2012年10月22日 決算特別委員会
教育委員会に対する質疑大要
・一戸町内の中学校におけるシックスクール問題について
【斉藤委員】
一戸町内の中学校で、昨年シックスクールを発症したという方から最近相談を受けた。
昨年の大規模改造工事の後、4月に体調を崩し、7月1日に専門医に診断していただき、シックスクール症候群と。7月18日から学校に登校できなくなり、今日に至るまでそういう状況になっている。
この問題について、一戸町の教育委員会はどのように対応しているのか。
【学校施設課長】
シックスクールの症状が発症した方が1人あったわけだが、一戸町においては、その後換気対策や学習支援ということで、臨時の職員を自宅等に派遣してきた。
また、建物のTVOCの測定の実施などを行ってきた。
【斉藤委員】
問題は、専門医がシックスクール症候群だと、大規模改造工事による有害物質、空気汚染によって発症したものだと、こういう診断書を発行した。
一戸町が県教委の指導も受けて、TVOCの測定も行った。これは工事は2月24日で終わっているが、測定は実に8月6日である。TVOCの結果は、この生徒がいた教室で400の基準値を超える653という汚染状況が8月の段階で明らかになった。さらに、避難教室として被服室に移ったが、その被服室も測定をしたら、ホルムアルデヒトが8月の段階で基準値を超えたと。二重に被曝してしまった。それで深刻な事態になった。
ところが一戸町教委は、これを大規模工事によるものだと認めていない。なぜこれを認めないのか。岩手県のシックスクール対策のポイントからいっても、奥州市の小学校の例からいっても、きちんとシックスクール症候群発症という形で、万全の対応をとるべきだと思うがいかがか。
【学校施設課長】
大規模工事とシックスクール発症との因果関係ということだが、いずれ町の認識としては、さまざまな要因に起因するものと考えているというようなこともあり、診断が出た段階でどのように判断したかは町に詳しく確認はしていないが、そういったような認識の中で、委員の質問にあった通りだということである。
【斉藤委員】
そういう対応ではいけない。1人の生徒が今でも学校に行けないような事態になっている。
あなた方が徹底しているというシックスクール対策のポイントには、「シックスクール症候群(化学物質過敏症)は、誰でも発症する可能性があります。健康被害をもたらす化学物質は、文科省の6物質、厚労省の13物質だけではありません。また指針値以下だから必ず安全だとは限りません」、「1人でも異常を訴えた場合は、児童生徒全員の安全を考えた対応が必要です。シックスクールとしないための細心の注意を健康被害の未然防止の第一」と。発症した場合の対策まできちんと指示している。
一戸町は、「学校の耐震工事が一因であると推測されるが、すべての原因とまでは言えない。シックハウス症候群の発症は個人を取り巻くさまざまな環境やこれまで化学物質の暴露状態、個人の体質などさまざまな原因に起因するものとされている」と。これはとんでもない話である。専門医の診断書があって、TVOCの測定で基準値を超えて、避難した被服室まで基準値を超えていた。これで因果関係が不明だと言ったら大津のいじめ事件と同じである。大津は、「いじめはあったが、自殺との因果関係は不明」と最初言った。これが大問題になった。不明ではいけない。不明ということになれば、この生徒の体質問題ということになる。二重の誤りを犯すことになってしまう。
県教委のシックスクール対策のポイントから見て、一戸町教委の対応はきわめて不十分、間違っていると思うが、県教委は是正すべきではないか。
【学校施設課長】
一戸町教委の対応に対しては、我々も一緒になりいろいろ検討させていただいたという経緯もある。そういう中で、原因がどこにあるのかというのは、やはり医学的にも確立されていない部分があろうかと思うので、そこのところは引き続き探求していく必要があると思っている。
町の対応自体については、シックスクール対策のポイントにも書いているが、発症後換気対策を実施している、学習支援をしているということもあり、できる範囲でいろんなことはやっているということだろうと思っている。ただ、なかなか医学的な見地から、あるいは別の観点から特定をできるというところまでは至っていないという状況だろうと考えている。
【斉藤委員】
シックスクール対策のポイントでは、「シックスクール症候群などの発症者が出てしまった場合の対応」と書いている。これには、「医師の診断書や意見書等を基に、児童生徒本人や保護者と十分協議して、配慮すべき事項を双方で確認すること」と。専門医の診断がされているのである。TVOCの結果で基準値を超えている。それも4ヶ月後である。4ヶ月間そこで被曝したということである。
奥州市の場合は、原因究明の対策委員会をつくって専門家で研究をした。医師の診断も二重三重にやった。そういう対策をとって、ああいう医療費の助成までやった。一戸は不明だと言いながら原因究明されていない。1年間放置している。
県教委がせっかく奥州市の教訓を踏まえて作ったのだから、県教委自ら作ったシックスクール対策の精神で、きちんと指導すべきである。そして奥州市の場合もそうだったが、TVOCの測定というのを義務付けないと、後から発症したら大変なことになってしまう。そしてどこの市町村でもこういう例が出たら、同じように対策がとられるという風にすべきだと思う。責任をもってしっかり対応していただきたい。
【教育長】
奥州市の知見をもとにそういうポイントを示したところであり、各市町村において…ただあくまでポイントであるので、県教委からの是正権限は持っていないわけで、それぞれの実態に応じて、保護者の方々とよく話し合い、少しでも子どもたちにとってよくなる方向に進むよう助言を続けていきたい。