2012年12月7日 12月定例県議会・本会議
議案に対する質疑大要


・福祉灯油について

【斉藤議員】
 日本共産党の斉藤信でございます。議案第7号、第11号、第13号、第16号、第22号について質問します。
 議案第7号は、2012年度岩手県一般会計補正予算(第5号)であります。震災対応分の219億円を含む223億円余の補正予算となっています。
 第一に、被災地福祉灯油等特別助成事業費補助として4985万円余が計上されています。対象世帯はどうなるか。昨年度の実績は2310万円余となっているが、今回増額された具体的な理由は何か。今回の補助も沿岸市町村に限られているが、被災者は内陸市町村にもおり、全県を対象にして取り組むべきではないか。内陸で生活している被災者への対策はどうなるのか。

【達増知事】
 補助事業の対象世帯については、昨年度と同様、特に支援が必要と考えられる高齢者世帯等の市町村民税非課税世帯や生活保護世帯とする考えである。
 予算額の増額理由については、昨年度は沿岸市町村の総世帯数の1割程度を補助対象世帯数と見込んだところだが、今年度は昨年度の事業実施状況を踏まえ、市町村を通じて補助対象世帯数を事前に把握し、事業費を計上したことによるものである。
 全県を対象とした福祉灯油の実施については、今年度の灯油価格は高めに推移してはいるものの、全県で福祉灯油を実施した平成19・20年度の水準までは高騰しておらず、県下全域を対象として補助を行う状況には至っていないものと判断した。
 しかしながら、東日本大震災津波の被害が甚大であった沿岸部の市町村においては、福祉灯油を実施する希望があり、県として被災地支援の観点から昨年度に引き続き、これらの市町村に対して補助を実施しようとするものである。
 なお、内陸に避難している世帯については、昨年度と同様、実施主体である沿岸部の市町村が助成対象とした場合は、県の補助についても対象とする考えである。


・自立・分散型エネルギー供給システム調査研究費について

【斉藤議員】
 第二に、自立・分散型エネルギー供給システム調査研究費(1393万円余)が新規で計上されています。この調査の目的は何でしょうか。再生可能エネルギーの活用に関わるものと思いますが、岩手県の再生可能エネルギーの推定利用可能量はどうなっているでしょうか。県内消費電力量との比較、原発の発電量との比較ではどうなるか。岩手県自立推進協議会の運営費が盛り込まれているが、いつまでに調査研究の結果を求める見込みか。基礎データ等の調査は委託となっているが、どういうところに委託するのか。
 
【環境生活部長】
 災害時に電力供給が途絶えても、再生可能エネルギーを活用して一定のエネルギーをまかなえる、自立・分散型のエネルギー供給体制の構築に向け、関係自治体や団体等で構成する、岩手県自立・分散型エネルギー推進協議会において、その技術的・精度的課題等の洗い出しや体系的な整備を行うとともに、葛巻町をフィールドとして、再生可能エネルギー施設の活用による具体のモデル構想を年度内に取りまとめ、その成果を三陸エコタウン形成プロジェクトなどに生かしていく目的で実施するものである。
 調査研究を進めるにあたっては、検討材料となる基礎データ等を、外部の調査会社に委託することとしており、一定の資格要件を設定した上で、一般競争入札により決定しようとするものである。
 岩手県の再生可能エネルギー推定利用可能量については、国の推計によると、電力利用で約230億kw/hとされており、これは平成23年度の県内消費電力量約88億kw/hの約2.6倍、近年の原発の発電量で比較すると、110万kwの原発の約3.5基分に相当する量とされている。


・災害廃棄物処理促進事業費補助について

【斉藤議員】
 第三に、災害廃棄物処理促進事業費補助として101億5789万円余が市町村に補助することになっています。これまでの災害廃棄物の全体と不燃物など主な廃棄物ごとの処理量とその率、広域処理の必要量と処理量・率はどうなっているか。津波堆積物は復興資材に活用するとしているが、必要な分別施設の整備はどうなっているか。活用できない分はどれだけの量で、どう処理処分する計画か。

【環境生活部長】
 平成24年11月末現在で、災害廃棄物525万トンのうち、24.2%の約127万トンを処理したところである。その主な内訳は、可燃物66万トンのうち34.6%の約23万トン。不燃物115万トンのうち22.3%の約26万トン。コンクリート殻145万トンのうち41%の約59万トン。津波堆積物130万トンのうち約2.3%の約3万トンなどとなっている。
 広域処理については、可燃系がれきの必要量約30万トンのうち22%の約7万トンが処理された。
 津波堆積物を分別するために必要な振動振い機などの施設については、10月以降順次整備している。また津波堆積物などから最終的に復興資材として活用が困難とされるものが35〜50万トン程度発生すると見込まれる。これらについても、さらに復興資材としての活用方策をさぐるとともに、県内市町村および民間の最終処分場への埋め立てを検討しているところだが、なお不足する分については、広域処理も合わせて調整していくこととしている。


・超過勤務手当について

【斉藤議員】
 第四に、超過勤務手当が7562万円余補正されています。この時期の補正は異例ですが、超過勤務の実態と超過勤務手当の人件費に占める比率はどうなっているでしょうか。この間の5年間の推移も含めて示していただきたい。

【総務部長】
 知事部局における本年4月から10月までのひと月当たり平均超過勤務時間数は、職員一人当たり10.9時間、対前年比で22%減となっている。
 5年間の推移を申し上げると、平成20年度が10.0、21年度9.5、22年度11.9、23年度13.9時間となっている。
 超過勤務手当の人件費に占める比率だが、今年度の12月補正予算ベースでみると、4.0%となっており、この5年間の推移は、決算ベースで、平成20年度3.1、21年度3.0、22年度4.2、23年度4.8%となっている。


・県職員の定数の増員について

【斉藤議員】
 議案第11号は、岩手県職員の定数条例の一部を改正する条例です。知事部局の定数を270人、収用委員会の事務局を7人増加しようとするものです。増員の具体的な中身を示していただきたい。正規職員は増員されるのでしょうか。これまでの定数削減で県職員はぎりぎりまで削減されています。5年間、10年間でどれだけ削減されてきたでしょうか。大震災以降でも任期つき職員等は増員されていますが、正規職員は減少しています。新規採用の正規職員を増員すべきではないでしょうか。

【総務部長】
 知事部局の増員270人は、復興事業を推進するために必要となる職員数約160人および来年度以降に県が市町村へ派遣することを見込んでいる職員約110人の合計であり、収用委員会の事務局増員7人については、復興事業の進展にともない業務量の増加が見込まれている収用案件の処理を行うためのものである。
 職員数については、4月1日時点での職員数でこれまでと比較すると、今年度の職員数は5年前の平成19年度に比べ311人の減、14年度に比べ877人の減となっている。
 任期付職員以外の正規職員の新規採用については、今年度の86人にたいし、来年度は110人程度と見込んでおり、採用数を増やす、正規職員を増加するということにしている。


・東京電力福島第一原発への職員の派遣について

【斉藤議員】
 議案第13号は、一般職の職員の特殊勤務手当に関する条例の一部改正であります。これは、東京電力福島第一原子力発電所の敷地内等で行う作業に従事した職員にかかる災害応急作業等手当の特例措置を定めるものであります。すでに、本県警察官が派遣されていますが、派遣業務の内容、福島第一原発敷地内の放射線量と被曝放射線量はどうだったのでしょうか。派遣職員の選考基準は何でしょうか。災害応急手当の内容はどうなっているでしょうか。

【総務部長】
 今回特例措置による災害応急作業等手当は、東京電力株式会社福島第一原子力発電所敷地内および原子力災害対策本部長の指示により設定された警戒区域等の区域において作業に従事した場合に支給されるものである。
 具体的な支給額については、日額4万円を上限として、支給対象となる区域および作業の内容に応じ、人事委員会規則において定めることとしているが、本県警察官が従事する作業内容にかかる支給額については、国の例に準じた場合、日額13300となる。


・国民健康保険法に基づく岩手県調整交付金の交付に関する条例について

【斉藤議員】
 議案第16号は、国民健康保険法に基づく岩手県調整交付金の交付に関する条例の一部を改正するものであります。定率国庫負担が減って、県調整交付金が2%増加しますが、県調整交付金の交付条件はどうなっているのでしょうか。市町村が国庫負担を減らされたままとなることはないのでしょうか。

【保健福祉部長】
 国民健康保険法の一部改正により、都道府県調整交付金の総額が給付費等の7%から9%に引き上げられたことに伴い、県調整交付金の配分については、給付費規模に応じて交付する普通調整交付金として9分の6、収納率の向上や医療費適正化につながる事業費等に交付する特別調整交付金として9分の3とすることとして今議会に議案を提出している。
 特別調整交付金に配分しようとする2%増加分の取り扱いについては、今年度については、定率国庫負担と同様に、市町村の給付費規模に応じて交付をすることとし、来年度以降の取り扱いについては、県単位で給付費を調整する保険財政共同安定化事業への活用も含め、市町村と協議を実施している。


・県民活動交流センターの指定管理者の指定について

【斉藤議員】
 議案第22号は、県民活動交流センターの指定管理者の指定に関し議決を求めるものであります。今までどおりのNTTファシリティーズなどの結(ゆい)グループの指定となっています。指定管理者によってこれまで同利用者サービスや維持管理等でどのような改善が図られたのでしょうか。今回の事業計画では、どのような改善が提起されているでしょうか。
 指定管理者制度の最大の問題点は、臨時職員など非正規雇用が多いことです。結グループの職員数と正規職員数はどうなっているでしょうか。給与水準はどうなっているでしょうか。

【政策地域部長】
 県民活動交流センターの指定管理者の利用サービスや維持管理のこれまでの改善点だが、復興バザーなどの入居施設と連携したイベントの開催だとか、コインロッカーなどの案内サイン等の設置、冬の期間において開館時間前に来館した利用者に対して1階のホールを開放するといったような対応、イベント映像の動画配信などをホームページにアップするといったことに取り組んでいる。