2012年10月18日 決算特別委員会
医療局に対する質疑大要


・2011年度の決算の状況について

【斉藤委員】
 患者数が入院、外来ともに減少している中で、経常収益が黒字になった。この主な具体的要因は何か。
 先ほど消費税の議論があったが、転嫁できない、自腹で払っている消費税の額はいくらだったのか。そして平成元年以来の累積の自腹で払った消費税の負担額はいくらか。

【経営管理課総括課長】
 経常収支の黒字だが、看護職員の増員等により、入院収益において診療単価の増加につながったこと、またこれまで主に入院で行われていたガン化学療法や検査の外来移行を進めたことにより、外来収益においても診療単価が増加したところである。こういったことで、医業収益で平成22年度に比較し、10億6600万円余の増収となったところである。一方費用については、医業費用で給与費の増加があったものの、材料費の抑制や医業外費用で支払い利息の減少等があったことにより、若干の増加にとどまったことから、経常利益・経常収支は22年度に比較し、8億8100万円余の増益となり、9億7000万円余の黒字を計上できた。
 消費税の実負担額だが、17億8600万円の負担額と申し上げたが、実際この負担にたいし、国が診療報酬において補てんしたとされる額10億8000万円余と見込まれる。また一般会計から地方消費税1%に相当する3億3800万円余が繰り入れられており、これらの収入を差し引くと、3億6700万円余と推計している。実質負担額の累計は、139億円余と推計している。

【斉藤委員】
 消費税の累積実負担額が139億円、205億円の中で7割である。消費税が県立病院を圧迫している。もしこれが8%10%になったら、県立病院の存立に関わると思うがいかがか。

【医療局長】
 診療報酬そのものが非課税措置ということになっているので、現行制度においては、我々の方ではどうしようもないが、実質負担額を一般会計から繰入金で独自のルールという形で繰入金をいただいたりしているところだが、いずれ10%になれば相応に負担が増えるのはその通りであり、今後診療報酬改定の中において、どの程度その辺が補てんされるのか、そういった制度的な議論、また診療材料費など消費税の係る経費の分をどれだけコストを圧縮してやっていくかと、そういった現実的なところでいろいろ考えながら対応していきたい。

【斉藤委員】
 看護師を増やして単価が上がったというのが収益の1つの大きな要因だと。前年比で医師、看護師はどれだけ増えたか。この5年間ではどうか。

【職員課総括課長】
 24年度当初の正規職員数で見ると、医師は531人で前年度比4名増、看護師は3027人で前年度比14人増となっている。過去5年間では、医師は21人、看護師107人の増員となっている。


・被災県立病院の早期再建整備について

【斉藤委員】
 他の委員からも強くこの問題は取り上げられた。
 高田・大槌・山田の仮設診療所の外来・入院患者の動向はどうなっているか。

【医事企画課総括課長】
 高田病院は、入院患者が8月は933人で1日平均患者数は30人。
 外来は8月の1日平均患者数を前年度と比較し、高田病院は1日平均220人で前年同期が221人、大槌病院は1日平均80人で前年同期は93人、山田病院は1日平均88人で前年同期73人となっている。

【斉藤委員】
 先ほどの答弁では、高田病院の医師数は11人、大槌が4人、山田が3人ということで、外来患者数はほぼ前年並み、山田は15人増加している。
 県民意識調査について復興局で聞いたが、いま被災者が何を一番求めているか、「病院の再建、医療の整備」である。これはまさに被災地の再建のセーフティーネットである。本当にそういう意味では最優先課題だと思う。再建整備の最大の課題は、用地の確保だと思うが、各病院再建の用地の確保・検討状況はどうなっているか。医療局はどういう立場で取り組んでいるか。

【経営管理課総括課長】
 再建に向けた用地については、医療局としては、津波の被害を受けない高台であること、早期に工事が着手可能な場所であることという条件を基本として、候補地の選定について現在市町村と協議している。

【斉藤委員】
 高田病院の場合は、ほぼ市の土地利用計画でも定まっている。そして高田病院は先行して進めるべきである。
 大槌病院は、院長にも聞いてきたが、やはり安全なところで早くということからいけば、大槌高校のグラウンドが最適だと。できれば医師の宿舎を含めてそこに整備してもらいたいと強い要望を聞いてきた。私もその通りだと思う。この点については、大槌町が小中統合学校の予定地にもしているということで単純ではないが、やはり病院の位置づけというものを、関係町で位置づけが弱いのではないかと思っている。例えば、岩泉とか西和賀とか葛巻とか、自前で持っているところは役場の隣など一等地に病院を建てている。我が病院ということで、自ら医師確保にも取り組んでいる。だから高台だからどこでもいいというわけにはいかない。特に基幹病院と地域病院で違うのは、圧倒的に高齢者が多いということで、高齢者が通いやすい交通の便が良いところでないと使われない。ここが基幹病院と違うところである。24時間患者がいる、職員がいる。そういう病院の機能にふさわしい適地をよく関係町と協議し早く決めるべきだと思うがいかがか。

【医療局長】
 高田病院については、現在土地利用計画の関係について、市の方でいろいろ地域と調整や手順を踏んでいるので、それを合わせながらいろいろ検討していきたい。
 大槌病院については、地元では委員お話のような声が上がっているということである。たしかに県立病院ということで、地元の自治体立病院ではないということで、その辺の違いはある。実際に地元市町において、まず住民の方々の住む場所をどうするかというのが一番の、病院だけがあって住民が住んでいないという話もないので、どっちが先かという話はともかくとして、やはり地域の方々の住む場所をどこにとるかということで地元市町が頭を悩ませている中で、我々でここに早く決めてくれというのはなかなか言いづらいところがあるが、いずれ地元の市町と協議しながらできるだけ早期に確定するよう努力していきたい。

【斉藤委員】
 局長のその程度の姿勢では進まないと思う。
 被災者のアンケート調査で、一番重要な課題となったことである。入院の環境があれば戻れる人も戻れる、高齢者も安心して生活できる。ぜひ局長が先頭に立ってやっていただきたい。
 山田の場合は、消防署とセットがいいという話があるが、これは病院の用地とは無縁である。それよりも、交通の便やまちづくりの一番良いところに病院を整備すべきである。


・看護師の労働条件の改善・増員について

【斉藤委員】
 看護師の月9日夜勤の状況はどうなっているか。
 年次有給休暇の取得状況、生理休暇取得状況については取得している病院を含めて、定年前の退職の状況はどうなっているか。

【職員課総括課長】
 月9日夜勤については、23年度においては、8病院で延べ235人となっている。
 平成23年度の年次休暇の平均取得日数は7.9日、生理休暇は2.3日となっており、22年比で年次休暇は0.7日の減、生理休暇は0.6日の増となっている。生理休暇の取得病院は4病院で、胆沢・中部・大槌・南光病院となっている。
 定年前退職は、23年度の退職者130名について、定年前の退職者は、勧奨退職が29名、その他の普通退職が74名で、22年度比で勧奨退職で1名減、普通退職は5名増となっている。

【斉藤委員】
 今まで月8日夜勤がひとつの歯止めだった。その歯止めが崩されている。本当に深刻な事態である。
 年次有給休暇は、中央病院は5.4日、胆沢が5.9日、久慈が6.6日、軽米が5.9日である。医師並みにしか取れていない。そういう状況で、自分が必要な休暇もとれない。
 定年退職については、定年まで勤められないという事態になっている。年間130人辞めているが、看護師の新規採用は何人か。

【職員課総括課長】
 24年度における看護師の正規職員は132名となっている。

【斉藤委員】
 130人辞めて132人の新規採用では合わないと思うが、それぐらい少ない。
 普通退職が74人もいる。特に途中退職がある。これがほとんど補充されない。こういう状況を考えて、しっかり新規採用を増やすべきである。
 医労連が1260人の看護師のアンケートをとった。うち500人は県病の看護師である。「大幅に仕事が増えた・若干が増えた」68%、その中身は、「在院日数制限が強められて、入退院が激しく、繁忙をきわめている」「患者ケア以外の業務が大幅に増加している」「救急患者が病院に集中して患者が重症化している」「看護記録や事務的な業務に追われている」「直接の看護業務以外の会議・委員会が増えている」と。同じ時間でも、仕事の密度が強化になり、そして肝心の患者に寄り添う余裕がなくなっている。この問題の抜本的な改善を求めたい。


・今後の医師確保の見通しについて

【斉藤委員】
 いま226人の奨学生がいるが、今後どれだけの数がどのように県立病院に配置される見通しか。
 臨床研修医、後期研修医、これまでどのように県立病院に定着しているか。

【医師支援推進監】
 奨学生は、今年度末は12名卒業の見通しである。それ以降、25年度は21名、26年度は18名、27年度は18名、28年度18名、29年度15名となっている。
 研修医の定着状況だが、18年度から24年度までの間に、初期研修後に採用された医師は181名、この間の臨床研修医347人にたいし52.2%にあたる医師が県立病院に残っている。
 後期研修医の定着状況だが、20年度から24年度の間に、後期研修中の医師が翌年度に県立病院に残った率は平均で61.3%となっている。

【斉藤委員】
 奨学生が今後そういう形で20名近く配置されると。これはこの間の1つの成果だと思う。
 そして臨床研修医、後期研修医を含めて、半分から6割が県立病院に定着していると。これは明るい見通しだと思うので、足りないというだけでなく、こういう見通しも示しながら病院の充実を図っていただきたい。