2013年12月10日 商工文教委員会
被災事業者への支援策に関する質疑大要
・修繕費補助、復旧事業費補助について
【斉藤委員】
中小企業被災資産修繕費補助は、岩手県が国に先駆けて中小業者に補助を出すという画期的な取り組みだった。そのことは評価している。しかし、被災地沿岸限定ということに問題があった。いま国の制度、宮城県も中小企業に補助制度をやっているが、限定していない。岩手県は全体が被災地である。そういう形で、グループ補助も融資も岩手県全体が被災地という扱いになっている。
内陸の被害状況が出ているが、特に一関市は70億円を超える被害になっているし、金ヶ崎も10億円を超える、奥州も13億円を超えると。沿岸北部より被害が大きい。やはり被災資産修繕費補助というのは、沿岸だけではなく内陸も対象にすべきだったと。その意味でこの制度を復活させてほしいと。
もう1つは、宮古市が9月補正で6000万円の補正予算を組んだ。いま中小零細企業がどうなっているかというと、やはり復旧・復興が段階的であるということである。すぐに復旧できるところと、いろんな努力をしながら復旧に踏み出すところが段階的である。2年3年継続した支援が必要だと。制度をつくって3ヶ月以内というところで手を挙げられるところはあったかもしれないが、その後に復旧したいとの声が出ているから宮古市もそういう対応を市単独でしている。被災地沿岸も含めて、これはぜひ内陸も対象にした形で復活させるべきだと。
工場再建支援事業費の場合は、実質グループ補助が継続される場合はそちらの方が有利なので、おそらくそのように流れると思うが、ただ厳密にいうと、来年度グループ補助がどういう形で継続されるか未定である。その動向も示していただきたいが、しっかりした概算要求がされていないと思う。そこの見通しも含めて。
中小企業被災資産復旧事業費補助も、これは今年全壊・流出した事業者を対象にしてやっているが、これも沿岸が対象ということで、これも同じように内陸を対象外にする必要はないと思う。県議会では、内陸の自治体や商工団体の状況を聞いてということで、だから聞いているので、そういうことをしっかりやってほしい。この事業については単年度だけではなくて継続を検討するという方向がすでに出ているので、そういう意味ではさらに対象を拡充してやっていただきたい。
【経営支援課総括課長】
修繕費補助については、やはり被災後ただちに復旧していただきたいと。しかも修繕であれば、何とか事業再開ができるんじゃないかということで、昨年の4月の際に提案し制度化したという経緯がある。内陸部ももちろん被災しているわけだが、沿岸の被災の規模が甚大だったということで、それを早期に復旧したい、地域経済を何とか早く復旧させたいという思いで制度を立ち上げた。
グループ補助の動向については、国では25年度の当初予算への概算要求として事項要求ということで金額を示さない形で現在出ている。いずれこれらについては、当初予算の中で議論されると考えている。
復旧費補助についても、被災地の津波で全壊・流出している状況でこの制度を立ち上げたということであるので、そういった被災の程度の甚大さを鑑みて制度化したものである。
【斉藤委員】
岩手県が機敏に修繕費補助を打ち出したことは評価している。しかし、沿岸北部と内陸の被害を比べたら、内陸南部の被害の方が大きい。
そして中小零細業者というのは段階的に復旧する。だからこの補助制度を出したときにすぐ手を挙げられるところはあったかもしれない。しかしその後、何らかの形で復旧したい、半年後1年後に復旧したいなど、いろいろある。だから宮古市がそういうことをやっている。宮古市は修繕費補助でも149件と昨年一番多かった。そういう宮古市でも今年も要望が出ていると。宮古市の場合は、応急修理にプラスしてもやっている。
たしかに沿岸被災地は被害が大きい。しかし一様に被害が大きいと言ったら決してそうではない。沿岸北部と比べたら県南の被害は小さいとは言えない。そして段階的に復旧するという点で、復旧費補助は来年度もやろうとしている。だから、修繕費補助も単年度で終わるべきではなかった。修繕で再建できる事業者があったらこんなに良いことはない。そういうことを継続的に。今回の震災というのは、何でも継続的に支援することが重要である。
【経営支援課総括課長】
沿岸北部の商工関係の被害状況だが、すべて正確な数字があがっているかは当時の混乱の状況の中であるのでご容赦いただきたい。商業関係のみだが、洋野町が25件19億円余、野田村107件31億円余、普代村が12件14億円となっている。被害額で比較してどうかということはあるが、沿岸北部についても相当程度あったと認識している。
中小企業の復旧状況だが、たしかにそれぞれの事業者の事情により、ただちに復旧できたところ、あるいはいろんな段取りが必要ですぐ復旧できなかったところは現実にはあろうかと思う。ただ、修繕費補助の制度の考え方で申し上げた通り、できるだけ早く復旧して地域経済の回復に寄与していただきたいということでの制度設計だったということで、現実にそういった方たちが利用されて400件以上の利用があったと理解している。
【斉藤委員】
良い制度をもっと活用できるように改善すべきである。この制度は良いと言っている。ただそれがきわめて短期間に限定をされた、沿岸だけに限定されたということが改善されればもっと良い制度になると。沿岸北部の被害が小さいとは言わない。内陸南部の被害の方が大きいのも事実である。そして事業者の実態はあなた方はよく分かっていると思うが、実態はそのように段階的に復旧するのである。だからそういう継続的な支援が必要である。復旧費補助はそうしようとしているのだから。当初の目的がそうだったからと、官僚的にならないで、改善するところは改善すると。そして事業者に喜ばれる制度にしていくと。このことが一番大事だと思う。
内陸市町村の動向はどのように聞き取りしているか。
【経営支援課総括課長】
先に修繕費の補足の説明をすると、修繕費を利用された事業者でグループ補助金をその後申請された方もおり、グループ補助金で採択された方はそちらに移行していったという流れもある。ということで、件数が427件ということだが、実際に申請されている方はそれよりも多く、500件を超えていたと記憶している。
内陸市町村の動向だが、すべてではないが、私も市町村に話を聞いてきているところだが、予算を伴うということと、被害の状況を把握しているところとしていないところがあるが、そういったところを踏まえて、そこはよく意見を聞いて対応は考えていきたい。
・グループ補助金について
【斉藤委員】
これも画期的な制度で事業者に喜ばれているが、一番の問題は予算の枠が小さすぎることである。だから選別せざるをえない。もっと枠が大きければ希望者全体が受けられる。受けた事業者と受けられなかった事業者で天と地の違いが出ている。県がそういうことを考えているとは思わないが、しかし予算の規模でそうせざるをえない。この枠を大幅に拡充すると。希望するグループ全体が受けれるようにすると強く国に求めるべきである。
今回の第5次申請を見ても、二段階で申請を受け付けているようだが、第1次で12グループ180社75億円である。今のところは97億円の予算しかない。確実にオーバーする。そういう意味では、いま申請している12グループ75億円というのは、特別の問題がない限り採択すべきだと。しかしそうした場合に、第2次グループの枠は少なくなってしまう。22億円しか残らない。だから、緊急に予備費などを使い、拡充すると。そういうことが必要ではないか。
国は801億円予算化したが、県配分はどうなるのか。岩手県は第4次公募の実績で予算を組んだという背景があるが、それを超えることは当然考えられるわけで、県も補正をして801億円の岩手県分を拡充させることは十分可能だと思うがいかがか。
【経営支援課総括課長】
補助金の考え方だが、予算枠ももちろんあるが、まずはグループを構成して、復興事業計画を策定していただく。その計画の中身をまず審査会で審査しているわけで、やはりいかにグループを構成して、その連携の効果を高めるか、あるいは共同して行うことによって地域経済に貢献できるかというところが根底になろうかと思う。そういった計画をきちんと作っていただき、実際に実行していただくということがあり予算化されている。
今回第5次の前半の公募を締め切った段階で、9月補正で確保していた予算に迫る状況になっているので、これについてはさらに1月の公募を締め切った段階で、必要であれば国に予算の確保については要望していきたい。
各県ごとの配分については、801億円を国で予算化したということであるが、現段階でいくらということを示されているわけではない。
【斉藤委員】
11月末で第5次の全半分を締め切ったと。そして12グループ75億円だった。この決定がなぜ年を越すのか。年内に決めてこそ事業者は喜ぶのではないか。なぜ1ヶ月以内でやれないのか。早く決定を受けて新年を迎えるかどうかは事業者にとっては大きな違いである。そこを前倒しで年内に決定するということができないか。
801億円の配分はまだはっきりしていないと。やはり要求次第だと思う。そういう意味で、後半部分の申請も今やっていると思うが、予測を立てて、県も必要だったら臨時議会でもやって補正を立てればいいと思う。やはり後半部分の申請にも対応できるような手立てが必要ではないか。国にもやっぱり根拠をもった要望をして、801億円の予算については必要額を確保すると。そういう県の対応が必要ではないか。
【経営支援課総括課長】
これまで4回公募を行っており、審査等があるのでだいたい1ヶ月半ほど公募を締め切ってからかかっている。そういうことがあり、だいたい1月の中旬ごろということで決定になると。時期的に年末年始になってしまい、大変事業者の方にはご心配をおかけするが、いずれ申請された中身の精査もあり、県の審査、国の審査と段階を経るので、1ヶ月半ほどかかるということでご理解いただきたい。
配分については、1月の締め切り段階で、必要に応じて国に対しては要望していきたい。応募の状況である程度動きも分かってくるかとは思うので、あまりギリギリになって駆け込むということがないように、国の方にも状況は伝えながら予算の確保を検討していきたい。
【斉藤委員】
1ヶ月半かかるということだが、この間第4次公募までやってきているので、かなり慣れてきてスピードアップできると思う。そして申請する方々も2度3度申請している方々なので、県もちゃんとアドバイスして、それなりの充実した計画が出ているのだと思う。だから、それも今まで1ヶ月半だからという発想ではなく、それを待っている事業者の立場・思いに立って、ぜひこれはスピードアップして前倒していただきたい。
そして後半部分の申請状況が分かれば示していただきたい。後半部分も含めて、県が先手をとって対応することが今の時点では必要だと。9月議会で県が国に先駆けて予算化をしたことは評価したい。こういうことをどんどんやるべきである。第5次は出遅れたということがないようにやっていただきたい。
改善の問題だが、ここで改善を求めているのは、4つの条件が厳しすぎる。「グループ外の企業や他地域の産業にとって重要な役割を果たしている」とか「事業規模や雇用規模が大きく」とか「経済的社会的基幹となる産業群を担うグループ」とか「地域コミュニティの維持に不可欠な商業機能」など。そうすると、客観的には小規模零細は対象にならないということになってしまう。だから、小規模な人たちもグループ次第では対象になり得るというような改善が必要なのではないか。
商業関係が4番目で対象になっているが、新聞報道では、商業グループは4グループぐらいしか決まっていないのではないかという報道もあるが実態はどうか。
水産関係はかなり重視して採択されてきたということだが、今まで51グループの主な内訳、これはどうなっているのか。商業グループ、水産加工関係その他について。
あと先ほど大企業のものがあったが、基本的には中小企業対策だと思う。751社の中で、いわゆる大企業というのがどのぐらいあるのか。
【経営支援課総括課長】
後半の申請状況だが、まさに今後半の公募中だが、4次の公募で不採択になったグループで申請していないところもあり、後半に件数が出てくるものと推測はしている。
グループの実態だが、51グループのうち、製造業が32で水産加工業が16となっている。建設業が4グループ、小売業が5グループ、宿泊などサービス業が10グループということで、多くは製造業と認識している。
大企業の割合だが、751社中17社。このうち補助金を実際に受けたのが9社であり、それ以外は中小企業が大半である。
【斉藤委員】
岩手県の雇用や経済に大きな役割を果たしている大企業はあるので、やはり枠が決まっている中で、力の弱い中小企業にと。問題はやはり枠だと思うので、第4次が43グループ申請して21が決定と。ここだけ22グループもれているので、今まだ12グループで半分程度しか申請していないと。おそらく第4次で申請した方々は基本的に申請して、さらにプラスになってくると思うので、そうすると今申請されている75億円規模になるのではないか。その辺りの見通しを立てて県の対応を進めていただきたい。
・被災した中小零細業者への新たな支援策について
【斉藤委員】
グループ補助との関わりはあるが、グループ補助が中小零細まで申請しやすくなれば大事なことだが、現状はそうなっていないので、そういう中で中小零細業者の方々に対するグループ補助並みの支援策が必要ではないか。
県の説明では、融資の状況を報告されたが、融資は内陸がほとんどを占めている。おそらく借金しても返せないと。被災地はそのような雰囲気ではないかと思う。それだけに、融資ではない具体的な支援を考えていただきたい。
【経営支援課総括課長】
補助金がいろいろメニューがあるので、なかなか融資というものが少ないが、やはりこの東日本大震災の復興資金というのは、昨年の6月15日から始まっており、1年ちょっと経ったところで4000件ぐらい使われているということなので、非常に使い勝手がいい制度だと思っている。そういった融資制度を十分に活用していただくということで、三陸基金や設備貸与などいろいろ組み合わせることで、すぐ手元に資金がなくても復旧できるということもある。いずれいろんな制度を活用していただくことをこれから啓発しながら利用促進していきたい。