2013年3月1日 2月定例県議会・本会議
一般質問(大要)


【斉藤議員】
 私は、日本共産党を代表して、達増知事に質問します。
 東日本大震災から2年が経とうとしています。改めて犠牲になられた方々のご冥福をお祈りするとともに、被災した皆様に心からお見舞いを申し上げます。

一、被災者のいのちとくらしを守る復興の課題について 
 
 東日本大震災津波からの復興は、県政の最大の課題であり、国政にとっても最優先の課題であります。復興の最優先の課題は、被災者のいのちとくらしを守ることであります。
 当面する三つの緊急課題について質問します。

被災者の医療・介護の免除措置継続を評価

 第一は、被災者の国保、後期高齢者医療、介護保険、障がい福祉サービスの一部負担の免除を継続することであります。来年度県予算に4億7千万円余、国保の県特別調整交付金を含めると7億円余が盛り込まれ、免除措置が継続されることになったことを評価するものであります。それぞれの免除額はどうなるでしょうか。2011年度の国による免除措置による免除額を含め示されたい。岩手県保険医協会による被災者の医療費負担に関するアンケート調査結果によれば、免除措置が打ち切られた社会保険加入者の場合、「通院回数を減らした」が36.4%、「通院できなくなった」が10.0%と深刻な実態となっています。国の責任による免除措置の復活を強く求めるべきと考えますが、どう取り組んできたでしょうか。
 円安も相まって灯油代が急騰しています。被災地福祉灯油等特別助成事業費補助金の対象者はどうなっているでしょうか。内陸の被災者も対象となっているでしょうか。県内全域を対象に低所得者への福祉灯油補助を緊急に実施すべきではないでしょうか。

【達増知事】
 平成25年度予算における一部負担金等の免除の見込み額は、国保については、約25億9千万円、後期高齢者医療は約9億9千万円、介護保険は約7億1千万円、障がい福祉サービスについては約100万円となっている。
 平成23年度の国の措置による免除額は、市町村等からの実績報告によると、国保については、約24億7千万円、後期高齢者医療は約10億3千万円、介護保険は約5億6千万円、障がい福祉サービスについては約100万円となっている。
 県としては、被災者に対する国保等の一部負担金の免除等について、1月には平成25年度政府予算への要望として、2月には来県した内閣総理大臣に対して、直接要望してきたところだが、被災地の実態に合った財政支援が行われるよう今後も引き続き国に対して要望していく。
【保健福祉部長】
 被災地福祉灯油等特別助成事業費補助金だが、補助対象は沿岸の12市町村、助成対象世帯は高齢者世帯、障がい者世帯もしくはひとり親世帯であり、市町村民税の非課税世帯または生活保護世帯のうち、市町村長が助成を必要と認める世帯としており、被災により内陸に避難している世帯についても、市町村が助成する場合には、県補助の対象として取り扱うこととしている。
 過去に県内全域を対象にして福祉灯油を事業を実施した平成19年度・20年度は、早い段階から冬場にかけて灯油価格が高騰したが、今年度は被災地福祉灯油を実施した昨年度とほぼ同様に推移してきており、大きく変動したのは1月からとなっていること、また市町村への聞き取り調査によれば、内陸部で福祉灯油を実施しようとする市町村もごく一部にとどまっていることなどに鑑みると、現在制度化している被災地福祉灯油という形で対応したいと考えている。

住宅再建に抜本的な支援を

【斉藤議員】
 第二は、住宅確保への抜本的な支援の課題です。日本共産党が取り組んだ被災者アンケートでは、「国、行政に要望したい施策」の第1位は、「住宅再建のための支援」66%、第2位は「医療費支援、医療施設の再建」45%でした。「早く家を再建したい」「仮設から葬式を出したくない」「公営住宅に早く入りたい」という住宅確保の願いは、被災者の最も切実な要求です。
 住宅確保に当たっては、持ち家の再建を基本に抜本的な支援を強化すべきです。住宅再建の最大の障害となっているのが資金の問題です。知事も知事演述で「持ち家住宅の再建を支援する」と述べました。国の被災者生活再建支援金を300万円から500万円に引き上げることを求めるとともに、県独自にもさらに100万円以上の支援を行うべきと考えますがいかがでしょうか。被災地市町村も独自の住宅再建への支援を行っています。陸前高田市は自力で高台に移転する場合、造成費や水道整備、取り付け道路整備などに最大715万円の補助、大槌町は住宅の新築・購入に150万円などの独自補助を行っています。被災市町村の独自補助の状況をどう把握しているでしょうか。
 政府の緊急経済対策で「津波被災地域の住民の定着促進のための震災復興特別交付税」が1047億円盛り込まれました。岩手県への配分は215億円ということです。さらなる住宅支援に活用できると考えますがどう活用されるのでしょうか。
 県産材を活用した地元業者による岩手型地域復興住宅の取り組みは重要です。どれだけの業者が参加し、受注件数はどうなっているでしょうか。県としてどう支援しているでしょうか。
 持ち家の再建をはかる上で、住宅の二重ローンの問題の解決は急務です。「個人債務者の私的整理に関するガイドライン」の運用も改善されてきています。これまでの県内の相談件数、債務整理申し出件数、債務整理の成立件数はどうなっているでしょうか。ガイドライン活用の周知徹底を求める請願が県議会でも採択されています。県としてどう周知徹底をはかり、金融機関にも働き掛けてきたかを示していただきたい。
 希望者が全員入居できる災害公営住宅の建設も緊急重要な課題です。知事は、「県が整備する災害公営住宅約2800戸については、平成26年度までの完成をめざす」と述べました。用地の確保、工事の着手、入居予定など具体的な見通しを示していただきたい。先日、釜石市の野田市長にお会いしてきました。被災者「住宅再建の希望調査」では、1641戸、40%が災害公営住宅の希望となっていました。釜石市では当初1046戸の計画を1460戸に見直しをするということでした。県は、被災者の災害公営住宅の希望をどう把握されているでしょうか。希望者全員が入居できる災害公営住宅の建設を明言するとともに、この点でも持ち家の再建への支援を抜本的に強化すべきと考えます。災害公営住宅の1戸あたりの建設費、造成費を含めた建設費はどうなっているでしょうか。
 災害公営住宅の建設に当たっては、漁村集落にふさわしく、庭で作業ができる木造戸建て住宅を重視するとともに、木造長屋形式を含め木造の公営住宅を推進し、地元業者の積極的な活用を進めるべきと考えますが、実態を含めどうなっているでしょうか。

【達増知事】
 県では、被災者の住宅を再建支援するため、今年度から住宅再建に際して、最大100万円を市町村と共同で補助する事業を創設するとともに、バリアフリー化や県産材の活用を行う場合の補助などを実施している。
 また国に対しては、これまでも機会あるごとに、被災者生活再建支援金や復興基金の拡充を要望してきたところだが、今般国においては、平成24年度補正予算の緊急経済対策として、被災地域の住宅再建を促進するため、震災復興特別交付税を増額交付することとしたことから、県としては、2月補正において、本県への配分見込み額215億円の全額を沿岸市町村に配分することとしたところであり、今後、今回の措置された財源を有効に活用し、被災地の状況に応じた市町村独自の住宅再建支援策の充実が図られるものと考えている。
 現時点で県が整備する予定の災害公営住宅2821戸のうち、地権者の内諾を得ている用地が2124戸で75%、設計を行っているものが1146戸で41%、工事を行っているものが200戸で7%という進捗状況となっている。また、今年度中に野田村門前小路地区で8戸が完成する予定であり、平成25年度末までに計435戸、26年度末までに全戸の完成をめざして進めている。
 建設戸数については、市町村が実施している被災者の意向調査等に基づいて決定している。自力での住宅再建が困難で、災害公営住宅への入居を希望される被災者の方々には、確実に災害公営住宅を用意できるようにする。建設費は、これまで工事に着手した4地区200戸で、造成費も含め1戸あたり約1650万円となっている。また木造の災害公営住宅については、県では野田村で30戸建設するほか、市町村では、漁村集落等の比較的規模の小さな団地で、地域の個別のニーズを勘案し、木造一戸建てを整備する予定であり、県全体で682戸の木造の災害公営住宅を建設することとしている。県としては、市町村とも十分に相談をしながら、災害公営住宅の整備に全力を挙げて取り組んでいく。
【県土整備部長】
 市町村独自の補助の状況だが、県では、被災者向けのものも含め、住宅の新築やリフォームに関する補助事業を把握した上で、県のホームページ等で公開している。それによると、陸前高田市や大槌町のほか、住宅の新築等について、宮古市と山田町では100万円、釜石市では50万円を補助するとともに、久慈市と大槌町では、住宅ローンを借り入れた際の利子について補助するなど、計12の市町村で独自の補助をしている。
 いわて型地域復興住宅について、現在135の生産者グループが登録されており、252戸の受注実績がある。県では、実物写真を掲載した新しいパンフを配布するとともに、被災者との個別相談を行う住宅再建相談会等の場に生産者グループの方にお越しいただくなど、地域型復興住宅の周知普及に努めている。
【理事】
 震災復興特別交付税の配分と活用だが、本県に対しては、215億円の配分が見込まれるところであり、増額交付分の全額を対象市町村に配分する予定としている。
 今回の国の追加措置では、津波により被災した持ち家住宅のうち、防災集団移転促進事業の対象とならない住宅を対象として、防集事業と同様の住宅再建支援を行うことを目的として、住宅建築にかかる借入の利子相当額、宅地のかさ上げ経費および移転経費を交付内容として積算しており、いわゆる制度のすき間を埋めるための措置を講じ、住宅再建を支援するものだが、国の説明では、被災市町村での具体的な支援内容については、今回の増額交付の趣旨を踏まえつつ、市町村が地域の実情に応じて決定できることとされており、これにより、被災地の状況に応じた市町村独自の住宅再建支援策の充実が図られるものと考えている。
 個人債務者の私的整理に関するガイドラインについて。2月22日現在で申し上げると、本県における相談件数は771件、債務整理の申し出件数は127件、債務整理の成立件数は62件となっている。
 周知と金融機関への働きかけについては、これまで県としては、「いわてグラフ」や被災全世帯に配布している「暮らしの安心ガイドブック」を通じた制度の紹介、関係機関と連携した沿岸4地区での説明会の開催等により周知に努めてきた。また県内金融機関に対しては、銀行協会をはじめ金融機関を個別に訪問するとともに、昨年12月の「岩手県復興に向けた金融関係機関連携支援会議」においても、被災者に対する積極的な周知を要請したところであり、本年2月から沿岸各地で弁護士会と関係機関が共同で開催している被災者相談会では、金融機関からダイレクトメール等により、被災者に直接参加のご案内を行っていると聞いている。
 今後とも、関係機関と連携し、ガイドラインの積極的な周知を図るとともに、被災者への相談支援や情報提供を適切に行い、被災者一人ひとりの生活再建を支援していく。

漁業・事業者の再建と雇用の確保について

【斉藤議員】
 第三の緊急課題は、漁業・事業者の再建と雇用の確保の問題です。
 1月29日発表された経済センサスの活動調査速報によれば、平成21年と平成24年の比較で、県内事業所数は6025事業所、9.1%、従業員数は33542人、6.1%の減少となっています。特に津波被害を受けた沿岸地区では、3381事業所、28.2%、従業員数では16466人、21.0%の減少となっています。この状況を知事はどう認識されているでしょうか。

【達増知事】
 平成21年と比べ、平成24年の事業所数・従業員数は全ての都道府県で減少しており、中でも本県を含む宮城、福島の被災3県にあっては減少率の上位を占めている。
 県内では、特に陸前高田市や大槌町、山田町において減少率が大きく、被害の深刻さを表しており、震災復興においては「なりわいの再生」にしっかり取り組まなければならないものと受け止めている。
 このため、今後もグループ補助金や県単の復旧費補助など、被災事業所の復興支援を市町村や商工団体と一体となって続けていくとともに、再開された事業者に対する販路開拓や取引拡大などを総合的に支援していく。

【斉藤議員】
 被災した事業所の早期の再建をはかることは、地域経済の再生にとっても、雇用の確保にとっても重要です。グループ補助金は来年度県予算でも約80億円計上されています。予算額が縮小され、内陸の事業者が除外され、すでに支出した事業費も対象とならないなど極めて不十分なものです。改善点はあるのでしょうか。これまでのグループ補助金の実績、第5次後半部分、第6次公募の状況と採択の見通しはどうなっているでしょうか。グループ補助金の交付決定を受けた事業者の再建状況と課題、県の支援策はどうなっているでしょうか。また、グループ補助金の申請に至らない小規模事業者も少なくありません。こうした事業者に対する具体的な支援策はどうなっているでしょうか。

【商工労働観光部長】
 グループ補助金について、来年度については、被災地域の商業機能回復のニーズに応えるため、共同店舗の新設や街区の再配置などを事業対象に加えている。これまでの実績は、5次公募前半までで63グループ・882社に対して約646億円を交付決定している。また5次後半公募には33グループ、6次公募には8グループから申請があり、3月中旬に決定する予定である。補助金交付決定を受けた事業者の進捗状況は、平成23年度の交付決定295事業者の約8割、24年度の交付決定587事業者の約5割が年度内に完了または完了見込みであり、おおむね順調に実施されている。
 再開した事業者の主な課題については、売り上げや利益率の低下が挙げられ、これらについては、商工団体などと連携しながら、専門家派遣による指導助言などにより、販路開拓や新商品の開発を支援している。
 小規模事業者については、国に対し新たな制度の創設を要望しているほか、中小企業団体中央会などの商工団体において、グループの組成や復興事業計画の作成支援を行っている。

【斉藤議員】
 事業者の二重ローンの解消も重要です。2月末現在、岩手県産業復興相談センターによる債権買い取り支援決定件数は43件、東日本大震災事業者再生支援機構では45件となっています。相談件数はそれぞれどうなっているでしょうか。積極的な活用を進める上での課題をどうとらえ、取り組もうとしているでしょうか。今後の方針を示していただきたい。

【商工労働観光部長】
 二重ローンについて、1月末現在における岩手県産業復興相談センターの相談件数は390件、東日本大震災事業者再生支援機構の相談件数は207件となっている。
 これらの活用を進める上での課題は、仮設施設で営業している事業者などは、本設再開に向け事業用地の目途が立たず、資金需要がまだ本格化していないことから、相談段階に止まっていることが多く見受けられ、本格再開を果たすまでは、資金調達面できめ細かく配慮していくことが必要と考えている。
 そのため、相談センターでは、昨年、仮設施設を個別訪問し、各事業者のニーズを拾い上げており、その結果、最近の売り上げが「減少」「やや減少」と回答し、資金繰りに不安を抱えている事業者も多いことから、既往債務の返済猶予や新規融資が行われるよう、事業計画の策定支援や金融機関との調整・交渉を進め、資金繰りの円滑化に取り組んでいる。

【斉藤議員】
 県が昨年12月に実施した被災地でのハローワーク前での求職者アンケートでは、「地元での就職を希望する」が約8割を占める一方で、「希望する仕事がない」が5割を占めています。このミスマッチを打開する課題と取り組みをお聞きします。再雇用者に1人当たり225万円補助できる事業復興型雇用創出事業は、1万5千人の目標で取り組んでいますが、1月末現在、1023事業所、4367人にとどまっています。課題と今後の推進方針をお聞きします。

【商工労働観光部長】
 雇用のミスマッチについてだが、求人企業と求職者のマッチングの促進にあたっては、求職者に職業選択の幅を広げていただくことや、求人条件の緩和などが課題として認識している。
 今後の取り組みとしては、工場見学会や面接会を開催するなど、求職者に対して就職に向けた意識啓発を行うとともに、労働環境の改善に向けた企業の取り組みを支援するほか、復旧・復興に対応した職業訓練の実施などにより、企業と求職者とのマッチングの促進に努めていく。
 また事業復興型雇用創出事業について、活用の課題としては、今年度の後半からは申請数は大幅に増加しているところであるものの、被災事業所の再建に時間を要していることなどもあり、計画を下回っていることなどが挙げられる。
 今後とも、グループ補助金などにより、被災事業所の再建を支援するとともに、事業所に対する申請の支援を行うなど、より多くの事業所が活用できるよう取り組みを進めていく。

【斉藤議員】
 漁業・水産業の再生と復興は、地域経済再生の柱ともいうべき課題です。漁船の確保、養殖施設の整備は、今年度末の整備見込み、来年度の整備数を示していただきたい。がんばる養殖業のグループ数と漁業者数はどうなっているでしょうか。漁業経営体の再建状況はどうなっているでしょうか。水産加工業の再建状況と経営の実態はどうなっているでしょうか。県の漁業と漁協経営の柱である秋サケが2年連続の大不漁となっています。その原因と対策について示していただきたい。

【農林水産部長】
 補助事業で整備される漁船は、今年度末までに5500隻程度で、来年度は今年度の繰越分と当初予算分を合わせて1200隻規模を見込んでいる。
 養殖施設は、今年度末までに約17000台で、来年度は今年度の繰越分と当初予算分を合わせて約300台を見込んでいる。
 がんばる養殖復興支援事業については、2月末現在、12漁協において、34グループの計画が認定され、延べ424人の漁業者が参加する計画となっている。
 漁業経営体の再建状況について、漁協を対象として県が昨年9月に実施したアンケート調査では、再開した経営体は、養殖業主体で53%、漁船漁業主体で58%、採介藻主体を合わせた全体では76%となっている。
 秋サケ不漁原因については、大きな気候変動によるものと考えられるが、放流直後からオホーツク海に至るまでの稚魚の減耗も要員の一つとされており、今春から、国等の研究機関と連携して、稚魚の初期生残等に関する研究を実施するほか、ふ化場での適正な飼育管理などに取り組み、サケ資源の早期回復を図っていく考えである。

被災した県立病院の再建は地域住民の合意で

【斉藤議員】
 第四に、被災した県立高田、大槌、山田の病院再建整備の事業費が15憶円余、来年度予算に盛り込まれたことは評価したいと思います。地域住民への説明会が1回だけ開かれました。どういう要望・意見が出されたのか。県医療局としてどう対応しようとしているのか示していただきたい。1回だけの説明会ではなく、丁寧に地域住民の合意と納得を得る努力をすべきではないでしょうか。

【医療局長】
 去る1月19・20日の各市町で開催した住民意見交換会において、医療局からは被災した県立3病院の整備に係る基本的な考え方を、地元市町からは建設場所選定の考え方を説明したところであり、いずれの住民意見交換会においても、1日も早い病院再建について強く要望をいただいたほか、病床規模を縮小せずに現状で復旧すること、診療時間外の救急対応を望む意見等が出された。
 これらの意見に対し、医療局としても早期の再建を目指しており、地元市町と連絡を密にして進めていくこと、被災前の入院施設の利用状況等を勘案し、地域に必要な病床数を確保すること、医師の負担軽減のため、診療時間外の救急は基幹病院で対応することなどを丁寧に説明したところであり、地域住民の皆様には、おおむね一定のご理解をいただいたものと考えている。

山田町NPO問題について

【斉藤議員】
 山田町の緊急雇用創出事業で、NPO法人「大雪りばぁねっと。」による事業費使いきり、従業員解雇問題が発生しました。県のチェックのあり方が問われる問題です。平成23年度から不正支出の疑いがありますが、どういう経緯とやり取りで無料浴場施設の建設、リースが認められたのか。県は2011年12月と12年3月に経理書類の不備の是正を指導していますが、いつ、どのような不備を把握したのか。なぜ完了検査で見逃し、12年度7億9000万円もの事業を認めたのか明らかにしていただきたい。

【商工労働観光部長】
 無料浴場施設は、平成23年7月28日付で山田町から提出された変更計画書で、事業内容に「被災者生活支援事業に関すること」が追加され、その経費の積算資料には、公衆浴場設備のリース経費(1000万円)が含まれていることを確認しており、この計画自体に問題点は無かったため、町の申請を承認し、町と補助金交付変更契約を締結したものである。
 指導については、23年12月には、完了検査を受けるため必要な会計等書類の整理について指導し、24年3月には、そうした書類の整理ができていない(帳簿と突合する領収書類をすぐ提示できない等)ことを指摘したが、完了検査の際はこの指摘については改善されていた。
 また、24年度事業について、町から提出された事業計画の内容は、失業者の雇用や人件費割合など事業の条件を満たしていたため、これを承認したところである。


二、原発事故による放射能汚染対策と全面賠償、原発ゼロめざす課題

【斉藤議員】
 次に、東京電力福島第一原発事故による放射能汚染問題について質問します。放射能に汚染された稲わら、牧草、シイタケのほだ木、堆肥は合計4万2500t、学校等の除染土壌は2〜3万立方メートルに及びます。この保管、処理の計画と実績、今後の見通しはどうなっているでしょうか。現時点における畜産、林産物、水産物等の被害額、商工業、観光などの被害額、県市町村の被害額と損害賠償請求額、賠償額はどうなっているでしょうか。県は毎月、東京電力を呼び、全面賠償を求める交渉を詰めて行うとともに、東京電力本社に被害者とともに駆けつけて直談判すべきと考えますが知事、いかがでしょうか。
 福島原発事故は、収束するどころか放射能を放出し続け、原子炉冷却による汚染水がたまり続けています。事故原因も解明されていません。使用済み核燃料と放射性廃棄物の処理・処分のめどもない原発は、現在大飯原発の2基以外、すべて停止しています。大飯原発、敦賀、東通り原発の直下には活断層の可能性が指摘されており、原発の再稼働は中止し、このまま廃炉にすることが最も現実的な対策ではないでしょうか。知事の見解を求めます。

【達増知事】
 原発事故に起因する損害賠償については、当該事故の原因者である東京電力が一義的にその責任を負うべきものであり、県では、東京電力に対し、本県で発生している全ての損害について、被害の実態に即した賠償を速やかに行うよう、強く求めてきたところである。
 昨年の7月と9月には、わたし自ら市町村の代表や宮城県知事とともに東京電力を訪ね、東京電力の会長・社長に対して、風評被害を含む全ての損害について賠償に応じるよう直接要請を行った。
 また、県および市町村が要した費用に係る損害賠償請求の実施にあたっては、東京電力幹部職員に出席を求め、県幹部職員および市町村長との直接交渉の場を設けるなど、機会をとらえて賠償の実施を働きかけている。
 事務的にも、東京電力とは頻繁に交渉の機会を設け、賠償対象の拡大や迅速な賠償の実施、被害者の負担軽減などを粘り強く求めてきた。
 引き続き、市町村や関係団体、さらには他県とも連携しながら、東京電力に対して、賠償の完全実施を強く求めていく。
 原発に対する見解だが、原発事故は、広範囲に深刻な放射能汚染をもたらし、国民の安全性への信頼を大きく揺るがしたものと認識している。現在、国の原子力規制委員会において、新たな原発の安全基準が検討されているところであり、こうした中での原発の再稼働は慎重であるべきと考えている。
【環境生活部長】
 牧草、稲わら、堆肥は、市町村において集中保管施設等で一時保管している。また、ほだ木は、主に山林内で一時保管している。
 これまで生活系ごみとの混合焼却を実施した市町村は、試験焼却を含め、24市町村中9市町となっているが、既存施設を活用した混合焼却方式の安全性について総じて理解が進んでいることや、今般国の補正予算において、本県が先鞭を付けた混合焼却方式に対し、実質的に市町村負担が生じない支援制度が創設されたこともあり、今後、実施市町村が拡大していくと考えている。
 処理の見通しについては、市町村ごとに汚染レベルや保管量、焼却処理能力が異なることなどから、一概に申し述べることは困難である。
 学校など子どもの生活空間の除染により発生する土壌については、国の基準に従い敷地内に埋却保管しており、年度内の除染完了を目指している。
【総務部長】
 原発事故による放射性物質の影響は広範囲に及んでおり、現時点で把握している民間の損害額だけでも、畜産関係の損害賠償請求が155億8千万円余、林産関係が31億3千万円余、水産関係が1億9千万円余、農林水産業全体では190億8千万円余に上るほか、商工業の被害が40億7千万円余、観光業の被害が25億1千万円余であり、全体では256億7千万円余を超える規模になっている。
 これにたいし、東京電力からの支払は130億4千万円余にとどまっている。
 なお、本年1月30日に、国の原子力損害賠償紛争審査会が中間指針第三次追補を策定し、本県産の農林水産物等の風評被害が、幅広く賠償すべき対象と認められたことから、具体的な損害額は今後増加が見込まれる。
 また、県および市町村の損害については、先月、第3次請求を行い、これまでのものを合わせて16億6千万円余の損害請求額となっている。このうち、東京電力が支払に応じたものは約3800万円にとどまっている。
 東京電力に対しては、これら全ての損害について速やかに賠償を行うよう市町村や関係団体と連携協力し、引き続き強く求めていく。

【斉藤議員】
 再生可能エネルギーの爆発的な活用が求められています。岩手県内の風力、太陽光、地熱などの再生可能エネルギーの推定可能量はどうなっているでしょうか。大震災後、これまでに明らかになった再生可能エネルギーの開発計画はどうなっているでしょうか。

【環境生活部長】
 再生可能エネルギーの推定可能量は、総務省の調査報告書によると、太陽光発電では6億8700万kw/h、風力発電では209億2000万kw/h、地熱発電では10億7000万kw/h、電力利用全体では、230億6800万kw/hで、全国第2位の量と推計されている。
 開発計画については、発電能力ベースで太陽光発電では18ヶ所で計45800kw、風力発電では2カ所で計45300kw、地熱発電では1カ所で7000kwの計画が進められており、このほかにも事業化に向けた動きが活発化している。
 さらには、防災拠点等への導入や住宅・事業所への太陽光発電の設置なども進み、現時点で、合わせて168000kwの導入が見込まれており、順調に導入が進んでいるものと認識している。


三、子どもと高齢者にやさしい県政を

子どもの医療費助成の拡充を

【斉藤議員】
 次に、子どもと高齢者にやさしい県政の課題について質問します。2月6日、新日本婦人の会岩手県本部の皆さんが、1万1千筆を超える署名を集め、達増知事宛に子どもの医療費助成の拡充を求める要望書を提出しました。今年度被災地の大槌町が中学校卒業まで医療費助成を拡充し、陸前高田市も小学校3年生に拡充しました。大船渡市は来年度小学校卒業まで拡充する予定です。大震災津波の大災害を受けた時だからこそ、岩手の将来と復興を担う子どもたちを大事にする取り組みが求められているのではないでしょうか。
 岩手県は平成14年度に就学前まで拡充して以来11年間にわたって子どもの医療費助成は停滞したままとなっています。全国ではすでに6道府県が小学校卒業まで、さらに8都県が中学校卒業までを対象としています。小学校3年生まで拡充している県がさらに5県あります。県内では、一戸町が高校卒業まで、12市町村が中学校卒業まで、6市町が小学校卒業までを対象としています。知事に質問します。私は、群馬県の取り組みに学び、日本一子育てにやさしい岩手県をめざし、県としてもせめて小学校6年生まで拡充するよう検討すべきと思いますが、知事の子育て支援に対する認識をお聞きします。また、窓口で現金払いとなる償還払いも父母にとっては厳しいものです。全国で償還払いとしているのは、わずか10県のみです。国の理不尽なペナルティーという問題がありますが、現物給付への見直しを検討すべきではないでしょうか。

【達増知事】
 出生数の減少が続くなど少子化が進んでいる本県においては、岩手の未来を担う子どもたちが健やかに育つ環境の整備を進める必要があると考えており、いわて子どもプランに基づき、「若者」「子育て支援」「子どもの健全育成」の支援を施策の基本方向とし、県民のライフステージに沿って、切れ目のない支援を総合的に推進している。
 しかしながら、子どもの医療費助成において、現在の就学前までの対象を小学校卒業まで拡充するためには、多額の県費負担が見込まれることから、近年の社会保障関係経費の増嵩により、県予算における新たな政策的経費の確保は大変厳しい状況となっていることから、直ちに実施することは困難であると考えている。
 また、現物給付とした場合、市町村の国保に対する国庫支出金が減額されることから、市町村等と協議をしたうえで償還払いとしている。県としては、引き続き国に対し、この減額措置の撤廃を要望していく。

高すぎる国保税、保険証の取り上げと資産差し押さえは中止を

【斉藤議員】
 高すぎる国保税は県民の最も切実な課題です。国保加入者の平均課税所得額は81万円、国保税は14万1千円で、負担率17.4%となっています。滞納世帯は29677世帯で14.2%となります。7世帯に1世帯が滞納となる異常な事態です。ところが、こうした滞納者から保険証を取り上げる資格証明書の発行が2月1日現在391世帯、短期保険証の発行が9963世帯、うち未交付が1764世帯となっています。盛岡市ではすでに、基本的に保険証の取り上げはしない措置を取っています。直ちに是正すべきではないでしょうか。できないとすればどういう理由でしょうか。さらに滞納者への資産の差し押さえが昨年度4048件、7億1868万円余となりました。実際に処分された件数・額はどうなったでしょうか。低所得者に対してあまりにも冷たいやり方ではないでしょうか。

【保健福祉部長】
 資格証明書、短期保険証の発行は、市町村が滞納者と接触し、納付相談の機会を確保することを目的としているものであり、滞納者の生活実態など状況をきめ細かく把握したうえで交付している。
 県においては、市町村にたいし、滞納者個々の実態を十分把握した上で、細やかな対応をするよう通知し、また、会議等の場でも、この基本的な考え方に沿って適切に運用するよう要請している。
 差し押さえにより換価された件数および金額は、把握するデータがないため示すことができないが、市町村の行う滞納処分は、税負担に関する公平性や安定した国保財政を確保するため、担税能力がありながら納付していただけない方に対し、地方税法や国税徴収法等の法令に基づき、十分な調査を行ったうえで実施され、低所得者にも配慮されているものと認識している。

特養ホームの待機者解消、生活支援の短縮の改善を

【斉藤議員】
 介護保険の緊急の課題は、特養ホームの待機者の解消です。昨年3月末現在、待機者は6226人、うち在宅待機者2134人、早期入所が必要な人が1164人となっています。毎年待機者が増加していく中で、今年度から3年間での特養ホームの整備計画はわずか887床にとどまっています。毎年新たに待機者はどう増加しているでしょうか。待機者解消の見通しを持っているのでしょうか。また、被災地での待機者の解消は優先課題です。仮設住宅での待機者の状況を把握しているでしょうか。
 もう一つの課題は、昨年4月の介護報酬改定で、生活援助の時間が従来の30分以上1時間未満と1時間以上の2区分から、20分以上45分未満と45分以上の2区分に変更・短縮されたことです。その結果、買い物も調理も時間との競争となり、訪問介護も駆け足となり、「お年寄りと話をする余裕がなくなった」「お年寄りの状態を把握できなくなった」という切実な声が寄せられています。県としてこうした状況の調査、実態把握はされているでしょうか。改善を強く国に求めるべきと考えますがいかがでしょうか。保険あって介護なしの介護保険の改善のためには、国の負担を引き上げる以外にありません。国に根本的な改善を求めるべきではないでしょうか。

【保健福祉部長】
 市町村が早期に入所が必要と判断した在宅の待機者は、平成22年3月末で1235人、平成23年7月末で1253人、平成24年3月末で1164人となっており、平成24年3月末において、在宅の待機者が初めて減少している。
 待機者解消の見通しだが、各保険者が待機者数の解消に向け3カ年ごとに作成する介護保険事業計画において、必要な整備計画を定めており、県としても施設設備に係る補助を通じ支援を行っている。
 仮設住宅を対象とした待機者の調査は行っていないが、沿岸市町村における平成24年3月末における早期入所が必要な在宅の待機者は247人となっている。沿岸4圏域の市町村において、第4期計画分のうち平成24年4月以降に開所する特養は244床あり、また第5期計画期間中は、179床を整備予定であり、待機者解消に向け、施設の整備が進められている。
 介護報酬改定だが、国では、次期介護報酬改定に向け、介護報酬改定検証・研究委員会を設置し、今回の改訂の効果検証や介護事業者の経営への影響等について、実態把握・分析等を行うと聞いている。現時点で、県に対して、見直しの影響等について直接的な意見は寄せられていないが、国の調査、分析等の動向を見守りながら、県内事業者の意見や利用者からの相談等を参考に課題を把握し、必要に応じて、制度の改正等について国に要望していきたい。
 国の負担の引き上げについては、介護保険制度に係る財政負担については、国に対し、公費負担割合の見直しや財政調整のための交付金制度の創設など、地方公共団体や被保険者の負担が過大にならないよう支援策を講ずることについて要望しており、今後とも、介護保険制度の円滑な運営のため、必要な措置について国に要望していきたい。

貧困と格差を拡大する生活保護基準の引き下げはやめよ

【斉藤議員】
 安倍自公政権は、軍事費は緊急経済対策の補正予算で2124億円増額し、来年度予算でも400億円も増額しようとしています。一方で、本来改善すべき生活保護費を3年間で670億円も削減しようとしています。期末一時扶助の70億円の削減を含めると合わせて740億円の削減となります。これは本末転倒であります。「健康で文化的な最低限度の生活を保障する」とした憲法25条に反するものと言わなければなりません。貧困と格差を拡大し、低所得者の生活を脅かす生活保護費の削減の撤回を求めるべきと考えますが知事の見解を求めます。また生活保護世帯の生活実態をどう認識されているでしょうか。
 生活保護費削減の約9割は、物価下落を理由としたものです。しかし、物価を下げているのはテレビやパソコンなどの電化製品で、生活保護世帯のくらしには関係ないものです。食料品などの日常の生活に関する消費者物価はどうなっているでしょうか。子育て中の生活保護世帯の削減額は月2万円に及びます。影響をどう把握しているでしょうか。
 生活保護基準の引き下げは、小中学生の就学援助や個人住民税の非課税限度額、保育料や医療・介護の保険料の減免、最低賃金にも影響を与えます。県・市町村はどう対応するのでしょうか。

【達増知事】
 国では今回、本年1月の社会保障審議会「生活保護基準部会」による生活保護基準の5年に1度の定期的な検証結果等を踏まえ、年齢、世帯人員、地域差といった制度内の歪みや、平成20年以降の物価の動向を勘案し、平成16年度以降据え置かれてきた生活扶助基準の見直しが行われることとなったと承知している。
 見直しにあたっては、激変緩和の観点から、本年8月以降、3年間の経過措置を設け段階的に見直しを行うこととされており、また、今般の基準見直しは、生活支援戦略としての生活困窮者を支える社会保障制度の改革の一環として行われているものだが、この制度は、最後のセーフティーネットとしての役割を今後とも十分果たしていく必要があると考えている。
 東日本大震災津波の被災地である本県においては、平成25年1月現在の生活保護世帯10572世帯のうち、高齢者世帯の割合が42.5%、稼働能力を有すると考えられる世帯が21.5%と増加しており、高齢者や雇用を必要とする世帯への支援が今後とも必要と考えている。
 こうした点に配慮した検討が行われるよう、全国知事会等を通じて国に対して働きかけていく。
【保健福祉部長】
 今回の生活保護基準の見直しにあたっては、国では、前回の見直しの平成20年以降の物価の動向を踏まえ、消費者物価指数から生活扶助以外の他の扶助で賄われる家賃、教育費、医療費や、生活保護受給世帯には、通常生じない自動車関係費、NHK受信料などを除いた品目を用いて、生活扶助相当消費者物価指数を算出したものと聞いている。
 その結果、平成20年平均と23年平均を比較し、4.78%程度の下落幅との説明を受けている。なお、消費者物価においては、光熱水費、諸雑費は、平成20年と比較し上昇しているものの、食料品や教養娯楽等は下落している。
 現段階では、まだ生活扶助基準等の詳細の資料が示されていないが、国が示す町村部のモデルによれば、年齢40代夫婦と小中学生子ども2人の世帯で、現行の最低生活費月額209000円が、平成25年8月以降は段階的に引き下げられ、平成27年度には194000円と15000円の減額と見込まれる。また年齢60代の単身世帯では、現行74000円が平成27年度には75000円と1000円の増となると見込まれる。
 国から他制度への影響について、未だ正式通知が出されているわけではないが、先般開催された厚労省主催の会議で、次の3点について現時点における考え方が示された。
@個人住民税の非課税限度額等について、平成25年度の影響はなく、平成26年度以降の税制改正の議論を踏まえて対応すること。
A就学援助や保育料の免除など生活扶助基準の見直しに直接影響を受け得る国の制度については、生活保護と同様の給付を行っているような制度を除き、影響を受ける制度の趣旨や目的、実態を十分考慮しながら、できる限りその影響が及ばないよう対応すること。
B地方自治体で独自に実施している事業については、地方自治体に対して国の取り組みを説明した上で、その趣旨を理解した上で各自治体において判断するよう依頼すること。
 今後国において、生活保護基準の見直しを行うとともに、これら生活保護基準の引き下げにともなう他制度の基準額設定等について、国から詳細な取り扱いが示されることとされているが、早期に情報収集に努め、その取り扱いについて、関係部局等との協議や情報共有を図っていきたい。


四、復興に逆行し、くらしと経済を破壊する消費税大増税、TPP問題について

【斉藤議員】
 次に、大震災からの復興に逆行し、県民のくらしと地域経済を破壊する消費税大増税とTPP交渉参加問題について、知事に質問します。
 どうやってデフレ不況から抜け出すかは、多くの国民が切望する国政上の大問題であります。問題はデフレ不況が深刻化した原因と責任がどこにあるかであります。私は、働く人の所得が減り続けてきたことが、デフレ不況の最大の原因だと考えますが、知事はどう考えているでしょうか。1997年を100として、企業の経常利益は163まで増えましたが、労働者の雇用者報酬は88に落ち込みました。県内の状況を見ても雇用者報酬は平成13年度の2兆5156億円から平成22年度には2兆1177億円に、3979億円、15.8%も減少しています。県内総生産は6426億円、13.6%の減少です。こうした時に、県職員・公務員労働者の退職金を400万円余も削減し、来年度から7.8%もの賃金削減を行うことは、賃金引き下げの悪循環をさらに深刻にするものと言わなければなりません。政府のこうしたやり方について知事はどう考えているのでしょうか。
 こうした時に消費税の10%もの大増税を強行することは、何よりも生活再建・住宅再建をめざす被災者にも大増税となり、復興に逆行するものです。国民の負担を増大させ、デフレ不況をさらに深刻にするものと言わなければなりません。改めて知事の見解をお聞きします。
 安倍首相は2月23日に行われた日米首脳会談を踏まえ、TPP交渉参加へ踏み出そうとしています。TPPについて、安倍首相は「聖域なき関税撤廃が前提でないことが明確になった」としていますが、発表された「TPPに関する日米の共同声明」では、「一方的にすべての関税を撤廃することをあらかじめ約束することを求められるものではない」と書かれています。しかしこれは、交渉の場で例外を主張することは「認める」という程度のもので、交渉の結果がどうなるかについて、何らの保障を与えるものではありません。それどころか、「日米共同声明」では、「日本がTPP交渉に参加する場合には、全ての物品が交渉の対象とされること、及び、日本が他の交渉参加国とともに、2011年11月12日にTPP首脳によって表明された『TPPのアウトライン』において示された包括的で高い水準の協定を達成していくことになることを確認する」としています。これは、関税についても、非関税障壁についても、撤廃の対象にならない「聖域」など存在しないことを、安倍首相も確認したことにほかなりません。言葉のごまかしで、自民党自身が先の総選挙で国民に約束した政権公約をわずか2カ月で破り捨てるものではないでしょうか。農業の再生にとっても漁業・水産業の復興にとっても地域経済にとっても、TPP交渉への参加は絶対に許されないと考えますが、知事の見解を求めます。北海道知事が政府に直ちに直訴しました。知事も、直ちに政府に直訴すべきだと思いますがいかがでしょうか。

【達増知事】
 我が国の経済がデフレに陥っている原因は、海外からの輸入品価格の動向や、賃金の動向などさまざま考えられるところだが、基本的には国内経済において、供給にたいして需要が不足している、すなわち需要ギャップの存在が大きな原因であると考えられる。
 国の平成25年度予算案において、地方公務員給与の減額を前提に地方交付税が削減されたことは、地方の行財政改革への理解が不十分な、地方自治の根幹に関わる大きな問題ととらえている。本県としては、地方公務員給与は、地方公務員法に定める諸原則にのっとり、諸般の情勢を総合的に勘案し決定すべきものであることから、国や他県との均衡、本県の財政状況等を踏まえ、十分に検討した上で適切に対応していく。
 消費税増税の実施時期は来年4月とされているが、この時期は、本県の復興計画における本格復興期間のスタートの時期であり、ちょうど住宅再建などをはじめ被災者が生活再建のためのさまざまな投資や消費を本格的に始める時期と重なることが想定される。復興を本格的に推進していく時期に、被災地に税負担がのしかかれば、地域経済の低迷等を招くこととなり、暮らしの再建やなりわいの再生の妨げとなるのではないかと強い懸念を持っている。
 TPP交渉への参加について、先の日米共同声明については、「一方的にすべての関税を撤廃することをあらかじめ約束することを求められるものではない」ことが確認されたものの、交渉の結果によっては、関税撤廃の例外がごく一部にしか認められない可能性があり、農林水産物の生産や食品製造業などの中小企業に大きな影響が生じる懸念がある。こうした産業は、地域の暮らしやコミュニティと密接に関わっていることから、TPPへの参加が東日本大震災津波からの復旧・復興の妨げになる恐れも大きい。このため、国において、交渉参加に向けての方針や優先事項、必要な国内対策をどう講じるかなどについて十分検討し、慎重に対応すべきと考えており、それらが明確でない現時点において、安易に交渉に参加することは賛成しかねる。


五、いじめ・体罰問題の解決と35人学級の拡充について

【斉藤議員】
 いじめ・体罰の問題は、重大な教育問題であるとともに、大きな社会問題となっています。昨年8月から9月に実施された今年度前期のいじめ問題の緊急調査では、県内280校から2004件のいじめが報告されました。昨年度の調査の6倍であります。「学校として、児童生徒の生命または身体の安全が脅かされるような重大な事態に至る恐れがある」と判断したいじめ件数は8件と報告されています。いじめの態様も恐喝や暴行、危険なことをされたなど深刻なものが少なくありません。いじめは、いかなる形を取ろうとも人権侵害であり、暴力であります。教育委員長はこのいじめの実態と本質をどう認識されているでしょうか。日本共産党は全国的ないじめの実態と取り組みを調査し、「いじめのない学校と社会を」呼び掛ける提言を発表しました。菅野教育長にも紹介しました。私は、学校でいじめ問題に取り組むうえで、第一に、子どもの命最優先の原則を確立し、絶対に後回しにしないこと。第二に、ささいなことに見えても様子見せずに、教職員と保護者で情報を共有して対応すること。第三に、子どもの自主的活動の比重を高め、いじめの起きにくい人間関係をつくること。第四に、被害者の安全確保を最優先に対応するとともに、加害者がいじめを反省し、人間的に立ち直るまで、徹底した対応を行うこと。第五に、被害者や遺族の真相を知る権利を尊重することを基本原則に、対策を抜本的に強化すべきと考えますが教育委員長の答弁を求めます。また、いじめ問題で、県教育委員会議でどのように検討・協議が行われてきたでしょうか。
 いじめ問題を解決するうえで、教育行政として取り組むべき課題は、第一に、教師の多忙化を解消し、全ての学校でいじめ問題の研修を定着させること。第二に、学校と教師を数値目標で評価付けにし、教職員の協同を阻害する評価制度、市場原理に基づく目標達成型の学校経営を見直すこと。第三に、解決が困難なケースの相談・対応を行う専門家による「いじめ防止センター」の設立、いじめから子どもたちの安全と人権を保障し、学校・行政の安全配慮義務、被害者と家族の「知る権利」などを明確にした法整備の検討を国に求めるべきと考えますが、いかがでしょうか。
 いじめ問題の解決にとっても、1人1人の子どもたちに行き届いた教育を進めるためにも、35人学級を小学校、中学校の全学年で実施することは、教育行政にとっての責任であり、急務の課題です。県教委が来年度から2カ年で、35人学級を小学校3年生、4年生に拡充することを評価するものです。教員は増員されるのでしょうか。中学校1年生で今年度から35人学級が本格実施されていますが、対象校で実施されていない学校もあります。どういう理由、課題があるのでしょうか。
 体罰問題も深刻です。この5年間で14人の教師が体罰事件で懲戒処分を受けていますが、氷山の一角ではないでしょうか。14人の体罰事件の概要を見ましたが、体罰が繰り返されているのが特徴です。4回も体罰を繰り返していた教師でも、処分は戒告と甘いのも特徴です。体罰は暴力であり人権侵害です。学校教育法第11条でも明確に禁止されているものであります。記名式で体罰の実態調査を行おうとしていますが、なぜでしょうか。いじめ調査と同じように無記名で調査すべきではないでしょうか。今後の対策を含めて答弁を求めます。

【教育委員長】
 いじめはどの学校でもどの学級でも起こり得ると十分に認識した上で、学校が家庭や地域社会と連携しながら対応していくべきものと考えている。
 国において、いじめは、「子どもが一定の人間関係のある者から、心理的・物理的攻撃を受けたことにより、精神的な苦痛を感じているもの」と定義されており、いじめられている子どもの立場に立った、適切かつ丁寧な対応が何よりも重要であると認識している。したがい、いじめは決してあってはならないことであり、児童生徒の生命や人権に係る喫緊の課題ととらえ、学校をはじめとして社会全体で対応していかなければならないと考えている。
 いじめの対策の抜本的強化について、保護者から大切な子どもを預かっている学校は、常に児童生徒の安全を守ることが重要であり、いじめにより児童生徒の安全が脅かされるようなことは決してあってはならないと認識している。今後においては、新たに関係機関・団体の専門家で構成する連絡会議の設置や研究実践地域の指定などとともに、今年度緊急に実施した教員研修をさらに充実させ、児童生徒が安全で安心な学校生活をおくることができるよう、学校・教育委員会と家庭・地域の連携した取り組みを推進していく。教育委員会議におけるいじめ問題の検討・協議については、昨年実施したいじめ問題に関する緊急調査の結果やいじめ根絶緊急研修会について質疑応答したほか、いじめの起きない学校づくりやいじめ問題を解決する学校体制の整備など、魅力ある学校づくりについて意見交換を行った。
【教育長】
 多忙化の解消の取り組みについては、県、市町村教委、各学校において、会議や研修会等の精選、時間の短縮などの取り組みを行っている。いじめ問題の研修については、内容を精選するとともに、実施時期などを工夫しながら、県内すべての学校の教員が参加し、その成果を各学校での取り組みに生かすよう努めていく。
 本県における新昇給制度は、学校が教職員相互の協働や連携による取り組みにより成り立つ職場であることを踏まえ、職員個々の取り組みだけでなく、他の教職員との協働や連携による取り組みについても考慮し実施している。
 目標達成型の学校経営については、「知・徳・体」のバランスのとれた児童生徒の社会的自立をうながすため、目標値の達成のみならず取り組み過程を重視しながら実施しているものであり、学校評価によりさまざまな視点で検証しながら、継続的に組織で取り組むこととしている。
 いじめ解決に向けた法整備の検討を国に求めることについては、国では、政府の教育再生実行会議における「社会総がかりでいじめに対峙していくための法律を制定すべき」等の提言を基に、「いじめ防止対策基本法案(仮称)」の今国会での成立を目指すとしており、今後ともこの動向について注視していく。
 少人数学級の実施についてだが、教員の増員については、国の定数改善計画の実施が見送りとなったことから、来年度小学校3年生での35人学級実施にともなう教員措置は、国からの基礎定数および加配定数の振替を活用することとしており、新たな教員増は見込んでいない。対象校で実施していない理由については、中学校1年生の35人学級対象校には、配当基準に基づいた定数措置をしているところだが、本年度実施しなかった学校は、生徒や学校の状況に応じて、措置された定数を活用し、ティーム・ティーチングや習熟度別学習などの少人数指導や、1〜3年生の縦割り集団による教育活動がより効果的であると判断し、35人学級によらない学級編制を選択した。
 体罰の実態調査だが、今般の調査は文科省の通知に沿って実施しているものであり、限られた期間の中で、発生年月日や被害の状況などの詳細な内容について、事実関係を把握する必要があるため、記名式の調査とした。生徒児童や保護者へのアンケートに当たっては、提出しやすいような配慮を行っているとともに、県教委などの相談窓口もお知らせしているところだが、ご指摘の点については、今後の取り組みの中で検討していきたい。


六、復興、警察官の不祥事、サービス残業の根絶について

【斉藤議員】
 最後に、県公安委員長に質問します。東日本大震災津波の人命救助、遺体の捜索、安全の確保の取り組みに改めて敬意を表します。こうした活動に従事した警察官の心のケアの実態と取り組みはどうなっているでしょうか。全国からの応援の状況と宿舎の確保、来年度の見通しはどうなっているでしょうか。
 警察官の不祥事・犯罪が、残念ながら昨年は全国で逮捕者93人で過去最悪となりました。岩手県警察本部においても昨年は5件の不祥事が発生しています。この5年間では18件に及びます。氷山の一角ではないかと考えさせられますが、県公安委員長はどう考えているでしょうか。公安委員会で不祥事の背景・要因などについて徹底した協議と再発防止策は講じられているのでしょうか。
 多くの警察官は、県民の安全、生命と財産を守るという使命感を持って仕事に従事していると思います。この間私はこうした県警本部におけるサービス残業の根絶を強く求めてきました。今年度の1人当たりの超過勤務時間の見込みと超過勤務手当支給の見込み、支給率はどうなるでしょうか。不払い残業分の手当はどうなるでしょうか。この間、改善されつつありますが、サービス残業が根絶されるよう強く求めます。公安委員会では協議されているのでしょうか。

【公安委員長】
 警察本部では、今回の震災における惨事ストレスへの対策として、平成23年4月から3回にわたり全職員を対象としてストレスチェック票を活用したPTSD(心的外傷後ストレス障害)等のリスク評価を実施し、その結果に基づき、心のケアが必要な職員に対して、医師、臨床心理士による個別面接や集団教養を実施するなど、職員の健康管理に取り組んでいるとの報告を受けている。その結果、1回目の調査では、リスクが高い可能性があると判断された者は全体の9.6%であったものが、3回目の調査では全体の1.8%と改善された。
 全国からの応援の状況は、緊急増員により平成24年2月、1都15県から130人の特別出向をいただき、被災地の安全・安心を確保するための各種警察活動を推進している。特別出向者の宿舎については、当県出身者等、自宅等から通勤できる職員を除き、大船渡および釜石警察署配置職員は釜石市内の仮設住宅を、宮古警察署配置職員は宮古市内の宿泊施設をそれぞれ借り受け生活拠点としている。平成25年度については、被災地対策のために3警察署に配置する警察官は70人を計画しており、宿舎については、大船渡および釜石警察署配置の職員は、引き続き釜石市内の仮設住宅を借り受け、宮古警察署配置の職員は、宮古市内の仮設住宅を借り受ける予定であるとの報告を受けている。
 本県警察において、飲酒運転事案をはじめ非違事案が発生していることは誠に遺憾であり、深刻に受け止めている。また、非違事案等への対応については、全国の公安委員会との情報共有に努め、常に国民・県民の目線に立って、その管理に当たることを念頭に置いている。非違事案の発生に際しては、都度、県警察から方向を受けており、その際には必ず発生の経緯、背景等についても説明を求め、委員間の協議を徹底し、個別の事案に応じた再発防止等について指示している。先頃の警察官による酒気帯び運転事案については、県警察からの報告がなされた際には、委員の総意として「極めて遺憾であり、県民からの信頼を喪失せしめかねない事案であることを強い危機感をもって受け止めること。非違事案の発生は、職員の倫理観の欠陥の現れであり、本来、高い倫理観を持ち、社会からの信任に応えるべき警察組織においては、絶無を期するべきものである。組織全体が、警察は国民の奉仕者であるという原点に立ち返り、二度とかかる事案を惹起させないよう、綱紀粛正の徹底を図ること」を強く要請した。なお、県警察では、日頃からの当委員会の指示・要請の趣旨を踏まえ、全所属に対する特別監察を実施するなど、非違事案防止対策の浸透状況を検証するとともに、職員一人ひとりに対する職務倫理、つまり、警察職員としての心得の浸透を図り、各種非違事案の絶無に努めている。公安委員会としては、これまでも、委員自らが現場に足を運び、職員に直接、訓示や講話を行うなど積極的に活動しているところであり、今後とも自らが先頭に立って、より厳格な管理に努めていきたい。
 今年度の超過勤務の状況について、県警察より今年度4月から9月までの上半期の状況について報告を受けており、この間における1人当たり平均の超過勤務時間数が158.9時間、支給時間数が116.4時間となっている。これらを年間に換算すると、今年度の1人当たり平均の超過勤務時間数としては、317.8時間、支給時間数としては232.8時間が見込まれるものと考えられる。今年度の超過勤務手当支給の見込みについては、2月補正後の超過勤務手当予算額は、14億2703万円余であると承知している。これらを単純に比較すると、1人当たり平均の超過勤務時間数に占める支給時間数の割合はおおむね7割となるが、手当額としては、職員の超過勤務の支給時間数および時間単価には、個々に差があることから、一概には算出しかねるものと報告を受けている。また、警察の超過勤務については、超過勤務が他の任命権者に比べて多い実態を受け止めて、超過勤務の事前命令と事後確認を徹底し、縮減対策に積極的に取り組むように、関係機関から指導されているとの報告を受けている。公安委員会としても、超過勤務の縮減に取り組むことが、公務能率の向上、職員の健康の保持、人材の確保などさまざまな面から重要であると認識していることから、県警察より、職員の超過勤務の実態や縮減の取り組み状況など報告を受けて監督を行っているが、警察業務の特殊事情についても勘案しつつ、今後とも、職員に適正な処遇が図られるよう、引き続き督励していきたい。


≪再質問≫

・住宅再建への抜本的な支援について

【斉藤議員】
 住宅再建への支援というのは、まさに復興の土台であり、もっとも重要な課題となっていると思う。復興特別交付税215億円で、市町村はかなりの支援をやれると思う。ただこれは、説明があったように、防災集団移転事業対象の方々はおそらく対象にならない形になることが多いのではないか。この間陸前高田に行ってきたが、ある防災集団移転事業では、133戸の予定が78戸に減っている。釜石の防災集団移転事業についても、かなり参加戸数が減っている。結局、自立再建の見通しがないということである。釜石の復興新聞は、1000人以上のアンケート調査をやっているが、住宅の再建・新築にあたっての不安で、手持ち資金がない―41.7%で第1位。そして岩手日報の県政世論調査でも、沿岸では住宅の再建が第1位の44.1%となっている。防災集団移転事業の対象者でも、さらなる支援がないと自立再建ができないというのが実態ではないのか。ここへの抜本的な支援なしに、被災者に展望・希望が見えない。そういう点でさらなる100万円の補助が必要ではないかということを指摘した。知事演述で「持ち家住宅の再建を支援する」と。これは今年の話なのか来年の話なのか。来年さらにこれを進めることが重要ではないか。
 災害公営住宅の費用が1戸1600万円余ということだった。だったら自立再建にさらに100万円200万円支援しても、安上がりで、維持管理はないのだから。そして、地域に根付いて被災地復興の力になる、私は一石三鳥だと思う。来年・再来年に住宅再建の計画が出てくる。今でさえ、大手ハウスメーカーは2年待ちである。だから、実際に住宅を再建しようというときに、それの受け皿がしっかりないと、建てようと思っても2年待ち3年待ちになったのでは、さらに5年6年と待たなくてはいけない。岩手県内の大工・建築業者を総結集して、岩手型住宅の本格的な体制の構築を進める必要があるのではないか。

【達増知事】
 県としては、これまでも復興基金を活用して他県に先駆けて独自の住宅再建支援策を講じてきたところだが、今回の震災復興特別交付税の増額措置により、市町村を通じた住宅再建支援策の一層の充実が図られるものと考えており、まずは今回の財源を最大限に活用していただくことが重要と考えている。今後とも、被災地の住宅再建の実情等を踏まえながら、必要に応じて国に要望していく。
【県土整備部長】
 防災集団移転事業、長部で変更した経緯がある。どうしても、事業の大臣同意をとるときに、だいたい何戸だったという部分を決定しなければいけないが、きちんとコンクリートするということではなく、だいたいこれぐらいと示さないとなかなか進まないだろうということで、だいたいの計画を立てる。そうすると、いろいろ地権者や被災者と相談しているうちに、いろいろ希望が出てきて、それは変更したのが長部の場合は113戸でスタートした。これで進めていくが、今後年度内に4地区スタートするが、まず防災集団移転事業を着工し、そして造成して環境をまず整えるのが最初だろうと。そして、今まで週末の度に各沿岸市町村で住宅相談会を開催している。被災者の方々が、これぐらいの支援のスキームがあれば何とかいけそうだという希望をもっていただいている方々もいるので、これは引き続きやっていく。
 住宅メーカーをどうやって結集するかということだが、岩手型住宅について、とにかくこういう住宅があるということを周知し、3月23・24日には、大船渡で住宅メーカーが結集して、住まいのフェスタin大船渡というのをリアスホールで開催することにしており、そういう機会もあわせて、被災者の方々や企業の方々も参画していただきながら住宅再建に向け力を結集していきたい。


・事業者の再建への支援について

【斉藤議員】
 グループ補助について、2月補正で179億円措置される。第5次・6次の申請は、41グループ・508社で124億円である。5次後半・6次申請の分はほとんどこれは対応できるのではないか。
 被災資産復旧費補助は、今年度208件7億900万円余の実績だが、少ないように思うがなぜか。修繕費補助を復活して継続すべきだと思うがいかがか。

【商工労働観光部長】
 5次後半、6次分の採択は、3月の中旬となるわけだが、その状況により所要額を見込み計上させていただいた。
 復旧費補助の関係で、額が少ないのではないかということだが、今年度の利用状況等を勘案し、来年度の所要見込みを試算したところである。


・福祉灯油について

【斉藤議員】
 冬場の灯油価格としては過去最高で、18リットル1864円、リッター103円を超えていた。今年が今までで最高に灯油代がかかっている。盛岡に住む被災者の方々も対象になるような、被災地等支援でなければ片手落ちだと。
 盛岡市の支援センターの調査によると、盛岡に避難している方々の2割は困窮世帯、食料支援も必要だと言っている。こういう方々に灯油支援がされないということはおかしいのではないか。内陸の被災者に対する特別の灯油支援をきちんとやるべきである。でなかったら差別になってしまう。

【保健福祉部長】
 内陸に避難された方については、我々の方では、市町村が助成する場合は県補助の対象とすると、市町村には伝えている。それは、現在自らの住民基本台帳に登録されている方、これは当然助成の前提になるが、住民票を移さずに内陸に避難されている方も助成の対象とすることで県は認めるとしている。したがい、それぞれの内陸の市町村での判断によるものだということであり、県としてはそれを指定しているものではなく、むしろそういう方々についてもカバーしていただきたいと考えている。


≪再々質問≫

・住宅再建について

【斉藤議員】
 知事にしっかり受け止めてほしいのは、釜石の事例を紹介したが、被災者アンケートで公営住宅が1046戸から1600戸に増えた。そして防災集団移転事業の例も紹介した。やはり、自力で住宅再建をするときに、資金不足が最大の障害になっていると。この傾向がこのまま続いたら大変だと思う。そういう意味で、防災集団移転事業というのは一番支援策が充実している、そういう対象の方でも、自力で住宅が建てれないという状況があることをしっかり受け止めていただきたい。
 最近の被災者の希望調査を各市町村はやっているので、県としてもしっかり把握して、そういう状況に対応すべき。そして住宅再建が復興の土台である。一番の希望である。そこに応えることを知事しっかりやっていただきたい。知事は被災地にもっと行って、被災地の首長の話も聞いてやっていただきたい。


・復旧費補助について

【斉藤議員】
 復旧費補助が十分に活用されていないのではないかと。そして、修繕費補助を復活し継続すべきと聞いた。

【商工労働観光部長】
 これについては、施設設備の取得経費のみを補助対象としていたが、今般の補正予算に修繕経費についても遡及して補助対象とするということで盛り込ませていただいている。


・福祉灯油について

【斉藤議員】
 難しい制度をつくるからいけない。県内全部の市町村を対象にして、被災者福祉灯油をやるとすればいいのではないか。陸前高田市が盛岡市にいる人の分までというのは難しくてできない。実際にそう言っている。だから、もっとシンプルに、全ての被災者を対象にしたものにしたらいいのではないか。

【保健福祉部長】
 議員ご提案のような方法でやるとなると、制度設計が被災者支援灯油から、内陸まで全ての低所得者の方を対象とするような福祉灯油に制度が変わるわけであり、そこは制度設計の違いになるので、考え方が変わるということでご理解いただきたい。


・県立病院の再建整備について

【斉藤議員】
 「おおむね一定の理解が得られた」というのは唯我独尊である。陸前高田から昨日、2病棟・80床の確保をという要請が出た。先日石木院長にも聞いてきたが、高田病院は、仮設の現状でも二次救急に対応している。地域住民も院長も「やらないわけにはいかない」と言っている。本設になったら、休日・夜間・一次救急もやらないなんていうのはできない。地域住民・病院関係者の努力と熱意にきちんと応えた病院再建をすべきではないか。
 山田病院についても、用地についていろんな地域住民の意見が出たと思う。地域病院というのはまちづくりの要だと思う。例えば、自力で病院をやっているところ、沢内・葛巻・藤沢は、役場の隣にある。まちづくりの中心である。そうして初めて支えられる。そういう位置づけもしっかりやり、10年20年支えられるような病院再建をすべきではないか。

【医療局長】
 1月に2日間にわたって地域の方々と意見交換させていただき、さまざま「病床規模を現状通り」とか「さらに大きくしていただきたい」など要望をいただいたが、我々の基本的な考え方については、丁寧に説明申し上げたところであり、一定の理解をいただいたという風に考えているところであり、また再度の開催が必要だという状況には至らなかったものと考えている。
 昨日県議会に出された請願のお話があったが、私の方にも要請書として出され、限られた時間ではあったが意見交換をさせていただいた。請願については、これは県議会のご判断だと思うので、その審査の状況を見ながら適切に対応していきたい。
 高田病院の二次救急について、再建後というよりも、地域病院、これは大槌・山田も含めてそうだが、医師不足というのはなかなか深刻な状況であり、やはり休日・夜間の救急対応もやるとなると、医師の負担が過剰になると考えており、基本的には、休日・夜間については、基幹病院で対応していくとしたいと考えている。
 山田病院の立地場所については、たしかに議員言われたように、旧山田病院を活用してはどうかという地元の声があるのは事実である。それについても、意見交換会でうかがい、また地元の方から直接手紙もいただいている。しかしながら旧山田病院跡地については、直接的な被害は受けていないが、山田町役場に近接する地区にあり、隣接する道路まで津波が到達した、あるいは周辺の道路が寸断された状況があり、病院の安全性とか孤立化が懸念されるところである。候補地については、地元の町の方から推薦をいただいている折笠3地区あるが、これについては町の方でも議会に説明した上で候補地として適地として推薦いただいているところであり、我々としては町の意向を尊重した上で、その3候補地の中で調整を進めていきたいというのを基本的に考えている。


・いじめ問題について

【斉藤議員】
 いじめの対策について、具体的に学校でやるべきこと5つの課題を提起した。具体的な答えがない。
 いじめの根本的な対策が必要だと思う。なぜ今いじめがエスカレートし広がっているのか。子どもたちが置かれている苛酷な環境がストレス・苛立ちを募らせているからではないか。そのストレス苛立ちを募らせている最大の原因は何か。競争的な教育である。そもそも、高校受験のある国は、先進国では日本しかない。そういう意味では、国連子どもの権利委員会、3回にわたり異常な競争的な制度だと指摘された。この問題をしっかり受け止める必要があるのではないか。そのために、遊ぶ時間が減って、孤独感を強めているというのがユニセフの調査で29.8%で日本はダントツである。子どものこうした苛酷な状況を教育委員長はどう受け止めているか。そういう子どもの状況に寄り添い、いじめの背景にあるこういう問題を解決すべきではないか。もう1つは、社会自身が弱肉強食でいじめ社会になっているということである。これは社会自身を変えていかなければならないと思う。
 子どもの声に耳を傾けて、子どもの社会参加を保障し、いじめを許さない取り組みをすべきだと思うがいかがか。

【教育委員長】
 子どもたちが大変忙しいというお話があったが、私も学校を訪問しながら知っているが、あるいは競争がいじめを―という話もあったが、必ずしも忙しいから、競争があるからいじめにつながるとは考えられないのではないかと考えている。詳しく分析しなければ分からないが。ただ、いじめの防止については、第一義的には校長をはじめ、学校の職員が一体となって、いじめは絶対にいけないということをやるべきだと思っている。子どものいろんな微妙な変化にも気がつくことも大事である。
 2つ目は、ただいじめはダメだダメだを言うのではなく、子どもたちの優しい気持ちとか仲良くするということを育てることも一方では大事ではないか。例えば、小屋瀬中学校では、復興教育の一環で、野田の仮設住宅にお世話に行き、おじいちゃんおばあちゃんの肩たたきをして感謝されて、ありがとうと言われて、手紙をもらって、役に立っているという気持ちを子どもたちは持って帰ってきている、そして手紙を返したりしている、そういう交流が続いている。そういう経験を通して子どもたちは、思いやりとか優しさを育てているという例がある。また、好摩小学校では、帰りのホームルームの折に、毎日1人ずつ順番で、1人の人を、今日は○○君に算数を教えてもらって嬉しかった、掃除を手伝ってもらって嬉しかったという良いところをみんなで褒めると。そうすると彼は、もっともっと頑張って親切にしますという感謝の気持ちを言うと。そのようにして子どもの良いところを褒めて学級全体が仲良くなる、優しくなると。そういうことも必要ではないかと思っている。
 3つ目は、家庭の中において、母親や父親が事ある度に友達をいじめるなよと、人の物を盗むな、嘘をつくなということをきちんと言うべきだと。親の哲学、価値観としてあるべきだと。そして、最後は大人社会が他を思いやるとか、人のあげ足を取らないような人間社会をつくるということが大事ではないかと私は思う。


・山田町のNPO問題について

【斉藤議員】
 実は平成23年5月2日、震災の直後だが、県社協専務理事、県の地域福祉課長、全国共同募金会のメンバー3人で山田町長に直訴した。どういうことかというと、「NPO『大雪りばぁねっと。』は各ボランティア団体と亀裂を起こし、不要な物を購入して社協にそれを請求している」と。ボランティアというのは自己完結なので、「こういうボランティアは北海道に帰ってもらったらいいのではないか」と提起した。5月2日の時点でこういう指摘がされている。これを無視したのが山田町長である。
 しかしその後、6月15日、知事が岡田代表と意見交換会をしている。これはNPOに社会的認知を与えたということになると思う。これは全くのミスだったのではないか。なぜそういうことになったのか。知事がもっと踏み込んで、県の関わり、県の責任を明らかにすべきだと思う。
 無料浴場施設だが、9月に法人が建築確認申請をしている。宮古地域振興センターがこれを認めている。NPOが建築確認申請できるわけない。同じ9月に、盛岡の建設会社に1億2千万円余で発注している。リース会社など関係ない。NPOが無料浴場施設を建設したというのは事実である。こういうことがもう23年度からあった。重大な逸脱があった。それを県は見逃してきたのではないか。見逃すどころか、「リースにすればいい」という対応を町にしたのではないか。わたしは県の関与・責任は厳しく問われると思うがいかがか。

【達増知事】
 沿岸で復興に携わる方々に集まっていただき、知事と懇談するということを何度かやる中で、たしか山田町で何人かに集まっていただいたときに、その中に代表もいたと思う。
【保健福祉部長】
 平成23年の5月2日に県の課長が山田町長を訪問したと、社協の専務理事と一緒に行ったというのは事実である。この事実関係については、我々のところで聞き取り等を行ったので、若干説明したい。
 経緯は、大規模災害が発生したときに、県や市町村の社協が災害ボランティアセンターを立ち上げることになっているが、今回の大震災では、市町村社協自体が被災した地域もあったということで、中央の共同募金会が設置する災害ボランティア活動支援プロジェクト会議や全国の社協の協力をいただきながら、順次センターが設置されてきた。設置が山田町において難航しており、ここでNPO法人に対して町から、海域の不明者の捜索やボランティアセンターの設置運営を依頼し、事実上法人が主導する形で、23年4月9日に、沿岸市町村では最後にセンターが開設されたと聞いている。
 委員からもお話があったが、県内外の社協や災害ボランティア活動支援プロジェクトのスタッフで運営されている他のセンターと運営形態が違ったり、いろんな祖語があったということ、またボランティア活動等の関係がなかなか明確でない購入等があったというようなことがあり、町の社協にたいしてそういうことを指導するときに、町との関わり合いもあったので、町長に会っていろいろ申し入れたと聞いている。そのときに町長にお会いするということで、ボランティア関係を担当している県の地域福祉課も同行してくれないかという風に話をされたと聞いている。いずれそういう申し入れにたいし、混乱期に団体がいち早く駆けつけて支援してくれたということで、信頼しているという趣旨から直ちには対応していただくことができなかったと経緯は承知している。
 このことについて、当部では、この時期というのは、災害ボランティアセンターを立ち上げながら、NPOなどの力も借りながら、復興を進めなければならないという時期であり、いかにそれを円滑に進めるかということを念頭に作業していた時期である。しかしながら、不明瞭な会計だとか、そういうのはまずいということで、社協の方でそれについて申し入れをして、筋を通したということである。それらについては、よもや緊急雇用事業がそのときにあるだとか、そういうことについては部としては承知しておらず、山田町からもそういう話は一切なかったわけであり、したがい当時の状況からすれば、委員のご指摘は受け止めつつも、庁内でそのことを共有するだとか知事に報告するということについては考えていなかった。
【商工労働観光部長】
 宮古地域振興センターでは、無料浴場の整備はどのような場合に緊急雇用創出事業の対象となるのかと照会を山田町から受けて、国の事業実施要領に基づき、制度の原則、つまり「建設土木事業は対象外」「50万円以上の財産取得は不可」「リースレンタルでの対応は可能」という旨を回答したということであり、したがい、緊急雇用創出事業の制度の原則を回答したということになっており、具体的な整備内容に基づく相談は受けていなかったということを確認している。
 また宮古地域振興センターにおいては、完了検査の際にも、無料浴場施設にかかる支出の関係の再確認等を行い、改めて支出内容は、リース物件の組み立て費用、仮設の建物であること、事業終了後の解体・返却そのもので財産取得には当たらない、雇用の場の創出の手段ということで補助対象とするということを決定したという経緯がある。


≪再々々質問≫

・住宅確保策について

【斉藤議員】
 被災者の希望調査をやり、どんどん自立再建が減るような状況だったら、機敏に新たな住宅支援策を考えると。それをぜひ改めて、実態を把握した上で対応していただきたい。

【達増知事】
 3月11日のその日からと言ってもいいと思うが、県としては大きな津波で流された家屋の再建ということが、阪神淡路大震災のような津波をともなわないような大災害以上に深刻な問題になるということで、阪神淡路大震災以降、国の住宅再建支援というのはさまざま進んできてはいるが、それだけでは足りないということで、国への要望、また県独自の施策などを重ねてきた。この持ち家再建支援というのが非常に重要であるという認識は現在も変わっていない。


・山田町のNPO問題について

【斉藤議員】
 知事が岡田代表とあの年の6月15日に会ったことは、結果としてはミスだったのではないかと指摘している。
 そして、一般的な指導をしたということではない。山田町が平成24年5月7日に作った復命書、いわゆる言い訳書だが、このときに、どうやったら御蔵の湯が補助対象になるかというので県とやりとりをして、模範解答がここに書いている。「御蔵の湯はリース物件だ。組み立ておよび解体完了までがリース経費の範ちゅうに入るものと考える。よって委託事業の範囲であり、県の補助事業の範囲である」と。「一定の期間が経過すれば、オールブリッジに返還することから、現時点での所有者はオールブリッジになる」と。しかしオールブリッジというのは実態がなかった。トンネル会社である。そして実際に、建築確認申請もこの建築の発注も法人がやっていた。まったくこれは嘘を嘘で固めるような対応を県がしたのではないか。

【達増知事】
 沿岸の様々な方のご意見をうかがう中で、当該NPOの代表にも会っていたということだが、当時はまだ県の災害対策本部も解散されず、私も終日防災服を着ながらできるだけ沿岸にも入るようにし、また復興に携わる現場の生の声を聞く機会をなるべくとるべきと考えていた。
【商工労働観光部長】
 県としては、山田町から出された書類あるいは説明、あるいは照会ということに対して、定められている要領等に基づく回答をしたものであり、県が決してどうこうしたという対応ではない。照会に対して、定められている原則について回答したということである。


・いじめ問題について

【斉藤議員】
 具体的実践例を否定しない。そういう頑張っている学校も先生もいる。そういう実践を生かすべきである。ただ、なぜ今全国で、岩手で、いじめがこれだけ広がり深刻になっているか。子どもを取り巻く状況をしっかり受け止めなければ、10年前20年前の話ではいけない。国連子どもの権利委員会はこういう指摘をした。「高度に競争的な学校環境が、就学年齢になる子どもの間で、いじめ・精神障害・不登校・中途退学・自殺を助長している可能性があることを懸念する」と。これが日本政府に対する勧告で、3度行われている。「子どもの生きる世界を見渡せば、能力主義で覆われた確実に深刻に広がる閉塞感が漂っている」と。それが子どもたちを苛酷な環境、ストレスを高めているから孤独感があんなに強くなる。そういう点で、本当に子どもに寄り添い、そういう意味で5つの具体的な対策の提案をしたので、しっかり受け止めてやっていただきたい。

【教育委員長】
 議員から教育長にいただいた資料、本日いただいた提言も含めて、いろいろな人たちの意見を参考にしながら、いじめの未然防止・根絶に向けて全力で頑張ってまいります。


・体罰問題について

【斉藤議員】
 14件5年間で体罰を処分したと。今年は報告はないと。しかし最近、いくつかの議会で「体罰はあった」と。結局、隠ぺいしていたということになる。そういう学校の体質、今度の徹底した調査で、隠ぺいしない、みんなの問題にして、本当に今度こそ解決していくと。
 そして処分は甘いのではないか。

【教育長】
 ご指摘の通り、それぞれの市町村おいて議会に報告された事案は承知している。いずれ、それぞれの市町村教委においては、改めて体罰の禁止の徹底とその学校にたいし報告の徹底を求めたということであるので、今回の調査を非常に注目している。
 なお、処分については、これまでの経緯を踏まえ、23年に処分基準を改定し、厳格化を図ったところであるので、これ以降についてはその基準に基づき厳正に対応していきたい。