2012年11月29日 12月定例県議会・本会議
給与改定議案に対する反対討論


 日本共産党を代表しての議案第2号から第5号、県職員の期末勤勉手当を引き下げる議案に対して反対の討論を行います。
 今回の給与改定議案は、県職員の期末・勤勉手当を0.05カ月、県職員一人当たり2万円、総額5億5千万円引き下げるものであります。
 反対する第一の理由は、昨年3月11日の東日本大震災以来、その復旧復興のために献身的に取り組んできた県職員に、賃金引き下げで対応することは全く道理がなく、冷たい仕打ちというべきものだからであります。県の昨年度の決算額、今年度の予算額は、震災前と比べて約2倍に当たります。これだけの事業・仕事を少ない県職員で取り組んでいるわけですから、それだけの処遇をすることこそ必要であります。
 県内市町村の実態は、県の人事委員会の勧告通りに賃金引き下げを行おうとしているところは33市町村のうち3団体にとどまっています。賃金の引き下げは、被災地で献身的に取り組んでいる公務員の実態に合わないことを示すものではないでしょうか。
 第二に、県職員の給与の実態は、特別調整額の減額措置を含めると、月額1227円、0.33%、民間給与より低いというのが実態です。本来、県職員の給与は引き上げを実施すべきものであります。実態で公民比較を実施しない県人事委員会の勧告は、労働基本権の代償措置としての機能を放棄するものと言わなければなりません。
 第三に、県職員の給与引き下げは、平成11年度以来実に14年連続となり、その減少額は県職員の平均で年間97万円、総額では260億円の削減となり、県内経済へのマイナスの波及効果は408億円に及ぶものとなっています。県職員・公務員の異常な連続的な賃金引き下げが、民間給与の引き下げを招き、賃金引き下げの悪循環を引き起こしています。世界に例のないデフレ不況という日本経済の最大の原因は労働者の賃金が引き下げられたことであり、この打開にこそ取り組むべきであります。
 この間、民間大企業は労働者の賃金抑制と非正規雇用の拡大で、10年間で100兆円も内部留保をため込みました。資本金10億円を超える大企業の内部留保の総額は266兆円に及んでいるのであります。この内部留保を雇用確保と中小企業に還元して、国民の所得を増やし内需を拡大することが、デフレ不況を打開する最も重要な課題となっています。
 第四に、東日本大震災の復旧復興で、県職員、警察本部の職員を含め、事業量が大幅に増加しているにもかかわらず、超過勤務手当が正確に把握されず、手当が全額支給されていないことは問題であります。サービス残業を放置しての賃金引き下げは二重に認めるわけにはいきません。知事部局の場合は、超過勤務手当の支給時間分しか、超過勤務手当として認めていない異常な実態です。超過勤務の実態把握のためには、民間企業では当たり前の出勤時間、退庁時間を客観的に把握するようにすべきです。県人事委員会も知事部局任せにしないで、労働基準監督機関としての役割を発揮すべきであります。
 第五に、事業量が増えているにもかかわらず、正規職員の数が減少していることも問題であります。派遣職員、任期付き職員、臨時職等が増員されていますが、これまでの「行政改革」の名の下での県職員の削減は、ぎりぎりまで進められ、復旧復興事業の障害にもなっています。長期にわたる復興事業を支える正規職員を大幅に増員するよう求めるものであります。
 また、過酷で過重な仕事に取り組んでいる県職員の心身の健康管理・メンタルヘルス対策の万全を期すべきです。
 最後に、民主党政権は、人事院勧告制度を無視して、国家公務員の7.8%の賃金引き下げを自民、公明両党とも協力して強行しました。解散直前には、国家公務員の退職金を400万円も削減する暴挙まで行いました。いまや、民主、自民、公明の密室談合で人事院勧告制度が破壊されていると言わなければなりません。こうした状況の下で、県も人事委員会も唯々諾々として国の賃金引き下げに追随することは根拠がなくなったと言わなければなりません。
 戦後最大の大災害、東日本大震災津波の被災者に心を寄せるとともに、復旧復興に献身的に取り組んでいる県職員・公務員に寄り添って、それにこたえる待遇の改善をはかるよう強く求めて、県職員の賃金引き下げに反対する討論といたします。
 ご清聴ありがとうございました。