2012年10月25日 9月定例県議会・最終本会議
知事の定例記者会見での発言対する緊急質問(大要)


【斉藤議員】
 日本共産党の斉藤信でございます。花泉診療所の民間移管の破たん問題に関する達増知事の、本日の定例記者会見での発言について緊急質問をいたします。
 花泉診療所の民間移管の破たんに関する県医療局の検証最終報告案は、決算特別委員会で集中審議が行われ、昨日には医療法人白光の橋本堯夫会長を呼んでの参考人質疑も行いました。その結果、知事を含め県と医療法人白光との癒着の疑惑がさらに深まり、2011年度の岩手県一般会計決算と県立病院会計決算については継続審査することになったところです。
 ところが、達増知事は、本日の定例記者会見で「参考人が答弁した内容に関する医療局としての反論は・・すでに検討が終わっている」「『最終報告案は手直しする必要はない』という認識でいる」と発言し、昨日の参考人・橋本堯夫氏が明言した「知事からの電話と知事への電話」についても、知事は「ありません」と否定しました。
 県議会は昨日までの決算特別委員会で、民間移管した花泉診療所の破たん問題について、県医療局の「花泉診療センターの民間移管に関する検証」最終報告案について、当事者である医療法人白光の会長、橋本堯夫氏に対する参考人質疑も行い、徹底した審査を行ってきました。私は知事を呼んでの集中審議を求めましたが、決算特別委員会は、2011年度の岩手県一般会計決算と県立病院事業会計決算を継続審議にして、継続して審査することでまとまったところです。また、決算特別委員会での審査を踏まえて、決算特別委員長が、「議会での審査を踏まえて医療局と保健福祉部に対して、最終報告案を精査するよう申し入れる」ことを確認したところです。
 ところが、本日の知事の定例会見で、こうした県議会での審議を無視する内容の発言を行いました。異常な発言です。以下具体的に質問します。
 第一に、民間移管した花泉診療所の破たんの背景には、知事、県医療局、保健福祉部と医療法人との癒着があったのではないかということです。
@昨日の参考人、医療法人白光会長の橋本堯夫氏は、公募前に知事から電話があり、不在のため後で知事に電話したこと。その内容は、「今度の件ではよろしくお願いします」というものだったと発言されました。知事からの電話があったことは、医療法人白光の女性職員も証言しています。知事は橋本喬夫氏の発言と女性職員の証言をどういう具体的根拠で否定しているのでしょうか。
A知事が、公募前に医療法人白光会長に「よろしくお願いします」と電話しているとすれば、花泉診療センターの民間移管は、医療法人白光で既に決まっていたということになるのではないでしょうか。
 第二に、公募前の6月8日付で、医療法人白光の医師が県立病院花泉診療センターの嘱託医師として任用され、7月6日から8月21日まで勤務されました。公募前に、公募に手を上げようとしている医療法人から、その所長候補でもある医師を採用することは、医療法人白光への民間移管を前提にした異常な癒着を示すものではないでしょうか。橋本堯夫氏は、「医師を貸した6月の段階で、すでに県との間では家賃など移管後の条件について合意していた」と述べています。知事は医師派遣の事実は知っていましたか。異常な癒着とは思いませんか。
 第三に、県医療局と保健福祉部は、公募前から医療法人白光の公募手続きを手伝っていました。橋本堯夫氏は「私どもは、応募の書類の書き方も、医療局に教えていただいて提出した」と発言しています。私の調査では、公募前の5月ごろには、一関総合支局の県職員が保健福祉部長にたびたび呼び出され、公募前の手続きを進めるよう強く指導されてきたとの証言があります。その際には「医療法人白光で既に決まっていること」「この方向でいくと上から言われている」との証言もありました。
 医療法人白光で民間移管を進めるというのは県の方針だったのではないでしょうか。なぜ、こんな県職員の動きとなったのでしょうか。知事の命を受けて医療局長も保健福祉部長も、公募前から医療法人白光の民間移管の手伝いをしてきたのではないでしょうか。
 第四に、民間移管破たんの最大の原因は、医師確保の見通しがなかったことです。県医療局の検証最終報告書案にも明記されているように、公募した時点、9月県議会での審査の時、翌年3月25日の事業計画書の見直しの時点ですべて医師が変わっています。結局、4月からの民間移管のスタートの時点では、患者を診れる常勤医師は不在だったのであります。事業計画の根幹にかかわる医師確保の問題について、知事はどう実態を把握し、事業の成否に関わる問題として受け止めてきたのでしょうか。

【達増知事】
 電話については、ないものはないということである。
 その後の、医療法人白光ですでに決まっていたかということについては、その後の公正なプロセスの中で契約に至ったということである。
 医師の採用については、平成21年5月中旬に、医療法人白光から花泉地域診療センターに非常勤で勤務できる医師がいるという情報をいただき、医師の確保が非常に厳しい中、非常勤でも勤務いただける医師がいる場合はお願いしたいという立場から、花泉地域診療センターの非常勤医師として採用したと医療局から聞いている。
 医師確保問題についてだが、10年間以上事業継続するためには、常勤医師の確保・定着がもっとも重要な要素の1つだが、医師の確保について、法人側役員の個人的人脈に期待しすぎたという点は否めなく、特定の大学医局とのパイプの有無をはじめ、さらに掘り下げて審査すべきだった。
 今後の民間活用にあたっては、選考者に民間病院経営者等の専門家を加えるなど、複眼的・多面的な観点から審査を行うことができるよう、審査体制の充実を図るとともに、有床診療所の特殊性に鑑み、医師確保の視点を十分考慮して審査する必要があると最終報告案にまとめたところである。
【医療局長】
 公募手続きから一連のプロセスについては、適正に行われたものと認識している。
 昨日の中で、応募書類の書き方を医療局に教えてもらって提出したという発言をとらえての質問だが、これは別にどこでも同じだと思うが、補助金申請にしてもなんにしても、行政に出す書類というのはなかなか面倒なものなので、そういった意味では、特に今回の民間移管というのは初の事例なので、書類の書き方とか何とかというのは、やはり白光に限らず最初の事例は難しいと思うので、そういう意味では申請書の書き方とかそういうのはお手伝いしたというのは、通常の申請行為がある場合に一般的に行われている対応だということで、特に問題ないと考えている。
【保健福祉部長】
 保健福祉部の医療法人白光に対する公募前の指導についてだが、たしかに公募前に医療法人白光に対して、社会福祉法人設立手続き、あるいは介護保険施設等の施設基準について説明を行うとともに、社会福祉法人の設立および小規模特養ホーム等の開設にかかる相談対応は行ってきた。
 この対応は、本件に限る対応ではなく、一般的に社会福祉法人の設立、または介護保険施設等の開設にかかる相談等が寄せられた際も同様の対応をしているところであり、医療法人白光ありきでこのような指導を行ってきたというものではない。

【斉藤議員】
 知事、あなたは公募前に医療法人白光会長に電話をした件で、当事者が電話を受けた、知事に電話をした、その内容まで話している。そしてその電話がきたことは、第三者の法人の女性職員も証言している。あなたが一言「してません」と言っただけで、この疑惑は解決しない。きわめて重大な癒着の問題である。公募前に「この件でお願いします」と。ここで一言否定しただけで済む問題ではない。それは弁解にもなっていない。逆にいけば疑惑はますます深まったと言わなければならない。
 民間移管が破たんした最大の原因は、医療法人白光ありきで進んだことにあると。2月16日に医療局長は、新聞報道を受けて、真っ先に一関市長に行った。その後白光に行った。白光の意思を確認する前に一関市長に行っている。民間移管に関わる方針は、知事はいつ頃協議したか。2月16日以前だと思うが。
 今日の定例記者会見で重要なのは、「昨日の参考人の答弁に対する反論は、昨日の昼過ぎの時点ですでに検討が終わっている」と。「報告書に書いている通りで、問題はない」と。この発言は、全然言葉足らずで正確でもない。正確に精査をして、真実かどうか、何が問題か、これを検討して対応するというのが当たり前の話である。昨日の昼の時点で対応は決まっているというのは、まともに検討したことにならない。最終報告案そのものについて、「手直しする必要はない」という認識である。これまたおかしい。今日は少し手直しした答弁をしているが。訂正すべきは訂正すべきである。
 かなり先ほど具体的に提起した。県職員は、「白光ありきで事が進んだ」と証言している。相談に乗ったのではない。白光の民間移管とセットの特養ホームの開設に向かって、手取り足取りあなた方が手伝った。だから、白光の会長が「6月の時点では家賃を含めてだいたい話はついていた」と言っている。だから応募期間は1ヶ月もないような状況だった。これで白光以外に申請できるか。
 事業計画の一番の問題は医師確保だった。最初の申請書、9月議会の審査の時、3月25日の事業計画変更の時、全部医師が変わっている。4月でスタートしたときには常勤医師は1人もいなかった。
 あらゆる段階で立ち止まって、この事業計画、民間移管を見直すべきだった。私はそのことを提起したし、県議会は喧々諤々その議論をしてきた。なぜそうしなかったのか。

【達増知事】
 電話の件に関しては、ノーとしか言いようがない。
 民間移管崩壊の最大の原因が癒着ということではないかということだが、昨日の参考人質疑は、テレビで観ていた中での私の印象として、むしろ事前の段階では、県当局との間では何か決まっていたわけではないということを本人が言っていたのではないかということを、医療局や保健福祉部との打ち合わせの中で、私からそういう話をし、その場にいた者は「たしかにその通りだ」というようなやりとりをした。
 むしろ参考人が、なぜベットがダメか、入院を諦めなければならなくなったかということについては、共産党議員団が視察をし、看護師の不足からもし医療過誤で訴訟された場合にもたないということで、撤退を決めたということを繰り返し述べていたというように印象があるが、昨日の打ち合わせの中でそういう話もしたが、ただそれをそのまま最終報告書の中に書くわけにはいかない、それをもって直ちに報告書を書き換えるわけにはいかないというようなやりとりをし、今日の記者会見でも述べたのは、昨日の時点でいろいろ聞かれても、まずそれに対して答えられる準備はしていた、その検討は昨日の段階できちんとやっていたので、今日の段階でも答えられるということを記者会見で申し上げたわけであり、議会から精査の申し入れがあれば、それにきちんと対応するのは当たり前で、それを否定したわけではなく、今議会での議論を踏まえて修正もするということについて否定したわけではない。
 医師確保についてだが、昨日テレビで観ていた印象では、参考人は医師確保についてはきわめて強い自信をもっていて、簡単だ、できるのだという確信のもとに、医療局といろいろやりとりをし、契約に至ったのかなと。先ほど医療局から申し上げたように、また私も答弁したように、しかしやはり医師確保については、さらに掘り下げて審査すべきだったということが今回の反省点だったと思う。
【千葉副知事】
 医療法人白光との関係について、当時の保健福祉部長は私であるので答弁したい。
 21年6月頃の時点では、実は新型インフルエンザの発生が4月末に起き、5月は新型インフルエンザの対策と、議会から同意いただいた地域医療懇談会の設置と、この2つをどういう順番で各広域で進めていくかというのは、非常に頭を悩ませていた時期である。この時期に、度々呼ぶということは、私は全く記憶がないところである。
 医療法人の手続きだが、医療法に基づき、準則主義であり、一定の基準があれば、合致すれば認可するという形になっているので、特段この時点で特定の法人がどうのこうのということは全くどういう意味で発言する必要があるのか、私としては非常に疑問があるところである。
 いずれそのような発言はしたことがないということで、答弁させていただきたい。