。大変今の高齢化社会とか仮設住宅の状況からいっても機能的な取り組みだと思うが、被災地における交通確保の実態、対策はどうなっているか。
【交通課長】
現在市町村においては、国の調査事業等を導入しながら交通の確保を進めているが、現時点において対応を要する団地が23年9月では42団地あったが、9月末現在で7団地になっている。
また高齢者の方々も多く住んでいるが、500m以遠にバス停がある団地だが、そういった高齢者あるいは道路の状況等によって非常にバス停まで歩いていくのは大変だという状況も確認している。こういったことから、市町村においては、実際の利用者や仮設住宅にお住まいの方々からお話を聞き、その実態を把握し、それに対応した方法について、今般釜石で運行がされた予約型のタクシーの運行だとか、あるいは道路が狭くて大型バスが入っていけないところは、10人以下のタクシーを運行するなどして、きめ細かい対応をしている。
【斉藤委員】
対応が必要な団地が42団地から7団地に減ったと。ただその基準は、最寄りの停留所まで500mあるかないかである。
いま高齢化社会の中でそういう基準もあるのかもしれないが、仮設で生活しているお年寄りの実態からいったら大変である。それで外に出なくなってしまったらますます孤立化や運動不足、必要な病院にも行けないということになるので、生活実態に合った必要なきめ細かな対策を講じていただきたい。