2012年10月25日 9月定例県議会・最終本会議
岩手県工業用水道事業会計決算に対する反対討論
日本共産党の斉藤信でございます。日本共産党を代表して、認定第3号、岩手県工業用水道事業会計決算について、反対の討論を行います。
岩手県工業用水道事業については、2009年度に累積欠損金を解消し、将来的に黒字経営が継続できるまでに経営の改善を進めてきたことを評価するものです。しかし、これまでに赤字解消のために県出資金26億円が投入されてきたことを見逃すわけにはいきません。
反対する第一の理由は、入畑ダムの工業用水道水源の農業用水への転用で、26億800万円で譲渡することを理由に、工業用水の料金を年間7200万円引き下げました。そのうち5300万円はろ過料金対象の2社の大企業に引き下げるものとなっていることであります。
この2社は半導体関連企業ですが、富士通はこの間大規模な人員削減、リストラを行い、ついには今年撤退してデンソーに用地、施設、人員を移譲した企業であります。富士通は2011年3月期決算では8541億円の内部留保をため込み、東芝も1兆7393億円の内部留保を持っている大企業であり、大企業優遇の料金引き下げとなるものです。
工業用水を利用している企業は実質17社であり、今回の入畑ダム工業用水の水源転用による新たな財源は、県出資金26億円の返済に充て、県内企業全体に還元されるべきものであります。
第二に、入畑ダム工業用水の今回の国営灌漑排水事業和賀中部地区の農業用水への転用は、日量5万2000立方メートルの工業用水道水源のうち、3万5000立方メートルを農業用水に転用したものです。実に現在の工業用水道水源のうち67%となるものです。それでも東芝の工場新設に対応できるとしています。入り畑ダムは過大な投資だったことが図らずも明らかになりました。農業用水に転用できることになったことは幸いでしたが、26億800万円の譲渡金額、うち22億2500万円は、国庫補助金の返還や企業債繰り上げ償還金、今後の資金不足への補てんに回されます。残りの4億円余すべてを、一部の大企業を中心とした工業料金の引き下げに回すことは、過大な投資に県民の税金が使われたことから見て納得できるものではなりません。県民全体、地元中小企業全体に還元されるべきものであります。
以上申し上げ工業用水道事業会計決算の反対討論といたします。ご清聴ありがとうございました。