2013年3月13日 予算特別委員会
警察本部に対する質疑(大要)
・被災地における安全対策について
【斉藤委員】
全国から130人が特別出向で応援に来て沿岸被災地に配置されている。被災地における各種犯罪・トラブル・交通事故等、安全安心の取り組みはどうなっているか。
【生活安全部長】
被災地を管轄する大船渡・釜石・宮古・岩泉・久慈警察署管内の平成24年中の刑法犯認知件数は935件であり、前年比127件増加しているが、震災前の平成22年比で90件の減少となっており、被災地によっては一定の治安が保たれていると考えている。
しかしながら一方で、被災地の復旧・復興に乗じた犯罪も見られ、震災後これまでいくつか例として、暴力団組員による仮設住宅建設現場に作業員を派遣した労働者派遣法違反、無許可業者による不法投棄事件、暴力団員による被災者向けの緊急小口資金を詐取した詐欺事件、24年には被災者を対象としたヤミ金融による出資法違反事件、被災業者によるワカメの産地偽装等の事件を検挙している。今年に入っても、仮設住宅の建設公認権利というものを販売するという名目の特殊詐欺事件も発生して捜査しているところである。
また被災地におけるトラブルとして、隣家の音がうるさいといった騒音苦情、駐車場に停めていた車を傷つけられたという損壊事件、近隣関係のトラブルに関する相談等が寄せられているところである。
こうしたことに対して県警察として、引き続き被災地の安全安心の確保のために、悪質は犯罪を徹底して検挙していくということとともに、仮設住宅に対する訪問活動、防犯座談会や防犯教室の開催、防犯ボランティア団体との合同パトロール、特殊詐欺被害防止のための広報啓発活動といったことを強化するなど、地域の実情に即した犯罪防止対策を強力に推進していきたい。
【交通部長】
平成24年中の沿岸5警察署管内における交通事故の発生状況について。発生件数は431件、死者16名、負傷者数556人となっており、発生件数・負傷者数は減少しているが、死者は3人増となっている。また交通関係のトラブルというものについては承知していない。
交通事故防止対策だが、被災地においては、復旧・復興関連査業の増加により、交通環境・交通流量の変化などにともない、交通事故の発生が懸念されるというところであるので、警察としては引き続き関係機関・団体・交通ボランティアと連携し、通学路や交通量の多い道路における交通監視活動、仮設住宅や高齢者宅を訪問しての広報啓発活動、主幹道路を中心としたパトカーによる警戒活動などを行っていきたいと思っている。
【斉藤委員】
来年度は70人の全国からの応援も受けるということなので、引き続き被災地の安全安心に全力をあげていただきたい。
・警察に寄せられた子どもたちのいじめ・体罰の相談について
【斉藤委員】
相談の状況、解決、処理の状況を示していただきたい。
【生活安全部長】
いじめに関する相談だが、平成24年中は15件を受理している。前年対比で37件減少しているが、実は昨年から統計のとり方の中で、同一人物からの継続的な相談は1件としてとらえているので、一概に前年との比較はできない。いじめ相談への対応だが、警察としては、教育上の配慮の観点から、一義的に教育現場における対応を尊重するということになるが、一方で触法行為を含む犯罪行為がある場合には、被害少年や保護者等の意向や学校における対応状況等を踏まえながら、警察として必要な対応をとることとしている。これら受理した相談については、個別に相談内容を検討の上で、学校等と情報共有をしながら連携し対応している。
体罰の関係だが、少年相談の中では、学校等における体罰としての分類はないが、24年中の対教師問題という形で受理した相談が9件ある。うち、体罰としてとらえられるものは2件あり、個別のケースごとに相談内容を検討の上、学校等との連携により必要な対応をとっている。また、学校における教員による有形力の行使等の違法行為については警察として必要な捜査を行うこととしている。
【斉藤委員】
いじめ・体罰は一義的には教育現場でというのは大事だと思う。同時に、いじめの対応によっては、犯罪行為が関わる人権侵害・暴力行為という実態もあるので、よく連携して取り組んでいただきたい。
・警察官の不祥事について
【斉藤委員】
この5年間で18件の懲戒処分があったと。これ自身大変なことだと思うが、その中で看過できない問題がある。
昨年11月28日付で停職6ヶ月の処分がされた30代男性警部補の処分理由は何か。なぜ公表されなかったのか。
【首席監察官】
処分の理由については、平成21年および23年に、盛岡市内において、それぞれ別の助成にたいし、セクハラ行為をしたり、あるいは警部補という幹部として不見識な行状をしたというものである。
公表の件については、人事院の「懲戒処分の公表指針について」と、警察庁の「懲戒処分の発表の指針」があるが、これに示す「被害者その他関係者のプライバシーその他、権利・権益を保護するためやむを得ない場合は発表を行わない」ということがあり、これに当たるものと判断して公表を差し控えたものである。
【斉藤委員】
この警察官によるセクハラ等の事件だが、処分は停職6ヶ月と。懲戒免職の次に重いきわめて重大な事案である。
18件の中身を見たが、例えば、私的外部記録媒体の警察情報を保存する等の情報セキュリティー違反事案、これは停職1か月。この方は依願退職している。知人女性の名誉棄損および不適切な異性交際事案、これも停職3ヶ月で依願退職。知人女性に対する障害事案、科料1ヶ月、これはわずか減給だった。これらと比べても、停職6ヶ月の事件というのは、きわめて重大なものだったのではないか。
これは警察内部での被害者がいるのではないか。被害の実態を把握しているか。そのことにより辞めざるを得なくなっている女性の警察官もいるのではないか。
【首席監察官】
本事案の詳細については、被害関係者の保護の観点から特段の配慮が必要だと判断したものであり、被害者の女性が警察職員だったか否かも含めて公表を差し控えたものであるのでご理解いただきたい。
【斉藤委員】
停職6ヶ月というのはきわめて重大なものだと思う。間違ってセクハラしたなどという事案ではない。かなりの被害者が県警本部内にも出ている事案ではないか。
そして先ほど停職3ヶ月、停職1ヶ月の方々が依願退職されたと言ったが、この方は依願退職されたのか。
【首席監察官】
当該職員は依願退職をしていない。
【斉藤委員】
この事件はあなた方がかばっているとしか思えない。停職6ヶ月という懲戒免職に次ぐ重い処分を受けながら依願退職もしていない。
警察本部内にも被害者がいると思う。こういうのが許されていいのか。
【警察本部長】
この事案については、部内で徹底した調査を行い、事実関係を明らかにして処分したものである。依願退職はしていないが処分としては停職6ヶ月ということであり、その先に処分については本人の意向が反映されるものであるので、県警の処分として停職6ヶ月ということである。
【斉藤委員】
警察内部から被害届は出なかったか。その被害届が取り下げられたということはないか。
【首席監察官】
そのような事実はない。
【斉藤委員】
真相はよく分からないが、新聞報道では、別々の女性にセクハラ行為をしたと。これが単なるセクハラなのか、強姦なのか。強姦もセクハラに入るのか。
【首席監察官】
強姦とセクハラは別だが、犯罪行為があれば、警察とすれば当然刑罰法令に触れるということで、法と証拠に基づいて厳正に対処しているのでご理解いただきたい。
【斉藤委員】
これが長期にわたり隠された、そして重い処分で、警察内部にも被害者がいると思う。厳正にしっかり対処すべきである。
2月に自殺した警察官がいるが、自殺した理由、遺書など捜査しているか。
【首席監察官】
2月に自殺した事実はあるが、理由や遺書の有無等については、個人のプライバシーや死者の尊厳に関わることであるので、詳細な答弁は差し控えさせていただきたい。
【斉藤委員】
裏金作りを苦にして自殺したという可能性も否定できないのではないか。
一昨年9月17日、盛岡西署のトイレで拳銃自殺した警部補の調査について、昨年の決算でも取り上げたが、警察署の中での拳銃自殺だと。これは警察に対する抗議以外の何物でもない。新聞報道では、「今後原因を明らかにする」と当時の盛岡西署の佐藤署長がこう述べていた。この拳銃自殺の原因は何だったのか。
【首席監察官】
原因については、家族および関係者からの聴取などの結果、職務執行に起因するものではないと考えている。内容の詳細については、プライバシーの観点から答弁は差し控えさせていただきたい。
【斉藤委員】
私も亡くなった方に鞭を打つようなことは言いたくないが、ただこの事件は単なる自殺ではないということである。署内で拳銃自殺である。まさに警察の中の問題が原因だったと当然考えられる。そういうことを自ら明らかにして教訓にしていかなければならないのか。
【首席監察官】
これまで調査し尽くされたという考えでいるが、新たな情報等があれば当然調査を開始して情報の信憑性を含めて明らかにしていきたい。
【斉藤委員】
今年2月8日に酒気帯びで懲戒免職するという事件があった。一般質問でも取り上げ、公安委員長は「先ごろの警察官の酒気帯び運転事案については、県警察からの報告がなされた際には、委員の総意としてきわめて遺憾であり、県民からの信頼は喪失せしめかねない事案であることを強い危機感をもって受け止めた。非事案の発生は、職員の倫理観の欠如の表れであり―」と答弁があった。この経過はきわめて不明瞭だったと。実はこの酒気帯び事件は、2012年8月12日6時3分頃、交差点の赤信号を無視してトラックに衝突した事件である。去年の8月12日である。ところが警察は、これを酒気帯び運転としなかった。信号無視の疑いで盛岡地検に書類送検した。それを受け盛岡地検が、独自に血中アルコール濃度の調査を入院先の病院に請求し、そこから酒気帯びと発覚した。あなた方は再捜査せざるを得なかった。こういう重大な事件について、なぜ自ら酒気帯び運転というのが分からなかったのか、調査しなかったのか。
【首席監察官】
事故捜査の過程で、朝方の事故であるということで、当直長から、当然飲酒の疑いをきちんと調査するようにという現場への指示はあったが、現場に臨場した警察官、それから事故の被害者、救急搬送にあたった救急隊員等から、事故を起こした当該職員から酒臭の有無を確認したところ、正確な供述を得ることができなかったと。結果的には、酒を飲んでいた状況だったわけだが、臭いがまったくしなかったということである。
また事故を起こす前に、当該職員と接触のあった関係者からの事情聴取においても、飲酒した事実を確認することができなかったことや、収容された病院からのアルコール反応の有無について照会したところ回答が得られなかったことから、総合的に判断して検察庁に信号無視ということで送致させていただいた。
【斉藤委員】
あまりにもお粗末ではないか。信号無視の疑いで盛岡区検に書類送検して、区検が病院に血液検査の資料を請求し発覚した。照会したが出てこなかったということはないのではないか。きちんとやらなかったのではないか。
だいたいこの警察官の行動を聞けばすぐ分かるはずである。12日午前0時頃〜3時頃まで、市内のスナックで知人と2人でビール・ウィスキーを数杯飲み、その後車で休んで運転していた。行動を調べればすぐ分かる話ではないか。それを何ヶ月も隠して、これは本人も言わなかったというのは悪いが、しかしあなた方の捜査力があったらすぐ分かる話ではないか。この警察官をかばったとしか思えない。そして区険から言われて再捜査と。結果的には懲戒免職である。
この経過を見て、あまりにもお粗末だったのではないか。これでは現場で頑張っている警察官はやりきれない。もっと厳正にしっかりやるべきではないか。
【警察本部長】
事実関係だが、病院に対する捜査関係事項照会というのを警察からも出している。これについては、照会・協力が得られなかったということで、送致した後、検察庁からも捜査関係事項照会をしたが、検察庁もやはり協力が得られなかったということで、検察庁は差し押さえした、強制捜査したという経過である。それで判明したということで、検察庁も捜査関係事項照会をやったが協力が得られなかったという経過があるので、その点はご理解いただきたい。
一緒にいた人物に関しても聴取はしているが、そこでも酒を飲んだという話は出てきていないということもあり、送致をしたわけだが、検察庁とも送致した後は検察庁の捜査も入るので、そういう事実経過の中で事実が明らかになったということである。
【斉藤委員】
県警本部長が弁解だけしていてはいけない。経過を見たら、県民はなぜそんなことになったのかと思う。真実を語らなかった警察官も問題だが、これをしっかり教訓にして県民の信頼を勝ち取るようにしていただきたい。
・捜査報償費について
【斉藤委員】
そうした警察の不祥事・腐敗の根本には、やはり裏金問題、捜査報償費の問題があると思う。
来年度も2010万円の捜査報償費が県費で組まれているが、昨年度は1199万円しか使っていなかった。今年度の見込みはどうなっているか。
捜査報償費は、いわば捜査協力者に対する謝礼というが、本当に総点検すべきだと思うがいかがか。
【警務部長】
24年度は、当初予算額として2010万円余を計上しているが、こちらについては2月で139万円減額補正している。ただ最終的な執行見込みについては、年度の途中ということで確定的な話はできない。