2013年3月14日 予算特別委員会
保健福祉部に対する高田一郎県議の質疑(大要)


・介護報酬について

【高田県議】
 新規の認定者数が沿岸あるいは全県含めて増加していると。沿岸12市町村については平年ベースに戻ったということでありますが人工現象のなかで増えているということは、言えると思います。この数字をみても明らかなように保険料を払っても必要なサービスが受けられない状況になっていると、これは医療保険制度ではありえないことなのです。私はこの間この制度の見直しを求めて質問を何回かしてきましたが、とりわけ介護報酬見直しにともなう施設、あるいは在宅サービスに対する実態把握を行って要望、要求をしっかりと国に求めていくべきだということを繰り返し要望してきました。こういう対応がどうなっているのでしょうか?
 
【鈴木総括課長】
 介護報酬の見直しでございます。平成24年から平成26年の第五期介護保険計画。これに伴いまして平成24年度から介護報酬改定がございました。この改定がなされてなか1年が経過するところでありまして国では時期改定にむけまして介護報酬改定検証研究委員会などを設置いたしまして今回の改訂の効果検証。あるいは介護事業者の経営への影響などについて実態把握、分析を行うときいております。県におきましては、国の調査、分析等の動向を踏まえつつ、県内の事業者団体等のご意見、あるいは利用者からの相談等を参考に課題を把握しまして必要に応じて制度改正等について要望してまいりたいと考えております。

【高田県議】
 知事も応えは現場にあるということを繰り返していますけれども、県も現場に良く運んで実態把握をして必要な対策、提言を強く国に求めていって欲しいと思います。とにかく施設を訪問しますと介護報酬見直しに伴って経営が悪化したとか、新たな事業を展開しないとなかなか経営が大変になってるという状況をお聞きします。先ほども人材不足、介護人材不足のはなしもありましたが、国の介護保険制度あり方という点では介護としての専門職としての身分を保証することが利用者にとってもよいんだという視点がまったく無いわけですから、介護報酬をしっかりと引き上げて人材を確保する。そのために国がしっかりと国庫負担を増やすということが一番大事だと思いますのでこういったことも含めてつよく要求していって欲しいと思います。
 
 
・被災した介護施設の再建状況について
 
【高田県議】
 被災した介護施設の再建状況です。先ほど山田の老健の整備が新年度対応を行うという。その措置もされました。今、被災した介護施設の再建状況はどうなっているのか。全体の再建の見通しこれについてもお伺いします。

【鈴木総括課長】
 被災した介護施設の再建状況についてであります。特別養護老人ホームなどの入所居住系の施設につきまして、現在まで未再開となっております。7ヶ所と仮設で再開しております、1ヵ所の合計8ヶ所の被災施設が移転による本格復旧を目指しているところでございます。そのうち6ヶ所の施設につきましては昨年11月に社会福祉施設等災害復旧費補助金の国の査定を受けまして。災害査定を受けておりまして現在、復旧事業に着手しております。何とか来年度中の再建にめどがついたというところでございます。一ヶ所につきましては、医療と介護の複合施設。先ほどふれましたが山田町の老健を中心とした。医療と介護の複合施設でございますが、こらにつきましては地域医療再生基金を活用した支援により何とかこれにつきましても25年度中の完成を目指したいということでございます。目指してすすめているというところでございます。のこる一ヶ所につきましては、介護サービス施設整備等臨時特例基金を活用いたしまして、別途国庫補助を行っておりまして今年度内に工事が完了する見込みとなっております。


・被災者支援について

【高田県議】
 被災者支援についてお伺いいたします。震災から2年経過しましたけれども、長期の避難生活によって避難者の生活も本当に大変になっていると思います。山田町の特定検診調査では、要支援が56.6パーセントを占めて高血圧症疾患と糖尿病が増加していることが明らかとなっております。岩手医大による大槌町での調査では、33.9パーセントがうつ病を発生するリスクが高いこういうような指摘もされております。そこで県にお聞きしますけれども、こうした長期避難生活による被災者の生活の実態。これをどのように把握しているのでしょうか?さまざまな対応もされているとは思いますが、こうした課題への対応。いまどのような課題があるのか。それからあわせて質問をしますがみなし仮設住宅に対する、被災者への支援活動ですね。内陸部にもたくさんの被災者が避難生活を余儀なくされておりますけれども。こうした方々も含めてどういう支援活動を行っているのか具体的にお伺いいたします。

【健康国保課総括課長】
 長期の避難生活による体調の悪化への現状認識なり、対応と課題ということですが、被災地住民の健康状態につきましては、二つの調査により把握しているところであります。まずひとつは、県環境保険研究センターによる陸前高田市等沿岸6市町村の、発災前の平成22年度から平成24年度までの特定検診の結果であります。これによれば、測定された血圧の値では高血圧のものが増加している傾向にはない状況ではございますが、高圧薬これは、高血圧の薬でございますが、服用者のかたは増加しているという状況がございます。二つ目の調査でございますが、これは県から岩手医大に委託した平成23年度の被災地住民の特定検診結果の分析でございます。これによりますと、東日本大震災津波の被害の有無、被害を受けたか、受けていないか違いによります。血圧や血液検査による脂質、糖質、肝機能への大きな影響見られなかったところであるという結果でございます。
ただ被害を受けた住民は被害を受けなかった住民よりも身体活動の時間がすくなく、体重や肥満度をあらわす指数であるBMIの数値が高い傾向にあるほか男性の一日の飲酒量が多い、男女の喫煙習慣割合が高いというような結果が出ております。これらに対しまして県では、応急仮設住宅の集会所等を定期的に巡回いたしまして健康相談や栄養相談、口腔ケア活動を実施するとともに、住民の自主的な健康づくり活動を促進するための健康調理教室などを実施してきましたほか、被災市町村が実施する全戸訪問等の活動へ内陸市町村等の保健師や栄養士を派遣するなどの支援を行ってきました。また、今年におきましても肥満等による生活習慣病や運動不足による生活不活発病、独居者の食生活の偏りや飲酒量の増加などに注意する必要があるほか、復興住宅への移動など生活環境変化による健康への健康への影響が懸念されますことから被災地健康維持増進費や被災地健康相談支援事業により被災地住民の方々の健康支援に取り組んでまいりたいと考えております。
【岡村総括課長】
 みなし仮設住宅への支援活動の実態についてでありますが支援活動につきましては復興局を中心に関係部局が連携をとりまして、取り組んでいるところであります。たとえば復興局においては、被災者への情報提供窓口の設置そういった取り組みをしているところでございます。当部といたしましては社会福祉協議会に配置しております。約200名の生活]支援相談員や民生委員、みなし仮設避難者をふくめた被災者を訪問してさまざまな生活上の相談に応じ必要な福祉サービスの利用等につなげているところでございます。また、健康面にフォローといたしましては、ただいま健康管理、保健活動お話がございましたけれども保健師等が心身の状態把握に努めるとともに必要に応じ、個別の健康支援を実施。あるいは医療サービスの利用につなげているところであります。こういった訪問による相談、見守り等の支援活動のほか社会的に孤立する方が生じないように社会福祉協議会等が実施しております、いきいきふれあいサロン等の交流活動を通じまして住民同士の連携、キズナをつよめながら地域における支えあいなどこういったことにも取り組んでいるところでございます。

【高田県議】
 東日本大震災から2年が過ぎましたけれどもある程度時間が経てば、2年、3年経てば何とか見通しがつくんじゃないかと思っていた人もなかなか、復興の歩みが実感できない状況。そして復興格差がどんどんでてきて被災者の生活の実態。心の問題を含めて本当に大変な状況になっていくと思います。私はいま人材不足。まちづくりに伴う人材不足。ということが言われていますけれども被災者の皆さんの心と体のケア、健康管理をしっかり対応するということ。この人材もしっかりと確保していかなければならないと思うのですが、この点についてどう思うのか。とりわけ内陸部のみなし仮設に避難している方々、一関にもあります。ボランティアの方々も支援をしています。しかし実態は、行政の支援というのは、仮設住宅への支援はあるけれども雇用促進とかその他の民間の住宅に住んでいる方々に対する支援はほとんど無いと。情報もあまりないし、今お話した見回りとか、健康管理とかやられるのかと。いう事がボランティアの方からも指摘されるのです。私は仮設住宅に暮らしている方々も大変な状況ですが、より内陸部の民間の住宅で生活している人はさらに孤立感が強いのではないかと思うのですが、本当に内陸部の被災された人に対する支援というのは本当にやられているのですか。この事についてお伺いしたいと思います。

【藤原総括課長】
 内陸に避難している方々の健康に対する支援についてでございますが、これにつきましては、内陸の市町村で対応していただいておりまして例えば、沿岸のほうの市町村と同じ様に個別の訪問を行いましたり、または仮設住宅それからみなし仮設住宅を中心としたそういう方々に対するサロン活動を行いながら、その方々の健康相談、栄養相談行っているところでございます。
【岡村総括課長】
 いま委員のほうから一関の取り組みについてお話がございましたけれども、一関に限らず、内陸の市町村でも社会福祉協議会のほうに全部の市町村ではございませんが被災者が比較的多く避難し居住されている市では生活支援相談員配置して取り組みを進めていると。ただ市町村によっては、情報提供とか交流の場への呼びかけとかそういったことを中心にやっているところもあれば、さまざまな沿岸と内陸の方たちとの交流のイベントを組んだりかなり積極的にというところもございます。ただどうしても民間の賃貸住宅に被災者の方がみなし仮設として住んでいる場合にあんまり被災者だということを積極的にあらわさないでいらっしゃるかたもいるようですし、支援のありかたも沿岸と違って難しい部分もあると聞いております。

【高田県議】
 内陸部の避難者に対する支援も一生懸命取り組んでいるところもあると思うのですね。しかし全体として、被災者に対する支援というのは例えば一関市には2000人ぐらい避難されていますけれども、仮設住宅という点では気仙沼の方々が千厩にですね、仮設住宅を作っていますけれどもそういったところは支援の手が差し伸べられるのですが、戸々に雇用促進住宅とか民間に入っている方々はボランティアは行くのですが行政の支援がなかなかこないということが良く言われます。実態を良く調査してどんな支援が行われているのか、これをしっかり調査をして必要な対策をして頂きたいということを申し上げたいとおもいます。
 
 
・復興住宅ライフサポート事業について

【高田県議】
 次に復興住宅ライフサポート事業です。先ほどほかの方の質問の中で答弁がありましたが、新年度2億円近い予算措置をして被災者をサポートするというのがありました。これは平成25年度の建設される災害公営住宅においてモデル的に実践をしてその効果を検証するというお話でありましたけれども先ほど9市町村、というお話がありました。
 これは1自治体にしますと2000万円を超えるぐらいの予算措置になっているのですがイメージ的にどん事業がされるのかちょっと分かりませんので、もう少し具体的に説明して頂きたいと思います。

【鈴木総括課長】
 復興住宅ライフサポート事業の詳細でございます。概要のほうは先ほど岩崎委員のご質問の際にお答えしたとおりですが、もう少し詳しく申し上げますと事業内容は、ソフト事業とハード事業の二本立てで考えております。来年度復興公営住宅の着手、それから入居が始まるところが県内に9市町村ございますので、大きく3パターンで、集会所パターン、類はサポートセンター型、あるいは高齢者障害者を含む共生型福祉施設パターンの3つを考えております。いずれのパターンにしてもそこにイメージとして生活支援相談員みたいな方が、いてそこを拠点に訪問をして面倒を見たり、あるいは逆にそこに来てもらって色々な活動をしてもらったり対象者を高齢者に限らないで障害者、あるいは子供たちまで含めてというようなこと。これはいずれにしてもベース、手本にしているのが阪神淡路大震災で復興公営住宅後の高齢者の見守り活動をやっているのをベースとしまして、どのパターンでやるかは市町村に任せましてそこに必要となる支援相談員の人件費につきまして入居期間、完成から入居期間に応じて必要な経費を補助するというのがソフト部分です。ハード部分につきましては復興公営住宅と同じ。つまり住宅の棟内にそういうスペースを設ける、もしくは敷地内の設ける場合には災害復興交付金の対象になると見込まれておりますが残念ながら敷地にそういうスペースが無い、あるいは住宅だけではなくて地域のひとまで含めるといった場合には、対象になりませんので、モデル的に当部のほうで補助しようと。3パターンのうちのひとつですので、9市町村のうち3分の1ということで3市町村分を見込んでいるものでございます。

【高田県議】
 阪神淡路大震災の教訓に学んで対応していくという話でありましたが、阪神大震災でも2年目以降に孤独死の問題が深刻になったということだと思います。仮設団地岩手の場合は、30パーセントが高齢者だといわれていますけれども、こうい方々が災害公営住宅に入居することになりますので、息のながい支援をおこなっていって欲しいと思いますし、これをさらに他の自治体にも広げていって欲しいというように要望申しあげます。


・災害孤児、遺児に対する支援策について

【高田県議】
 次に災害孤児、遺児に対する支援策についてお伺いいたします。現在の支援体制、支援の対策、体制。これはどうなっているのでしょうか。また、児童福祉士の増員状況。これについてお伺いいたします。

【菅野総括課長】
 震災孤児、遺児に対する支援体制等についてであります。孤児遺児に対しましては児童相談所の職員や沿岸広域振興局に配置をしております。遺児家庭支援専門員が家庭訪問等によりきめ細かな相談支援を行うとともに必要に応じまして心のケアを行っているところであります。こうした、取り組みを強化するため平成24年度から宮古および一関の児童商談所に児童福祉士を1人ずつ増員したところでございます。児童心理士につきましても、他県の協力を頂きまして2名増員いたしまして、きめ細かなケア活動を実施しているところでございます。今後におきましてもこうした体制を維持しつつ関係機関等と連携を図りながらニーズに応じた相談支援や心のケアなどを通じまして遺児、孤児等の支援を充実してまいりたいと考えております。

【高田県議】
 親族といっても里親の経験の無い中で、さまざまなご苦労も多いと思います。その中心となって活動するのが児童福祉士であると思います。先ほどの議論でも、児童虐待が非常に増えているという話もありました。たった2名の増員だけでは、災害孤児、遺児に対する支援は非常に弱いのではないかなと思いますので、引き続き児童福祉士の増員を求めて。
 

・福祉灯油について

【高田県議】
 最後の質問に移りたいと思います。最後は福祉灯油の問題であります。灯油価格の動向ですね。福祉灯油を実施した最近では、平成19年と20年度との対比、また内陸部の被災者に対する福祉灯油の実施状況。何戸実施されたのか。それと今年度福祉灯油が実施された自治体、まとめてお聞きします。

【岡村総括課長】
 福祉灯油の価格動向との関係でございますが、平成19年度、20年度につきましては国の交付税措置等もございまして全県で実施した、そういう状況がございます。
 当時は9月から12月にかけての価格水準は1リットル配達価格が18リットルあたり1400円台から2300円台であったほか早い段階から冬場にかけて灯油価格が高騰したという状況がございます。なお今年につきましては、秋から冬にかけての灯油価格は1600円台後半ということで昨年度と同様の水準でございましたけれども1月以降大きく変動して1800円台となっているような状況でございます。内陸部では福祉灯油を実施する市町村も一部にとどまっているという状況がございます。現状では、沿岸部にたいして福祉灯油の実施を県のほうで補助事業を設けたところでございますが、内陸に被災している方でどれくらいのかたが実際対象になるかというのは現在12市町村のほうでは7市町村が内陸部に住民票を写さないで避難をしている方にも助成対象としていると伺っておりますが、現状では事前に住民票を移しているかということは分からないので事業が終わらないと分からないし、結果私は、内陸の被災しておりましたということを具体的に申し出がないと確認は難しいんだというのが市町村から伺っている状況でございます。なお、福祉灯油の実施自治体でございますが県では沿岸12市町村を対象にしておりますが、このほかの内陸の21市町村のうち独自に実施を予定しているのは、遠野市、葛巻町、九戸村の3市町村。のこり18市町村については実施する予定は無いと伺っているところでございます。