2012年12月10日 商工文教委員会
雇用対策、仮設店舗の事業者への支援等に関する質疑大要


・雇用対策について

【斉藤委員】
 年末、年度末を迎えて、雇用も大変深刻で、一般質問の議論を聞くと、量的または質的なミスマッチが生じていると。この実態はどうなっているか。
 広域延長給付受給者4376人が延長措置が終了したが、この就職状況はどうなっているか。この間ずっと3割そこそこの就職率になっているが、この対策はどうなっているのか。7割近くが保険が切れた段階で就職できないというのはかなり深刻である。その対策はどうなって、この間どういうところまで改善されているのか。
 事業復興型雇用創出事業はどこまで改善され適用されているか。
 基金事業で、今年度はどういう雇用確保の状況になっているか。

【雇用対策課長】
 量的なミスマッチとしては、一部業種により求人は出ているが就職者の数が大きく下回っているということで、職場はあるが働き手がなかなか集まらないミスマッチがある。これについては、職種とすれば、専門的技術的職種だとか、サービス業などの職種である。反面、事務的職種については、求職者は多いが求人はずっと少ないというミスマッチがある。質的なミスマッチとしては、資格・経験を求められている業種があり、そういうところは求人は出ているが応募しようにもできないという性格のものがあり、あるいは希望求人における条件と求職者の希望、仕事を探している人が働ける条件、時間的・距離的制約があるので、そういったところがうまく合わないということがある。その辺りは、特に沿岸地区でも問題になっていたが、水産加工業において、一定程度の求人もあり、求職者もいるが、その割には就職件数が少ないということから、条件のずれが見られるのだろうと推測している。そういったところについては、丁寧にそれぞれの求職者の条件なり希望を聞きながら、相談に対応していることはハローワークでもやっており、県でもジョブカフェ等を通じて、そういった対応をしている。
 雇用保険の延長給付だが、一般質問の中でもあったが、指定期間開始から終了までの期間で、全部で4376人の広域延長給付の受給者がいた。そのうち、10月末で就職者の割合は33%余となっている。毎月少しずつ下がってきていたが、最終的には若干上がって、それでも33%という状況である。支給が終了した方の中には、2割弱だが求職活動を止めて、今は様子見をなさっている方もいるが、それ以外の中で33%の就職率ということで、そこに対する対策としては、県の方でも沿岸部で例年より回数を増やして就職面接会をやっているし、あとはハローワークでも個別に特定の業種だとか求人の多い会社とかを選定し、あまり大がかりじゃない形でも、ミニ面接会等を開催するなどして、一気にとはいかないが少しずつ就職者を増やすという対策をとっている。我々の対応については、引き続き継続していき、あとは経験・資格を増やすという意味では、職業訓練というところについても、特別対策ということで、そういった対応も継続してやっているところである。
 事業復興型だが、11月末で23年度からトータルして646事業所2673人分に対しての使用状況となっている。当初なかなか活用がされなかったが、9月以降毎月500人以上の助成対象者の申請を受けており、9月は550、10月620、11月590人ということで、かねてより事業者への制度の普及を図ってきた効果が9月以降出ているものと考えている。
 基金の状況だが、今年度10月末の時点で、これまでの取り組みで県・市町村合わせて185億円について事業化し、新規雇用者数は7159人となっている。なお、今後引き続き対応については継続し、県においても年明け以降にも新たに募集をかけるものもあり、市町村についても時期のずれがあるので、いろいろあるのだろうと考えている。

【斉藤委員】
 雇用保険が切れた4376人のうち、再就職したのは1208人である。なぜ33%しか再就職に至らないのかというのを、立ち入って調査し、具体的な打開の方向を考えるべきではないのか。
 基金事業は7159人とかなりの規模だった。やはり復興事業関連で、きめ細かな仕事がたくさんあると思うので、これは1年〜3年ぐらい必要だと思うが、しかし基金事業はいつまでも続くものではない。だからこういう7000人規模の人たちが被災地でさらに定職についていくという展望をもって雇用対策に取り組むべきではないか。

【雇用対策課長】
 12月に再度沿岸地区ハローワークで、求職者に対するアンケート調査をする予定である。その中で、もちろん広域延長を受けられた方々もいらっしゃると思うので、それらを通じて現地の求職者の声を聞いて対応を考えていきたい。
 雇用基金だが、ご指摘のとおり、まだまだ求人倍率は上がってきたというものの、ミスマッチや職種の問題もあるので、継続は必要だと考えている。先の補正予算でも追加配分をしており、求人が活発な状況なのでこの機会を逃さず今後の定職への移行を図りながら、短期の緊急雇用は創出しながら対応していきたい。


・仮設店舗での事業者の状況について

【斉藤委員】
 仮設事業者の調査をやったと。仮設事業者の実態と要望はどう示されているか。
 仮設店舗は現段階で、区画数・店舗数でどのぐらい整備されているのか。
 そして本設への要望というのも大変切実な課題になり、2年後3年後本格的に再建しようと思ったら補助制度がなかった、ということが一番心配される。そこにきちんと答えを出していく、展望を示していくことが必要ではないか。
 私は仮設店舗、仮設商店街を回ってみて、集積した力が大いに力を発揮している。知恵も出て、情報も交流される中で、本設のときにもまとまって商店街を構成したいという要望も出ているので、そういうことにどう応えていくか。

【経営支援課総括課長】
 岩手県産業復興相談センターが調査したものだが、454事業者を調査したものということで、事業の継続についての希望が92%ということで、ほとんどの方が事業を継続したいと。さらに本格復旧したいという方々が8割ということであるので、やはり仮設の方々も早く事業を復旧させて本設に移行したいという希望が強いと理解している。
 仮設店舗の整備状況だが、中小企業基盤機構にエントリーするのだが、そこで市町村で機構と契約を行い事業開始となるが、事業開始の区画数で述べると、1654区画になっている。
 集積の力ということだが、やはり仮設で始められた方たちも、協同組合をつくってそういう動きが出てきている。宮古の田老地区、大船渡の屋台村や夢商店街、山田の商店街ということで、現在4つの組合ができている。この後も、新しく組合をつくるという動きも聞いているので、仮設にありながらも協同化していくということが本設に向けての力になると考えている。国においても、概算要求の段階ではあるが、被災地域商業復興支援事業という、商業機能の回復が必要な地域で施設整備をする場合の補助が検討されているということがあるので、グループ補助金もあるが、こういったものも国で検討を始めたと。いずれそういった有利な制度を活用していただきながら、本格復旧に取り組んでいただけるようにと考えている。

【斉藤委員】
 いまは一定程度復興需要があると。阪神の商店街の人たちは、せめて2年だと。やはり2年間どう持ちこたえて、そして本設に移行する資金をいかに蓄えるか。ここで消耗してはいけないので、そういう意味では2年3年というところの仮設店舗の状況をよく見て、上手くいっているところとそうでないところ、きめ細かな実態をつかんで対応していただきたい。
 来年度の概算要求の話もあったが、やはり本設に向かう展望をもった支援策を県としても、国に対しても要望していくことが必要ではないか。

【経営支援課総括課長】
 本設に向けての資金だが、やはり国・県のそれぞれの補助制度もあるので利用していただくと。やはり本設に移行するにあたって資金を借りるということで、二重債務になっていくということが懸念される。そういうことで、今は資金を借りる必要はないが、本設に移行した場合には新たな資金により二重債務になるという話もあったということもある。そういった中では、債権の買取ということも必要になってくると。あるいは利助とかそういったことも出てくるかと思うので、そういったことも総合的に支援できるようにしていきたい。
 いま仮設に入っておられる方についても、専門家を派遣して、経営力を高める取り組みをしている。やはり専門家の方から接遇の仕方や店舗のレイアウトの仕方、販売の促進のためのアドバイスなど、売り上げが伸びたという話もあるので、そういったことをしながら、仮設でもできるだけ売り上げを伸ばしていけるという対応を支援していきたい。
 いずれ本設に向けて、いろんな制度が必要になってくるということで、先ほど紹介したような制度も実現するように国に働き掛けながら、2年3年後となると思うが、そういった時期に確実に移行できるように支援していきたい。


・二重債務への対応について

【斉藤委員】
 復興機構、再生支援機構の債権買取の状況はどうなっているか。今後改善の見通しはどうなのか。被災した事業者の規模と比べると、まだまだこれからだと思う。

【経営支援課総括課長】
 産業復興相談センターの方での再建買取の状況だが、復興機構としての買取だが、買取件数が11月末現在で31件である。長期返済猶予が24件、新規融資が15件ということで、支援としては計70件である。
 再生支援機構の方は、県内の事業者への支援状況としては27件となっている。
 実際には、やはりこれから本設に移行する中で、二重ローンになるという可能性もあるので、今後さらに相談が増えると考えている。いま相談センターの設置期間を継続してほしいということで国に要望している。


・販路回復への支援について

【斉藤委員】
 水産加工会社の実態がテレビで出たが、山田の水産加工会社で、40あった取引先が、事業再開したが20しか戻らないと。前の取引先が、もう箱に印刷してしまっていると。それを新しく戻せばそれを変えなくてはいけないというので、なかなか取引先が100%戻らない、5割程度にとどまっていると。水産加工は7割ぐらい再建はしているが、久慈に調査に行ったときも、あの時点でも3〜5割だった。そこの課題に対する具体的な支援も必要ではないか。

【産業経済交流課総括課長】
 やはり経営者の方々困っているという状況で、県としては、被災した水産加工業が回復する体制をつくろうということで、経営者4名を食産業復興支援コーディーネーターにうちからも出向しており、その方々と議論しながら、被災者の状況を踏まえ助言・指導を行っていこうと考えている。
 やはり販路がなくなってしまった方々も多いが、そういったバイヤーとか、商品力を高め魅力をもったものとして新たにプッシュしていかなければいけない。県としても、三陸復興商品力向上プロジェクトチームというものを立ち上げている。これは、県のアドバイザーとバイヤー、交流センターと三者で構成しているが、デザインとか商品の中身など経営者の方々の意見を踏まえて商品力向上の提案をやっていこうと思っており、商品のつくりから販路開拓まで支援していこうと思っている。