2012年10月24日 決算特別委員会
県土整備部に対する高田一郎県議の質疑大要
・仮設住宅について
【高田県議】
私はまず仮設住宅について質問いたします
今後の大災害に生かすべき教訓は何かという視点で、いくつか質問したいと思います。今回の東日本大震災による仮設住宅の建設工事、およびその後、追加工事もされました今後、解体工事もおこなわれると思いますが、全体を含めた一戸あたりの工事費はどうなっているのか、また今回の仮設住宅の建設にあたっては地元業者とか、あるいはハウスメーカー、プレハブメーカーそれぞれ建設に関わりましたが、この建設の割合。また課題は無かったのかどうか、この点についてお伺いいたします。
【営繕課長】
応急仮設住宅の建設費ついてですが、本体工事が戸あたり約530万円。追加工事が約80万円、解体工事が110万円を見込んでおりまして、合計で720万円となりますが既にリース契約をしている3345戸につきましては解体工事費が除かれますので最終的に戸あたりで約693万円の見込みです。
次に仮設住宅の施工割合ですが建設をした1万3千984戸の内、プレハブメーカーが8社で7792戸、55.7パーセントになっております。ハウスメーカーが9社で3707戸、26.5パーセントになっております。公募により選定をした地元業者が20グループで2485戸、17.8パーセントとなっております。課題についてですが各施工者の材料や仕様が異なっていた事から、入居者から不公平感があるとの意見が寄せられたところです。これにつきましては仮設住宅であるという事を説明しご理解を頂いているところです。
【高田県議】
応急仮設住宅については、解体費用も含めて693万円という金額であるとの答弁でありました。この金額が高いかどうかは、色々議論があると思いますが、いずれ宮城県は744万円という新聞報道もあります。阪神淡路大震災では332万円、新潟の中越地震では、これは、寒冷地仕様という事で対応をしたようですがそれでも500万円となっていますが、なぜ過去の大震災の応急仮設住宅と違ってこのような差が出ているのかという事と、入居者から不公平という不満の声が出ているというお話でありましたが、具体的にどのような不満の声が出ているのか、具体的に示していただきたいと思います。
【営繕課長】
建設費についてですが、今までの中越とかの違いについてですが岩手県の場合、上物については、ほぼ同じような費用だと思いますが造成費にかかっておりまして造成費とか排水、浄化槽の問題とかありまして、その辺で経費が以前より掛かっていると認識しております。
入居者の不公平感につきましては、いわゆるハウスメーカーの方は、性能も2重サッシとかで使いやすくなっている点があります。プレハブメーカーについては、やはり軽量鉄骨を使っておりますので仕上げが少し見栄えが悪いというような事で同じ仮設に入っていても不公平だという意見がだされているところです。
【高田県議】
岩手の場合の応急仮設住宅については地元業者については17.8パーセント、2485戸という事でありましたけれども、いまお話しを伺いますとプレハブメーカー、ハウスメーカーとも比べて、非常に格差といいますか不公平があったとの事ですが。これはなぜ、わずか地元業者が17.8パーセントとなってしまったのか?確かに応急仮設住宅を早く建設しなければならないことで。そういう業者とか体制の関係もあったと思うのですが、17.8パーセントに地元業者が留まった理由は何なのかと。それから過去の大震災では新潟にしても寒冷地仕様で一括整備がおこなわれたのですが、今回一括整備ではなくて住民の皆さんから、避難されている入居者の皆さんから様々な不満の声が出て何度も追加工事をせざるを得なかったと。一体この違いは何なのかなのですね。これが高くなった要因にいないかという事も含めて答弁頂きたいと思います。この災害救助法では、標準的なものについては国が標準を示すけれども実際の設計や仕様については、どこが決めて対応するのかという事も含めて伺いたいと思います。
【営繕課長】
最初に公募の地元業者が少ないとのご質問ですが、いわゆる県の方では最初、見込みとして1万8千個という事で考えておりまして。それが下方修正しまして1万4千個という事になりました。公募につきましては当初、2400戸ほどを予定しておりましたけれども最終的に1万4千で済むという見込みが立ちましたものですから、その分の公募の戸数が伸びなかったという事でございます。なぜ一括で寒冷地仕様で作らなかったかというご質問ですが、当初どこの都道府県もプレハブ協会と協定を結んでいまして、その時に急いで作るという事で、寒冷地仕様の資材、その他の調達に時間がかかると言う事情がございましたので、後から断熱工事などを追加しました。時間が経ちまして夏頃にやりました工事につきましては、寒冷地仕様でつくったものもございます。そういう資材の手配の事情がございました。仕様つきましては、各都道府県ともプレハブ協会と仕様を決めておりましてその範囲内でやっているという事でございます。
【高田県議】
今回の応急仮設住宅については、当初から寒冷地仕様で始まったという事をお伺いしております。しかし実態としては追加工事が何度もおこなわれたと。実態としては、一括整備になっていないのではないかと思うのですが、その辺についての考え方をお伺いしたいと思います。
いずれ、これまでの阪神淡路大震災とか中越地震とか様々な大災害がありました。こういう教訓が今回、東日本大震災での仮設住宅の設置についても、これまでの教訓が生かされなかったのではないかと思います。今後も大震災というものが予想されるわけですが、県としてどのような今後生かすべき教訓があるのか、課題があったのか、この点について答弁頂きたいと思います。
【県土整備部長】
寒冷地仕様につきましては、昨年私は担当技監でありましたので私から答弁させていただきます。当初から寒冷地仕様で行くというのが我々の方針でありました。ところが、プレハブ協会は、岩手、宮城、福島の全部のプレハブを担当しなければいけなかった。最初はです。よって、標準仕様でないとライン的に間に合わないと言う事になったのです。よって標準仕様でまずやって、そのあと寒くなる前に寒冷地仕様に向けての追加工事をやろうという事で判断をいたしまして、スタートをきりました。これはなぜかと言うと、やはり何とか3ヶ月で納めたいという最初の想いがありました。お盆前に何とか納めたいと。皆さんに移って頂きたいと。それが一番の理由あります。資材調達がまず、間に合わなかった。なぜかというと、数万戸の応急仮設住宅です。3県含めて。それは今までの規模ではないのであります。それは意思決定いたしました。岩手県として。その後の話は、いろいろな追加工事、例えば、色々な不具合もありました。そういう事については、現在、我々としてノウハウを蓄積しておりますので、今後、様々な経験、失敗を生かしてこれをきちんと継承しながら、どう対応するのが良いかを検討してまいりたいと考えております。
【高田県議】
その点については了解いたしました。
最後に仮設住宅の問題では、これが2度目の冬を迎えようとしています。先の一般質問でも仮設住宅の再点検、水道管凍結防止対策をこれから進めてまいりたいという答弁がありました。昨年は、大変な、入居者から沢山苦情もでました。そういう点では今年はそうならないように万全な対策をしていただきたいと思いますがこの冬に向けての万全な対策という点での具体的な対応についてお伺いしたいと思います。
【営繕課長】
仮設住宅の厳冬期における対策としましては、台風シーズン前にも一度やりましたが、再度今週の22日から11月を目途に厳冬期前の点検を実施中でございます。それから水道管の凍結対策についてですが、昨年ありました事を踏まえてすでに床下の外気の侵入を防ぐ、遮断シート施工しております。その為、今後は水抜き栓や凍結防止ヒーターの操作について入居者へ改めてチラシを配布して凍結防止の対策に努めたいと思います。
・災害公営住宅について
【高田県議】
次に災害公営住宅について質問いたします。災害公営住宅の現時点での進捗状況はどのようになっているのか、具体的にお伺いしたいと思います。特に復興ロードマップでは、県は26年まで、市町村の災害公営住宅は27年まで5600戸建設をするという予定になっています。この見通しについてお伺いしたいと思いますが、特に現時点での市町村ごとの着工戸数や用地確保がしっかりと進んでいるのか、計画通りに進捗しているのかどいうかと言う事をお伺いしたいと思います。
【住宅課長】
災害公営住宅の進捗状況についてですが、着工戸数につきましては工事の入札公告中のものも含めると県建設分について野田村で8戸、大槌町で34戸、釜石市で158戸の合計200戸です。また、市町村建設分については田野畑村で10戸、岩泉町で15戸、釜石市で54戸、大船渡市で12戸の合計91戸です。用地の確保につきましては、地権者に測量の内諾を頂いたものを含めると、県建設分について1778戸、市町村建設分について932戸です。今後の見通しにつきましては、ロードマップのスケジュールに従って、いま、鋭意取り組んでいるところです。
【高田県議】
鋭意努力するという事でしたがロードマップの計画に沿ってきちんと進んでいると言う事で理解して良いのかという事を確認したいと思います。それで、復興に時間がかかれば、かかるほど持ち家を断念するという、災害公営住宅に入居したいという、そういう希望が出てくるという事が心配されます。先の総括でも質疑が交わされましたけれども釜石市の調査では5000世帯のアンケートの対象者の中で2625世帯の集約のうち入居希望者が1061世帯と言う事で、釜石市の釜石市の災害公営住宅の上回っているという事も明らかになりました。これは、釜石市だけが特別、こういう数字になっているとは思えないのです。他の被災自治体でも同じような傾向があるのではないかと思います。
私は改めて県としてこういった災害公営住宅への入居の希望をとるアンケート。こういった実態調査を改めてやるべきだと思いますがこの点いかがでしょうか?
【住宅課長】
まず、本当にロードマップに従って進んでいるのかと言う事に関しましては、用地取得等厳しいところもありますけれども、まだひとつも諦めたところはありません。それに従って今年度はとにかく鋭意取り組んでいこうと言う事でやっております。
それから入居希望調査についてですが、現在市町村におきまして被災者へのアンケート調査や面整備事業における住民説明会での意向把握等を通じて、災害公営住宅への入居を希望する被災者の数について精度の高いものを把握するように順次進めているところです。現在、県では3231戸の災害公営住宅を建設する計画ですが、これらの結果も踏まえながら市町村とも相談のうえ、柔軟に計画を見直して行きたいと思っております。
【高田県議】
市町村とも協議をして柔軟な対応というのは分かりますが、私がお聞きしたのは釜石市の例を示して、釜石市は既にアンケート調査でもまだ半分の方々。5000世帯を対象にしてアンケートをとったのですが、まだ2625世帯の集約であっても釜石市の予定している計画を上回っているという事なのですよね。繰り返しますが、これは釜石だけの問題ではないと思うのです。他の自治体でもこういう傾向があると思うのです。改めて釜石のような調査を県の責任で被災地全市町村の実態を把握をして対応すべきだという事を質問したわけでこの点についても再度答弁を求めたいと思います。
【住宅課長】
県で入居希望調査をおこなうべきではないかとご質問ですが、入居希望の調査につきましては、災害公営住宅への入居だけではなくて面整備での高台への移転の希望ですとかそういった事もろもろの市町村の調査と併せておこなっておりますのでまずは、一義的には市町村の方でおこなっていただいた数字をこちらの方で把握をして災害公営住宅全体の戸数を柔軟に見直していくべき立場だと思っております。
【高田県議】
復興がなかなか進まないと持ち家の再建を断念する被災者も増えてくるというように思いますので、市町村とよく協議をして被災者の要望に沿った対応、そして災害公営住宅へ入居したいと言う希望にこたえるような対応をしていただきたいと思います。
・住宅リフォームの助成事業について
【高田県議】
次に住宅リフォームの助成事業についてお伺いいたします。これは、現在実施している市町村数、補助額、事業費というのはどうなっているのか、全体として前年度と比較して増えているのかどうかと言う事。それと併せてお伺いしますけれども、この住宅リフォーム助成事業の経済波及効果について、どう見ているのか23年度の実績で示していただきたいと思います。
【住宅課長】
住宅リフォーム助成事業を実施している市町村数についてですが、県の方で把握している各市町村の住宅リフォーム制度につきましては生活再建住宅支援事業ですとか、障害者向けの 住宅改修制度のように概ね全市町村でやっているものを除いた数字になっておりますけれども県内の33市町村のうち31の市町村で実施されている状況です。増加しているかと言う事につきましては、生活再建住宅支援事業等を含めると増加している傾向にあると考えています。経済波及効果についてですがこの助成を行うことにより一定程度住宅所有者等のリフォーム需要の拡大、リフォーム産業に携わる地場工務店等の活性化の効果があると考えております。
【高田県議】
経済波及効果について23年度実績で、具体的に数字で示していただきたいと質問をしたのですが、数字は出ませんか?
【住宅課長】
経済波及効果につきましてですが、リフォームの補助につきましては、将来の需要の先食いをしてしまう事ですとか、助成がなかったとしてもリフォームを行った方がいたと言うことが定量的に把握できない部分がありまして具体的な経済効果については不明だという事になります。
【高田県議】
県が把握している数字ですと市町村が実施している住宅リフォーム助成制度、先ほども申し上げたように、すべての市町村でやっているような概ね、やっているような助成制度を除く数字になりますけども8月末の時点で約8億円の予算に対して約3億3千万円が執行されている状況です。
【住宅課長】
いま申し上げた住宅リフォーム助成制度の実績、平成23年度のついては、申し訳ありません手元に数字がありませんので、後日報告をさせていただきたいと思います。
【高田県議】
通告をしておりましたので、後でしっかり数字を明らかにしていただきたい。いずれ、33市町村のうち31市町村ですから、ほとんどの自治体でこの事業を実施していると。これは、裏を返せば経済への波及効果が非常に大きいと。住宅産業に関わる事業ですから裾野が非常に広いと言う事もあって、非常に経済効果が高いと思うのです。今回、内陸部においても大変な地震の被害がありましたけれども、今回岩手県独自の一部損壊住宅に対する支援と。支援の事業と、今回の住宅リフォームの助成事業もあわせて取り組んだと言う事で、大変リフォームをされる市民の皆さんから評価されている事業で。本当にお願いしても1ヶ月も2ヶ月
たってやっと大工さんが来るというような、大変事業の効果が現れていると思うのです。ぜひ、これを県の責任で、県の事業として対応すればこの事業の2倍、3倍の経済効果が広がると思いますのでぜひ、県におかれては前向きに対応していっていただきたいと思います。
・復興資材不足への対応について
【高田県議】
最後に、復興資材不足への対応についてお伺いいたします。今回の東日本大震災による復旧・復興工事が、本格化する中で生コンあるいは砕石など建設資材不足への懸念が強まっていますがこれから、来年、再来年、工事のピークを迎えるそういう時期にはさらに資材不足が、より深刻化するという事も今言われています。これまで議会の答弁をお聞きしていますと、関係機関が集まって復興・復旧工事連絡会、情報連絡会をひらいて、様々な対応を行っているということを伺っております。実際どのくらい資材が不足しているのか、何か具体的な数といいますか、指標といいますか、あれば説明していただきたいと思います。
【技術企画指導課長】
復興資材不足と言う事であります。委員おっしゃいました通り、沿岸の4地区で5月末から、国、県、市町村、業界団体による情報連絡会議を実施しております。その場で特に宮古での生コンの需給のひっ迫が確認されました。8月で宮古地区で2回目のフォローアップの会議、9月に釜石、大船渡地区でそれぞれでフォローアップの会議を開催してございます。その中で需要量について再度、その時点での需要量を集計したもの。それから第1回目の会議で、各地区の生コンの業界、砕石関係の業界情報共有をして色々と生産増強について取り組んで頂いております。その結果、8月、9月の会議では各地区とも概ね、25年以降も含めて需給がなんとか間にあうのではないかと言う状況を、手ごたえを得たところでありますが、宮古と山田地区においては漁港工事のピークがありまして、そちらの方はややこれからも注視をしていかなければならないと存じております。特に宮古地区、山田地区も見据えて生コン工業組合の方で仮設プラントを、大き目の仮設プラントを設置中でございます。この能力に期待をしているようなところでございます。
【高田県議】
今の答弁を聞きますと、資材不足については何とか対応できるというような答弁に伺ったのですが、そのような事で理解してよろしいのですね。
【技術企画指導課長】
現在においてまず、ひっ迫の峠は越えるものと言うように認識してございます。