2013年3月26日 2月定例県議会・最終本会議
議案および請願の不採択に対する高田一郎県議の反対討論


 日本共産党の高田一郎でございます。
 議案第23号、第24号、第40号に対し、請願受理番号60号、65号は不採択に、67号は一部不採択に対して反対討論を行います。

 議案第23号、第40号は、県職員、教職員の管理職の給与の特例調整額(管理職手当て)を削減する条例であります。
 これまで県職員の皆さんは、通常の仕事にくわえ、東日本大震災での復旧・復興で超過勤務を強いられる中で、残業代も満額支払われない中で献身的に取り組んできました。
 今回の特別調整額(管理手当て)は昨年に続くものですが、職位毎の年間削減額は、部長級で39万円、副部長級28万円、総括課長級13万円となり、削減額に伴う総額は、1億3千万円にもなるものです。今国会には、地方公務員の給与を国家公務員並みに削減するために地方交付税の削減まで提案されています。民間と公務員の賃下げの連鎖による所得の減少を断つことが大事であり、賃下げは地域経済へのマイナス波及効果を招きデフレ不況を拡大するものです。東日本大震災で献身的に取り組まれている県職員の皆さんの勤労意欲を後退させるものであり賛成できません。
 議案24号は、県職員の退職手当を大幅に削減する条例であります。
 今回の条例による退職者一人当たりの削減額は25年度末退職者で282万円、26年度末で400万円にもなるものです。削減総額は、25年度で18億6千万円、26年度で25億8千万円となります。県職員の給与削減は14年連続となり、すでに年間平均で118万円を超え削減されています。こうした中での退職手当の削減は、老後の生活と人生設計に甚大な影響を与えるものです。

 請願60号は、生活保護基準の引き下げをしないよう求める請願です。
 政府は新年度予算で生活保護費の大幅削減を打ち出し、毎月の生活費である生活扶助費を3年間で段階的に670億円、期末一時金含めると740億円も引き下げようとしています。
 第一に、生保世帯の96%(扶助費最高で10%の削減)に影響を与えるものであり、生活保護制度を根本から否定するものです。
 生活保護制度は、憲法25条の生存権保障の理念に基づき、国が生活に困窮するすべての国民に対しその困窮度に応じ必要な保護を行い、最低生活を保障するとともにその自立の補償を目的にしています。ところがこの間の老齢加算の廃止、扶助費の引き下げで、「食費の切り詰め」「葬儀に参加できない。何を節約していいかわからない」という声が出ています。
 今回の扶助費の算定は、生保世帯よりも収入が低い世帯も含まれる一般低所得世帯と比較して算定され、最大で1割削減、子育て世帯では月2万円もの引き下げとなるものであります。生活保護受給者の生活実態をみても、人間らしい生活とはいえず生活保護法の根底から覆すものです。
 第二に、政府は「適正化に向けた見直しを行う」として就労指導、調査権限と監視の拡大、扶養の強要などで需給抑制するなど、旧生活保護法に逆戻りさせようとしています。現在でも、「自家用車があるから」大震災の義援金などの理由で申請拒否や却下、打ち切りが行われています。生活保護が受給できる資格がある中で、受給できる補足率はわずか2割であり、先進国では8割から9割となっています。更なる「適正化」は、生活保護を利用できず孤独死、餓死などにつながるものではないでしょうか。生保世帯の増大は、年金削減や社会保障費の負担増による生活悪化、非正規と派遣など不安定雇用の拡大と大企業のリストラなどによる貧困問題の深刻化です。必要な人が受給できる制度への改善とともに早く抜け出せるような改善こそが今求められます。
 第三に、生活保護費の削減は、減額分のゾーンにあった受給者は保護が打ち切られるとともに、各種制度に大きな影響を与え国民生活全体を悪化させるものです。住民税の非課税限度額は保護基準を勘案して定めています。しかも、医療費の一部負担減免、介護及び障害者サービス、国民年金保険料免除、保育所保育料、就学援助など各種制度も生保基準見直しで新たな負担、減免停止などが行われ、最低賃金の引き下げも懸念されます。生活保護基準は、ナショナルミニマムの要としての役割を果たしており国民生活全体を悪化させるものです。
 
 請願65号、「住民の安全・安心を支える公務・公共サービスの体制・機能を充実する請願」は、道州制や国の出先機関の廃止などによる「地域分権改革」ではなく、いっそうの公務・公共体制の充実を求めるものです。政府が進める地域主権改革は、国の出先機関の原則廃止、道州制の導入、義務付け・枠付けの見直しなどを検討しており、これらを具体化するために「地方分権改革推進本部」を今月立ち上げました。
 小さな政府、公務員の総人件費2割削減、国の出先機関の廃止などの議論は消費税増税をはじめとした国民負担増の梅雨払いにさせようという狙いがあり、道州制は軍事、通商、司法などに限定し憲法にうたわれた社会保障、教育など基本的な権利守る国の責任を投げ捨てるものであり、この方向は、小泉「構造改革路線」で衰退した地方をいっそう疲弊させるものでしかありません。
 (また、東日本大震災の復旧・復興に取り組む中、マンパワー不足が復興の足かせになっています。)被災者の生活再建、生業の再生にとっても公務労働者の役割が大きくなっており、出先機関と被災自治体が連携することが大変重要になっています。大規模な自然災害が避けられない中、国民の命を守り、暮らしの安全を確保する国の責任と役割を発揮するためにも今政府が進める「地方分権改革」はこれに逆行するものです。
 住民自治を後退させ地方をいっそう衰退させる道州制や「分権改革」ではなく、小規模市町村を含む身近な市町村行政を維持・強化するとともに、規模の大きな自治体では行政区や旧市町村の自治機能を持つ機構にする、そして何よりも削減された地方交付税の回復など真に地方分権改革にふさわしいものにすべきであります。
 
 請願67号は、最低賃金の引き上げに関する請願です。
 商工文教委員会では、最低賃金の引き上げ、最低賃金を根絶するための労働基準監督官を増員し監督行政の強化など5項目が採択され、全国一律最低賃金の確立、最低賃金の労働者委員の公正な選出、最低賃金が年1800時間の労働をもって生活保護基準を下回らない水準にするなど5項目が不採択となりました。
 最低賃金の引き上げ改善は、内需を喚起しデフレ不況を克服する最も重要な施策です。1995年と2011年と対比した賃金の国際比較では、欧米では134%〜186%と年々引き上げられているにもかかわらず、わが国は89%と異常な国となっています。先進国でもわが国だけが賃下げという世界に流れに逆行するだけに最低賃金を確実に実現するためにもすべての項目の採択こそ必要です。 
 以上が反対する理由であります。ご清聴ありがとうございました。