2012年10月19日 決算特別委員会
企業局に対する質疑大要


・一戸町高森高原への風力発電の開発について

【斉藤委員】
 今回の開発計画は私も歓迎したい。久々の前向きの取り組みである。
 若干懸念されることをお聞きするが、風況調査を見ると平均で6.0mと。5月から10月は6mを下回っていると。本当にこれで大丈夫なのか。
 環境調査で、本格的な環境アセスはこれからだが、これまでの猛禽類の調査や電波調査などもやられているようだが、その内容について示していただきたい。

【電気課長】
 高森高原の平均風速だが、年平均で毎秒6mということで、6mがちょうど風力開発の場合の目安とされている。ただし、6mというのは、平成12年から1年間、観測高で30mの高さで風況観測したものであり、現在は風車が大型化しているので、来年度からは観測高は60m程度で風況調査を実施し、データの精度を高めていきたい。
 環境調査の関係だが、平成14年度から17年度までには猛禽類調査、電波調査など簡易な環境調査を行っている。猛禽類については、ノスリやクマタカが見られたが、建設には問題ないと判断している。

【斉藤委員】
 クマタカは、レッドデータブック掲載種なので、ここは慎重にやっていただきたい。葛巻の場合も、かなり風車の距離を置いてそうした対策をとったということもあったので。
 収支の見通しだが、20年間の収支の見通しはどうなるか。その際の固定価格買い取り制度の価格はどう設定して試算しているか。

【電気課長】
 20年間の収支の見込みだが、収益は約200億円、営業費は約181億円で19億円の黒字を見込んでいる。
 固定価格買い取り制度の単価を採用するわけだが、これは毎年見直しをするということで、ある程度現在の収支見通しでは、ある程度単価の低下を見込んで採算性を検討している。実際には今後のことになるが、実際の収支については、今後事業費の精査を行うとともに、買取単価の変化を見ながら経済性を再確認していきたい。

【斉藤委員】
 今後の開発のプロセスだが、環境アセスに3年程度かかると。蓄電池併設型の風車ということで、事業者の決定はどうするのか。維持・管理はどう考えているか。日本の技術では対応できないのかどうか。

【電気課長】
 風力発電設備は、現在どこの会社の物を使うかは未定だが、日本製の風力発電設備については、特に大きな問題が発生しているとかは聞いていないので、日本の風力発電の技術水準は高いものではないかと認識している。
 建設が終わった後、発電機本体については製作メーカー、機械自体が技術の塊、ハイテク機器の塊になっているので、そこについては製作メーカーや代理店等に委託せざるを得ないものと考えているが、設備の簡易な充実とか、送電線も設置するので、そういう設備については地元の工事会社などに委託できるのではないかと考えている。

【斉藤委員】
 事業者の決定のプロセスだが、これはどの時期に、環境アセスが3年ということで、入札なのか、プロポーザルなのか。どういうことを考えているのか。

【電気課長】
 事業の設計を行い、事業費等を精査し、その後に機種選定委員会を設定しており、そこで審議して決めることにしている。基本設計が終わった後に選定委員会を開き、機種のメーカーを決めて、メーカーに発注するというプロセスになると考えている。


・稲庭高原風力発電について

【斉藤委員】
 これは外国製で、今でも落雷でやられて修理に何ヶ月かかかるという状況だが、いま落雷対策で対応できるという技術レベルになっているのか。

【電気課長】
 稲庭を建設した当時には、あの地点で今受けているような雷被害があるとは誰も理解していなかったと考えている。
 稲庭については、その後雷対策、機械を全部取り換えれば一番良いかもしれないが、事業費がかかりすぎるので、それぞれできる対策をしてきている。1つは、外国製の機械だったもので、日本の風には合わなかった機械ということで、制御装置などは全て国産のものに取り換えており、落雷警報装置の設置などを行っている。


・簗川ダムの水力発電について

【斉藤委員】
 これは当初計画にあって止めた。この止めた経過を示していただきたい。簗川ダムそのものを見直すべきだと思っている。これは100年経ったら大変な廃棄物になる。その撤去費用もかかる。

【業務課総括課長】
 平成5年3月に、企業局が発電事業者ということで、簗川ダム建設事業に関する基本協定を締結したわけだが、その後平成15年に、企業局が簗川ダムから発電撤退を表明している。その理由は、電力小売りの部分自由化が当時競争激化が予想される中で、ダム完成までに相当期間ある簗川ダムについては、東北電力から開発同意が得らえれる見込みがないと、さまざま協議を重ねたが、そういった事情で撤退を表明した。


・工業用水道事業について

【斉藤委員】
 工業用水の転用の売却益が27億円だったと。3月の予算委員会では22億800万円だったと聞いたが、27億円になったのはどういうことか。
 そして、これは全体の貯水容量でどのぐらいの割合か。北上工業団地その他で活用できなかったために余ったと。災い転じて福となすなので、そういう過大投資の状況があったのではないか。

【業務課総括課長】
 27億3000万円というのは税込みになっており、いま改良工事をやっている部分については除いているので、以前いくらと申し上げたかは覚えていないが、その辺の差が出ているのかもしれない。
 水源転用にかかる部分というのは、入畑ダムの推計が52000トンであり、うち35000トンになる。
 余ったということは見通しが甘かったということかと思うが、工業用水道というのは、企業誘致の前に整備するために将来の企業立地をある程度予測しながら規模を設定するので、実際はその計画水量とのかい離が生じたということかと認識している。