2012年10月22日 決算特別委員会
教育委員会に対する高田一郎県議の質疑大要
・就学援助制度について
【高田県議】
まず最初に就学援助制度について質問いたします。県内の市町村ごとの支給状況、支給率がどのようになっているのか具体的にまず示していただきたいと思います。
【学校施設課長】
市町村ごとの就学援助の支給状況でございますが、まず県全体について説明をさせていただきますが、23年度の支給状況等につきましては、文部科学省の実態調査によりますと、県全体では、要保護と認定された児童、生徒が、1009人、準要保護児童、生徒が、9822人、合わせて10831人。これは、全児童、生徒10万6千331人でございますが、これの10.2パーセントになります。援助総額は、約7億8千万円となってございます。市町村ごとという事でございましたが。すみません23年度につきましては、東日本大震災津波による就学困難となった児童、生徒の就学機会を確保するために、新たに被災地等の関係の就学援助が設けれております。それで行きますと認定された児童、生徒は4429人、全児童、生徒の4.2パーセントにあたりますが。援助額は、約5億7千万円となっておりまして、通常、従来制度と被災の分を合わせますと23年度の総数でございますが、児童、生徒が1万5千260人、これは全児童生徒の14.4パーセント。援助総額は13億5千万円となったところでございます。
【高田県議】
就学援助はご案内の通り、生活に困窮する児童、生徒に対して就学支援をするという学校教育法に基づいて対応されているのですが、県内の市町村の支給状況をみますと、本当に格差があるのです。1.69パーセントの自治体もあれば、久慈市のように24.23パーセント。4人にひとりが支給されていると。こういう開きが実はあるのです。文科省の調査でも実は、岩手の場合は9.24パーセントで下から10番目と言う状況になっています。これは支給率だけではなくて、対象費目についても大変大きな格差があるという事がわかりました。2010年度から支給費目に加わったクラブ活動費、生徒会費、PTA会費については県内で支給しているのは、18市町村。通学費にいたっては17市町村、体育の実務用務費については16市町村。これぐらい格差が広がっているわけですよね。なぜ、このように格差が広がっているのか、この点での県教委の認識についてお伺いしたいと思います。
【学校施設課長】
対象費目の市町村の状況で、今色々ご紹介があったわけですけれども原因ということにつきましては、詳しくは精査はしておりませんがニーズに合わせてという事だろうと、理解をしております。
【高田県議】
市町村のそれぞれのニーズに合わせた対応ということでしたけれども、実は就学援助制度はこの間、大きく変わりましてこれまで就学援助制度については、補助金対応だったのですが、どんどんそれが削減されて2005年あたりだったでしょうか、交付税措置になったという事で。自治体の財政が困難であれば、なかなか教育費に充当できないと。そういう中でどんどん格差が、広がったと思うのです。実際、生活保護世帯に準ずる、準要保護については、要保護世帯に準ずる程度に困窮している、児童、生徒に対する支援ですから。
この準ずるに幅が出てきているのですよね。だからこういう格差が広がってきていると思います。やはり、教育についてはどこの町に住んでいても等しく良い教育が受けられる。そういう環境を作っていくという事が教育行政に求められると思います。転校をしていままで支給されていたけれども、転校先では支給されなかったという事態に実際なっているわけです。実際の現場でもお聞きしますと、最近の経済情勢の中で給食費や学級費など、滞納している生徒が増えて、その対策に困ってなかなか本業に力が入らないというお話も聞きます。私は、そういう中で父母負担の軽減とか自治体間の格差、これを是正させていくという事が県教委の仕事でもあると思うのです。この点についてどのようにお考えなのかお伺いします。
【学校施設課長】
父母負担の軽減と自治体間の格差の是正についてという事でございますが就学援助制度自体が、教育の機会均等を保障するための重要な制度であると認識をしているところでございまして、県教育委員会といたしましては、各市町村におけるより適切な就学援助制度の運用、あるいは当該制度の趣旨の徹底が図られるよう。市町村教育委員会に対して要請を行っているところでございます。少し具体的に言いますと、先ほどもご紹介があったところでございますが、PTA会費でありますとかクラブ活動費、あるいは生徒会費は平成22年度から要保護でも対象になったところではございますが、各市町村が追加準用保護においても追加できるように今、取り組んでいるという事で父母負担の軽減にも取り組みが見られるという事であります。
【高田県議】
この就学援助制度の趣旨を徹底していきたいというのも分かりますが、実際に実態としては、こういう格差が広がっているわけですよね。支給率についても繰り返しますが、1パーセント台から24パーセントもあると。これは是正が必要だと思うのです。いま、義務教育費が無償だと言いながら実際、実態としては教科書が無償なだけであって機会均等を図る上からも自治体間の格差を是正していくべきだと思います。そういう事でぜひ、努力して頂きたい。
・いじめ問題について
【高田県議】
いじめ問題について質問したいと思います。
このいじめ問題については一般質問や今日の質疑でも議論が交わされました。この異常にふえて要因とか中身、県のいじめ根絶に向けた取り組みについても答弁いただきましたので繰り返し質問いたしませんが、私は前年度と比べていっきに増えたのは、調査内容が違っていたからなのかどうかという事をまず1つお伺いしたいと思います。そして、先ほどの生活指導課長の答弁では前年度と比べて6倍に増えたというのは、いじめ問題について非常に社会問題化になって、そして切実に教育現場が受け止めたからだという話がありました。そういう事を考えますと、これまでのいじめの認知件数などを考えますと、これまでのいじめの認知件数というのは、氷山の一角だったのではないかという想いもしていますし、同時にいじめが表面化してもなかなか数として、報告されなかったのではという想いもするのですが、この辺については、どうお考えでしょうか?
【生徒指導課長】
緊急調査につきましては例年実施してございます、問題行動等調査と同じ項目で調べてございます。ただ市町村教育委員会、学校に対しての体制。いじめに対しての体制等の一部含まれてございますので、すべてが合致しているものではございません。
つづきまして、いじめの氷山の一角ではないかという議員のご指摘でございます。そういう中にあって今回の緊急におきましては、先ほどご答弁させていただいたように様々な子供たちのトラブルだとか行き違いの事案につきましても、いじめとしてと言いますか、認知件数としてあげて頂いているのが現状でございます。
【高田県議】
今回の議会でもいじめ問題、かなり議論されました。いじめというのはどこの学校でもおこりうる事だと思います。大津市の事件をきっかけとして解決に向けた真剣な取り組みを求めたいと思いますが、教育長にお伺いしたいと思います。具体的ないじめに対する対応についてですが、一番は被害者を守ること、これを優先させなければならないと思います。同時に解決する上で大事なことは、加害者がいじめをしなくなるという事だと思います。深刻で陰湿ないじめをする子供に限って、つらい背景とか、過去とかあると思うのです。そういった、つらさに共感をしてそのつらい事を一緒になって解決するというような対応していかなければならないと思います。最近、全国各地で大津の事件をきっかけにしていじめを防止する条例を作るとか、そういう動きがあります。一部マスコミの議論を見ていても何か加害者を厳罰をするとか、出席停止をして上から押さえつけるとか、そういう議論や報道が一部ありますけれども、これでは問題を複雑化させるという想いをしております。いじめをなくすという点では、いじめ問題をのりこえて、幼さを乗り越えて自分や他人を大切にする人間に成長していくという。そういうところでの支援をしなければならないと思います。これから各地でも、市町村自治体でもそういう動きがあるかも知れませんけども。そういういじめに対する教育長の考えについてお伺いしたいと思います。
【教育長】
委員がおっしゃるように、いじめられている子供をしっかりと守っていくことを大前提とした上で、子供たちが今、ひとりひとり置かれている状況をそれぞれ学校が的確に把握しながら、それぞれに応じた対応をして行く事が必要だろうと思ってございます。その場合においてすべてが学校で対応できるというわけではないと思いますので、必要に応じて他の支援機関の支援をうけながら、また場合によっては色んな機関とも共同をしながら取り組んでいくことが必要だと思ってございます。まずは、各学校において組織をあげて生徒ひとりひとりに寄り添った対応をしていくことが大事であろうと思っております。
【高田県議】
先ほどの少人数学級の議論のなかでも、少人数学級を行った効果として不登校とか問題行動を把握するうえで非常に効果が出ているという話もされました。私、一般質問でも申し上げましたけれども、いじめ問題を解決するうえでも子供と触れ合う時間。ゆとりですね。
そして、職員会議でもさまざまな問題がでましたら、集団で議論をする環境とか、あるいは子供達自身の取り組みも本当に大事だと思います。そういった意味でそういう環境がなかなかなかったという点でぜひ、取り組んでいただきたいと思います。
・被災した学校の環境改善、児童・生徒の放課後の学習支援について
【高田県議】
次に被災した学校の環境改善、児童・生徒の放課後の学習支援について質問いたします。今回の大震災津波によってグランドが使用が出来なくなった学校が41校中、わずか13校が整備、あるいは整備予定という事でかなり多くのグランドが現在でも使用できていない状況です。残りの整備の見通しについてお伺いいたします。
【学校施設課長】
41校に対しまして13校が整備ずみ、整備中、整備予定なっているわけですが、それ以外の学校の課題のところですが、用地の確保がなかなか困難であるというような状況にございまして、そういった学校におきましては校地内の空きスペースの活用、近隣の他校や他施設の活用、空き地の活用といったような事で色んな制約がある中で工夫して体育に授業等おこなっているという状況にありまして、今すぐ近いうちにという事で仮設グランドの整備がなされる状況にはないと、見ております。
【高田県議】
教育委員会から資料を頂いたのですが、整備の予定がないというのが小中高、入れて18校あるのですよね。これは、これはどれぐらいの、仮設住宅の問題とか、住宅再建の状況とか色々な条件もあるわけですが、どの程度この状況が続くのかという事と、グランドがない中で体力の低下とか、競技力の低下なども父母の皆さんから指摘されているところです。内陸の学校に行って、競技を練習してくるとか、そういう事で父母負担も出て来るのかなという想いもあります。そんな中でどんな要求が出ているのか、どの程度のこういう状況が続くのか、何年後に解決するのか、その辺についても答弁頂きたいと思います。
【学校施設課長】
残りのグランドの仮設グランド整備にむけた、今後どうなるかという事でございますが、先ほどもご答弁申し上げた通りではございますが、各学校においてもグランド確保できるのであれば確保したいという事で用地の確保等に向けて取り組んでいただいているというように考えておりますが、本復旧、本格復旧に向けての動きも一方で行われているところでございまして、各学校、多くの学校は28年の4月の開校を目指している小中学校が多いと把握をしております。出来るだけ早く各学校で取り組んでいただくという事もございますが、一方で本復旧に向けて28年の4月までという事も場合によってはあり得るという事で考えております。体力の低下等、あるいは父母負担、部活動の活動の支障等の部分でございますが、具体的な要求というものは直接、私どもの所には届いてございません。
【高田県議】
ソフト面での支援も含めて支援を強めて行ってほしいと思います。
次に児童、生徒の放課後の学習支援についてです。この間、他の議員の皆さんからも議論がありましたけれども、仮設住宅からの通学とか、狭い仮設で非常に学びの環境が悪化しているという話もされました。この間、中学校や高校生に対する学習支援。NPOとかボランティアが子供たちの送迎をして公民館や仮設の空き部屋などを利用して学習支援をおこなってますね。本当に良い事だと思います。これが今、どういう取り組み状況がおこなわれているのか、その実態についてまず、答弁頂きたいと思います。
【生涯学習文化課総括課長】
被災地における児童生徒の放課後の学習支援についてでありますが、現在、被災した沿岸各市町村では多くの児童が仮設住宅へ入居しておりまして、委員ご指摘の通り放課後の学習を進めていくことに困難な状況抱えているというように認識しております。現在、陸前高田市や大船渡市、釜石市、大槌町、田野畑村で民間のボランティア団体等と教育委員会が連携をした取り組みを進めておりまして、平日の夕方から夜間、および休日の昼間の時間帯に学校の空き教室や地域の集会施設等、10箇所で約700人の児童、生徒が地元の塾講師や大学生ボランティアの支援を受けながら放課後の学習に取り組んでいる状況でございます。
【高田県議】
こういう中高生に対する学習支援、今10箇所、700人という事ですが、5市町村ですね。これは被災自治体12市町村ですが、これが5市町村にとどまっているというのはどういう事でしょうか?他には放課後の学習支援という事で要望がないのかどうか、その辺についてもお伺いしたいと思います。
【生涯学習文化課総括課長】
現在は5市町村で実施しておりますが、この取り組みは昨年度は3市町村で取り組まれておりまして、今年度に入りまして要望が強いという事で、市町村も拡大し、また、利用される児童、生徒も拡大してございます。今現在、実施していない市町村からも相談もきておりますので、今後につきましては被災した市町村のニーズも把握しながら順次、進めてまいりたいと考えております。
【高田県議】
被災地の現状を良く調査して様々、対応していきたいという事でありますので、ぜひ要望、実態調査をして必要な支援を強めていただきたいと思います。
・シックスクール症候群について
【高田県議】
最後にシックスクール症候群について質問をいたします。奥州市の胆沢第一小学校で校舎の大規模改修に伴って多数の児童が体調不良を訴えたシックスクール症候群を発症いたしました。現在の児童の状況や市や県の対応はどうだったのか?この点について具体的に説明頂きたいと思います。
【学校施設課長】
まず、児童の状況でございますが奥州市の教育委員会からの報告によりますと平成22年度末でございますが、22人がシックスクール症候群を発症して、現在7人の児童、生徒が治療を継続しているという状況でございます。発症をしたその他の児童、生徒につきましては完全に治癒したと診断されるものではありませんが、現在症状は治まっている状況という報告を受けております。なお7人のうち5人が市内の別の学校へ転校をいたしました。奥州市の対応でございますが、主なものを申し上げますが奥州市におきましては、児童の発症後、当該校舎の使用を中止して他の施設等を利用して分散授業を行ったという事。あるいは、換気対策という事で室内空気改善対策の徹底を図ったほか、被災した児童のための活性炭入りマスクでありますとか酸素吸入装置等の配備をおこなったというような事をおこなっている所でございます。また、医療費の助成制度の創設等の対応等も講じております。県の対応ですが、県におきましては発症した児童、生徒のための個別指導、あるいは、自宅学習へ対応するための非常勤講師2名を配置をいたしましたし市が主催いたします、シックスクール対策会議に参画して指導、助言をさせて頂いたところであります。各市町村教育委員会に対しましては、数次にわたる通知文章等を出しておりますし、研修会等におきましてシックスクール発症防止に向けた注意喚起等をおこなっているところでございます。併せて平成22年9月でございますがシックスクール対策のポイントを作成いたしまして、全市町村教育委員会へ配布、あるいは研修会において直接説明をして再発防止の取り組みを要請してきたところです。
【高田県議】
詳しく説明頂きありがとうございます。いま、お話を聞きますと転校をした子供もいるという事で大変な問題だと思います。こういった問題というのは、胆沢第一小学校でだけではなくて、県内でもこういう問題が起きているのかなと思いますが、こういう問題に対する、対応策と言いますか、県としての指導方針とか、そういったものが確立されているのかという事をお伺いしたいと思います。
【学校施設課長】
県としてどういう風に対応しているのかという事でありますが、シックスクール対策のポイント、先ほどご答弁の中で申し上げましたが、そういったものを作成しておりますが実は具体的には、発症の防止の対策をどうするのか、学校施設の整備等をおこなった場合どういった点に留意すべきかでありますとか、発症した児童、生徒が出た場合には具体的にどういう対応をしたら良いのかというような事を取りまとめたポイントをつくって各市町村に配布。あるいは研修会で説明をしたところでございます。