2012年11月29日 決算特別委員会
花泉診療所の民間移管問題に関する知事に対する質疑大要
・民間移管して破たんした花泉診療所の教訓、その要因について
【斉藤委員】
民間移管して破たんした花泉診療所の教訓、その要因について、検証結果の最終報告書のまとめでは、どのようにまとめられているか。
【達増知事】
危機的な医師不足の中、限られた資源のもとで良質な医療を提供するため、民間事業者のノウハウを活用し、有床診療所を運営しながら、介護・福祉との連携を図っていくという手法は、地域の期待に応える方策として有力な選択肢の1つである。旧花泉診療所は、無床化した診療所を地域の強い意向に沿って、民間移管した県内初のケースとして、地元の意向を確認しながら、県・市・医療局の三者が一体となって民間移管を進めてきたものである。今回の民間運営について、医療局の計画では、無床診療所であったものが、一時的とはいえ、花泉地域に入院ベットが提供された状態となったことに一定の成果をあげたとの見方もあるが、有床診療所として10年以上事業を継続するという、公募条件が果たせなかったことは非常に残念であり、地域住民の期待にお応えすることができなかったことについて深く反省している。この一連の経過について、県議会においてもいろいろなご指摘をいただいたこと等を踏まえ、旧花泉地域診療センターの民間移管に関し、民間移管の是非や民間公募に至るまでの過程・手続きについて、また、事業者の内定から最終決定、さらには花泉診療所開所から事業中止に至る過程等について、その妥当性等を中心に、外部有識者からも意見をいただきながら検証を行ったものである。検証の結果、今後民間活用を検討する場合は、移管先法人の適格性の審査にあたり、法人から提出される事業計画等の精査はもちろんのこと、これまでの法人の実績や世評等も含めた総合的な評価や審査について、医療専門家等を交えて十分に行うべきであり、またその後の運営に関する指導等についても、節目節目で専門家や第三者の意見をうかがいながら、的確に行う必要がある。
【斉藤委員】
知事はよく読んでいないのではないかと思う。検証の結果というのは、今の文書の最後の5行である。何が指摘されているか。「移管先法人の適格性の審査」、適格性に問題があったということである。そして「法人から提出される事業計画等の精査」、事業計画に問題があったということである。そして、「法人の実績や世評も総合的な評価が必要」だと。法人の世評、実績もなかった。控えめだが、ここに検証の結果が書いている。なぜこのような重大な反省をしなければならなかったのか。医療法人白光先にありきで、この民間移管が進んだからである。これだけ重大な問題後から指摘されるようではいけない。
そして、この指摘は私も県議会の場で何度も指摘した。県議の多くの皆さんも指摘してきたことである。それをなぜ無視してきたかというと、癒着があったからである。知事はそう思わないか。
【達増知事】
思いません。
【斉藤委員】
指摘されたその中身は、この県議会の質疑・答弁の中に全部書いている。失敗してからこう書いている。その責任を感じないのか。
【達増知事】
白光ありきというよりも、官民も、どんな主体でも、ベッドを維持できるのであればいいという、その地元の要望・切実な願い、そしてそれに応えていこうとする医療局・県当局、そして一関市当局―。その中で、ある意味、誰でもいいからやってほしい、ただ誰でもいいというわけにはいかないので、この事業計画と当該申込者に対して、公募の要件をきちんと掲げ、それについてチェックをしていくということなわけだが、この公と民の契約、契約書ベース、そうした関係については、今現在も円滑に滞納金の支払いが約束通りに行われているわけだが、民間の場合であれば、契約ベースのやりとりの中で、それが進めば、それで双方責任はない、また民間の場合であれば、双方の合意に基づいて契約内容を途中で変えたとしても、民間同士の契約の場合には、双方が合意をすればそれは問題がないということになるのだろうが、今回はあくまで地元のニーズに対して、公的な責任を果たしていかなければならないということがあり、それについては先ほども述べたように、この10年以上事業を継続するという条件が果たせなかったことが非常に残念であり、これを深く反省しているということである。
【斉藤委員】
私は反省の中身を聞いている。中身なしの弁解ではないか。
私は何度もここで取り上げてきたが、もう民間移管する2月の時点で、医療法人白光は、今度は医療法人白光が民間移管することになったと、民間事業者に話している。5月6月の段階、これは公募前である。県の職員が、医療法人白光を前提に、医療法人の手続きを応援している。公募前に。
・公募前に、医療法人白光の橋本喬夫会長から知事に電話があった点について
【斉藤委員】
それで問題なのは、その癒着の根源には電話問題があると思う。
10月24日の参考人質疑で、橋本氏は公募前に知事から「今度の件はよろしく」と電話があり、その時不在だったので、電話を受けた女性職員から「じゃ、ここの電話番号に電話してください」と言われ、知事の電話番号を聞いて、当日に知事に電話し、「はい、わかりました。がんばります」と答えたと証言しました。知事は、「そういう事実はない」と答えていますが、ただ否定するだけでは済まない。公募前の話である。具体的な根拠を示して反論できるか。
【達増知事】
公募前の医療法人側とのやりとりに対しては、今までの議会の中でも執行部側から答弁してきた通りであり、電話についてもこれまでの答弁通り、そのような事実はない。
【斉藤委員】
知事から電話を受けた女性も聞いている。その取り次がれた橋本尭夫氏が、当日あなたに電話して、このようなリアルなやりとりがある。「今度の件はよろしく」と。「今度の件」は、花泉診療所の民間移管しかないと。だから「はい。分かりました。頑張ります」と、こういう話である。1対1ではない。女性職員という第三者が入ってる。あなたがこの場で「ありません」と言っても、そういう弁解は通じない。あなたがこの問題をそれなりに、虚偽の発言であったら、その訂正を求めるなり、撤回を求めるなりしなかったら、これは百条委員会をつくってやらねばならない。癒着の根本問題なのだから。
公募前に、医療法人白光に「よろしく頼む」と言っていたとしたら、まさに癒着ではないか。どうやって否定するのか。どうやって対応するのか。
【達増知事】
医療局が、どの主体・法人と契約を結ぶかについては、公募のプロセスを経て、そして契約の取り交わしがあって初めてできるというのは、これは誰にとっても当然の事実であり、いま述べたようなことを私が言うことはありえない。
【斉藤委員】
これはぜひ百条委員会の設置を検討しましょう。提案しておきたい。この疑惑は、まさに花泉診療所問題の失敗・破たん・癒着の根本問題なので。双方の言い分だけでは済まない。
・公募前の6月に、医療法人白光の医師を花泉診療センターの嘱託医師として採用した件について
【斉藤委員】
公募に応募しようとしている医療法人から医師を採用することは異常なことで、これもまた白光先にありきの証拠ではないですか。医師採用の経過を具体的に示していただきたい。知事はこの医師の採用を知っていましたか。
【達増知事】
医療局職員の任免については、医療局長の権限によって行っているので、個々の医師の採用については承知していないが、今回の検証において、医師採用の経過等については、医療局から報告を受けている。
【医療局長】
非常勤の医務嘱託の件だが、平成21年5月中旬に、医療法人白光から、「花泉診療センターに非常勤で勤務できる医師がいる」との情報をいただき、医師の確保が非常に厳しい中、非常勤でも勤務いただける医師がいる場合はお願いしたいという立場から採用した。
【斉藤委員】
これから公募をしようという議論をしているときに、公募に名乗りを上げている白光が紹介した医師を採用するということが異常だとは思わないか。この時点で花泉診療所には2人医師がいた。患者数からみて全然必要なかった。2人いたとあなたはそう答えている。
当時の永井先生にも聞いたが、「必要なかった」と。誰がその必要性を決めたのか。誰が採用したのか。医療局長の判断か。
【医療局長】
非常勤の臨時医務嘱託という職員の採用形態というのは、通常県立病院どこでも、医大をはじめいろんなところから応援をいただいているが、そういうときに非常勤医務嘱託という身分で採用させていただいている。これは何が違うかというと、通常の常勤職とは違い、フルタイムでずっとという形ではなく、診療のあるときに来て勤務いただくという形のものであるので、いずれ勤務いただける医師がいる場合には、そういった形での採用は通常やっている。
【斉藤委員】
この報告書の中でそのように言っているか。「県議会で疑義が指摘されて、それも課題だ」と言っている。一般論を聞いているのではない。
医療法人白光先にありきで、公募前に進んでいるときに、その医療法人からの医師を、橋本会長は「200万300万かけて確保した医師なんだ」と言っている。それをあなた方が公募前に試運転させるということに全然問題を感じないのか。
【医療局長】
劇的な医師不足の中であるので、勤務いただける医師がいれば、採用するということは通常行っているところである。
【斉藤委員】
そこの無感覚が異常だと思う。癒着だから答えられない。
公募に名乗りを上げている医療法人から医師を採用するということで適正な公募ができるか。そしてこの医師はなぜ辞めさせられたのか。
【医療局長】
我々の認識としては、当該センターの職場に合わなかったという風に聞いているが、一方、センターの参考人招致においては、また橋本会長からは別な視点での説明があったと思う。
【斉藤委員】
花泉診療所の永井先生は、全然必要性を感じていなかった。要請もしていなかった。誰がこの採用を決めたのか。当時の医療局長か。
【医療局長】
非常勤の臨時医務嘱託の任用については、現場の病院長のところにおいて行っている。
【斉藤委員】
医療局長も相談されたのではないか。現場が要請もしていないのに。公募に手を上げようという、このときにはまだ決まっていない。そういうところから医師を採用させて、試運転して、しかし結果としては務まらなかった。
この採用した医師は、診療所長候補だった。検証結果にも書いているように。そういう医療法人である。
・医療法人白光の事業計画の問題点について
【斉藤議員】
事業計画の最大の問題点は、医師の確保の問題です。県の検証報告でも二転三転した。
検証報告書の10ページで、医師体制の推移ということで、平成21年8月27日から、22年4月1日まで、ころころと変わっている。この事業計画がなぜ認定されたか。「医師確保の見通しがしっかりしているから」と認められた。全然しっかりしていない。8月25日提出の事業計画のときは、最後のときには誰も残っていない。もっとひどいのは、平成22年3月25日、これは民間移管直前、数日前に事業計画を見直した。D、Eという先生。数日後の4月1日の開業のときにはD先生一人。この先生は病気で診療できなかった。一人も診療していない。事実はゼロだった。事業計画の核心ともいうべき医師確保の問題で、こんな根拠のない計画をあなた方は認めてしまった。そうして民間移管がスタートした。
事業計画の最も重大な医師確保について、こうした事態を知事はどう認識していたか。
【達増知事】
先の9月議会最終日本会議でも同様の質問をいただき、私からは、参考人の答弁の中でも非常に強い医師確保に関する自身を持っていたということを指摘させていただいたわけだが、そういう意味でも、先ほど冒頭報告書のまとめを紹介させていただいたように、事業計画の精査はもちろんのこと、これまでの法人の実績や世評等も含めた総合的な評価や審査について、しっかりやっていかなければならないということだと思う。
【斉藤委員】
事業計画の問題は、私は前年の9月議会のときからこの問題を取り上げ、医師確保に根拠があるのか質してきた。事業計画が出されたとき、県議会に提案されたとき、その都度質してごまかしを指摘してきた。そして、民間移管がスタートする直前がこの状態である。これでまともな事業計画といえるか。医師確保の見通しがなかったら、この計画は認めないというのは当たり前ではないか。
【医療局長】
医師の関係については、報告書の10ページに書いてあるような形で、候補が変わっているのは事実である。今般の検証においても、会長の個人的な人脈に頼り過ぎたというのを反省点として検証している。特に、先般の参考人招致においては、人脈というよりも、人材紹介会社の方が主たる医師の採用にあたっての交渉先といいますか、そういった話もあされており、私も初めて聞いたところだが、そういった点については、今回の手続きの中での反省点ということで報告書の中にとりまとめさせていただいている。
【斉藤委員】
事業計画の信頼性というので、これは繰り返し指摘されてもあなた方は無視してきた。
3月25日の事業計画の見直しもごまかしだったが、その前に医事新報に医師広告を出した。そのことを指摘した。医師確保してないから広告を出した。そしてデタラメな2人の医師を出して、4月から開業した。事実上医師不在で。あなた方はそれを認めてきた。事業計画をあなた方は審査した。医師確保の見通しが明るい、これが大前提で認められた。だったらこの事業計画は白紙撤回すべきだったのではないか。
【医療局長】
いずれ医師確保については、変遷しているのはその通りである。候補者が変わっているのもその通りであり、白紙に戻すという議論はさておき、いずれ今般の検証において、その辺をしっかりやるべきだということで、報告の中で教訓として検証の中で報告させていただいている。
【斉藤委員】
本当に無責任である。指摘もされないでやり過ごしたというのならともかく、繰り返し指摘されていてもそれに目をつぶって、事業計画を認めて暴走した。この背景には、そもそも無床化計画を短期間で決めて、決めたとたんに実行したという暴挙がある。無床化した後どうするかという議論が全然地元でできなかった。そういう余裕がなかった。そういう中で、ベットを守ってほしいという地域住民の願いを逆手にとって、医療法人白光ありきで、他の医療法人が全然応募できないような状況で公募をした。公募期間は7月31日から8月25日まで1ヶ月もなかった。どうやって医師を確保して応募できるのか。見通しもない医療法人白光だけが応募したということである。
プロセス、中身、全部異常である。あなた方は遠慮がちに少しずつそのことは書いている。しかし、そういうあなた方の対応一つ一つが今度の民間移管失敗の最大の原因である。県議会では繰り返し指摘されたにも関わらず、無視して暴走して失敗した。
このプロセスに知事は責任を感じないか。
【達増知事】
経緯の早い段階から、述べられたような指摘を議会の場でいただいてきたと思う。そして、そもそも実際に公募を行う前の段階から、民間委託という議論は議会の中でも行われ、地元でもそういう議論があり、そういう中で、適切な公募が行われ、契約に至ったということについては、今までも答弁してきた通りである。
公募、契約といった双方の合意を紙で確認するやりとりの中で、相手の意思を確認しながら進めてきたわけだが、そういった一連の流れは流れとしてあったわけだが、視察があって看護師の問題で訴訟リスクということに気づき、そしてこれでは入院ベットはやっていけないという決断で、そこから契約を変更しようという意思が先方から出てきてしまった。そういった経緯はこの報告書の中にも書かれている通り、また今日も答弁している通りであり、基本的にはこの運営についても、先ほどは内定から最終決定、事業計画の精査や評価・審査についての部分を申し上げたが、その後の運営に関する指導等についてもきちんと節目節目で専門家や第三者に意見をうかがいながら的確に行うということが教訓と理解している。
【斉藤委員】
医療局長にも確認したい。検証結果のまとめのところで、「移管先法人の適格性」「事業計画の精査」「実績や世評」、これは問題があったということでこのように書かれているのですね。
【医療局長】
個別の法人に対して、こういった場で問題があったとかいう評価は差し控えたい。
【斉藤委員】
個別の法人が破たんして教訓を明らかにしている。そういう責任逃れがこの問題を長引かせている最大の原因である。
・日本共産党道議団の根拠のない調査について
【斉藤議員】
何回かここで取り上げられたが、この場所で道議団に確認して、そんなことはないと。診療所の事務長にも確認した。事務長は対応していない。事務員が案内したというが、名刺も氏名も分からないとのことだった。何か根拠があったのか。根拠があって言えるのかどうか。調査を私は求めたわけだから。
【医療局長】
昨年の11月、診療所運営から撤退を表明した医療法人との数次にわたる面談の中で、9月に日本共産党北海道道議団が視察に来られ、診療所の体制にかかる指摘なり話をいただいた旨を、法人の方からうかがった。この件については、昨年委員からご質問あったところだが、我々は外部という言い方をさせていただいたが、どこかということでそういう形で答えさせていただいた。その後、法人にも確認し、「そうです」という回答をいただいている。
なお、昨年の緊急質問では、「まったく事実無根である」という旨、委員からも質問をいただいている。
なお過日、参考人招致においては、我々は9月と聞いていたが、時期については7月と参考人が発言されていたと記憶している。
【斉藤委員】
私は議会でこの問題を独自の事実確認を踏まえて質問した。だから事実確認をしなさいと。根拠のある話だったのかと。根拠がある話だったのか。それを調べてくれと言っている。
【医療局長】
あくまでも、相手方がそう話しているということであり、特にそういった形の事実確認は行っていない。
【斉藤委員】
無責任である。私が事実を指摘して、それは根拠がないと。そしたら調査もしていない。私はきちんと確認して言っている。
調べた結果、根拠があったのか、なかったのか。
【医療局長】
先般の参考人招致の場でも、時期のずれはあるが、参考人から同様の発言をなさっていた。
一方、委員からはそういう事実はない旨の指摘をいただいている。
双方言った言わないの話であるので、どちらを確認しても結果的に同じような話になるのではないかと思っており、あえて確認する必要はないと考えている。