2013年3月12日 予算特別委員会
秘書広報室に対する質疑(大要)


・知事の県政懇談会について

【斉藤委員】
 知事が今年度行った県政懇談会の内容について、どういうテーマで、どういう方々と、どういう形で懇談されたか。
 その県政懇談会で出された要望・提言にはどのように対応されてきたか。

【広聴広報課総括課長】
 復興をテーマとし、現在の状況、今後の取り組みなどについてうかがい、復興に向かって一体となって取り組む意識を醸成する機会として開催した。
 沿岸12市町村において開催した県政懇談会では、被災された方々、生業の再生に取り組んでいる方々、支援しているボランティアの方々などを対象とし、1会場で4名ないし5名、計51名の方々にお集まりいただき、これまでの取り組みや今後に向けての思いなどをお聞きした。
 昨年11月からは、被災地の高校生を対象にし、大船渡・宮古・釜石・久慈の4地区において、高校を会場に、1会場6〜8名、計27名の高校生から、学校生活の様子や今後の岩手に望むことなどをお聞きし意見交換している。
 これまでの懇談会においては、「高台移転候補地が決められず、町づくりの全体像や、いつ決まるかなど情報が入ってこない」「被災地の今後がよく分からず、これからを判断できない」「仮設住宅に住み、外に出ない高齢者などが心配」「雇用の場を確保してほしい」「震災を風化させないための情報発信が必要」といった意見が出されている。これらの意見については、社会資本の復旧・復興ロードマップの作成や、被災者向け情報発信の実施、生活支援としての住宅巡回や心のケアなどの相談の充実、事業主の再建支援、企業誘致、県内外への広報への取り組みなどにつながっていると考えている。

【斉藤委員】
 県政懇談会については、昨年の決算でも取り上げた。ワンパターンである。4〜5人を選んで、わずか1時間程度の懇談で、それで聞いたという感じで。
 これだけ戦後最大の大災害でさまざま実態や要望があるときに、従来からやっているようなパターンでいいのかと。やはり最前線で頑張っている首長とのじっくりした懇談が必要である。もう1つは、県の側から対象を限定してやるのではなく、直に話したい、訴えたいという方々にも門戸を開放して、そういうものも毎回とは言わないが一般の庶民・被災者などから率直に意見を聞くことがなぜできないのか。

【秘書広報室長】
 県政への提言については、どなたからでも意見を出していただけるように、ホームページ上や文書や電話・FAXなど通常受け付けている。それに加え、知事が行う県政懇談会については、ただ今は復興というのが大事であるので、そこを進めていく、あるいは県民と一緒に復興に取り組んでいこうという意識を醸成するということがとても大事だということで、今はそういうことをテーマに開催させていただいているところなので、その点については、一般の方々が提言できるものは他の手段としても確保されているところである。いまは復興に向けて頑張っていこうということで、そこを中心テーマにして知事に出席いただく県政懇談会はそういう形で開催させていただいている。

【斉藤委員】
 あなた方が復興のテーマで特別に人を選んでやっているというが、中身は4〜5人でたった1時間である。懇談会をやったというだけである。本当にやるのだったら、ワンパターンのやり方ではなく、意見があるならインターネットなどという発想ではなく、知事が直接一般の県民や被災者からなぜ意見を聞けないのか。直接聞けばいいではないか。生の声を。

【秘書広報室長】
 生の声を直接お聞きする機会として県政懇談会をしているが、知事の日程などもあるので、長時間やることもできないので、私どものところとしては、知事の日程や効果的な懇談になるようにということで、地域において活動されている方々の中から選ばせていただいているというところである。

【斉藤委員】
 復興というのだったら、なぜ最前線で頑張っている被災地の首長と懇談しないのか。
 先ほど、10回・10〜15分会ったという話があったが、知事による被災地現地視察等の実績という資料をいただいた。首長と会ったなんて1つもない。いつ、どこで、誰と会ったか示していただきたい。

【秘書広報室長】
 お示しした資料は、知事が被災地に行った一連の行動日誌から抽出したものである。知事は、被災地で首長などと県政懇談会やそれぞれの行事で行った際にお会いする機会もあるわけだが、その資料には会ったとかというところはなく、知事の行動のみである。先ほど答弁したのは、そういう機会のみではなく、知事が直接首長とお会いしていることがあるという意味でお答えしたものである。

【斉藤委員】
 10回会ったというのだったら、いつ、誰と、何分会ったのか。私が聞いている範囲では「知事に会ったことがない」と言っている。「知事は本当に心を寄せているのか」と言っている首長もいる。
 会っているというのだったら、リアリズムでここで答えていただきたい。

【秘書広報室長】
 お会いしているのは私どもが把握している範囲でお答えした。相手方もあるので、どなたとお会いしたかということは答弁を控えさせていただきたい。

【斉藤委員】
 明らかにされて困る首長は誰もいない。公職なのだから、私人と会っているわけではない。なぜ明らかにできないのか。本当に会っているのか。
 私が聞いているのは、首相が来たときに一緒に来る、そのときに顔を合わせる程度だと。そういうのが10分15分のものではないか。それは懇談とは言わない。10回会っているというのだったら示していただきたい。

【秘書広報室長】
 先ほど10回と言ったのは、被災地に行ったときに、ちょっと同席する形でお会いしたということではないものをカウントしている。
 知事は、被災地に心を寄せていないのではないかということだが、私としては、復興のことを一生懸命やっておられるし、政策懇談のようなところは、復興局だとか振興局で詰めるということで、1対1というと、1市町村のために知事がああするこうするではなく、復興を進めるためには、岩手県として他の地域の皆さんの首長の意見も聞くということも必要なので、それらの調整は担当がきちんとやった上で、最終的にどういう方向で望むかという風なところは、知事にあげて協議したりしながら首長たちのそれぞれの理解もいただきながら復興に取り組んでいるということで、そういう形で知事はずっとこれまでやってこられたと考えている。その点はご理解いただきたい。

【斉藤委員】
 弁解しているが答弁になっていない。
 私は知事が頑張っていないなどと思っていない。知事は頑張っている。ただ頑張り方が残念ながら不十分だと。戦後最大の大災害で一番苦労しているのは首長である。そして、国のどこに壁があるのか、県のどこに壁があるのか、一番感じているのは首長である。だから私もしょっちゅう沿岸に行き聞いてくる。
 公職の首長に10回会っているというのだったら、なぜ明らかにできないのか。

【秘書広報室長】
 首長としてお会いしたのは、山田町長・釜石市長・岩泉町長・金ヶ崎町長・葛巻町長・滝沢村長である。これらの方々と10回お会いしている。

【斉藤委員】
 何月何日に何分、どういうテーマで会ったのか。大事な問題である。知事のトップマネジメントの中心中の中心の問題である。

【秘書広報室長】
 複数回お会いしている首長もいるので、回数は10回ということである。それぞれ10〜15分ということである。
 中身については、すべて1対1でお会いしているので、どういうことを話されたのかということは承知していない。

【斉藤委員】
 10〜15分というのはあいさつ程度である。私も昨日皆さんと一緒に大槌町に行き、少し早めに行き、町長とお会いしてきた。10〜15分のあいさつ程度である。そういうのは、復興を進めるために「会った」とは言わない。激励して、お見舞い申し上げてきたと。
 本当にこれだけの大災害でみんな苦しくて困っているときに、何で困っているのか、県や国への要望は何なのか、どこが障害なのか、しっかり聞いてトップマネジメントに生かすべきではないか。

【秘書広報室長】
 1対1でお会いする前には、事務方としても調整をしているところである。それで最終的にどういう形でお話されるかというのは、お会いしたお二人の間であるので、詳細については把握していないが、あいさつ程度ということではなく、やはりその前に日程を調整しているので、その際に何を話されるのかというのは、それぞれの長を補佐する組織のところがテーマを決めたりして調整した上でお会いしているものと承知している。

【斉藤委員】
 10分15分会って、あなた方のところには記録もないと。何を話したのか分からないと。それだけ重要なことで会っているのだったら、その記録を出してほしい。

【秘書広報室長】
 記録はとっていないのでお出しすることはできない。

【斉藤委員】
 記録がないような会い方が重要な会い方なのか。そういうのをあいさつ程度と言うのではないか。それとも他の部局にあるのか。

【秘書広報室長】
 1対1でお会いした記録はない。

【斉藤委員】
 記録がなかったなら会ったということにならない。
 これは知事を追い詰めるために言っているのではなく、知事のトップマネジメントの中身が問われていると。私も知事も苦労している、第一線で頑張っていると思う。しかし、これだけの大災害のときに、被災地の首長と心を一つに、やはり頑張ってほしいと思う。そういうトップマネジメントを支える秘書広報室がしっかりやらなかったらダメだと思う。

【秘書広報室長】
 知事は被災地の首長と心を一つにして復興に向かっていくという気持ちを十分に持っており、そのために必要なことは、部下の職員を使ったりしながらきちんとやっていると承知している。

【斉藤委員】
 室長はトップマネジメントを支える発送が弱い。被災地の首長も、知事が頑張っていないなどと思っていない。しかし直接話す場がないと。これだけの大災害のときに、そういうのを心一つとは言わない。だから心一つにやってほしいと提案している。


・県政懇談会でNPO法人「大雪りばあねっと」の代表と会っていた問題について

【斉藤委員】
 平成23年6月15日に、知事の県政懇談会で代表の岡田氏を招いた経緯、誰の推薦だったのか。

【秘書広報室長】
 経緯については、平成23年6月15日に、宮古地区の合同庁舎において、知事と被災地の復興に取り組んでいる方々との意見交換会を開催した。その際に3名の方に集まっていただいているが、そのうちの1人として岡田氏にも参加していただいている。
 この意見交換会は、東日本大震災津波発災直後から、被災地各地で復旧復興に向けてさまざまな取り組み・活動が行われていた。その中で、中心となって活動している方々だとか、団体の代表者などの方々に知事が直接お会いして、被災地の生の声を聞かせていただくという趣旨で開催したものである。
 メンバーの人選については、被災地の現場をよく知っているということもあり、沿岸広域振興局からも推薦をいただくことにより、3人のメンバーについては秘書広報室で選定したものである。

【斉藤委員】
 このNPOについては、23年5月2日の段階で、県社協の専務、県の地域福祉課長、全国共同募金会の方が連日、「行っているボランティアから県社協に抗議がきた。ボランティアとトラブルを起こし、買ってはならないものを社協に請求している。これはボランティアにあるまじき団体だ。北海道に帰ってもらった方がいい」と、町長に直訴した。このときが一番のターニングポイントだと思っている。ところが残念ながら山田町長はそれを無視して、事業をどんどんつぎ込んでいった。まともなNPOやボランティア団体が行けなくなってしまった。
 そういうときに、知事がこういう代表と会ったということは、いまやあのNPOがどういう団体かというのは周知の事実なので、これは問題だったのではないか。

【秘書広報室長】
 当時は被災から3ヶ月程度であり、現場はまだいろんな問題があって混乱している状況だった。そうした中で被災地では、復興復旧に向けてさまざまな方々が支援の取り組みなどを実施されている。そのような状況の中から、沿岸広域振興局からは、「大雪りばあねっと」は山田町の復旧復興に取り組んで遺体捜索などにも貢献している旨の情報提供があり、それらをもとに私どものところで選定した。
 同NPO法人の緊急雇用事業を活用した取り組みについては、その時点では私ども承知してはおらず、当時知り得る情報の範囲内で人選をして知事にお会いいただいたということであり、その当時の判断としては、特段問題はなかったと、その時点では考えている。

【斉藤委員】
 その当時の判断としてやむを得なかったと。しかしこれだけ大問題になり、4億3000万円の事業だって不正がある、今年度はおそらく半分以上不正ではないか。6月15日の時点で知事が会ったということは、その団体にお墨付きを与えたということに客観的にはなる。この結果責任についてどのように受け止めているのか。結果的に重大なミスだったと。NPOの実態を把握してやったのか。旭川の登録で、岡田代表の実態も確認しないでやったのか。広域振興局長の推薦か。

【秘書広報室長】
 広域振興局の事務レベルで情報提供をお願いし、事務レベルで上がってきたというところであり、私どもとしては、特別にNPOの調査はしていない。
 お墨付きを与えたということだが、現地で復旧復興に取り組んでいる方々から現場で生の声を聞くという趣旨で開催した意見交換会であり、その時点で得られた情報で判断しているところであり、そのような問題はなかったと思っている。

【斉藤委員】
 これだけ重大な問題になって県のチェック体制が問われているときに、何の反省もない。
 5月2日の時点でいろんなボランティア団体とトラブルを起こし、県の社協の専務などが直々に山田町長に直訴しなければならない状況が事実としてあったのである。NPOも代表も確認しなかった。結果としては、これだけ重大な問題を引き起こした。会ったことが問題だったと思う。この結果責任についてどのように認識しているか。

【秘書広報室長】
 会ったことがその後のこのような状況になったかということだが、私としてはそうは感じておらず、お会いしたときには、その活動に着目して振興局から推薦もあり、直接生の声をお聞きする相手と選定させていただいた。
 その後については、いろんな状況があったと承知しており、そのところは検証がなされていると思う。
 社協がつかんだ情報については、3月1日の議会での答弁でもあったが、知事に報告するとか情報を共有するという考え方はなかったと答弁していたと記憶しており、その情報は共有されていなかったということであり、会ったことがどうだったかと言われると、お会いしていただき、声を聞いていただいたということは必要だったと思っている。

【斉藤委員】
 まったく反省もない、教訓もない。私は意見交換会の汚点だと思う。知事がNPOの代表と会ったというのは。10億円を超えるような雇用基金事業を不正に使った人である。ここからどういう教訓を学ぼうとしているのか。まったく問題なかったというのか。ここからしっかり教訓を導いてやらなければならない。
 本来県はチェックしなければならなかった。雇用基金事業にしても、建築確認申請にしても、ボランティア活動にしても。そういうチェックがされず、結果は知事が会うということまでやってしまった。ここからどういう教訓を引き出そうとしているか。

【秘書広報室長】
 当時は、それぞれの分野で大きな課題がたくさん複層しており、担当の事業を一生懸命やるというところで、それぞれが追われて、振興局もそうだったと思うし、市町村においてもそのような対応をしてこられたのではないかと思っている。
 1年以上経って結果がうまくなかったと、このような結果になったことについては非常に残念だと思っているが、その時点で私どもが現場の声を聞いていただきたいと思い情報を集めて人選してお会いいただいたことについては、お会いいただく相手としてその時点では特段問題がなかったと思っているが、その後さまざまな問題が生じてきたというところについては非常に残念だと思っている。

【斉藤委員】
 23年6月15日の段階でNPOの実態を把握できなかったというのは事実だと思う。しかし結果として、これだけ復興の中で逆行するような事態を招いたNPO、そういう人と知事があの大事な局面で会ったということを重要な教訓として今後生かしていただきたい。しっかり検証し、知事の県政懇談会で大事な人と会わないでこういう人と会ってしまったということではいけない。そこの教訓をしっかり検証し深めていただきたい。

【秘書広報室長】
 ご指摘も踏まえ、知事にお会いいただく方については、今後十分に調査した上で決定させていただきたい。