2013年3月22日 商工文教委員会
商工労働観光部に対する質疑大要


・山田町のNPO法人問題について

【斉藤委員】
 山田町からの実績報告書は、額で7億9141万円の事業計画にたいして3億6311万円余が実績だという報告だった。これにたいし、宮古地域振興センターが実地調査・書類審査をしたと。18日からは報告書の内容を精査していると。新聞報道では、さらに1000万円以上が実態のないものだと報道されているが、県の実地調査・書類審査で明らかになった問題は何か。

【雇用対策課長】
 山田町から実績報告をいただいてはいるが、その中に、なお県としての判断基準に照らせば、実績額と認めがたいものが含まれている。したがい、それらを全て1件1件洗い直しが必要と考えている。

【斉藤委員】
 できるだけ多くを語りたくないという姿勢ではないか。すでに県の実地調査・書類審査は終わっている。いま国との協議の最中ということで。もっと明らかになったことを議会に明らかにすべきである。
 町の報告で、4億2820万円というのが実態がなかったと。この中身は何か。

【雇用対策課長】
 町からの実績に含まれていなかったものということでご説明申し上げるが、山田町からの実績報告の中に含まれていなかった主なものは、「法人から提出された支出内容―経理の記録には載っているが支払証票がなかったもの」、「リース会社との契約にかかるリース費として支払ったもの」、「過年度の経費に資金を充てたと法人側が説明している経費」などとなっている。
 山田町が実績報告に入れなかった金額の内訳については、特に積み上げはしていない。

【斉藤委員】
 県の調査で明らかになったものが3点示された。これがおよそ1000万円以上なのか、2000万円以上なのか。

【雇用対策課長】
 個々の金額については把握していない。

【斉藤委員】
 7億9100万円余の事業計画の中で、リース費用はいくら盛り込まれ、実態のある額はいくらだったのか。

【雇用対策課長】
 計画書掲載の額は1億9099万8983円、実績報告の額は3257万9500円である。

【斉藤委員】
 3257万円のリース料は、オールブリッジ以外ということでいいのか。

【雇用対策課長】
 オールブリッジに対する支払い経費は含まれていない。

【斉藤委員】
 そうすると、オールブリッジに関わったリース料は実績としては認められないということになる。
 このリース問題は、このNPO問題の核心中の核心だと思う。いわゆる御蔵の湯である。リースは認められないとなると、この事業は認められないということになるのではないか。そこで44人が働いていたということになると、この雇用はどのように見られるのか。

【雇用対策課長】
 先ほどオールブリッジにたいする支払いが含まれていないという説明をしたが、手元に詳細な資料はないが、記憶では24年度の支出額のうち、オールブリッジにたいするものは1億800万円と記憶している。これについては、オールブリッジとのリース契約を認めないうえに除外したのではなく、この1億800万円余の内訳が過年度の人件費等であるとかさまざまな23年度経費の支払いに実質充てられていたとか、その支払いはNPO法人からリース会社に支出はしたものの、支出の根拠がなかったということをもってオールブリッジにかかる支払いについて、これを実績として認めていないというものと理解している。

【斉藤委員】
 県の審査における考え方で、「補助金交付対象は事業の目的に合致し、かつ支払証票で支出内容を確認できるもの」と。事業の目的に合致しているかどうか、御蔵の湯はNPOが勝手に発注して造ったものだというのははっきりしている。そしてオールブリッジはまったくの架空の団体だった。だったらこの事業は目的に合致した事業になるのか。

【雇用対策課長】
 御蔵の湯についてだが、これまでの支出の中ではほとんど23年度経費にかかる部分だが、その整備について、仮設浴場を整備する、それにかかる経費をこの補助事業でみるということ自体は承知していたものであり、今年度に入ってさまざまな内容について、これまで知らされていなかった事実が明らかになってきたものということである。したがい、この御蔵の湯という事業自体は、従来から仮設浴場を設置して、事業計画書の中では、被災者生活支援事業に関することの一部として認めてきたものであり、それ自体を否定するものではないと考えている。

【斉藤委員】
 そこが難しいところである。あなた方は、23年度ならともかく、今や御蔵の湯はNPOが発注した工事だった、オールブリッジはまったく実態がなかった、ここが明らかになっている。リースの実態がない。23年度のリース料だってごまかしである。もっと厳密にこの問題をやらないと、県が深くかかわっているから責任回避のような気がしてならない。現時点で、NPOが御蔵の湯を発注したと、リースの実態がなかったと、だったら事業としてこれは成り立つのか。

【雇用対策課長】
 23年度事業の分について、24年度事業に引き続き再確認して、説明したところだが、その際においては、御蔵の湯にかかる事業、人件費分は24年度とあるが、事業として認められるものかどうかということは、委員ご指摘のような考え方も1つの考え方として、県としての事業として認めるか認められないものか、県としての考え方と整理、国との協議により決めていきたい。

【斉藤委員】
 町の報告で4億2820万円が実態がなかったと衝撃的な報告だった。県の調査でさらにそれが上乗せになると。すでに町は7億9000万円余全額を支払っているという異常な話だが、全額支払って、4億2800万円余がまともに使われてなかったと。これは、公金横領・詐欺罪にあたるのではないか。

【雇用対策課長】
 罪名の適用については私の知識では判断しかねる。

【斉藤委員】
 そのために弁護士を雇ったのである。そういう連携をきちんとやっておくべきである。自ら問題を解明する姿勢が残念ながら感じられない。積極的に解明して解決する立場に立たなかったら県民に示しがつかない。
 それで、リース会社がまったく実態がなかった。だったら、水上バイクとかいろんな物をリースで借りたと言われているが、実態はNPOが買ったのではないか。だから事業が止まった段階でもかなり残ったのではないか。ところが、これらが正月を境にしてなくなったと。いわば、NPOがさまざまな活動で使った物品はリースの実態がなかったと思うが、どのように調べているか。オークションにも実際に出されている。今何があって何がなくなったのか。

【雇用対策課長】
 購入された物品の全体像というのは、県の方ではあくまでも、実績として報告された範囲内で調査中であり、そこでとどまるものではないが、最終的には全体像の把握は必要と考えているが、現時点では、実績報告がなされた範囲内での調査にとどまっている。

【斉藤委員】
 オールブリッジという全く実態のないトンネル会社で、NPOの役員たった1人だけのごまかすためのリース会社だったと。このリース会社が何か物品を確保してやったということではないのだと思う。おそらくNPOが直接水上バイクだとかヘリコプターの費用など全部やったのではないか。それが正月を境になくなっているというのだから、実態のないものを早く把握し保全しなければならない。オークションに出されたと騒がれて、あれはきちんと保全しているのか。

【雇用対策課長】
 オークションに出品された水上バイクだとか現物自体については、その後出品が取り消され、その当時は現物があると聞いていたが、現時点での状況までは直近では確認していない。また、その後の財産の保全については、県からも山田町に再三意見を申し上げている。

【斉藤委員】
 この問題は山田町が、第三者委員会で当時の行政の責任を含めてそれなりの報告が出されると思うが、残念ながら「大雪りばぁねっと。」が全く協力をしない。それどころか必要な証拠書類が出せない。それだけずさんだったということだと思う。本当にこれは行政の責任が問われると思う。
 実態のない、実績のない、岩手県内でもないNPOに平成23年度は4億3000万円、今年度は7億9000万円もの雇用事業を委託したというのは重大な誤りだったし、それを町の言う通りに認めてきた県の責任、特に平成23年度からこの問題は起きている。23年度は5度にわたり事業計画が変更され、1500万円から4億3000万円に跳ね上がった。そこに御蔵の湯もあった。そして、使い切って、足りない分の補てんまで2度にわたって行われた。しかしそういう実態にも関わらず、県の完了検査をすり抜けて今年度は7億9000万円という莫大な事業をこのようなNPOに委託したと。町の責任が一番重大だが、この補助事業は県を通じて行われるので、県がまったくチェックできなかった、このチェック体制・責任はきわめて重大だと思うがいかがか。

【商工労働観光部長】
 まずは、委託事業契約を結んでいる町とNPO法人との関係をきちんと、委託事業としてどうだったのかということを全体像を明確にしていただくということが解明すべき事項と考えている。
 それから、実績報告等を通じて町から県に事業に関わる報告がなされるが、それらを通じる中で県として適切に判断していきたいと思っているが、残念ながら現時点において把握できる部分というのが断片的な情報にとどまっている部分がいまだにあるということであり、その部分をしっかり町において把握していただき、NPO法人が再三申し上げている通り、誠意ある説明責任を果たしたうえで、全体像を明らかにすることによりどこに問題があり、どう対応すべきだったのか、あるいは今後再発防止していくためにどのような手立てが必要なのか、そのようなものを総合的に判断していきたい。

【斉藤委員】
 今年度では7億9000万円のうち、おそらく4億3000万円を超える公金が、税金が不正に利用されたと。公金横領と言ってもいいと思うが。行政がこれ以上調査できないというのだったら、司直の手に委ねると。早くやらないとますます必要な保全すべきものも保全できなくなってしまう。真相究明も遅れてしまう。そういうことも含めて町とよく協議してやっていただきたいし、この問題は平成23年度までさかのぼるので、根が深い問題なので、そういう意味でのチェック体制の責任は県にあるのだということを改めて指摘しておきたい。


・被災事業所再建について

【斉藤委員】
 グループ補助金が議会の最中に5次後半、6次が採択になった。あわせて、これまでどれだけのグループが適用になったか。
 来年度は、60億円と20億円の予算が計上されているが、どういう形で活用できるのか。
 仮設店舗の最新の整備状況はどうか。グループ補助を受けた企業も、仮設店舗で頑張っている企業も、売り上げ減少しており、復興特需が山を越えた感じである。そういう中で、グループ補助金を受けて本格的に再建を進めるためにどういう手立てが必要なのか。仮設店舗で頑張っている方々の実態、課題、それに来年度どのように取り組もうとしているか。

【経営支援課総括課長】
 グループ補助金だが、6次までに95グループ1159社752億円が採択されている。
 来年度のグループ補助金だが、浸水区域が対象ということで、また遡及がないということで、土地利用の関係で用地が確保できない浸水区域だという考えかと思う。それから、現時点で建てられないという状況だろうということで、遡及しなくても対応できるだろうということでそうしたのではないかと思っている。
 グループ補助金の新たなメニューとして、被災商業地域の事業を立ち上げた。19億5000万円ということで、共同店舗の建設や街区の整備をするといった場合の支援ということで補助率も4分の3ということで同様の取り扱いである。
 仮設店舗の状況は、1月末でエントリー数が345、事業開始が344ヶ所、着工済みが339ヶ所、完成が327となっている。
 仮設店舗への対応だが、ご指摘の通り、県産業復興相談センターで仮設店舗をまわって調査した状況でも、やはり来客数が減っている、売り上げが減少しているということが指摘されている。そういうこともあり、仮設店舗にたいして、25年度は、共用資産―例えばある程度集合で作られたような仮設店舗について、小屋が必要だとかベンチが必要だとか看板が必要だとかといったことをしていく共用資産の支援を新たな補助メニューとして県と市町村で創設したいと思っている。グループ補助金についても、たしかに事業が実際に、事業者が行っていくうえで設備ができても売り上げの確保や人員の確保といったことが課題に挙げられている。売り上げの確保については、各支援機関と連携しながら販路の拡大をしていかなければならないと思っており、人員の確保については、ハローワークなども通じそれぞれの職場で必要な人員が確保できるよう支援していきたい。

【斉藤委員】
 グループ補助金で、平成23年度で採択になり2年経ってもまちづくりの関係で用地が確保できず事業に着手できないという事業所が50ほどあるということだった。その中で、テレビでも紹介された山田町の飲食店の方は、駅前で再開したいと。しかし駅前のまちづくりは2年後3年後である。今回自己繰越で来年度目途がつくかといったら全然つかない。津波災害というのは、阪神と違い、同じ場所で簡単に再開できない。かさ上げや高台移転が必要になる。そういう意味でいくと、こういう50事業所の方々が1年自己繰越すれば目途が立つということでは簡単にいえないのではないか。おそらく今年度繰越する事業者の方も、そういう方が少なくないのではないか。そういう意味で、事業者が求めているのは、再建までこのグループ補助金が継続されるということを求めている。途中で切ってまたやり直しということではなく、そのように改善すべきではないか。
 また6次公募までやったが、グループ構成が面倒である。特に小規模事業者ほどグループ構成に手間がかかる。だから、今まで参加したくてもできなかった方が多数ある。特に小規模事業者は。グループというのがミソで、今までないものができたということは画期的だが、すべての事業者が気軽に使えるかといえばそうではない。ここの改善もしなければならない。希望する事業者がもっと気軽に使えるような制度にどう改善していくか。
 仮設店舗の場合も、本設の展望が見えないということが一番の悩みである。土地の問題もあるし売り上げ減少の問題もある。仮設を維持するので力尽きてしまう。そういう意味でいけば、本当に来年度が勝負、グループ補助を受けた事業者も、仮設店舗で頑張っている事業者も、本格的な再建に向けて希望が見える支援が必要ではないか。

【経営支援課総括課長】
 事業の継続については、国にたいして来年度も要望していきたい。
 小規模事業者についても、商業地域の復興事業というメニューも出たので、そういった方々も対応できるような事業になるのではないかと思っている。
 グループ構成の困難さだが、いずれ支援機関なり県もそういった相談に応じ、丁寧に対応していきたい。
 仮設の方々も本設に移行できるようにということは当然我々も同じ思いであるので、いずれ重層的な支援事業ということも来年度も続けていくので、そういったことで支援機関と協力して対応していきたい。

【斉藤委員】
 水産加工会社は優先的にグループ補助金が適用されたということは良かったと思う。7割以上水産加工は再建している。しかし売り上げ減少が一番厳しいのが水産加工である。やはり半年・1年途切れているスーパーなり得意先を回復できていない。そういう意味でいくと、これに対する特別の支援策をぜひ考えていただきたい。

【産業経済交流課総括課長】
 1月に、被災した水産加工事業者にアンケートを実施した。回答が85社あり、生産能力が被災前の5割以上に回復した事業者が62社の72.9%だった。同時に、出荷額は64.3%と生産能力に比べ少し遅れが見られる。販路の開拓や魅力ある商品づくりをきちんとやっておくことが課題と考えている。県では、この課題を現場の方々とともに解決していくために、昨年9月に、被災者の企業の経営者の方4名を食産業の分野に出向させていただき、販路拡大に向けた指導をしている。また昨年10月には、県と岩手県産と工業技術センターの三者で、三陸復興商品力の向上プロジェクトを立ち上げ、そこで水産加工品の商品開発等を行ったり、今後首都圏など具体的な販路開拓等総合的に支援していきたい。

【斉藤委員】
 売り上げが5割だと成り立たない。せめて7割以上ぐらいじゃないと経営維持できないということだと思う。それでも7割が再建して頑張っているので、産業の再生、生業の再生は来年が本当に勝負である。2年経って、持ちこたえて本格的な再建に向かう大事な来年度になるということで知恵を出してやっていただきたい。


・事業復興型雇用創出事業について

【斉藤委員】
 それから水産加工の場合は人の確保である。事業復興型雇用創出事業が十分に進んでいない。最新の状況もふくめ示していただきたい。
 15000人の目標にたいして5329人、やはり求めているところに活用されていないのではないか。たとえば、グループ補助は1159社が対象になった。これ以上事業復興型は活用されているのか。みんなが事業復興型を活用できるようになっているか。なっていないとすれば原因は何か。そこも本当に行きわたるように知恵を出して現状・課題を示してやっていただきたい。

【雇用対策課長】
 事業復興型雇用創出助成金だが、今年度は2月末で5954人、23年度からの累計で6098人、事業所数では1373事業所となっている。
 グループ補助金の採択事業者のうちの利用状況は把握していない。それぞれ雇用の回復あるいは雇用の維持の方法等に個々の事情があるものと考えている。

【斉藤委員】
 累積6098人ということだった。グループ補助を受けている企業だけで1159社になるわけなので、その他自治体の補助を受けている事業所も全て対象なので、仮設店舗も対象になると思うので、そういうところがもし事業復興型の対象にならないとしたら何が課題なのか。そういう問題をはっきり把握してやっていただきたい。


・トヨタ自動車東日本(旧関東自動車)岩手工場の雇用について

【斉藤委員】
 いま自動車産業が大変好況だと。アクアでトヨタ自動車東日本岩手工場はフル生産と。こういうときこそ、正社員を大幅に増やしてほしい。800人以上いる期間工を正規に登用する最大のチャンスだと思う。今やらなかったらできない。現状、県の対応はどうなっているか。

【企業立地推進課総括課長】
 2月時点で2862名の従業員、うち正規は1728人60.4%、期間社員は845名29.5%、派遣社員は289名10.1%となっている。24年4月と比較し、正規で58人増、期間社員は53人減、派遣は88人増となっている。派遣社員については、現在アクアが好調といったこともあり、必要人数の確保上やむを得ず採用したと聞いている。
 今後の対応だが、トヨタの子会社ということで、トヨタ全体での職員の採用計画、期間社員からの正規への移行といったことが考えられてくるものと思っている。いずれトヨタ全体としても、長引く円高による不況や北米での売り上げ減などいろんな要因があり、まさに今体制を立て直している最中と聞いているので、引き続き知事・副知事を含め機会ある度に正規への採用をお願いしている。

【斉藤委員】
 今がチャンスなので、景気が良いとき、フル生産のときにまだ840人も期間工がいる、派遣が200人以上もいるのは異常である。期間工は4年も5年も働いた熟練工である。ぜひ知事・部長を先頭に、ここはトップ企業なので、雇用条件でも岩手を代表する企業にふさわしい役割を果たしていただきたい。