2012年12月11日 決算特別委員会
花泉診療所の民間移管問題に関する質疑大要
・事実経過について
【斉藤委員】
4ページのところで、「2月16日一関市長と面談。医療法人白光が名乗りをあげたことを踏まえ、どのような利活用を考えているか説明した」と。これは何を説明したのか。
【医療局長】
新聞報道等を受けて、そういった声があるという状況を説明したと理解している。
【斉藤委員】
新聞報道を受けて説明したと。民間移管で手を挙げている人がいるから民間移管があり得るという話ではないか。この時点というのは、無床化がまだ強行されていない、地域が反対の声でいっぱいだったときである。
4月23日、第2回地域医療センター等懇談会で知事出席、ここで医療局は公募を実施する旨を表明した。あなた方は、「民間移管は地域から声があがってそれに応えた」と言っているが、全然経過が違う。第1回の懇談会は、無床化反対の声でいっぱいである。第2回は、無床化された直後。この第2回懇談会で、老健の施設長さんの医師が、「県から民間に移行するという案が出て、今日この案を初めて見せられてみんなびっくりしているのではないか」と。民間移管というのは、びっくりするような形で出された。だから最初からあなた方は、1月28日の白光が手を挙げた新聞報道から、それを前提にして声も上がっていないのに、民間移管の公募の方針を示して進めたのではないか。
【医療局長】
一連の手続きについては、委員から度々お話いただいているが、基本的にはそういった動きや報道がある中で、地域の意向を踏まえて対応してきたというところである。
【斉藤委員】
私はあなた方の報告書に基づいて聞いている。4つのパターン示して、医療局で公募する、実施する旨を表明したと。4月23日である。無床化した直後である。地域住民の声を踏まえてというものではない。第1回懇談会はそんな声は出ていない。第2回も、「初めて見せられてびっくりした」と。私は議事録を全部見たが、「ベットを残してほしい」という声は当たり前である。無床化されたのだから。しかしそういう声を無視して、民間移管先にありきで、公募の方針を示したのは4月23日ではないか。
【医療局長】
4月23日には、方針というところまでは局として示したという形ではなく、こういう選択肢の中で、いろんなパターンがあるという形で意見交換をさせていただいたと認識している。
【斉藤委員】
あなた方が書いている通り言っている。「医療局で公募を実施する旨を表明した」と。まったく当事者能力がない。これだけ重大な問題で人ごとのような答弁をすべきでない。
【医療局長】
当日懇談会をやって、そういった議論の結果を踏まえて、そのことを表明したというか、そういう流れであり、懇談会の冒頭から方針を示して懇談したということではない。
【斉藤委員】
懇談会のメンバーからそういう声が出たわけではない。ところがそういうところに、案が、4つのパターンが示されたからびっくりしたということになった。
民間でやってくれという声を受けてやったというのは真っ赤なウソである。
公募要綱について説明したのは、平成21年7月29日の第4回地域医療センター懇談会である。ところが、第4回、公募要綱を示す前に、医療法人白光は公募に向けた準備を県の支援のもとにやっていた。さまざまな支援を医療局はやってきた。違うか。
【経営管理課総括課長】
医療法人白光の民間公募に関する、平成21年1月28日の新聞報道を受けて、同年2月16日と4月6日の2回にわたり、法人側の聞き取りをしている。また、その後においても、地域診療センター等懇談会の状況等についての問い合わせなどを受けている。
検証にあたっては、過去における一連の書類や記録等を精査するとともに、当時の関係職員から確認した上で、最終報告としてまとめた。医療法人白光が、公募に向けた準備を県の支援のもとで行っていたという事実については確認していない。
【斉藤委員】
あなた方が支援できなかったら、7月25日〜8月25日の公募期間に申請などできない。この場でも具体的に、県の職員が部長にも呼ばれて、叱咤激励されて、医療法人白光の申請書類を支援しなさいと、そうやって動いている。医療法人白光先にありきで県職員が動いていたのは事実なのだから。あなた方は都合の悪いことは全然調べもしないし認めようともしない。
・民間移管の是非について
【斉藤委員】
19ページでは、「官民を問わず入院ベットが必要であるという地域の強い意向が示されて、民間事業者のノウハウに期待して公募による民間事業者への移管を進めた」と。これは事実に基づかないと私が指摘した通りである。
それで、課題として、「公設民営や指定管理者制度といった他の選択肢を考慮せずに、民間移管を進めたとの指摘が県議会でなされた。今後への反映として、地域の意向に沿って(中略)多様な検討を行うとともに、今回の検証結果を十分に踏まえ、地元市町村との密接な関わりのもと適切に対応していく」と。民間移管が有力な選択肢とはいえない。多様な形態、これは県による再生もあれば市町村による運営もある。それが今回の民間移管失敗の重要な教訓だと思うが、認めるか。
【医療局長】
有床診療所の維持がなかなか難しいということで、やむにやまれず無床化を進めたわけだが、そうした中にあって、民間の活用による有床診療所の維持という方法そのものは地域の期待に応える選択肢の1つだと考えている。
ただ、委員ご指摘のような、必ずしもベットを維持する場合の手法としては、指定管理とかいろいろな手法があるので、我々も、選択肢の1つということで、報告書をまとめている。民間移管がすべてだとは言っていないので、それは地域の実情に応じた形の選択肢がいろいろあろうかと思う。
【斉藤委員】
検証報告を示して私は言っているので、あなた方が「多様な検討を行う」と言っているのだから、それが今回の検証の教訓だと。逆に言えば、今回民間移管で、突っ走ったことが問題だったということである。
・民間公募に至る過程・手続きについて
【斉藤委員】
公募前における医療法人白光への対応について、臨時嘱託医師の採用問題では、あなた方の検証結果として、「医療法人からの紹介による臨時医務嘱託の採用をはじめとして、公募前の医療法人との接触のあり方について、県議会から『対応が不透明である』『癒着ではないか』と疑問を呈する意見が出されてきた。特に、臨時医務嘱託の採用は、公募への参加を表明した法人の紹介を受けてのものであり、公募前という状況を考慮した場合、配慮に欠ける行為であったことは否めない」と、初めてこのように書いている。どのように反省しているか。
【医療局長】
非常勤の臨時医務嘱託の採用については、いずれ医師不足の中で、一人でも確保したいというのが医療局として、できるだけ現場の医師の負担を減らしたいという意味では、できるだけ医師を増やしたいというのが基本的なスタンスである。
しかしながら、今般の臨時医務嘱託の採用については、これまでも議会でいろいろご指摘をいただいてきた。外形的な受け止めをされるということは本位ではないので、そういった点も踏まえ、今後においては、移管先が決定する前の段階で、応募または応募した法人から、移管予定のセンターへの医師の採用という形は控えるべきだろうと思っている。ただ、決定した後、あるいは内定した後に、患者の円滑な引き継ぎという意味では、勤務していただくというのは選択肢としてはあろうかと思うが、いずれ公募前にそういった形というのは控えるべきだろうと考えており、報告もそういう形で取りまとめた。
【斉藤委員】
医療法人白光の紹介で嘱託医師を採用したというのは、癒着の典型的な表れである。6月8日に採用し、勤務期間が7月6日から8月21日。公募期間に入っている。公募期間に入っているときに、手を挙げている医療法人から紹介されて医師を採用していた。こんなことで公正な公募ができるか。考えられないような重大な癒着である。
【医療局長】
委員ご指摘のような癒着ということではないわけだが、しかしながらそのようなご指摘を受けるということは、やはり適当でないと考えているので、今後においては、そのようなことがないように対応していきたい。
【斉藤委員】
考えられないようなことをやったのが今回の民間移管だった。それだけ医療法人白光ありきで進められた。この医師は、診療所長の候補者だった。
・民間移管の公募について
【斉藤委員】
22ページでは、課題として、「今回民間移管における最大の要因として、医師・当直看護師の確保が思うように進まなかったことが挙げられる。有床診療所の経営実績の有無を重視するという視点や認識が不足していた」と。これは私が一貫してこの問題を指摘してきた。県議会でもたくさんの指摘があった。事実だが今頃になってこのように書くと。こういうことができなかった責任は誰にあるのか。
【医療局長】
今般の検証にあたっては、過去にさかのぼり、いろんな議会での議論とか一連のを踏まえたうえで検証させていただいたところであり、結果的にこういう事態に至ったというところで、反省すべき点は反省してということでまとめさせていただいている。そういった意味においては、委員ご指摘のような事項等も十分報告の中には入れさせていただいている。
【斉藤委員】
県議会で指摘をされずにこういう事態に陥ったならともかく、県議会で喧々諤々議論され指摘されてきた。それを無視して、決めてきた。
・応募内容の審査について
【斉藤委員】
10ページに、医師体制の推移があるが、事業計画の核心は医師確保である。有床診療所の運営が困難だというのも、この医師を確保できるかどうかにかかっていた。しかしその医師はころころ変わった。事業計画の評価書を見たが、なぜ医療法人白光が決まったかというと、医師確保の見通しが明るいからという話である。しかしその根拠は2ヶ月後には破たんして、3月25日の事業計画変更のときには、誰も同じ人はいなかった。4月1日開所するときには、医師不在で開所した。これは事業計画が偽りだということである。事業計画に偽りがあれば、この計画は取り消す、内定は取り消すというのが当然だったのではないか。なぜそれができなかったのか。
【医療局長】
医師確保については、いろいろ変遷しているのは事実である。4月1日開設時も変わっているというのもその通りである。
この点については、審査の段階では橋本会長の個人的な人脈がいろいろあるというところで、評価をしてきた。先般の参考人招致の中では、そういった人脈でない医師確保の話もされたので、そういった点は反省点ということで、報告にも取りまとめた。事業計画そのものの医師確保のところには、そうした課題があったのだろうと認識しており、そういった中身で報告もとりまとめた。
【斉藤委員】
事業計画の審査に問題があったのではないかと言っている。虚偽の計画で、医師確保の見通しが明るいからと認めた。その一番の根拠が崩れたら、事業計画は撤回ではないか。これは3月25日の事業計画見直しの時点でも2名の医師は実態がなかった。2度にわたり事業計画の核心中の核心の問題で、間違った判断をしたのではないか。
【医療局長】
医師確保について、医師確保ができないという話になると、診療所そのものも開設が難しいということになるが、人は変わっているが、いずれ常勤医は確保できるという形で流れてきているので、そのことが良いか悪いかはともかく、そのことをもって事業計画そのものを否定するところまでは至らないのではないかと思っている。
【斉藤委員】
27ページであなた方が書いていることを紹介すると、「計画と実態との相違の背景には医師確保の問題がある。今後の民間活用にあたっては、有床診療所経営のノウハウをもった事業者の選定や、医師確保の確実性について、可能な限りの精度を高める必要がある」と。だいたいこの医療法人は有床診療所の実績がなかった。実績もない、医師確保の見通しもごまかしていた。だから毎月500万円の赤字を積み重ねて破たんした。あなた方はそういう反省がないのか。
【医療局長】
有床診療所の経営のノウハウという点については、やはり無床診療所の経営とベットを持っての経営とでは、難しさは異なるので、そういう意味では、一定程度の実績をもったところがやはり事業継続という意味では、適当だと考えている。その点を今回反省も踏まえ、今後の反映ということでまとめた。
【斉藤委員】
32ページのところでは、「法人の経営理念、経営方針に加え、それまでの行動実績をも考慮した審査を行うとともに、開所後の管理が必要」だと。だからそういうことを急がせてきたと。ただこれは県議会で、指摘されてきたことなのである。
34ページのまとめのところで、まともなまとめはたった7行である。大変不十分だと思う。「移管先法人の適格性の審査、事業計画の精査、法人の実績や世評等を含めた総合的な評価や審査、医療専門家を交えた幅広く複眼的多面的な観点から十分行うべきだ」と。これは、こういうことを全くやってこなかったということである。あまりにもずさんではないか。
【医療局長】
まったくやってこなかったというわけではなく、それなりの審査等も適正にやってきたつもりではあるが、結果を踏まえて、反省すべき点、改善すべき点という形でとりまとめさせていただいたということである。
・知事・医療局・医療法人との癒着について
【斉藤委員】
こういう異常な経過をたどって、そして破たんした最大の背景には、医療法人と知事・医療局との癒着があったと思う。
先の参考人質疑で何が一番問題になったか。6月の時点で、知事から医療法人白光の会長に電話があったと。そしてその内容は、「あの件はよろしく頼む」、「はい分かりました」という会話だった。これは重大である。公募前に、知事が「よろしく頼む」とお願いしていたとしたら、筋書きがみんな分かってくる。なぜこんな異常な経過になったのか。
ところがこの検証結果には一言も触れていない。この重大な癒着の疑惑ということをきちんと明記すべきである。知事が否定しているということも書いていない。しかし当事者は電話を受けたと言っている。だから県職員は、白光ありきで申請書作りに協力させられてきている。あなた方の調査というのは、知事も前局長も全然調査していないのではないか。このことをなぜ書かなかったのか。この破たんした責任は誰がどうとるのか。
【医療局長】
今回の検証にあたっては、関係する前任等を含めて事実確認等は行っている。知事の関係については、委員会や本会議においてもきちんと知事からそういう事実はない旨答弁しているので、それを載せるという考えはない。医療法人白光の会長がそのように言っているということもあるが、ああ言った、こう言ったというのを取り上げての報告のとりまとめは適切ではないと思っている。
【斉藤委員】
そもそもこの民間移管が、地域の要望どころかあなた方が2月16日からそういう方向を示してやってきたということを指摘した。そしてあなた方が反省しているような重大な問題がなぜ見過ごされたのか。その背景には、やはり白光ありきで計画が進んだ、医療局も保健福祉部もそれでやってきた。医療法人白光しか手を挙げられないような公募期間・公募内容で、ずさんな事業計画までそれで見過ごしてきた。その背景には、単なる事務的なミスではない、たまたま失敗したのではない、深刻な癒着が医師の採用問題でも示されたと思う。
知事の電話問題というのは、癒着・疑惑の焦点なので、これを全く記述しないというのは不公正である。これは疑惑のままで、解消されていない。ますます参考人質疑で深まった。これは絶対に書くべきである。こういうやりとりがあったということを。
【医療局長】
電話の件については、議会できちんと答弁している。
参考人の発言があってという話になれば、例えば日本共産党北海道議団の関係についても、委員から取り消すべきだなどいろいろご指摘いただいているが、これについても先般の決算特別委で、なぜ事実確認をしないのかという質問があったが、私としては、やはり議会の場で委員の方から、日本共産党の北海道議団事務局に確認したということを議会の場で発言されており、議会の場での発言というのはやはり重みがある発言だととらえている。
【斉藤委員】
私の質問に答えないで、そういう暴言を吐くから、北海道議団が来たというのなら、あなた方が北海道議団に確認すればすぐ分かることである。なぜ確認しないのか。確認もしないでそのような暴言を吐くべきでない。
そして、知事の電話は、電話を受けた人が複数証言している。だから疑惑なのである。誰が責任をとるのか。この何年間の県政の停滞をあなた方がつくった。その責任を医療局長はどう考えているか。この間どれだけこの花泉診療所の問題について議論してきたか。県政課題がある中で、その責任をどう考えているか。
【医療局長】
昨年の決算特別委員会の継続でいろいろ議論・審査いただいた。あるいは今議会においても、継続としていろいろ議会で議論・指摘をいただいていることについては、大変こういう震災復興など、いろんな県政課題がたくさんある中に、この花泉の件で議会の皆さま方にいろいろ時間をとりご迷惑をおかけしているという点については、医療局長として真摯に反省している。