2013年3月8日 予算特別委員会
総務部に対する質疑(大要)


・津波避難対策について

【斉藤委員】
 東日本大震災津波で大きな犠牲者を出した最大の教訓は避難の問題だったと思う。避難の状況についての検証は行われているか。
 現在、防潮堤が破壊されている状況のもとでの避難対策はどうなっているか。2004年のスマトラ沖大地震のときは、8年経ってから、マグニチュード8クラスの余震が2度起きている。現段階での避難対策は大変大事ではないか。
 今後の避難対策をどう講じていくのか。道路、避難場所の確保、避難場所の暖房設備や備蓄などどうなっているか。

【防災危機管理監】
 避難状況の検証だが、県では東日本大震災津波に関わる災害対策の検証を行い、避難行動について検証をしてきた。大きな犠牲者を出した要因としては、ハザードマップにおける浸水が「想定される区域以外は安全」という認識があったことや、津波規模の過小評価、過去の津波警報の空振りから油断が生じ、避難開始時間が遅れたということが挙げられ、この検証結果については今後の防災対策に生かしていきたい。
 防潮堤が破壊されている現状での避難対策について。防潮堤が破壊されている現状下ででは、津波の高さがそれほどでなくとも、浸水することが危惧され、津波から身を守るためには、何より早期に高所に避難を行うことが必要となる。早期の避難のためには、迅速な津波情報の伝達が重要となるところであり、県では、市町村の防災行政無線の復旧について支援を行っていく。沿岸市町村では、平成24年度末には、難聴地域の解消も含め、Jアラートと連動した自動起動方式の防災行政無線の復旧を終える見込みであり、これにより迅速な避難が可能となるものと考えている。今後とも、このような避難環境の整備について、市町村の取り組みを支援し、住民の安全の確保を図っていきたい。
 今後の避難対策だが、県の地域防災計画の見直しの中で、東日本大震災津波および想定される最大クラスの津波を想定し、防潮堤の設置状況等も、地域事情を踏まえた津波避難計画を策定するとともに、避難場所の見直し、避難道路等の整備を進めることとしている。また、災害時に的確な避難行動がとれるよう、県や市町村が主催する防災訓練に対して、住民の参加を促し、具体的かつ実践的な訓練を行うとともに、自主防災組織の育成・強化等を通じ、防災意識の徹底を図っていきたい。県では、昨年度の地域防災計画の見直しの中で、非常用電源や暖房器具の整備を含め、避難の長期化に応じた避難場所等の環境整備を追加している。これを踏まえ、各市町村においては、地域防災計画を見直しているところである。すでに避難場所の見直しを行った市町村もあるが、今後とも市町村との会議や、防災訓練の実施等を通じ、地域の実情に即した避難環境の整備が図られるよう支援していく。

・消防団の活動について

【斉藤委員】
 自主的な退避マニュアル、かなり沿岸の消防団では決められているようだが、その状況を。
 特に被災地の消防団の組織状況はどうなっているか。きわめて献身的な活動がされた。こうした消防団の待遇改善を抜本的に図るべきだと思うがいかがか。

【防災消防課長】
 消防団の活動マニュアルの策定状況、退避ルートの設定状況だが、沿岸12市町村のうち、現在7市町村でマニュアルを定めている。津波到達予想時刻をもとにした退避時間の設定だが、これについてはすべての市町村で設定している。現在、マニュアル等の策定を検討する町村もあるので、今回策定する活動指針を活用するなどして、地域の実情にそった活動マニュアルの策定を支援していきたい。
 消防団の組織状況だが、24年4月1日現在、本県の消防団員数22911人となっており、市町村が定める消防団員の条例定数も86.3%となっている。
 消防団の処遇改善については、報酬・手当の引き上げをはじめ、市町村に従前から働きかけているが、東日本大震災津波以降、沿岸4市村において、報酬あるいは指導手当の引き上げを行っている。今後においても、消防団員の活動の安全対策の確立、装備の充実、合わせて処遇改善についても働きかけていきたい。

・「原子力災害対策編」とした地域防災計画の策定について

【斉藤委員】
 福島第一原発事故に対する県の対応についての教訓・課題をどうとらえているか。
 「原子力災害対策編」であらかじめ講じる必要がある対策は何か。
 岩手県にとっては、放射能汚染対策はもっとも重要な課題となると考えるが、どういう対策が検討されているか。

【防災危機管理監】
 東日本大震災津波発災当時においては、沿岸被災地を中心に、被災者救出等の応急対処に全力で取り組んでいたところであり、原発事故については、テレビ報道等により情報を得ていた。しかしながら、国等が正確が情報が得られないまま、放射性物質の拡散による影響が本県にもおよび、放射線影響対策の実施に至った。このような状況から、早期に情報収集やモニタリングの整備など、本県としても原子力災害対策に迅速かつ適切に対処できるようあらかじめ対処方法を定めておく必要があると認識している。こうした認識とともに、原子力災害の対処として、原子力災害発生情報の収集と本県への影響把握、住民への正確な情報提供、県民への放射線影響の回避などが重要な課題ととらえ、これまで原子力災害対策の策定を務めてきた。
 本県は原子力施設が立地しておらず、原子力施設から一定の距離があること、また原子力災害対策指針に規定する原子力災害重点地域に本県の区域が含まれていない状況である。原子力災害対策編の作成にあたっては、こうした本県の状況を踏まえ、隣接県の原子力施設において発生する原子力災害に的確に対応するため、本県において、あらかじめ講じる必要があると認められる対策を盛り込むということを基本的な考え方として進めている。
 本県において必要な対策として、案においては、原子力事業者等からの情報収集や、住民等への情報提供やモニタリングの実施など、原子力災害発生情報の収集・提供、本県への影響把握に対する対策、住民等の避難・影響回避・スクリーニングの実施など、住民等への影響回避等に関する対策、追加被ばく線量の低減や健康確保に向けた調査の実施など復旧に向けた対策を中心に盛り込んできたところだが、これらの対策を、災害発生前に取り組む事項、災害発生時に取り組む事項などに区分・整理して案をとりまとめている。
 原子力災害対策編の作成にあたっては、放射線医療分野、原子力防災分野の有識者に県防災会議専門委員として参画いただいている。これまでの検討・議論において、専門委員から、原子力災害発生時の防護の基本は、「放射性物質を浴びない」「体内に取り込まない」との助言を得て、防護対策の中心を避難とする案を作成したところだが、原子力災害発生時における体への影響を回避する対策として、避難とともに、国の基準に基づいたスクリーニングおよび除染の実施について盛り込んだ。また案では、緊急時、モニタリングの実施結果を踏まえながら、県民が日常生活から受ける追加被ばく線量の低減を図るための措置の実施、県民の健康確保に関する調査の実施および調査結果を踏まえた対策の実施などを盛り込んだところであり、こうした対策が原子力災害発生時に的確に実施できるよう、今後マニュアルの整備を進めていきたい。

・消費税増税問題ついて

【斉藤委員】
 国民・県民の所得が減少して、復興に取り組んでいるときに、消費税の10%大増税というのは本当に許されないと思うが、この10%増税となった場合に、県民の消費税負担額はどのように推計されるか。
 県内企業・中小企業の法人事業税の対象企業数・率、これまで事業税を払った企業数の最大値はどうか。
 県内の消費税の滞納額、滞納事業所数を示していただきたい。

【税務課総括課長】
 現在、簡易な給付措置、給付付き税額控除、軽減税率等も検討がされている段階であり、制度の骨格がまだ決まっておらず、厳密に算定することは困難だが、消費動向等が増税後も変化がないものと仮定し、平成22年度の地方消費税から推計すると、税率が10%となった場合の、消費税の合計額は、1165億9000万円と推計され、現行税率の場合と比較し582億9000万円の増と見込まれる。
 平成24年度の事業税が発生している法人数・企業数だが、申告義務のある21774社のうち、8906社で40.9%となっており、うち資本金額1億円以下の中小企業については、20217社のうち、7412社で36.7%となっている。これまでの最大値は、確定申告をした法人データが残っている平成18年度以降で、事業税の対象となった起業数の率の最大は、19年度で22571社のうち9636社で42.7%となっている。資本金1億円以下の中小企業については、平成21年度以降のデータしかないが、最大値は先ほど述べた本年度の20217社のうち、7412社で36.7%となっている。
 消費税については、国税ほうで賦課・徴収を行っており、詳しい資料等が県ではないが、仙台国税局が発表している国税徴収状況によると、平成22年度末の滞納額は、65億8800万円余となっている。滞納事業所数については公表されていない。

【斉藤委員】
 中小企業の場合は36.7%、逆に63.3%は赤字ということで、こういう中で消費税が倍になるというのは、まさに中小企業がバタバタ倒産ということになりかねない。

・オスプレイの低空飛行訓練について

【斉藤委員】
 ついにアメリカ軍は、本土の四国―オレンジルートで一方的に低空飛行訓練を始めた。沖縄では、全然日米合意を無視して、市街地上空で大変危険な訓練が行われている。知事はすでにオスプレイの低空飛行訓練に反対の立場を示しているが、この間どのように国に対して要望などをしているか。訓練をやると言われてからではなく、今からやってはならないという行動をしっかりすべきだと思うがいかがか。

【防災危機管理監】
 県では昨年8月、東北防衛局長にたいし、文書をもって飛行ルートの詳細や訓練頻度、飛行機体数、飛行時の積載率を明確にすることや、訓練の事前通報について要請するとともに、9月には知事が直接東北防衛局長に対して、国においてオスプレイの安全性の検証を行うとともに、県民の不安払しょくに努めるよう要請した。
 今回、オレンジルートにおける訓練については、本県に対しても防衛省から事前に連絡がなされているところだが、本県に関わると思われるグリーンルートにおける訓練においても、同様に連絡があった場合は、速やかに市町村に連絡する等、情報の共有を図るとともに、騒音や低空飛行等の苦情があった場合には、東北防衛局を通じ米軍に申し入れていきたい。

【斉藤委員】
 連絡があった場合ではいけない。連絡がないように。岩手県内は2度も米軍機が墜落事故を起こしている。こういう岩手上空では危険な低空飛行訓練をさせないということでぜひ知事を先頭に取り組んでいただきたい。

・旧盛岡短大跡地の利活用の問題について

【斉藤委員】
 地元で2月18日に、旧盛岡短大跡地利用促進期成同盟会が設立された。私と福井せいじ議員と軽石議員、地元に3人も県議がおり、私たちも市会議員も顧問になっている。ぜひ残された貴重な用地・施設を地域のために活用してほしいということになったが承知しているか。
 地元の要望に応えて、県も市と連携しながら時間をかけてこの問題は対応していただきたいと思うがいかがか。
 今の老朽化の状況、維持管理費、利用状況はどうなっているか。

【管理課長】
 期成同盟会だが、盛岡市から情報収集したところ、旧盛岡短大跡地が城南地区の地域住民活動の拠点として、将来にわたり貴重な財産であることから、公共施設を中心とした地域の安全・安心な住みよい町の拠点として有効に活用できるように整備・促進を図ることを目的とし、今年2月中旬に城南地区の各町内会長を主な構成員として設立されたものと承知している。
 県が公用として利用する予定のない資産については、地域振興の観点から、地元市町村における有効活用等も踏まえ、十分な協議を進めていきたい。
 現在県による公共的な利用の可能性が生じていないかということについては、改めて各部局に希望調査を行っている。今後その結果や、盛岡市の意向もうかがいながら、25年度において引き続き検討を進めていく予定である。
 校舎の老朽化については、本館については昭和44年、別館については昭和54年、図書館は平成3年にそれぞれ建築されており、特に本館については、建築から40年以上経過し、雨漏り等がひどく施設の老朽化も年々顕著になっている。建物の維持管理については、警備の業務委託および構内の樹木選定業務委託等で年間80万円ほどかかっているところだが、今後施設の老朽化に伴い、維持管理等の経費の増加も見込まれている。現在、建物については、県の行政文書等の保管庫として活用されているほか、県体育協会が体操競技の練習場に利用しているほか、県社協等が被災地支援物資の一時保管場所として、グラウンドについては、盛岡第二高校がテニス部の練習場として利用している。