2013年3月15日 予算特別委員会
復興局に対する質疑(大要)


・被災者の状況について

【斉藤委員】
 大震災津波から2年が経過した中で、被災者の避難生活の状況がどのように変化したのか。仮設、みなし仮設、自宅等、内陸の仮設以外、県外避難、ピークの状況からどのように変化したか。
 仮設住宅の入居待ちの状況はどうなっているか。
 みなし仮設は、当初2年で契約されていて、さらに1年延長となったが、これから2年が過ぎるが、契約の継続の状況、契約に至らない状況、その後の対策を含めて示していただきたい。

【生活再建課総括課長】
 3月1日現在、本県全体の被災者数は54652人となっており、うち仮設住宅には全体の53%にあたる28968人、みなし仮設住宅には17%の9502人、沿岸の自宅等には約24%の13232人、内陸の自宅や親類宅には2%の1293人、県外には3%の1657人となっている。
 仮設住宅およびみなし仮設住宅の入居者の合計38470人は、もっとも入居者数が多かった23年10月の43738人と比べると5200人余減少している。
 入居待ちの状況だが、仮設住宅の3月1日現在の空き室676戸にたいし入居待ちは213戸となっている。うち、親戚宅等に避難し、新規に仮設住宅へ入居を申し込んでいるのは36戸あり、いずれの市町村においても必要な空き室は確保されている。残りの177戸については、すでに仮設住宅に入居している者のうち、空き室ができた場合に、追加の住居や転居を希望している世帯であり、今後空室の状況を見ながら、市町村において弾力的に対応をしていくこととしている。
 みなし仮設住宅の延長とその後の住宅確保について、仮設住宅の供用期間が1年延長されたことにともない、昨年8月から県が借り上げた民間賃貸住宅の入居者の皆さんに、延長の意向確認と貸主の皆さまへ延長のお願いをしてきた。文書通知に加え、直接現地等に16回訪問しお願いしてきた。その中で、最終的に貸主から同意が得られない場合は、入居者の皆さまに転居についてお願いしてきた。その結果、3月1日現在、契約件数全体では3028件あるが、その中で入居者が延長を希望している民間賃貸住宅の契約件数が2970件ある。その中で、貸主が延長に同意したものが2949件、貸主から延長の同意が得られなかったものが21件となっている。貸主から同意が得られなかった21件については、すべての入居者の皆さんに転居について説明し、ご理解をいただいており、3月11日現在で7世帯の方が他の民間賃貸住宅に転居いただいている。また県では、貸主から同意が得られないため、入居者が転居する場合に要した経費について、最大10万円を支援することとし、そのための予算を2月補正予算および来年度当初予算に計上させていただいており、今後も被災者の転居等について支援していく。

【斉藤委員】
 県外避難を含めて54652人、うち5200人が自立したということになると思うが、特に仮設住宅の世帯数・人員はほとんど変わっていないと思うがいかがか。

【理事】
 仮設住宅のピーク時の戸数は、24年1月13日時点で13228戸である。

【斉藤委員】
 そうすると、96%、ほとんど仮設住宅の入居状況は変わっていないと。2年が経過し、本当に被災者の状況は大変である。ここをしっかり把握した上で今後の取り組みを進めることが必要である。
 みなし仮設住宅の契約継続については、大変努力していただいたと評価したい。


・住宅再建の状況について

【斉藤委員】
 2周年のさまざまな新聞の特集記事や世論調査、我々も独自の調査をしたが、被災者の一番切実な要望は住宅再建である。そして住宅再建への支援である。
 その点で、被災者生活再建支援金で、住宅再建の状況はどうなっているか。
 県の100万円補助の被災者住宅再建支援事業の申請状況はどうなっているか。
 震災復興特別交付税215億円、これが住宅支援に活用できるということで、もう補正予算が成立したので、これはすでに市町村に配分されたのか。沿岸市町村ではどれだけ予算化・事業化されているか。

【生活再建課総括課長】
 被災者生活支援金による住宅再建の状況は、1月末現在で、基礎支援金の申請件数は23005件、加算支援金は5844件であり、申請率は25.4%となっている。住宅再建の工法に応じて支給される加算支援金の申請5844件の内訳は、建設購入が2487件で42.6%、補修が2791件で47.8%、賃貸住宅が566件で9.6%となっている。
 被災者住宅再建支援事業の申請状況だが、1月末現在で、事業実施30市町村中26市町村で申請を受け付けており、計1587世帯となっている。内訳は、複数世帯が1495世帯で91.9%、単数世帯が128世帯で8.1%となっている。
【企画課総括課長】
 復興特別交付税の配分だが、現在国の算定方法を基本とし、市町村ごとの配分額を調整しているところである。対象市町村の具体の配分については、まだ国の方から交付決定通知がなく、交付総額が未確定という状況になっている。交付は行っていないが、交付決定があり次第、年度内を目途に各市町村に対して交付決定を行いたい。なお、対象市町村において、迅速な事業化が図られるよう、すでに必要な情報等については提供しており、各市町村において、事業化の準備が進められているものと承知している。

【斉藤委員】
 再建をしたというのが総数で5844件25.4%にとどまっているところに大変深刻な事態が示されている。この中で、2487件というのが新築購入だが、県の100万円の申請1587件との差は、新築後に申請ということになるタイムラグか。

【生活再建課総括課長】
 加算支援金については、建設購入の場合については、契約の時点で申請ができるものだが、一方、住宅再建支援事業については、各市町村の補助事業ということで実施しており、申請の時期・交付の時期についてはさまざまである。例えば、完成後に支給されるという市町村もある。
 被災者住宅再建支援金については、建設場所について、県外に家を建設された場合も対象になるところだが、被災者住宅再建支援事業については、県内で建設購入された場合に対象となるものである。

【斉藤委員】
 市町村事業だから、完成後も契約時点ということもあると。使いやすくするためには、被災者生活再建支援金が契約時点で申請できるとするのであれば、一番契約しやすいように見直して、被災者の立場に立ってやるべきではないか。

【生活再建課総括課長】
 被災者生活再建支援金だとか住宅再建支援事業、その他にもさまざまな支援措置が講じられている。そらについては、それぞれの制度は独立しているが、相互に担当課等の連携を図る中での申請手続きの円滑化については各市町村にお願いしている。ただ、申請時期や支給時期については、それぞれ市町村ごとの補助制度との兼ね合いもあるので、できるだけ被災者の視点での検討はお願いしたいところだが、各市町村ごとの判断となっている。

【斉藤委員】
 こういう制度は使いやすく改善すると。住宅支援への要望は被災者の一番の要望なので。
 やはり市町村に差があったらおかしいと思う。基本的には、被災者生活再建支援法の制度と同等な扱いにすべきだと思うがいかがか。

【理事】
 市町村でもさまざまな補助制度を創設しており、被災者の住宅再建を支援していただいているが、こういった制度との整合性も必要だが、いずれ1日も早く住宅再建していただくということが重要なので、そういった問題意識をしっかり市町村とも共有して、今後見直すべきは見直しをしてもらうという取り組みをしていきたい。

【斉藤委員】
 震災復興特別交付税がまだ交付決定されていないというので驚いたが、国でも補正が決まったし、岩手県も補正が決まっている。こういうところに国の変わっていない姿勢がある。結局市町村では、2月議会3月議会では提案されていないということか。

【企画課総括課長】
 県に交付される総額が決まっていないので、各市町村に配分される額、詳しい額についても、それを待って確定ということになっている。概算額などについてはすでにお知らせしているので、それでもって内部的に検討が進められていると考えている。

【斉藤委員】
 良いことは早く。国も県も補正を決めているのに、国からの交付決定がきていないというのは、復興でスピードが問われているときに、国の姿勢を抜本的に改善していただきたい。
 住宅の二重ローン問題の解消について。多くの方々が1000万円2000万円、多い人は3000万円、建設したばかりの家が流され、残ったのはローンだけと。多くの方々はせめてゼロからスタートしたいと。家を流されたのに、ローンが残っているということは本当に再建の最大の障害と言ってもいい。住宅ローンの相談件数、申し出件数、債務整理の成立件数はどうなっているか。抜本的に取り組みを進める上でどんな課題があるか。

【生活再建課総括課長】
 個人債務者の私的整理に関するガイドラインについて、3月8日現在、本県における相談件数は788件、債務整理の申し出件数は135件、債務整理の成立件数は65件となっており、返済猶予などの措置を継続している場合もあることや、被災者に制度の内容が十分伝わっていないことなどから、現在の成立件数に至っている。
 一方で、直近1年間の成立件数を見ると、昨年3月から8月までの半年間で12件だったものが、9月から今年2月までの半年間で50件と増加傾向で推移してきており、今後も成立件数が増加していくことが期待されている。
 県としては、ガイドラインの利用を通じ、被災者の債務の減免が早期に行われることは、被災者の生活を再建する上できわめて重要と認識しており、今後とも岩手弁護士会やガイドライン運営委員会等、関係機関と連携した適切な周知と被災者相談会等の場における被災者への相談支援や情報提供を適切に行っていく。

【斉藤委員】
 実態として、全国的には3877件である。これは1万件から2万件を想定して制度がつくられた。本当に3分の1ぐらいしかまだ相談件数がそもそもない。成立件数になると、全国でも280件で岩手は65件にとどまっていると。本当にこれは住宅再建の最大の障害になる。東北財務局や金融庁が具体的な通知を金融機関に出している。弁護士の指摘は「金融機関の姿勢だ」と。制度の問題も指摘しており、事業者の二重ローンと違い、債務免除した場合に銀行に何のメリットもない。そういう今回のような場合の被災額に応じた住宅ローンの免除ができるような法制度が今度の津波災害では新しく実現しなければならない法制度だと思うが、改めて金融機関に対する徹底した協力要請、被災者に対する通知・相談事業もこの間やっているが、改めてお聞きしたい。

【生活再建課総括課長】
 ガイドラインについては、23年8月の運用開始以来、被災者の生活再建に考慮した段階的な運用の見直しが図られてきているところである。新たな法的な整備や仕組みの創設については、これまでの制度の整合性を図る必要があることから、制定までには相当の時間を要すると見込まれている。
 しかしながら、個人の住宅ローンにかかる二重債務問題が、被災者の生活再建に大きな障害となっていることから、これまでもこの問題の早期解決に向け、積極的な支援を行うよう、県として国に対して要望してきている。
 現在、岩手弁護士会と被災者の生活再建に向けた問題意識の共有と課題解決を図るため、さらなる連携について、昨年11月から毎月1回、定期的に意見交換を開始している。またガイドライン運営委員会やシンクタンクとの継続的な情報交換を行ってきているところである。その中で出されているのは、大変金融機関の取り組みが非常に重要だという中で、国から通知が出される中で、弁護士会やガイドライン運営委員会等との連携を図りながらさらなる周知に努めていきたい。


・復興交付金事業について

【斉藤委員】
 県に対する交付額と事業化の状況はどうなっているか。
 この間見直しされたと言っているが、きわめて不十分ではないか。岩手県が求めていた見直しで、されていない課題は何か。

【企画課総括課長】
 3月8日に交付可能額の通知を受け、第5回分の42億円余を含め、これまで1021億円余が交付されている。うち、基金から繰り入れられて事業化された額は467億円余で半分弱となっている。
 今回の復興交付金の柔軟な運用については、これまで本県から要望してきたものであるが、引き続き要望していく必要がある課題としては、もともとこの交付金事業は5省40事業に限定されている。生業の再生分野に基づき省庁が入っていないので、その分野の基幹事業についても対象を拡大してほしいと考えている。
 また、個別の査定において、多くの事業でまだ単年度ごとの申請交付というところになっている。事業を採択していただける場合には、完成までの予算を一括して交付していただけるようにお願いするとともに、資材高騰等も起こっているので、もしそういうことがあった場合、予算の追加等についてもお願いできればと考えている。
 また、復興が終わるまでの間、着実な予算措置をお願いしたいと考えている。

【斉藤委員】
 先ほど砂浜の再生も対象になったと。大槌の吉里吉里で砂浜再生が対象にならなかったのが対象になると理解していいのか。
 先日陸前高田市に行った際に、体育館と市営プールを合築して市民総合体育館をつくり防災機能もつけたいと。ところが原状復帰が前提で、それ以上には交付金がつかないと言っていたが、こういうものも対象になってくるのか。
 また陸前高田市のアップルロードという県道があるが、それを高台移転の新しい町のところにつなげたいと、まちづくりの中心幹線、高田北幹線というが、浸水していないために交付金事業の対象にならないと。津波被害というのは、高台に新しく町をつくるから、そこにつなげるもの自身が津波関連である。そういうものもしっかり対象にすべきだと思うが、今回の見直しでそれはどうなるのか。

【企画課総括課長】
 砂浜の再生に関しては、今回は効果促進事業等においてできるようになっているので、それらの成果も踏まえて復興の事業として高まれば交付金事業としてお願いしていきたい。
 その他の事業についても、新たなまちづくりのための道路整備やトンネル整備、施設の設備については、これまでは復興にどれだけ関連するかという説明がいろいろ求められてきたわけだが、これについてもなるべく幅広く地域の復興のために資するものについては認めていただけるよう、事業の熟度を高めて再度国と協議していきたい。


・災害関連死の状況について

【斉藤委員】
 申請、認定、不認定、審査中の状況、再審査請求の状況とその結果はどうなっているか。
 県内の災害関連死として判定された方々の原因分析はどうなっているか。
 審査基準・件数・時間はどうなっているか。
 3県と比べても、岩手県は申請件数も認定件数も少ない。本当にこれはもっと申請しやすくして、救える人を最大限救わなければいけないと思うがいかがか。

【生活再建課総括課長】
 1月末現在、県内市町村への災害関連死の申し出件数は656件、うち災害関連死として認定された件数は361件、不認定が201件、審査中が94件となっている。
 2月19日現在、県が受託している災害弔慰金等支給審査会における再審査の件数は14件であり、災害関連死として認定された件数は1件、不認定12件、審査中1件となっている。
 県内の災害関連死の要因だが、県が受託している災害弔慰金等支給審査会において、災害関連死とされた事案において分析すると、避難所等における生活の肉体的・精神的疲労によるものが約3割、病院の機能停止により十分な医療を受けられなかったもの等によるものが約3割、十分な介護を受けられなかった者や、地震・津波のストレスによる肉体的・精神的負担によるものがそれぞれ1割などとなっている。
 県の審査会における災害関連死の審査件数については、これまで506件を審査してきている。審査時間は、お願いしている委員の方々は非常に忙しい方々であり、審査の効率化を図るために委員の方々には審査資料をあらかじめ送付し、事前検討していただいた上で審査会で審査いただいている。これまで20回開催し、委員の日程を確保し十分な審査を行うため、夕方6時から開催し、審査の終了時間はあらかじめ決定していないところである。具体的な審査については、審査会の会長の進行により1件ずつ審査させていただいている。審査会において決定を行う事案、いわゆる関連性のあり・なしについては、重点的に審査していただき、追加の調査が必要な事案については必要な資料の追加の指示をいただいている。これまでの1回の審査会の開催時間は、おおむね3〜3時間半程度であり、審査件数が多い場合にあってはおおむね4時間程度となっている。
 本県の災害関連死の認定数が少ない理由としては、避難所に避難した被災者の数が他県より少なく、避難者数については宮城県の7割ということである。
 災害関連死の周知に努める中で、申し出件数が増大しており、発災から時間が経過してから亡くなられた事案についても丁寧に審査させていただいている。
 本県では、厚労省が参考例として示している長岡市の認定基準である「死亡まで6ヶ月を経過すれば災害関連死でないと推定」という基準は削除しており、幅広く申し出を審査している。