2013年3月5日 商工文教委員会
補正関係(雇用対策事業・事業者再建支援)に関する質疑大要
・雇用対策事業について
【斉藤委員】
労政総務費は4億4600万円の増額だが、償還金・その他になっているがこの中身は何か。
【雇用対策課長】
毎年発生する通常の前年度国庫返還金で、当初800万円を計上しているが、これは実績として23万1000円に減った。一方で、ふるさと緊急雇用創出事業が、24年度ですべて清算完了ということになり、基金残額を返還することになる。その計上額が、精算の結果、不要となった残額が4億5300万円余あり、総額これだけの返還額の計上となった。
【斉藤委員】
雇用促進費で、ふるさと雇用再生特別基金事業費補助だが、これは今年度で終了すると。これはいわば、定職につなげる、恒久的就職につなげるということを目的でやられた。この実績はどうなっているか。これでどのぐらい雇用され、恒久的な就職につながっているのか。
【雇用対策課長】
21年度にスタートしたこの事業は、当初3年間の予定だったが、震災以降の中断で半年延び、今年度9月まで延長され、3年半の期間で事業が行われた。その間の雇用実績は、延べ数で2337人、事業終了後引き続き雇用されることをめざす事業で、もし継続雇用された場合は、一時金の支給が国を合わせると40名いた。その一時金の支給人数は、これまでの実績で計241人、延べ数に対するこの一時金の支給、いわば継続雇用された割合は9割強ではあるが、3年間の継続事業なので、実質同じ人間が2337人の中にはカウントされているので、実人数に対する一時金の支給割合は、およそ25%程度と考えている。
【斉藤委員】
継続的な雇用につなげるということを目的にやられたので、それが実質的には241人と。国のお金を使って、この程度の実績というのはいかがなものか。この要因をしっかり分析しなければいけないのではないか。
【雇用対策課長】
委員のご指摘はごもっともだと思っている。まず1つには、3年間の雇用を創出するという意味では目的を達していたと思う。もう1つの継続雇用の部分が十分目的を達成されなかったものと考えている。
要因としては、新たな事業を創出するということで比較を立てて事業実施してきたということで、なかなかそれが商業ベースに乗らなかったという反省があるかと思う。今後についても、緊急雇用事業では、今回新たに起業支援型というメニューができているので、極力来年度の取り組みの重要項目ともしている。長期安定雇用、継続雇用に向けた視点を第一にしながら、今回の反省もし、今後の事業に反映させていきたい。
【斉藤委員】
そういう目的でやられたこの雇用事業で、本当に雇用基金事業というのは、今回も、例えば、156億円基金に積み増しする。雇用と名の付けば何でもできるという認識では絶対にいけない。本当に地域で働ける雇用に結び付けるということを厳密にやらないと、山田町のような事件もまた起こり得る。そのことはしっかり分析して、起業支援型に移行するということだが、雇用事業の目的にふさわしいものにしていかなければならない。
新たに156億円余が基金積み立てになるが、これはどういう形で、いつまで行われる事業になるのか。
そして事業復興型雇用創出事業で、50億円も減額補正だが、これも25年度末までだったと思うが、これは延長されると思うが、今後の雇用対策事業というのはどう取り組まれるか。
【雇用対策課長】
今回156億円の積み立てがあるが、先に国会で成立した緊急経済対策等の予算成立により措置される事業である。その成立に合わせ、後ほど条例案の改正もあるが、事業の雇用創出のための期間は、当初「24年度新規事業に限り25年度まで継続できる」とされていたものが、「25年度新規事業が認められ、25年度新規については26年度までの継続が認められる」という形になり、実質終了時期が1年間延長されている。
事業復興型創出助成金は、こちらも本県のみならず全国的にその活用状況が当初の計画を下回っているということ、これは復興事業の遅れ等もあるという事情から、国では今回事業期間を1年延ばし、当初「24年度末までに雇用された者について助成する」としていたものを、「25年度末までに雇用された者に対して助成する」ということで、これも終了時期が28年度末までの助成ということで、1年間延長された。
【斉藤委員】
その156億円余が1年延びたといっても、25年26年の2年間で活用するということは大変なことである。本当に知恵を出して、被災地の復興に、そしてその地域の雇用に結び付くように、安易な委託や派遣会社丸投げということではなく、真剣に考えるべきである。お金があるから何でもできるという失敗が山田の例である。本当にこれだけの予算は知恵を出してやるようにしていただきたい。
事業復興型雇用創出事業は、1人の雇用に225万円、大変メリットの大きいものだが、まだ2月末で5954人と。15000人の目標なので、本当にこれが被災地で活用できるようにしてもらいたい。
それで2つ障害があると思う。1つは、3次補正の以前に雇用した人たちは対象にならないと。もう1つは、新規雇用が2割というのが前提である。新規雇用しないと、一度解雇した人たちを全部戻せない。進まないのに、なぜこういう制約があるのか。早く再建したい人は使えないということはない。このことは繰り返し指摘し、おそらく県も厚労省とやり取りしてきたと思うが、やりとりの状況はどうなっているか。
【雇用対策課長】
国に対する要望の都度、知事や副知事から見直しの要望をあげている。残念ながら見直しはまだされていない。
【斉藤委員】
本当に民主党政権というのは補正予算は遅れる、既成の法律は変えないで、戦後最大の大災害というのに、その大災害にふさわしい法制度・対策をとってこなかった。被災地の首長はそう言っている。被災者に心寄せてくれなかったと。その1つの典型である。政権が変わって、今度どう変わるのか。政権が変わったときに、本当に今までの「予算がついてから執行する」とか、これだけ事業所が困っているときに、一度解雇した人たちを全部戻せないという仕組みはぜひ解決すべきではないか。そしてそのためにせっかくの事業が予算を残したということになったらとんでもない話である。そういう補助を求めている企業があるのに使えない、そのために残したということになったら国の失態である。そのことを含めて、実態も含めて、求めている企業が使いやすいように引き続き知事・部長を先頭にやっていただきたい。
【商工労働観光部長】
事業復興型雇用創出助成は、今年度の後半から申請者数が800人台に乗るようになってきたが、依然として被災地の事業所の方々の話を聞くと、やはり再雇用のみでスタートせざるを得ないという事情もあるということも理解していただきたいということもあるし、新規の雇用の2割の条件もネックになっているということは承知しているので、24年度においても、これまで知事・副知事をはじめ、4度にわたりこの事業を改善すべきということを強く要望してきている。これについては、青森・岩手・宮城・福島と一緒になって要望活動もしてきているので、ぜひともこの部分を突破し、事業復興型のめざす本来の事業目的に沿った形で事業進捗が図れるよう全力をあげて改善を求め要望していきたい。
・革新的医療機器創出開発促進事業について
【斉藤委員】
革新的医療機器創出開発促進事業費1億4800万円が減額補正で、これは厚労省の復興関連で、医大が対象で対応できなかったという説明だった。これは総額いくらで、どういう物を岩手医大が開発しようとするものなのか。今後の見通しも含めて。
【科学・ものづくり振興課総括課長】
厚労省から、岩手県には地域医療再生臨時特例基金というものがあり、そこに4年間で14億円という被災地支援の医療機器開発のお金が入っている。今年度はスタートの年度として、他にはない新しい医療機器を開発するということで、やはり最初は内容をつめるということがあり、予定した研究開発が進んでいなかったということで、この減額になっている。今年度減額した分は、翌年度以降基金に戻って、総額14億円は変わらずに適正に執行するというものである。
内容については、岩手医大の持っている知見等を生かした機器開発をすべしということで、被災地支援なので地元の知見を生かすということで、テーマについては、例えば、急性肝不全の血液の濾過装置・透析装置、あるいは脳内の内視鏡、岩手発のコバルト合金の整形用のインプラントの開発など6テーマを進めている。
この研究については、外部の方々からも評価や研究の進捗を見ていただいており、例えば国立医薬品食品衛生研究所の部長や国立循環器病研究センターの部長等専門の方々がこの事業の進捗をしっかりアドバイスするという体制で進めている。今年度の遅れの部分は次年度以降ぜひ取り戻し、岩手から医療機器の開発を進めていきたい。
・中小企業被災資産復旧事業費・修繕費補助について
【斉藤委員】
一般質問でも取り上げたが、2月26日現在の実績が208件・7億900万円余だった。今回減額が15億9000万円である。減額の方が圧倒的に多い。十分これが活用されなかった要因を少し詳しく示していただきたい。
これは前向きだと評価するが、修繕費補助を今度は組み込んで沿岸で対象にすると。宮古市が市独自で今年度からやっていた。しかし被災は沿岸だけではないということを繰り返しここで指摘してきた。内陸も被災者である。特に一関などは、県北よりも被害が大きいということも指摘したが、なぜこれが沿岸だけに限定されたのか。
【経営支援課総括課長】
復旧費補助だが、本格的な事業者の施設の復旧を支援しようというものだったので、どうしても土地利用の関係があったと思う。土地が確保できず本格復旧に結び付かなかったということがあると思う。
修繕費補助を今回補正で組み込ませるということだが、宮古市以外にも、岩泉町・山田町・大船渡市で修繕費を見込む事業者があるということがあるので、それを遡及して対応したい。
内陸部への支援だが、やはり今回の被災が沿岸部で非常に甚大だったということで、まずは沿岸の復旧ということで修繕費や復旧費についても沿岸を対象と考えている。内陸部については、グループ補助金の活用とか制度融資も活用していただき、まずは沿岸の復旧ということで、そちらに傾注している。
【斉藤委員】
復旧費補助は、土地利用問題などで本格的な事業者の再建が遅れていると。グループ補助もそうだが、だから1つは、期限を切らずに事業者が再建するまでこの事業は継続するというメッセージを出すべきである。何でも期限期限である。そういう対象者がいる限りやるということをはっきりさせるべきではないか。現時点でこれはいつまでの期限になっているのか。まちづくりの今のスケジュールからいったら、期限が切れた後に再建せざるを得ない事業者はたくさんいると思う。
やはり被災地は沿岸だけではない。グループ補助も今まで内陸も対象にしてきて、残念ながら来年度からは内陸が対象にならない。だから内陸の自治体のやる気というのもあるが、県が最初から沿岸限定にしたら、これはやりたくてもやれない。例えば、被災者生活再建支援金の状況を見ると、住宅では、基礎支援金の対象となったのは、一関は327件、岩泉は190件、田野畑196件、久慈市128件、野田村451件で、野田村に準ずる被害である。これは事業所の被害額はもっと大きいぐらいである。被害の実態から見ても、沿岸だけに限定するやり方は、県がそう限定するというのは正しくないのではないか。
こういう限定付き、期限付きというものを見直して、再建を求める事業者はすべて対象にするという、その踏み込みが国との関係でも必要ではないか。
【商工労働観光部長】
期限を区切らずにというご指摘は私もよく理解している。やはり土地利用の関係でどうしても見通しがつかない状況にあるという被災地の実情に即して考えれば当然のことと考えており、しかしながら予算制度そのものは会計年度は単年度が原則であるので、その年度年度に計上するわけだが、我々としては、事業を創設し、その目的が被災地の中でしっかりと機能し果たされていくということを求めていくという姿勢で臨みたい。
内陸部への修繕費等の部分については、これは本委員会でも議論いただいたことを踏まえ、我々も丁寧に内陸市町村に出向き、その状況について率直な意見交換をさせていただいた。そうした中にあっては、さまざまな受け止め方があり、総じて申し上げると、やはり沿岸部の被災状況に比べると、その甚大性においては沿岸部がはるかに大きいという気持ちを持っておられるということと、修繕費の性格からして、ある程度今の時点で修繕が進んでそれなりの自立会計も含めて進んできているというようなこともあり、あるいは客観的なデータとすれば、委員から一関等の被災状況のご指摘もいただいた通りである。先般の公表された経済センサス、これらの状況を考えると、やはり沿岸部における被災状況をまずはしっかりと対処していくということがもっとも求められていることという風に、そのようなことを総合的に判断し沿岸部に限定させて、しかしながら修繕費は復活させていただいたということなのでご理解いただきたい。
【斉藤委員】
期限の問題は理解できると。例えば、事業の設定上、2年とか3年で予算計上せざるを得ないと。しかし、今の復興の状況を見たら、やはり必要性がある限り継続が前提だと。そこまで踏み込んで言うべきではないか。
【商工労働観光部長】
事業の必要性が認められると判断される場合には、その事業の継続について前向きに検討していきたい。
・グループ補助金について
【斉藤委員】
今回かなりの額の補正が出た。177億円。これは第5次後半、第6次の申請の額を大幅に超えていると思う。これはほとんど対応したいという県の意向ではないのか。見通しを示していただきたい。
【経営支援課総括課長】
今回のグループ補助金の申請状況は、第5次の後半で33グループ・114億円、第6次が8グループ・10億円、計124億円である。補正で計上したのは177億円ということなので、たしかに補正額が上回っている状況である。
いま審査中であるので、グループの採択数については決定できないが、できるだけ事業者の方々を、グループの復興事業計画というのを出していただいているので、その計画の中身をよく見て、我々で支援できるところは支援しながら、協同事業というものはどのように行われるのかというところなど支援しながら、できるだけ多くの事業者が採択されるように望んでいる。国とも調整しながら進めていきたい。
【斉藤委員】
おそらく残額が出るぐらいの補正予算だと思うので、残額は来年度80億円のグループ補助が計上されているが、それに上乗せされると受け止めていいのか。もう1つは、来年度グループを組めないような小規模事業者に対してどういう支援をするのか。また小規模事業者に対する対策は別途考える必要があるのではないか。
【経営支援課総括課長】
予算の性格上、残額を翌年度に繰り越すということはできないので、今回の2月補正については今回の申請での対応ということになる。
小規模事業者への対応ということだが、新たな事業の創出なども国に要望しているが、合わせて、例えば、仮設店舗に入っている事業者に対しては、共用の資産が必要な場合にそれを補助するなど、来年度新たな事業のメニューなども考えており、いずれいろんな事業者のニーズに対応できるように手厚くしていきたい。