2012年10月23日 決算特別委員会
農林水産部(林業・水産部門)に対する質疑大要
・漁船の確保について
【斉藤委員】
9月末の交付決定隻数、新規登録漁船数はどうなっているか。
共同利用小型漁船、共同利用漁船事業のそれぞれの新規登録漁船数はどうなっているか。
【漁業調整課長】
漁船の交付決定数は、これまで約6500隻となっている。震災後9月末までに6375隻が新規登録されている。
共同利用小型漁船、共同利用漁船、それぞれ補助事業のメニューごとに船の区分けということだが、現場の漁船登録の事務がこのような整理になっていないので、お示しできる状態にはない。
【斉藤委員】
交付決定が6500隻、9月末で新規登録が6375隻ということだった。実は今回9月補正で450隻増やした。そうすると、今6500隻交付になっているが、今年度末に7000隻までいくということになるか。6500隻の中に含まれているのか。
【漁業調整課長】
9月補正は、当初予算と合わせて9月補正と合計して450隻規模の予算措置ということなので、23年度交付決定の約6100隻と合わせて6500隻程度が今年度の整備数と考えている。
【斉藤委員】
そうすると、今年度予算分は全部交付決定したということになるのか。
【漁業調整課長】
6500隻の交付決定は現在までの交付決定で、あと40隻程度が残っているので、これらを鋭意進めながら年度内の交付決定にこぎつけたい。
【斉藤委員】
漁業の現場で聞くと、まだ船が届いていないという声が少なくない。やはりせめて今年度中に1漁家に1隻は届くようなところまでいかないと、結局海に出ようとしても出れない。1漁家に1隻以上確保するためにはどのぐらい必要か。
そして登録されているが、まだ漁に出れるような状況になっていないという事態があるのか。
【漁業調整課長】
船の納入状況だが、まずは各漁協・漁業者の要望が非常に強い、来月から始まるアワビ漁に向けて、特にも小型漁船の供給を急ぎ進めてきた。1トン未満の小型漁船については、おおむね9割以上現場に入っているので、来月からのアワビ漁に使われるものと考えている。
養殖作業船や湾外で使用する大型の5トン〜10トンクラスの船は、一括発注ができる状況ではなく、個々のオーダーメイドであるので、造船所の状況もあることから、納入が遅れている。
漁船の確保については、県としては補助事業で実施する上で、各漁協からの要望に基づいて進めているので、今後とも漁協の要望を聞きながら事業を進めていきたい。
【斉藤委員】
カキなどの作業船はまだまだ足りないということなので、実情を聞いて、来年度まで6800隻というが事業実施計画である。これでは現段階では足りなくなっていると思うので、やっと造船のテンポも上がってきたので、造船がストップしないようにぜひ必要な手立てをとっていただきたい。
・養殖施設の整備と対策について
【斉藤委員】
ワカメ・カキ・ホタテの養殖施設の整備状況は直近でどこまでいっているか。
養殖を再開した漁民の状況はどうなっているか。
がんばる養殖漁業のグループ数、参加漁民数、今後の見通しはどうか。
【漁業調整課長】
9月末までの整備数については、ワカメが約7500台、カキが1200台、ホタテが1200台、コンブの養殖施設も合わせると約13000台の整備となっている。
養殖を再開した漁民の状況だが、ワカメ養殖は1000経営体が生産を開始しており、今年の春に14000トンほどの生産を上げている。コンブ養殖は500経営体が生産を再開し、4900トンの水揚げをしている。カキ・ホタテの養殖については、今年度から昨年導入した種苗のうち成長の早いものを一部出荷しているが、本格的な出荷については来年度以降になる予定である。
がんばる養殖業について、9月末現在、9漁協で24グループが養殖業復興計画の認定を受けており、延べ307名がこの事業に参画し取り組んでいる。
【斉藤委員】
現場で聞くとだいたい半分ぐらいが養殖に戻っているということだったが、どのぐらい戻っているか。
2月の水産庁のデータでは、漁業経営体の再開状況はあの時点では岩手の場合5割そこそこだった。全体としてどのぐらいまで再開しているか。
【漁業調整課長】
国の3月の調査では、約5割の経営体が漁業を再開しているということだったが、県が9月に各漁協で調査した中では、7割ほどが漁業の再開にこぎつけている。
【斉藤委員】
7割ということで、この1年7ヶ月余で戻りつつあるという感じを受ける。
・秋サケについて
【斉藤委員】
秋サケの漁獲状況は昨年度・今年度どうなっているか。
今年度の漁獲予想が出ているが、大変低く出ているので大変心配しているが、漁獲予想の根拠は何か。回帰率低下の原因は何か。北海道と比較してどういう課題があるか。
【水産担当技監】
10月10日現在の秋サケ漁獲状況で比較すると、沿岸漁獲量は昨年度は237トンだったのにたいし今年度は111%の263トンとなっている。漁獲金額は、昨年度は約1億1000万円だったのに対し、今年度は1億3000万円となり、昨年度を上回る状況となっている。
水産技術センターが公表した今年度の秋サケ回帰予測によると、今漁期は、沿岸と河川を合わせ約18000トンの回帰を見込んでいる。予測にあたっては、放流されたサケについて、年齢間の資源量の関係から予測するシブリング法という手法により予測している。この手法は北海道や宮城県でも用いられている。
回帰率低下の原因だが、県水産技術センターの研究結果によると、放流直後の稚魚の生き残りが回帰率に大きく影響している可能性が示唆されている。
北海道における今期の回帰予測は3853万尾で、昨年度の実績と比較し、約103%と予測している。10月10日現在、北海道の沿岸漁獲量は、63000トンで対前年比95%と昨年を下回る実績となっている。独立行政法人北海道区水産研究所などのこれまでの調査によると、本県と同様、北海道においても回帰率の低下は、放流直後の稚魚の生き残りが影響している可能性があると聞いている。
【斉藤委員】
秋サケも去年と比較するだけでは状況は分からないので、22年と比較すると、263万トンというのは56%、金額でも80%と。この秋サケというのが岩手の漁業の柱であるので、この動向が漁協の再建、漁業の再建の柱にもなっていくという点で、今年どこまで回復できるが大きな問題である。
定置の回復状況は22年と比べるとどうなるか。
【漁業調整課長】
10月上旬までに全135ヶ統のうち7割程度の復旧が果たされている。
・松くい虫対策について
【斉藤委員】
被害の状況はどうなっているか。紫波町では、この間10年間にわたって持ちこたえていたが、紫波町を突破されて壊滅的な状況になっていた。先日調査をして町長からも話を聞いたが、樹種転換が必要な状況だと。しかし必要な対策がないということだった。紫波町の被害と、被害を受けた地域に対する樹種転換だとかさまざまな、どういう手立てがあるのか。
岩手森林県民税の活用がどういう形でできるのか。
【森林整備課長】
平成23年度の被害量は、約39000立方と、前年度44000立方と比べ11%減少している。県南部の高被害地域で減少する一方、内陸の盛岡市・矢巾町・紫波町および大船渡市での被害量が増加している。県内被害は13市町となっており、新たな市町村での発生はない状況である。今年度も23年度の被害市町において、引き続き被害が発生しており、盛岡市・矢巾町・紫波町等において被害量が増加傾向となっている。
紫波町の被害の状況だが、平成12年に初めて被害が確認されており、18年度までは200立方から400立方の被害量だったが、その後、雪害や度重なる猛暑の影響で被害が拡大しており、平成23年度は約1400立方という状況となっている。
赤松の樹種転換の状況だが、赤松の被害地をどうしていくかということだが、赤松を他の樹種に転換する樹種転換については、これまで県南の被害地域を中心に、過去5年で約20haずつ実施している。被害が拡大している紫波町においては、これまでの松くい虫防除事業による被害木の駆除に加え、被害が面的に広がった区域については、天然林へ樹種転換する更新伐という23年度から導入されている新しい事業だが、更新伐の導入をして被害拡大を防止していくということに取り組みたい。
県民税の活用だが、今年度から岩手の森林づくり県民税を活用した事業に、衰弱木などの感染が疑われる松も含めて、被害木の徹底駆除を行う事業も追加している。これまでの被害防除事業とあわせて、被害のまん延防止に取り組んでいく所存である。
【斉藤委員】
ぜひそういう方向でやっていただきたい。
被害を食い止める時には予算がたくさんついたと。しかしそれが乗り越えられると、松くい虫対策の事業が減る。被害が大きくなっている時こそ大変なので。
赤沢の道の駅を交差する県道のところだが、真っ赤に枯れてしまい、山の専門家は「台風があったらいつ倒れてもおかしくない」と。これは県の林業関係と土木とNTTなどで協議しているようだが、交通の安全に関わる事態も起きているので、ぜひ早く安全確保対策をとるように求めたい。
【森林整備課長】
紫波町については、国道396号など主要道路の赤松の枯損が目立っている。これを踏まえ、盛岡振興局土木部等の道路管理者等による協議会を立ち上げ、さまざま協議をしている。この協議結果を踏まえ、9月下旬から盛岡振興局の土木部において、国道および主要地方道の脇にある枯損木についての伐倒処理は実施したという状況である。
今度とも、道路脇の枯損木については、道路管理者等と連携の上、適時適切に対処していきたい。