2012年10月22日 決算特別委員会
警察本部に対する質疑大要


・東日本大震災津波の警察本部の取り組みについて

【斉藤委員】
 大震災津波において、人命救助、遺体捜索、安全確保など、県警本部の取り組みはどのような実績になっているか。

【警備部長】
 発災発生直後、県警では、本部および全警察署に災害警備本部を設置するとともに、地震発生当初から被害情報の収集や被災住民の避難誘導、避難広報、被災者の救出・救助、行方不明者の捜索活動等に約1100人態勢で対応するとともに、発災当初から全国警察の広域緊急援助隊等の応援を受け、救出・救助、緊急交通路の確保等の災害警備活動に取り組んできた。その後、被災地での警戒警邏、犯罪の予防・検挙、交通規制等を実施したほか、小中学生の登下校時における警戒、女性サポート隊による防犯指導、相談要望への対応など、避難住民の支援活動を行い、被災地域における安全安心確保に努めてきた。

【斉藤委員】
 人命救助や遺体捜索の実績はどうなっているか。

【警備部長】
 人命救助活動等については、発生当初、被災地を管轄する警察署の警察官が住民や消防の方、あるいは自治体職員の方々とともに多数の住民を救助したと認識しているが、何人を救助したのかは特に集計はしていない。
 ただし、困難な現場、例えばがれきに覆われ腰まで水に浸かりながら救助したとか、火事が迫る倒壊家屋の中からの救助、倒壊家屋に残された高齢者を救出し背負って搬送したなど、こうした救助の人数については35人と把握している。

【斉藤委員】
 資料によると、全国的には3750人が被災者の救出・救助をしたと。15000体以上の遺体を発見・収容したという数が出ているが、岩手県警の分の数字はないのか。

【警備部長】
 その他に、先ほど述べたように、住民の方、消防の方、自治体職員の方と一緒に救助した人数は136人であり、その他に3月12日や13日にヘリで透析患者であるとか傷病人を搬送した人数が26人と把握している。

【斉藤委員】
 戦後最大の大災害であったので、1年7ヶ月余が経過し、それなりにこの間の取り組みというのはしっかり整理されておくべきである。
 惨事ストレス、警察官の心のケア対策について、この間3度にわたり調査をしているようだが、これはどうなっているか。

【警務部長】
 警察本部では、今回の震災における惨事ストレス対策として、昨年4月に全職員を対象としたストレスチェック表を活用したPTSD等のリスク評価を実施するなど、職員の心の健康状態の把握に努め、これらの結果に基づき、心のケアが必要な職員に対しては、医師・臨床心理士等による個別面接、あるいは集団教養等を実施してきたところである。
 さらに昨年9月から第2回目、本年4月から第3回目ということでストレスチェック表を活用した同様のリスク評価を実施して、心のケアが必要な職員に対しては、引き続き個別面接等を行うなどケアを続けている。

【斉藤委員】
 どれだけのリスクが高い職員がいたのか。

【警務部長】
 第1回目のストレスチェック表による調査結果としては237人、第2回目が87人、第3回目が47人となっている。


・超過勤務の状況とサービス残業について

【斉藤委員】
 苛酷な仕事をされてきたと思うが、昨年度における警察本部職員の超過勤務時間は、年間・月いくらか。超過勤務手当の支給額・時間は、年間・月でいくらか。
 支給分の超過勤務時間はどうなっているか。

【警務部長】
 昨年度の警察職員の超過勤務時間については、職員1人当たり年間平均超過勤務時間数は約426.1時間、これを月平均に換算すると約35.5時間になる。
 超過勤務手当の支給については、支給総額が18億3726万円余であり、職員1人当たりの支給時間では、年間平均支給時間数が約307.2時間、月平均で約25.6時間である。
 なお、これらを比較すると、年間では118.9時間、月では9.9時間の比較となっている。

【斉藤委員】
 昨年は東日本大震災津波の取り組みで、前年比月2時間程度しか残業が増えていないというのは少ないような気がするが、それでも超過勤務手当と比べると119時間不支給である。賃金が下がって、これだけ苛酷な仕事をしているときに、これだけの不支給というのはサービス残業、不払い労働だが、警察本部長はどのように受け止めているか。

【警察本部長】
 超過勤務についてだが、改善すべき課題だと認識している。部内の署長会議や課長会議等においても、細かく具体的に指導しており、改善には努めている。
 また不要不急の業務の削減に努めるとともに、突発的な事件・事故に対処する必要がある場合には、所要の措置を講ずるなど、対策を講じていきたい。

【斉藤委員】
 本当に苛酷で献身的な取り組みをされてきたと、そういう職員に対して、一方で賃下げされて、サービス残業まであるということを、第一線で働いている警察官にとってみれば許されない事態だと。
 私の試算だと、だいたい年間37万円不払い賃金になると思う。県警本部はまだ超過勤務時間を把握しているので、本庁よりまだ誠実だと思う。しかしこの差は放置していいということではないので、全力をあげて解消に取り組んでいただきたい。


・交通信号機の設置状況について

【斉藤委員】
 昨年は52機の要望に対して17機と。毎年設置件数が減っている。その前年と前々年は26機だった。要望が切実なわりに信号機の設置件数が減っている理由は何か。

【交通部長】
 信号機は、交通事故発生の危険性、交通量・道路状況・学校・公共施設等の沿道環境などを総合的に検討し、さらにこれらについて全県的な見地から設置の必要性・緊急性を勘案し、真に効果的な場所から優先して設置している。今後とも限られた予算の中で、真に効果的な場所を選定のうえ整備を進めていきたい。

【斉藤委員】
 2年間で26機から17機に減っているので、そして県内全体からはかなり絞って、緊急性の高いところが要望されている。これだけそういう中で減っているということは問題である。予算が削減されて減っているのか。なぜこれだけ減ったのか。

【交通部長】
 いずれ全県的な見地から、必要性について勘案していかなければならないということで、みなさんの要望に応えられるよう一層の努力をしていきたいのでご理解いただきたい。


・捜査報償費について

【斉藤委員】
 大震災津波の取り組みの最中で、捜査報償費は大幅に激減したためだと思うが、その実績、使途、国費・県費についてそれぞれ示していただきたい。

【警務部長】
 昨年度の捜査報償費については、県費捜査用報償費の執行額は1499万円余となっている。国費については3448万円余となっている。
 執行の用途については、捜査協力者や情報提供者への謝礼、捜査協力者等との接触に際しての交通費や聞き込み・張り込み・尾行等に必要な交通費・通信費などに使用している。

【斉藤委員】
 捜査報償費というのがいわゆる裏金の原資になったと言われているから毎年この問題を取り上げている。ましてや去年は、大震災津波の取り組みで、こんなのを使うような状況ではなかったと思う。
 それで、少年課が22年から23年で増えている。少年犯罪を調べてみたが、少年犯罪は平成15年から9年連続で減少して、昨年は戦後最低記録を更新したと。5年前と比べて半減している。そういう中でなぜ少年課の捜査報償費は増えるのか。

【警務部長】
 それぞれ所属で取り扱う事件の規模や形態、捜査に要する期間などにより異なるものという認識であるので、これが増加した個別具体的な理由については一概に申し上げることはできない。
 ただ、昨年の東日本大震災津波にともなう災害警備活動に県警察として総力をあげて取り組んできたところだが、これと同時に県内各地において日々発生する犯罪に対しても適切に対応してきたところである。

【斉藤委員】
 少年犯罪は激減している。そういう中でなぜ捜査報償費は増えるのかと具体的に聞いている。
 この捜査報償費、監査委員会は監査しているか。そして捜査協力者に対して本当に支払われたのか、そういう監査をされているか。

【監査第二課総括課長】
 平成23年度会計にかかる、警察本部、各警察署の監査は、本年6月から9月にかけて実施した。
 捜査報償費の監査にあたっては、監査対象年度から3ヶ月分を、事前に通告することなく監査時に抽出し、その月の全ての案件について報償費支出にかかる資金前渡清算書、支払清算書、領収書などを点検する方法により実施した。また、これら書類の点検とあわせて、抽出ではあるが、個々の執行状況について、執行捜査官からも必要に応じて事情の徴収を行っている。この際、関係諸帳簿は原則開示されており、謝礼等にかかる物品の購入および情報提供者等の接触にかかる飲食費等について、領収書等により確認している。
 この結果、抽出ではあるが、監査の範囲内においては適正に執行されていると認められている。

【斉藤委員】
 領収書は、捜査協力者の名前が出て、それは実在なのか確認できたのか。

【監査第二課総括課長】
 相手方の名前、捜査対象者の名前については確認している。またその人物が実在するかどうかについては、実際に住宅地図等を持って、その住所が実在しているかどうか、そこまで確認させていただいている。

【斉藤委員】
 その人が本当にもらったかどうかまでは確認していないと思う。この問題はそこまでやらなければならない。


・警察官の拳銃自殺について

【斉藤委員】
 昨年の9月17日に、盛岡西署のトイレで警部補が拳銃自殺をした。私はきわめて重大な、異常な事件だと思うが、この拳銃自殺の原因は何か。

【参事官兼首席監察監】
 そういう事案があったことは事実であり、原因等について、関係者や家族等も含めて調査した。現在も捜査中だが、これといった特定にはいたっていないのが実態である。

【斉藤委員】
 この警部補は6月まで大船渡署の交通課にいたようだが、6月に交通取締のもみ消し事案があり、それを苦にして自殺したのではないかと指摘されている。そういうことはなかったか。

【参事官兼首席監察監】
 そういう事実については確認されていない。

【斉藤委員】
 この方は、懲戒免職になったのか。どういう処分になったのか。

【参事官兼首席監察監】
 死亡した職員については処分できないので処分はない。

【斉藤委員】
 6月に異動した理由は何か。

【参事官兼首席監察監】
 定期の異動である。

【斉藤委員】
 新聞でも大きく報道されたこの事件の原因がいまだに分からないと。それがあなた方の捜査の結果ですね。