2013年3月12日 予算特別委員会
人事委員会に対する質疑(大要)


・県職員の退職金の大幅削減について

【斉藤委員】
 人事委員会の意見、審議内容についてお聞きしたい。この退職金の引き下げについて、人事委員会は意見を求められ、「適当なものと認められる」という意見を出している。国家公務員の退職金の引き下げが、衆議院解散のどさくさまぎれでわずか1日、まともな審議もなく決められた。同時に、県職員にとって大幅な削減となること、県職員の生活への影響、地域経済への影響、これらを人事委員会で具体的にどう審議され、先ほどのような意見になったのか。
 幹部職員の特例減額については、「本県の財政事情等諸般の情勢に鑑み行う特例措置であり、やむを得ないと考える」「早期に勧告に基づく給与水準が確保されるように望む」という意見だった。これは、早期に改善せよという趣旨か。
 東日本大震災津波の救援・復興に本当に県職員は献身的に取り組んでいるが、賃下げ・退職金の引き下げは冷や水を浴びせるものではないか。例えば、この退職金は2年間で、県庁一般職員の場合400万3000円、教育公務員の場合421万2000円、警察官の場合405万3000円である。県職員の平均年収はいくらなのか。どれほどの削減になるか。

【職員課総括課長】
 人事委員会の議論については、今回の条例案に対する意見としては、退職手当の引き下げについては、官民均等を図る観点から実施された国の引き下げに準じて行われるということで、適当なものと考えるということで意見した。実際に委員会の議論の中では、およそ1時間半くらいの時間だったと記憶しているが、2回にわたる委員会で議論し、そういった議論の中で、委員の中からは、今回の退職手当の額を引き下げることに関しては、民間給与の退職給付と単純に比較していえるのかという意見があった一方で、民間企業の状況からして、今回の引き下げは均衡上やむを得ないというのもあり、また官民均衡を図った方がよいという意見もあった。
 退職手当の引き下げについて、経過措置について意見を申し上げるところだが、経過措置に関しては、その段階的な引き下げ措置が職員の退職時期と整合していないといった意見が委員からあり、職員の退職が集中する3月に合わせたものではないということがあった。また職員に与える影響も大きいことに配慮すべきという意見もあったところである。一方では、国や他の都道府県の動向等を考慮するとやむを得ないのではないかという意見もあった。結論としては、今般の条例に対する意見の内容となったものである。
 今回の特別給の引き下げによる年収の影響額だが、試算すると、年間で見ると平均で2万円ほどの減額となる。これはあくまで勧告の際に試算した数字であり、改定前、平均年収が595万9000円(42.9歳・行政職)が今回の特別給の引き下げにより、593万9000円という計算になる。

【斉藤委員】
 400万円削減されるということは、10ヶ月分ぐらいの月給の削減額になるのではないか。
 官民格差というが、今までこの格差が形骸化されてきた。以前は500人以上の企業が対象だったが、今は50人以上である。この比較が不当だと。例えば、電力会社が今電気料金を値上げして、電力会社の社員も給料を下げると。比較は1000人以上の大企業である。それで690万円を660万円に下げたと。これでは話にならないと思う。
 この間一貫して、県職員の賃金が下がったために、民間も賃金を下げるという悪循環が起きた。結果、平成13年から10年間で雇用者報酬は県内で3979億円も減った。公務員が下げる、民間が下げる、この悪循環で岩手の地域経済はそれだけ大変になった。
 いま安倍政権がデフレ脱却というのなら、一番は賃金を上げることである。そういう意味でも、いろんな角度から見て、一方的に公務員の賃下げ、退職金の大幅引き下げというのは、公務員の生活という点でも、地域経済・デフレ脱却という点でも逆行するものである。