2013年3月14日 予算特別委員会
医療局に対する質疑(大要)


・県立高田病院の再建について

【斉藤委員】
 いま仮設の病院だが、医師・看護師の体制、外来入院患者の状況、救急患者の状況はどうなっているか。

【経営管理課総括課長】
 医師・看護師の人数については、平成25年2月1日現在の状況で、臨時を含めた常勤医師が内科が6名、呼吸器科が1名、小児科2名、眼科1名、計10名となっており、看護師は39名となっている。
 患者数は、平成24年12月末の累計の1日平均患者数だが、入院患者数が31人、外来が230人となっている。救急患者は7.3人で、救急患者のうち、9割以上は当日帰宅している状況であり、救急車による搬送患者も1日平均で0.3人となっている。

【斉藤委員】
 医療局は、再建整備の医療機能について、「夜間・土日は一次救急も対応しない」としているが、院長や病院関係者にも聞いてきたが、「今でも二次救急に対応している」と。そして今答弁があったような医師の体制、看護師の体制で頑張っている。実際の救急患者は1日あたり7.3人ということで、十分これは本設の再建でも対応できるし、対応したいと言っている。これを閉ざす道はないのではないか。

【医療局長】
 被災病院の再建にあたり、基本的には医師の負担をできるだけ少なくしたい、それからベットの確保・維持を最優先に考えたいということでいろいろ検討している。
 たしかに高田病院の医師数は、支援の医師もおりある程度のそういった対応ができる体制となっているが、現時点においては、再建時においてどれくらいの医師が確保できるかというところは、被災3病院を含めてなかなか確たる見通しが立っていない。いわゆる供給後も対応できるぐらいの十分な医師を確保できるかというのはまだ先の話であり、したがい現時点では、二次を含め、休日・夜間の救急は対応しないということを基本に考えている。

【斉藤委員】
 あまりにも画一的である。いま仮設の状況でもこれだけ頑張って、二次救急にも対応している。そして立派な病院を再建したら、もちろん続けたいと言っている。大槌・山田までそうすべきと言っているのではない。大槌の院長先生は、「何とか病棟を維持することに専念したい」と。そして全県的な医師確保の状況を見て、中長期的にはそれは考える」ということだった。しかし高田病院は、仮設の段階でこれだけ頑張っているので、最初から本設は基本はそうだという画一的なことではなく、条件があればやるという病院の関係者・地域住民の願いに応えて、条件があればやると局長は言うべきではないか。

【医療局長】
 いずれ基本的な考え方としては、できるだけ再建時には医師の方々に来ていただきたいと思っているので、現時点においては、3病院とも休日・夜間の救急については行わないと、基本的には基幹病院での対応という考え方で対応させていただきたい。

【斉藤委員】
 驚くべき答弁である。いま仮設で、病床も確保して、一生懸命頑張って、本設になったらもっと充実させたいというのは当たり前の話ではないか。いま救急に対応してやっているのに、本設ではそれは受け付けないと。そんな画一的な話だったら病院関係者も納得しないし地域住民も納得しない。条件があったらやると、なぜ言えないのか。

【医療局長】
 条件があったらとか、仮定の話でやる・やらないというのはいかがなものかと思うが、いずれ現時点においてはそういう考え方ということでご理解いただきたい。

【斉藤委員】
 それでは全然理解されない。現にいま仮設という厳しい状況の中でやっているのだから。それを本設で再建しようとしているときに、医療を縮小するという話は誰も納得しないし意欲も出てこない。いま頑張っている機能を守り発展させたいというのが当たり前の関係者の思いではないか。そして高田病院は、高齢者にもっとも優しい地域医療を介護とも連携して進めたいと。いま地域でもそういう連携の体制をつくってやっている。こういう取り組みを医療局として支援すべきだと思うがいかがか。

【経営管理課総括課長】
 現在高田病院では、寝たきりや車いすの患者等を対象とした予約制の外来や、認知症外来など独自の診療サービスを行っているほか、陸前高田市の在宅医療を支える会に参画し、在宅医療に関わる専門職員の連携・強化の取り組みを行うなど、高齢者医療に向けたさまざまな取り組みを行っているところである。こうした地域との連携を図り、高齢者への医療の充実を図っていく取り組みは、今後も大事にしていく必要があるものと認識しており、医療局としても支援していきたい。

【斉藤委員】
 石木院長が高齢者医療で強調していることは、「高齢者は病気が治っても退院するときに歩けなくなったというのでは医療にならない」と。やはり元気になって帰していくという高齢者医療をめざしたいと。そういう意味でいけば、1つの地域医療のモデルになるのではないかと思っているので、救急医療も含めて、医療局はそういう熱意に応える支援体制を強化していただきたい。


・県立山田病院の再建整備について

【斉藤委員】
 旧山田病院跡地の再建整備が一番早く、交通の便もいいし、まちづくりの関連でも地域住民にとっても一番利用しやすいと思う。保健福祉部の審査では、医療と介護の複合施設で、来年度中には今使用している診療所が新しいところに整備されるという見通しである。医療局が行った地域住民への説明会でも、たくさん意見が出たと思うが、一度医療局の考え方を説明しただけではなく、本当に10年20年先を考えて、地域住民の利便性、交通の便などを考えて対応すべきだと思うがいかがか。

【医療局長】
 地元の町からは、織笠地区の3ヶ所候補ということでいただいている。これは町でもいろいろ検討し、かつ町議会でも説明した上で候補地ということでいただいている。
 委員からご指摘があった点はごもっともだと思っている。基幹病院とは異なり、地域病院なので、かつ高齢者中心の医療ということであれば、高齢者の方々がすぐに行けるような場所―高台ではなく近い場所ということはごもっともだと思っている。ただ、10年20年先という話があったが、我々としても100年先を見越した形で考えなければならないと。すなわち、今回の大震災津波は1000年に1度とか100年に1度と言われている。減災という考え方もあるが、医療機関に限って言えば、患者を抱えているので、逃げるということは基本的にできない。職員もまた患者を置いて逃げるということもできない。ですから、基本的にはそういった可能性のないところを最優先で考えるべきだろうと思っている。
 旧山田病院のところについては、基本的には委員ご指摘の点はごもっともだと思うが、やはり安全性を最優先に考えるのが重要だと考えている。

【斉藤委員】
 安全性の問題でも、十分中心部もかさ上げされる。旧山田病院跡地も、かさ上げするなどすれば、駐車場確保と一体で、整備はできると思う。100年に1度と言って病院がもたなかったと、利用しなくなったといったら100年もたない。そういう意味で、地域で地域病院を支えているところは、中心部に位置している。地域住民が使いやすいところにあるから維持できている。そういうことも含め、1度きりの話し合いというのではなく、ぜひもう1度ボールを投げて、ベストの選択を検討していただきたい。


・退職金の削減と医師確保対策について

【斉藤委員】
 医療局の職員もそうだと思うが、平均で400万円の退職金の減額と。医師確保上、こういう減額はできないのではないかと思うが、医師に対する対応、その他の縮小に対する対応はどうなるか。

【職員課総括課長】
 医療局職員の退職手当については、県の一般職の職員の退職手当に関する条例の例により支給されることとなっているので、条例が改正された場合には、基本的にはその支給額は減額されることとなる。しかしながら、医師については、退職した医師の補充も困難な中で、定年に達した先生に延長を要請するなどにより対応している。したがい、今回の改正により、早期に退職した方が、手当の支給額が多くなる場合があるなど、早期退職を促す要因のある可能性があることから、何らかの措置を講ずる必要があるのではないかというところで検討している。

【斉藤委員】
 医師確保対策はまさに緊急重要課題で、それはあって当然だと。退職金を下げるということが問題なので。


・看護師の労働条件の改善と看護師確保対策について

【斉藤委員】
 先日、中央病院の看護師と懇談をしてきた。
 「7東病棟では3人夜勤で、看護師不足で朝5時からの早出勤務、手当はなし」、「8東病棟では、病休者が出て4−4体制から3−3体制となり、早番・遅番で対応している」、「6東病棟でも、朝7時から仕事、昼休みも取れずいつ医療事故が起きてもおかしくない。いつでも辞める覚悟で働いている」との切実な実態・声だった。医療局長は、こうした看護師の実態を把握しているか。看護師から直接話を聞いたことがあるか。

【医療局長】
 委員自ら足を運んでいただき直接聞いていただいたということで深く感謝申し上げたい。
 私のところで直接行って看護師の皆さんと意見交換ということは特段やってはいないが、それぞれ業務支援課・職員課を通して、いろんな看護の現場の課題というのは報告も受けており、協議・検討等も行っている。
 病院現場に出向き、懇談という形で各病院単位でやっているので、そうした中で、総看護師長・副総看護師長・病棟師長などから実情といったことは聞いている。さらに、そういった役付職以外からということであれば、組合があり、組合を通じて、きついお言葉を度々頂戴していることも事実であり、そういう意味では現場の実態については把握しているつもりである。
 委員ご指摘の通り、県病の看護師は、三交代という勤務体制なもので、なかなか休みが十分にとれないとか、そういったところでいろいろ苦労をかけている。看護師の皆さんが献身的に頑張っているということで、県病も何とか維持できているということで、職員の皆さんには非常に感謝している。そういった実情については、本来であれば、定数を増やしてというところではあるが、なかなか経営収支が厳しく、いずれそういった環境の改善に向け引き続き取り組んでいきたい。

【斉藤委員】
 リアルに紹介したように、看護師が不足しているから、今の看護体制では対応できないから、朝5時出勤である。これは特別手当なしである。7対1看護体制をとって、そういう状況の中では、中央病院の場合は入退院も激しい、重症患者も多い、4−4体制をとらなかったら対応できないと思う。そういう看護師の増員を責任をもって図るべきではないか。全体の看護師の確保状況、退職者、新規採用、退職の状況、定年まで働ける人が少なくなっているのではないかと思うがいかがか。

【職員課総括課長】
 平成24年度の看護職員の退職見込みは152名となっており、25年度当初の採用予定者数見込みは142名となっている。

【斉藤委員】
 それでは減ってしまう。退職者のうち定年が36名、勧奨40名、普通退職76名。いまの看護師の状況は定年を待たずにもたない。途中で辞める方もいるがほとんど補充されない。中央病院の場合には激務だと分かっているので、途中の採用はほとんどできない。いま看護師が不足して大変なときに、辞める分も補充しないということは許されない。思い切った大幅な増員が必要ではないか。
 中央病院の場合は、年次休暇が平均5.3日、代休もほとんどとれない。結局年休を余すが、毎年余すのでタダ働きである。中央病院の職員で計算すると年間2億円のタダ働きである。まともに年休がとれる、休みがとれる、最低の人員確保が必要ではないか。

【職員課総括課長】
 中央病院の看護部門の年次休暇の状況は、平成23年に比較し24年は0.3日多い5.7日となった。県立病院全体では、0.4日多い8.3日となっており、若干増加している。
 年次が取得しやすい環境整備に向けては、看護体制上の必要数を配置するとともに、あらかじめ見込める産前産後休暇や、育児休業者に対する職についても、正規職員を補充してきているところであり、夏季休暇等々合わせた連続休暇や記念日休暇などの取得促進について、毎年各病院に周知を図ってきたところである。今後においても、こうした取り組みを通じて、年休を取得しやすい環境づくりに努めていきたい。
 中央病院の25年度の体制だが、病院から要望のあった5西病棟および6西病棟の夜勤体制の引き上げについて、要望通り認めたとか、救急や外来部門等の増員要望に対しては、14名の増員をする予定である。

【斉藤委員】
 中央病院は4−4体制をめざすべきだと。来年度は14人増やすということで確認していいか。
 全体として、退職者より10名も少ない新規採用は、今すぐ手を打って採用を増やすべきであると思うがいかがか。

【職員課総括課長】
 退職見込みよりも採用見込みが少ないという点だが、この点については、宮古病院の病棟再編などの体制見直しを行った結果の人員を充てており、その他県病全体では結果としては、37人を増員して体制強化を図ると考えている。
 先ほどの14名は中央病院ということで、中央病院以外の宮古病院の病棟の体制強化やそういったものを含めて全体として37名増ということであり、中央病院の14名の増員についてはその通り予定している。


・県立病院の消費税負担額について

【斉藤委員】
 これまでの累積が139億7700万円、県立病院全体の205億円の7割を占めている。もしこれが8%になれば、来年度3億1950万円ぐらいの消費税負担額が10億円、10%になれば15億円と見込まれると。まさにこれは県立病院を財政破綻に追い込むような増税になりかねない。全国自治体病院協議会や民間も含めて、本当に消費税が倍になったら、病院も地域医療も守れなくなるのではないか。この点についてどういう対応をされているか。

【医療局長】
 消費税そのものの医療費については非課税という形の取り扱いになっていると。一方、補てんされない分は診療報酬でみていると言われていると医療関係者の間では言われているが、実際そのくらい補てんされているかどうかはかい離があるということで、これは制度の話なので、医療局としては、いずれ制度の見直しなり改善を要望していく、これは県も同じであり、医療関係機関も同じである。そういった要望をしていくというのが1つの対応であり、経営ではできるだけ診療材料などについてコストを抑えて対応していくといった努力をしていきたい。
 基本的には、制度がいいか悪いかというところに尽きると思うが、消費税が上がる上がらないという議論ではなく、診療報酬に対して非課税になっていて、控除対象外消費税が生じるという仕組みの議論で、消費税が上がる上がらないには関係なく、そういった制度的なところを国において改善していただきたいと思っている。