2013年3月13日 予算特別委員会
環境生活部に対する質疑(大要)


・ごみの広域処理問題と焼却施設の整備について

【斉藤委員】

 岩手県ごみ処理広域化計画というのは、ダイオキシン問題が出たときに、平成11年3月にドタバタで県内の広域に焼却施設を一本化すると決められた経過があった。それから十数年が経過し、県北地域と県南地域で計画の見直しが求められているのではないかという立場でお聞きする。
 県南地区における広域処理計画の状況、焼却施設の整備の状況はどうなっているか。

【資源循環推進課総括課長】
 県南ブロックの奥州市・一関市等4市町村は、平成15年に県南地区ごみ処理広域化検討協議会を設立し、ごみ処理施設の集約に向けた検討を進めてきたところである。協議会の専門部会において、広域化検討にかかる基本調査を現在実施中であり、近々その結果報告書が取りまとめられると聞いている。県南ブロックでは、この報告書の内容を踏まえ、さらに今後検討を進めていくと聞いている。

【斉藤委員】
 いま放射能汚染問題で、特に県南はこの処理が求められている。特に一関市の場合は、大東に新しい施設、これは農林系のものも混焼されているが、残念ながら一関市の施設は古く、改修はしたものの混焼もできないと。これは早く整備すべきではないか。無理に一本化ということではなく、大規模改造についても国の交付金対象になるということもあるので、そういう形で見直しすべきだと思うが、現地でどういう議論がされているか。県はどのように受け止めているか。

【資源循環推進課総括課長】
 一関清掃センターは非常に古い施設である。ごみ処理広域化計画では、当初の計画では、平成29年までに県南ブロックのごみ焼却施設を統合するという計画だったが、こうした古い施設も現実にまだ残っている。そうした中で、県南ブロックでは、原発事故にともなう放射性物質汚染が発生し、新たに焼却施設等を整備する場合にも、現実の問題として影響が生じかねない状況が生じているというところで、そういった社会的な大きな変化というのを勘案し、ごみ処理広域化計画の見直しといったものも視野に入れながら、関係市町村と現在協議を進めている。

【斉藤委員】
 一関市で新たに更新するにしても、すぐできるわけではないので、急いでぜひ現地と協議を進めてほしい。
 県北地域についてもお聞きするが、これは地元の議会でも自治体間でもかなり議論され、一番ネックになっていたのは、それぞれの施設で焼却施設を改造するなり更新するなりときには、交付金の対象にならない、補助の対象にならないということがネックになり、統合しなければならないという議論だった。ところがそうではなくなったと。だったら、自分たちの地域で、大規模改造なり長寿命化でやる方がいいのではないか。そういう議論にいま地元ではなっていると聞いているが、この間の経過、今後の見通しをどう受け止めているか。

【資源循環推進課総括課長】
 県北ブロックの久慈市・二戸市等8市町村だが、平成22年に岩手北部広域環境組合という組合を設立し、九戸村内にごみ焼却施設を統合しようという形で、国に対して、循環型社会形成推進地域計画、これは交付金を受けるために提出しなければならないものだが、これを提出し、すでにこの交付金を受け、環境影響評価等の事業を行っている。まさに現在ごみ処理施設の集約に向けた業務を進めていたところである。
 ごみ処理広域化計画と交付金制度等の関係だが、かつて平成17年度以前、国庫補助を受けるために提出する整備計画書があったが、それについては、ごみ処理広域化計画と十分に整合を図るようにと明記されていた。それが平成17年に、補助金制度から交付金制度に変わった際に、そうした記述がなくなってしまったと。そのことを受けて広域化計画と整合を図らなくてもいいのではないかという意見もあるようだが、国からは県に対し、いずれ国としては、ごみ処理広域化計画と交付金事業を申請するにあたり、必要となる地域計画については、整合を図るようにという指示がきているという状況である。
 いま岩手北部広域環境組合あるいは関係市町村では、そういった通知もあったわけだが、現在一部組合の関係施設では、施設の長寿命化も考慮する必要があるのではないかという意見もあるようであり、ごみ処理施設を統合した場合と、現行通り久慈・二戸地区にそれぞれ存続させた場合とのごみ処理コストの比較検討が行われたと聞いている。県としては、先ほど申し上げた通り、循環型社会形成推進地域計画とごみ処理広域化計画との整合は図る必要があると認識しており、ごみ処理広域化計画、特に県北地区については、過去私ども検討した中で、やはりこれを進めていただいた方がいいのではないかと考えているが、最近組合の方でいろいろ比較検討されたという新聞報道もあったので、そうした比較検討結果が提供された場合には、それを背景にして、必要な助言を行いたい。

【斉藤委員】
 地元の市町村が困っているのは、平成22年12月10日の環境省告示で、長寿命化の考え方が打ち出され、これに必要な交付金制度が整備された。長寿命化でも交付金対象になると。この時点であなた方は丁寧に説明すべきだった。久慈市にしても一戸町にしてもだいたいそういう認識である。そういう意味でいくと、平成11年3月にドタバタと県内広域を決めて、あの決め方自身が性急なものだった。それが10年以上もそれに縛られていたことがおかしいと思うが、国の方針もやっと長寿命化を含めて変わってきたわけなので。県は平成22年10月の環境省告示について丁寧に説明したのか。

【資源循環推進課総括課長】
 従前の国の補助要綱あるいは交付金制度に変わるとか、やはり毎年のように改正等があり、その都度市町村に対しては内容について通知等している。またその中で、長寿命化というのは大きなものだったので、これについても担当者の会議等で説明している。

【斉藤委員】
 丁寧に説明したのか。そういう認識がなかったと思う。この経過を聞いてみると。いろいろ国会に問い合わせしてそのようになっているということが明らかになり、うちの議員団がそういう調査もして、認識が変わってきたというのが率直なところで、県から説明されたのではない。いつ、どういう形で説明したのか。

【資源循環推進課総括課長】
 大きな制度が変わったときというのは、いずれきちんと説明することになる。それ以前は、非常に、ややもすると短い期間で建て替えがなされるようなところもあったが、やはり非常に高額な施設であり、何とか長寿命化をやり、さらに10年15年延ばそうというのはかなり大きな流れ、転換点だったので、そういう大きな転換点だという説明は、当時おそらくしただろうと思っている。


・再生可能エネルギーの爆発的な活用について

【斉藤委員】
 葛巻町をフィールドにした自給自足モデルの調査事業、これは今年度の補正でやられ、年度末までにまとめると。だいたい概要がまとまっていると思うので、この調査事業の結果はどうなっているか。

【温暖化・エネルギー対策課長】
 昨年8月から地元の葛巻町役場や学識経験者などで構成する岩手県自立分散型エネルギー推進協議会を設置し調査を進めてきている。この中では、役場や病院などの防災拠点を含む一定のエリアにおいて、太陽光やバイオマス、蓄電池などを活用した災害にも対応できるエネルギーの自給自足のためのモデル構想づくりを進めてきている。
 具体的な内容については、災害時に必要なエネルギー量の算定、その結果を踏まえた再生可能エネルギーの種類なり規模の設定、さらには施設の配置や概算の事業費、地域のバイオマスの供給力などを調査し、取りまとめをしている。
 このようなエネルギーの自給自足に向けては、いろんな課題もある。1つには、自前の送電網が必要となること、地域内での自給調整機能の確立、電力供給にかかる法規制などの技術的制度的課題もある。これらの課題を踏まえた構想としたいということで、鋭意取りまとめをしている。

【斉藤委員】
 葛巻町の再生可能エネルギーの活用策は先駆的なもので、風力発電を柱にしながら、多様な地元の資源を活用した再生可能エネルギーの活用というので、1つの岩手のモデルというよりも、日本のモデルになるのではないか。震災後、そういう形でかなり注目があり、視察も増えている。本当にこれを大事にして、自給自足モデルと同時に、観光資源にもなるので、ぜひしっかりしたものをまとめて県内に普及できるようにしていただきたい。
 再生可能エネルギーの導入計画について、16万8000kwの開発計画が出されていると。ぜひ家庭用の太陽光発電も含めて、この内訳を示していただきたい。それから、再生可能エネルギーの長期的な温暖化対策実行計画では、計画を出した。この計画から見て進捗状況はどうか。

【温暖化・エネルギー対策課長】
 内訳だが、23年度以降の発電能力ベースで取りまとめた結果だが、太陽光では、メガソーラーの18ヶ所で45800kw、住宅や事業所などでの導入も合わせ72000kwである。風力では、計画が進んでいる2ヶ所で45300kw、事業化に向けた動きがありそれらを加えると約82000kwである。水力については4ヶ所で約1700kw。地熱では、1ヶ所で約7000kw。バイオマスについては、1ヶ所で約6000kwということを見込んでいる。
 これらについては、温暖化実行計画においては、平成32年度を目標として数値を定めているが、それでいくと、24.9%の達成率となっている。

【斉藤委員】
 北海道に次いでおそらく岩手県は全国2番目の再生可能エネルギーの潜在量を持っていると思う。それはもう岩手県民全体が使う電力量の2.5倍だったと思うが、この点で岩手は先進県になるべきである。
 この再生可能エネルギーは、地産地消の精神で、地元の業者・自治体・住民主体の開発にすべきである。16万8000kwの導入計画の中で、県内事業者、県内による開発はどのぐらいか。また現時点での雇用効果はどう見込んでいるか。

【温暖化・エネルギー対策課長】
 県内事業者などによるものについては、ざっくり言って約5割である。内訳は、太陽光・メガソーラー関係では7ヶ所・11.2メガくらいを見込んでいる。住宅用関係については全て県内ということになっている。風力は、企業局の25300kwも県内事業者分に換算しており、地熱発電の7メガ、水力発電の1.7メガ、バイオマスの6メガも県内という形である。
 雇用効果だが、定量的な形での把握はしていないが、再生可能エネルギーの導入が進むことにより、やはり最初には地元業者の設置工事関係での雇用効果がある。また、施設の設置の後の維持管理業務についても、いろんな派生する業務が出てくるだろうと考えている。こうした中で、地域に雇用効果が出てくるものと期待している。