2013年3月8日 予算特別委員会
高田一郎県議の知事に対する総括質疑(大要)
1.放射能汚染から農業を再生する課題について
[高田県議]
日本共産党の高田一郎でございます。
私は、放射能汚染から農業を再生する課題、とりわけ、しいたけ再生産対策について質問いたします。一関市のしいたけ生産農家に対する意向調査では71.6%が生産を断念するという回答を行っております。大変ショッキングな数字であります。わたしは、再生産が大変困難な中でも頑張って生産したいという生産者に対しては、しっかりとした再生産対策。そしてやむを得ず、辞めざるを得ない生産者に対しては、代替作物など具体的な支援策を講ずるべきだと思いますけれども、県の考え方を示していただきたいと思います。
[上野副知事]
しいたけの再生産対策や代替作物などの具体的な支援策についてのお尋ねで御座いますが、しいたけ生産者に対する再生産への支援については、まずは出荷制限の解除に向けて国との協議を急ぐとともにほだ場の環境整備や新たな原木の確保のほか、人工ほだ場などモデル的な整備を支援するなど出来る限りの支援をしてまいります。一方で原木しいたけ生産をやめ、他の作物への転換を希望する生産者の方に対しましては、個別の生産者の意向をふまえながら耕作面積に制約のある中山間地域でも収益性の高い品目へ円滑に転換できるよう農業改良普及センターや地域の生産者団体が連携をいたしまして、支援に取り組んでまいります。
[高田県議]
そこで具体的な数字をお伺いしたいのですが、一関では意向調査がおこなわれましたが今回、出荷制限されているのは14市町村であります。この14市町村のなかで全体の意向調査はどのようになっているのか、もし具体的な数字があれば示していただきたいと思います。
[副知事]
申し訳ありません手元に資料がございません。
[高田県議]
今回の継続をなかなか決めかねている。そういう生産者もたくさんいるわけですけれども、いま出荷制限が解除がおこなわれない中でなかなか安全性が保障されないなかで、なかなか生産をためらっているというのが現状だと思います。農家の皆さんの気持ちを考えれば、私は当然だと思います。しかしほだ場除染の問題では今年度の事業でありまして。つまり今年の植菌を前提とした支援策となっております。私は今年の再生産再開だけではなくて、落葉層除去の意向を示している生産者、あるいは将来頑張りたいんだと生産者にも広く支援の手を差し伸べるべきだというように私は、思うのですが。その辺について副知事の答弁いただきたいと思います。
[副知事]
農家の方々、大変懸念をされている、苦しい状況におかれていることを私どもきちんと受け止めております。それを受け止めまして、いまおっしゃったような、具体的にしいたけの再生産をもう一度されるという意向をお持ちの方はもちろんのことそれ以外の方につきましてもどういうご意向をお持ちか。それからどういう手順踏んでいくかという事についても、私どもそれぞれの地域の専門家。総動員いたしまして、きちんと対応してまいりたいと思っております。
[高田県議]
きちんと対応していただけるという答弁でしたけれども。今回の意向調査のなかで、県が調査したなかでは継続するが300人、保留が220人、やめるが220人ということでかなり多くの人たちが生産再開をやりたいんだけれども、どうしたらよいのかと。こう思っている人が圧倒的なのです。継続をして再生産したいというなかにも実は、まだまだためらっている人たちがたくさんいるわけですね。しかし県のほだ場除染は、今年生産を再開する人のみの支援策になっているのです。そうなんですよ。ですからやはり、今は少し不安だけれども、これまでの経験を生かして将来やりたいんだと。そういう方々にもほだ場除染に対する支援を行うとか。そういう支援の手を差し伸べると言いますか。そういうことが必要だと思います。しいたけ生産というのは、単年度だけの支援策では継続した取り組みにならないのです。知事は昨日の答弁のなかで不安なく再生産できるように全力をあげたいと。そして全国に誇れる産地になるように県としても頑張りたいと。いうこと述べました。全国に誇れるように県としても頑張りたいというのであれば、やはり単年度の支援策ではなくて長期的な支援策。これが求められているし、そういうメッセージを生産者に届けていただきたい。こういうように思いますがいかがでしょうか。
[副知事]
原木しいたけの再生産に向けた対応についてでありますが、委員おっしゃるように岩手県はしいたけの東北最大の産地でありますし、日本を代表する産地であります。そうした、県内農林業でも大きなウエイトと占める非常に大切な産業でありますので、今おっしゃったような、私どもの対応が。私どもは現段階で精一杯のことをやっているつもりですが、色んな方のご意見をお聞きしながら不備なところがあるとすれば、それは早急に改めてきちんとした中長期的にみた対応をとっていきたいと思います。
[高田県議]
それでは具体的な再生産に向けた課題についてお伺いしたいと思います。今回、県は生産を再開するしいたけ生産農家に対する簡易ハウス、及び人工ほだ場に対する支援策を打ち出しました。これは生産を再開するのに有効な支援策だと私は思います。しかしこれは農家の重い負担となっていないのでしょうか。農家負担というのはどれぐらいになるのか示していただきたいと思います。
[副知事]
栽培施設整備に係る生産者の負担軽減についてでございますが、県は国に対しまして、現在、国と県で補助をするということになっていますが農家負担が6分の1程度になるというように承知をしていたしております。この生産者負担につきまして、国の補助率を引き上げることによって軽減をして、負担がほとんどない状態にして欲しいというお話を国に申し上げています。そういった要望をしていきますし、この生産者負担分につきましては、賠償の対象とするように東京電力を指導することについて要請いたしております。東京電力に対しても我々からも同様の要請をしていく考えでございます。今後とも原木しいたけの産地の再生産に向けましては、今委員がおっしゃったような生産者の方々が再び、意欲を持って生産活動に取り組めるように出来る限りの支援をきちんとやってまいります。
[高田県議]
具体的に数字を申し上げますと人工ほだ場の場合は1000万円、簡易ハウスの場合は180万でありますから、農家負担は人工ほだ場の場合は166万円、簡易ハウスは30万円になります。そもそも農家に負担すべき問題なのかということをお伺いしたしました。3年目にしてやっと軌道に乗り始めた矢先に大震災にあって借金だけが残ってしまったと。これは一関市の50代の若い生産農家です。辞められないと。なんとか生産して借金を返したいと。こういう生産農家もおります。こういう農家の方々。生産手段を全て奪われた被害農家に対して私は、自己負担を求めるべきではないと思います。そもそも原発の事故が無かったら起こり得ない事態でありますから、これは賠償の対象にして、県は農家に対して負担をやっぱり軽減をして国に、東電に賠償するとこういうスキームこそ再生産対策につながるのではないでしょうか?
[副知事]
委員ご指摘のとおり、生産者の方々に負担を求めるというのは適切ではないと、私ども思っておりまして。まずは国が補助対象にすべきだと思いますし最終的には、東京電力に賠償という形できちんとした形で責任をとられるべきだと思っておりまして。その両方についてお願いをしているところでありまして。出来るだけ早く実現をするように努力をしてまいります。
[高田県議]
全国に誇れるように全力で頑張りたいというのであれば、私は農家負担を極力軽減をして、私たちもそういう立場で頑張るからぜひ再生産して欲しいんだと。こういう立場で農家を励まし、東電に請求すると。そういう姿勢が県に求められていると思います。次に損害賠償についてお伺いしたいと思います。今回の中間指針の第三次追補では、岩手は風評被害の対象となりました。しかし、請求しなければ保障しないと。被害者には立証責任があるという姿勢に相変わらず、東京電力は立っています。賠償は大変遅れています。私は、原発事故が起きなければ、起こりえなかった損害は、すべて補償させるんだと。こういう姿勢が大切だと思います。賠償問題に関する県の基本的な考えかた。これについて答弁いただきたいと思います。
[総務部長]
賠償に係る県の基本的な考え方でございますが、原発事故に起因する損害につきましては、当該事故の原因者である東京電力が一義的に責任を負うべきものでありまして、東京電力に対しまして本県で発生している全ての損害につきまして被害に実態にそくした十分な賠償を速やかに行うよう強く求めていくという基本的な考え方で対応させていただいております。
[高田県議]
次に賠償金の非課税を求める県の対応であります。しいたけ生産農家は、農地を汚染され生産手段を奪われ、そしてこの1年数ヶ月翻弄されて、苦悩の日々だった。これがしいたけ生産農家の共通した思いであります。私は国に責任があるにもかかわらず、賠償金に対して課税をする。これは大きな問題だと思います。国に特別の措置を求めるべきだと思いますが、いかがでしょうか?
[総務部長]
原発事故に係る賠償金につきましては、生命、心身に関わるものについては、非課税でございますが、必要な経費を控除した後の利益の減収分に対するものには課税対象とする旨、国、国税庁からしめされているところでございます。こうした税制上の取り扱い。これは原発事故という事に関わらず、損害賠償に対する全般に当てはまるものでございまして、税制の公平性の観点からこの原発事故に係るものに限って、非課税の範囲を広げることは難しいとの感触を国に考え方から得ております。従いまして非課税範囲の拡充も課題であると認識しておりますが、放射性物質の影響が相当期間に及んでおりまして生産現場における追加的費用も、増加してきておりますことから個々の生産者におきまして適正な経費の把握とその積み上げを通じまして、税負担の軽減を図っていく。経費がかさめばその分は利益から引けるというようなことになりますので実際はかなり圧縮できると思いますので。そういう対応を行っていくことが現実的ではないかと考えております。
[高田県議]
非課税の範囲を広げることが課題だという総務部長の答弁でありましたが、私は原発被害の課題を解決する上では、平時の対応では駄目だと思います。やはり現在の所得税法というもの根拠というのは、平時ケースであって国の責任が伴う大事故を想定したものではないと思います。過去にも口蹄疫とか水俣病、オウム真理教などでも非課税にした経緯があります。私はこの賠償金で、再度別な形でチャレンジしたい。農家レストランをやりたい。さまざまな形で再チャレンジしようとしている方々がたくさんいます。しかし、これを課税することのよってそのチャンスが奪われてしまう。こういう事態にもなっております。知事いかがでしょうか。福島ではですね、オール福島になって非課税を求める。そういう運動が起きています。知事もここに連帯をして国に対して強く求めていく。そういう立場にたってほしいと思いますがいかがでしょうか?
[知事]
東日本大震災その後に発生した原発事故もふくめて、これが国家的な非常事態なんだということで国に対して踏み込んで求めていくということは一貫してやってきております。また、いまの政権になり復興を加速するという姿勢を強めるなかで県も復興を加速ということで、呼応をしながらさらに踏み込んだ大震災特例的な対応をこの復興にあたって求めるということをしておりますので、その姿勢はさらに強めていきたいと思います。
2.災害公営住宅について
[高田県議]
この間、釜石、宮古、山田そういったところでの災害公営住宅への意向調査では、当初の整備計画を上回っています。市町村ごとの公営住宅の希望。これについてどう把握されているのでしょうか?
[副知事]
災害公営住宅の希望の把握についてでありますが、各市町村では、被災された方々対象に意向確認を進めておられまして、災害公営住宅への入居希望者の総数に基づきまして現時点における整備戸数5639戸を設定いたしております。災害公営住宅の整備戸数につきましては、第一に市町村が実施してきた意向調査の精度が高まったことや第二に被災者の方々の意向が変化することにより、数値が先導いたしておりますが今後とも各市町村と連携をしながら、自力での住宅再建が困難で災害公営住宅の入居を希望される被災者の方々には、確実に災害公営住宅を用意できるよう取り組んでまいります。
[高田県議]
確実に災害公営住宅を住民のニーズに沿って取り組んでいきたいということで分かりました。しかしどんどん増えて良いということにはならないと思うのです。やっぱり持ち家再建がなかなかできないから災害公営住宅に希望が移るわけですから、やっぱり持ち家再建にもっと力をいれて取り組んでいただきたいと思います。
3.JR山田線・大船渡線、被災地の交通確保対策について
[高田県議]
JR山田線の問題についてお聞きしたいと思います。
JRから提示されている安全の確保やまちづくりとの整合性、費用負担、それから復旧後の利用状況などさまざまな課題がありました。先日の新聞報道では、こうした問題について知事は見通しが、おおむねたってきたと思う。こう報道されています。本日は復興調整会議も開催されていますけれども、JR山田線の復旧の協議はどこまで進んでいるのかお示しいただきたいと思います。
[知事]
JR東日本は津波からの安全の確保、まちづくりとの整合性、そして費用負担等が課題との認識を示しているわけですけれども、これまでの復興調整会議や個別の協議の結果、これらの課題については概ね解決の見通しが立ってきているところです。また、復旧後の地元利用ということについても県と市町村が連携し最大限、取り組むことで合意をしておりますので一部に未解決の問題があるものの県としてはJR東日本に出来るだけ早く鉄道復旧を表明していただきたいと考えております。
[政策地域部長]
利用促進の課題も提起されておりますが、これにつきましても先般、首長会議で検討組織を立ち上げるという合意もいただいて検討を進めることにしておりますので、何とかJRの前向きな表明を我々としても期待をしているという状況でございます。
[高田県議]
今月5日、太田国土交通大臣が記者会見を行いまして新聞報道では、鉄路復旧なら国費投入も検討したいとの報道がありました。この記者会見での発言についてですね、もし分かれば示して頂きたいと思います。
[政策地域部長]
国におきましては路盤のかさ上げなど街づくりと一体で進めるものにつきましては、復興交付金の活用ついても前向きに検討いただいているという風に承知しております。ということで我々といたしましては国に対して、引き続き財政支援といったものも強く求めて参りたいと考えております。
大臣の発言については、地元から山田線の復旧の要望が出ていることは良く承知していると。JR東日本は黒字であることからぜひともやってもらいたいというようなことも含めた要望であると思っているが、私どもとしては最終決断はJR東日本が納得しなければ、なんともならない。あるいはBRTとの関係についてもしっかりふまえなければならない。現地の要望も良く聞く必要がある。というような記者会見でされております。
[高田県議]
私もこの大臣の記者会見を見ましたけれども、このように話しているんですね、鉄路の復旧が行われるという場合には国としてこれに措置することができるのか、できないのか検討しようという段階だと。こういう認識なんですね。東日本大震災からもう2年が経ちました。2年経っても復旧の見通しが経っていないのはJRだけなんですよね。未だにこういう状況がつづいている。私は、前政権のときは黒字の企業には、支援をしないというスタンスだったのですが、これまで一関の駅のバリアフリー化などを含めて黒字企業であっても支援をしてきたんですよね。今日の状況になったら、国の姿勢をJRに対してかさ上げぶんは、国がしっかり持つから、ちゃんと再建してくださいというような姿勢に国は立つべきだと思います。そういう視点が足りないのではないかと思います。知事いかがですか?
[知事]
国に対しては、鉄路の復旧については三鉄にせよJRにせよ支援を発災直後からもとめてきたところであります。そのとおりだと思います。
[高田県議]
ぜひこの問題について国に対して強く求めて一日も早い再建を実現するように取り組んでいただきたいと思います。
最後に鉄道の普及の問題と合わせて住民の足をきちんと確保することがとりわけ求められていると思います。被災市町村でデマンドタクシーあるいは乗り合いタクシーなどがさまざまな形で取り組んでおりますけどもこの間運賃の値上げなどもあって、乗りかえによってかなりかかっているという状況があります。新年度は国の交付金が一千万円増えるわけでありますから、具体的に拡充となるように取り組んでいただきたいと思いますがこの点について質問して終わりたいと思います。
[地域政策部長]
来年度は現行の3500万円から4500万円に補助限度額が引き上げられるとなっております。地元の方々からの路線の新設でありますとか見直し、また、増便等、色々ご要望も出ておりますので今回の引き上げも活用していただいて被災者の方々のニーズに出来るだけ沿うような形で市町村のほうで対応していただけるものと考えております。