2012年10月18日 決算特別委員会
花泉診療所の民間移管問題における集中審議での質疑大要
・医療法人への調査について
【斉藤委員】
検証報告案の最大の欠陥は、破たんした医療法人白光側を調査していなかったことである。破たんしたのは、民間医療法人の診療所である。なぜ、破たんした医療法人を調査しなかったのか。
【医療局長】
医療法人白光の破たん、撤退については、昨年の9月の特別委員会以降ずっとさまざまなやり取りを行いながらやってきており、その中にさまざまな理由や橋本会長からもいろんな話もうかがっており、それは文書として、あるいは我々への質問状といった形でいただいているので、その辺については把握した上で行っているので、改めて行う必要はないと考えている。
【斉藤委員】
社会福祉法人七星会の理事会の公式の場で、橋本氏が、どうして花泉診療所を受けることになったのか、その経過について公式に発言してペーパーまで出た。
最近の新聞報道だと、今日の新聞では、「公募前から県との間で契約内容は固まっていた」「知事との電話はあった」と。今でもこの問題は撤回していない。こういうことを調査しなかったら調査にならないではないか。
【医療局長】
社会福祉法人の理事会という公式の場で、理事長がいかなるペーパーを配って、いかなる発言をしたかについては、我々は把握していない。それが議事録に載っているかどうかも把握していない。
有床診療所をお願いしているのは医療法人であるので、社会福祉法人は、10年間を有床でやるというのとは基本的に別な位置づけだと思っている。
【斉藤委員】
保健福祉部長、答えていただきたい。
【保健福祉部長】
社会福祉法人七星会の理事会の議事録等は確認していない。
【斉藤委員】
重大な発言が新聞報道に出ているのに、確認しようともしていない。内輪の調査である。内輪の調査も部下がやっている。
当時の医療局長、保健福祉部長、知事の関与が問われている。部下がそんな調査ができるか。第三者の調査権限のある人が、知事や部長を調査しなかったら、内輪の調査にもならない。
【医療局長】
調査という言葉が適切なのかは分からないが、いろいろ電話や議会でも確認されているが、その中で知事も毎回お答えしているので、それをさらに確認するというのは、議会というのは一体何なのかという話になり、議会での発言の重みはそれなりに重い発言であるので、そういう意味では知事も真摯に対応されており、我々の職員も過去にそういった質問を受けた際には、やはり真摯にお答えしているところであり、その発言の中身の真偽云々ということは適当でないと考えている。
・知事と医療法人白光との癒着について
【斉藤委員】
問われている最大の問題は、医療法人白光との癒着の疑惑である。その1つが、知事と医療法人会長との関係である。私は第三者の証言を受けて、公募が問題になる前から、知事から会長に電話があったということを議会で取り上げてきた。これは第三者の証言を受けているから取り上げている。知事はただ否定しているだけである。今もこの問題は出てきた。だったら確かめなければならない。この発言は当事者から否定されていない。
そして昨年の知事選挙の際、数十万円の資金を提供しようとした。一度は受け取った。膨大な滞納をしている個人が、普通の関係だったら知事に献金することは考えられない。これも返したか、返さないかということも、不透明だと思うが、そういう関係だったというのは癒着の1つの現れである。そういう意味では、ぜひ最終日に知事を呼んで集中審議をしていただきたい。
・民間移管の経過について
【斉藤委員】
医療法人白光が1月28日に民間移管に名乗りをあげた。これ以降、急速に民間移管への取り組みが進められた。2月16日、医療局長は一関市長に会って、白光とも会った。どちらに先に会ったか。
【経営管理課総括課長】
最初一関市に行き、その帰りに白光に訪問した。
【斉藤委員】
1月28日に白光が、この時には無床化反対の運動が起きていた時である。そのときに民間移管に名乗りを上げた。これを受けて医療局長は何をやったか。名乗りを上げたことを踏まえて、どのような利活用を考えているか説明した。その後白光に足を運んだ。公式には。話が逆ではないか。白光から話を聞いて、一関市長に会うならともかく、先に一関市長に会った。新聞報道を前提に。だいたい新聞報道を前提に一関市長に会いに行くものか。もうこのときに民間移管の方針を決めていたのではないか。
【医療局長】
いずれ民間移管の話は、20年の12月議会でも答弁等で出ており、そういった流れの中で具体的に名乗りを上げた法人が出てきた場合には、それはそれで具体的に地元の意向も確認するというのは不自然ではないと思う。
【斉藤委員】
当時は、無床化反対で署名がたくさん集められたときだった。そのときに、あなた方は新聞報道だけを根拠に、一関市長に会った。それを受けて3月6日、医療法人白光が臨時社員総会を開いて、診療所の開設および定款の一部変更を決めている。医療局が公式には示していないのに、あなた方の動きと気を一にして、診療所を開設する定款の変更をしている。勝手に変えられるのか。もうこの時からあなた方の民間移管の方針は決めていたのではないか。
【医療局長】
定款変更については、過去に委員からご指摘があり、一連の経過の中に載せているが、定款変更の理由については、我々許認可長でもないので、その詳細は把握していない。
【斉藤委員】
だから医療法人白光を調査しないといけない。あなた方はなぜこんな勇み足でやったのか。どういう話があったのか。あなたは当事者じゃないから分からないだけである。当時の医療局長、そして電話をした知事から聞かなければ分からない。あなた方ができなかったら第三者を調べるしかない。
本当に異常な経過になっている。あなた方が公式に民間移管を議題にしたのは4月23日、第2回地域診療センター等懇談会で。無床化に反対して強行された直後だった。こういうところでも公式に民間移管の方向を打ち出し、4月23日に民間公募の方針が示されている。
そして6月8日に、その医療法人からの紹介で、花泉診療センターに医師1名採用されている。21ページに「民間公募とは別に、医療法人からの紹介により旧花泉地域診療センターに臨時の嘱託として医師を平成21年6月8日付で採用している。当該臨時医の嘱託は、応募申込書の人員配置計画において、有床診療所の責任者とされていた」と。公募する前に、公募に手を上げている白光からあなた方は紹介を受けて、それは所長候補だった。その人が試運転のような形で採用したと。異常な癒着ではないか。これはまともなことか。
【医療局長】
これは医療法人白光からの紹介により採用している。勤務実績は8月21日までということである。
その後、白光に採用されたと聞いているので、8月の申請時において、候補者として白光の申請書に載っていることは不思議ではないと考える。
【斉藤委員】
公募前に、公募に手を上げている医療法人から、その紹介で所長候補を採用した。その当時の花泉診療センターは永井先生である。私は永井先生に「必要性はあったか」と聞いた。「必要性はなかった」と。「私が知らないうちに採用された」と。これははぜ辞めたのか。7月6日から8月21日勤務で。
【医療局長】
昨年の12月の緊急質問の中でも、理事会での発言でこういう話があったかは分からないが、1月に、医療法人の会長からは、いろいろな話をされ、それは質問状として私も受けている。その中で、医療局から頼まれて紹介したという話があったが、委員おっしゃるのは永井先生からお話を聞いているということで、斉藤委員の話ですと、そもそもあそこは2人で十分で、医療局から頼んで採用するような話ではないという整理になるが、それはさておき、なぜ辞めたのかということについては、県立病院の医師支援は、医師招へいが担当しているので、なかなか直接的には答弁しづらいので私から答弁するが、県立病院の医師はご案内の通り非常に皆さん優秀で、医療行為とかカルテの処理はテキパキとやっている。中には、招へいして入った場合に、そういった職場の中になかなか合わないというこのはよくあることで、そうした場合には別の処遇を求めて辞めていかれるというのは、一般例としてある。
【斉藤委員】
医療法人白光からの紹介というが、誰が紹介したのか。そしてこの採用は誰が決めたのか。永井先生とは相談があったのか。
【医師支援推進室長】
非常勤職員の任用については、直属の病院長が任用することとなっている。
当時の花泉診療センターの親病院は磐井病院ということで、磐井病院でそういう手続きをとった。
誰から紹介があったかということについては、当方の当時担当していた職員に確認していたところ、当時複数の方とやりとりしていたので、医療法人の誰かというところまで特定はできなかった。ただ、担当職員を確認した際には、医療法人から電話で情報提供いただいたということで、医師の招へいに動いたという状況である。
【斉藤委員】
電話で紹介されてすぐ採用したと。そんな電話ですぐ決まるぐらいの癒着だったということである。このぐらい異常なことはない。磐井病院の院長が決めたという話ではない。医療局である。
なぜ1ヶ月ももたなかったかというと、使いものにならなかったからである。残念ながらそうだった。そういう医師しか医療法人白光は紹介できなかった。これをしっかり受け止めるべきだった。
公募は、わずか26日、医師を複数確保して、入院ベットを運営するときに、たった1ヶ月足らずの公募期間で、応募できるところはない。あなた方が話をつけていた白光しかなかった。異常だとは思わないか。
【医療局長】
今般の検証においては、応募する側にも配慮した公募期間とすべきだったと検証させていただいた。
【斉藤委員】
シナリオができているからこんな無謀なことをやった。異常である。沼宮内を見たら分かる。まともな民間医療法人がやろうとしたって簡単にできないのが実態。ましてやこれは両磐二次医療圏の中でやる気のあるところと。しかし医療法人白光は有床診療所の運営経験もまったくなかった。
私は、一関医師会の会長にも、福祉関係の方々にもたくさん聞いた。「あそこだけにはやらせるべきでない」というのが一関の関係者の声だった。私は議会でもこのことを紹介した。あなた方も知っているはずである。法人の適格性は最初から問われていた。それを聞く耳ももたず癒着通りにやった。
・事業計画の中身について
【斉藤委員】
事業失敗の最大の問題は事業計画にあった。事業計画の核心は医師の確保である。
平成21年8月27日のヒアリングで、常勤2名、非常勤3名確保したと言っているが、氏名も何も示されなかった。21年9月1日に法人に確認した時には、2人だけ履歴書を出した。10月6日に9月県議会で議論したときには、もうその1人は消えて、別な人ともう1人になっていた。平成22年3月25日、事業計画の見直しを出した。このときには、最初に決めていた2人は跡形もなくなっている。そしてあなた方はこれを認めた。ところが、4月1日開設のときには、1人の常勤しかいなかった。しかしこの医師は病気で、4月以降一人も診れなかった。常勤医師不在でスタートした。私はこれを繰り返し指摘した。医師の確保の根拠があるのかと。3月25日、こういう指摘にも関わらず、事業計画の見直しを認めて、数日後の開業のときには、常勤医師は不在だった。なぜこのような見逃し方をしたのか。
【医療局長】
今般の検証においても、医師確保については、法人の個人的人脈に期待しすぎたといった点を反省すべき点として検証した。
【斉藤委員】
失敗してから反省している。県議会の指摘に聞く耳もたずで、それぐらい深刻だった。
8月27日にヒアリングし、事業計画を認定した。そのときの理由として、「収支計画に若干の不安があるものの、医師の確保は会長の人脈等により確保され、地域の需要が高いと考えられる。医師確保の見通しが明るく―。」と。医師確保の見通しがあるから認めた。しかしなかった。これはあなた方は審査やり直ししなければならなかった。それを分かりながらもしなかった。この責任は重大ではないか。
【医療局長】
審査は、公平・適正に行われたものと認識しており、今にしてみればということは多々あると思う。私もいろいろ会長の人脈という関係で、入院を継続するかどうかという時に何度かお会いし、「医師は2人確保できている。明日にでも面接する」という話はいろいろ聞かされてきたが、そういう結果にはならなかったが、その点についても、やはり人脈に信頼を置きすぎたという点は反省点かと思う。
【斉藤委員】
あなた方は失敗してから反省している。しかしそういう問題点は議会の場で、本会議でも決算でも環境福祉委員会でも徹底して議論された。この民間移管はたった1票差だった。そのぐらい疑惑が大きかった。しかしあなた方はそれに1つも耳を貸さずに癒着のまま暴走した。それで失敗したというのがこの間の経過である。
・検証のまとめについて
【斉藤委員】
検証のまとめが書いているが、「今後民間移管の活用を検討する場合」とあるが、本当はだめである。「今後検討する場合」ではない。「今回失敗した理由は」と書かなければいけない。「移管先法人の適格性の審査にあたり、法人から提出される事業計画の精査はもちろん、これまでの法人の実績や総合的な審査に基づいて、医療専門家等も交えて十分行うべきである」と。私が指摘した通りではないか。県議会で指摘された通りのことがまとめではないか。
【医療局長】
今般の検証にあたっては、一連の手続きについても検証したということで、議会のいろんなご指摘も踏まえていろいろ検証しており、委員ご指摘のような項目が入っていても不思議ではない。
【斉藤委員】
この検証結果の結論は間違っていないと思う。ただ失敗してから気付いた。この指摘は県議会で繰り返しやられてきた。それに耳を貸さずにやった。その背景に何があったか、医療法人白光とのとてつもない癒着である。その疑惑がいま問題になっている。それが怖くて法人を調査できない。
この検証報告書を見て、本当に県議会ではこういう指摘があったと書いている。その指摘をどう受け止めて、どうやったかが一つもない。県議会でいくら指摘されても、無視して暴走した。そして失敗した。結局は指摘通りだった。
そういう点で、こんな内輪の弁解がましい検証報告ではいけない。きちんと癒着の解明をすべきである。みんなが納得するように、みんなが疑問を持っている。
こういう話もある。橋本氏は、「もう6月の段階では話は煮詰まっていた」と。保健福祉部長に一関の職員が呼ばれて督促されている。申請書作りに。こうやって動員されている。だからあなた方は「2回しか医療法人と会っていない」ということしか書けない。いつ誰が医療法人と会ったかと書いたら、癒着を証明することになってしまう。詳らかにすべきである。あらゆる医療法人白光との話し合いを、あなた方の加担を明らかにし、そうすればおのずと癒着は出てくる。
そういう点で、ぜひ最終日には、知事も呼んだ集中審議と、参考人も呼んでやっていただきたい。